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ヘルメットの人物の正体を知った悠馬は

失意の中でも、洗脳された雫を救おうと、

その陰謀に立ち向かい続けるー。


雫の兄・悠馬と、雫の彼氏・輝樹が、

それぞれ、雫を正気に戻そうと奔走する中ー

徹底的にとぼけるような言動を繰り返す愛梨沙ー。


そんな中、輝樹は”あること”を考え付きー、

それを実行に移そうとしていたー。


☆前回はこちら↓☆

<MC>歪められた絆⑲~絶望~

ヘルメットを被った人物の正体を探る雫の兄・悠馬と 雫の彼氏・輝樹ー。 ヘルメットの人物こそが、妹の雫を洗脳した張本人ー。 裏社会の便利屋・玉城東吾と結託して、 雫を洗脳したその人物の正体を突き止めない限り、 雫を正気に戻すことはできないー。 そんな中、輝樹は悠馬の彼女である愛梨沙を疑い、 執拗に愛梨沙を...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


★主な登場人物★


・神里 悠馬(かみさと ゆうま)

大学生。妹の雫が豹変したことに困惑する。


・神里 雫(かみさと しずく)

高校生。兄の悠馬のことが大好き。少しイタズラっ子な一面も。


・森永 愛梨沙(もりなが ありさ)

大学生。悠馬の彼女。成績優秀な優等生。コスプレ趣味がある。


・藤嶋 亮介(ふじしま りょうすけ) 

大学生。高校時代からの親友。困った時には頼りになる存在。


・西園寺 美桜(さいおんじ みお)

高校生。妹・雫の親友。表裏が非常に激しい。


・九条 輝樹(くじょう てるき)

高校生。妹・雫の幼馴染で悠馬とも小さいころから面識がある。


・玉城 東吾(たまき とうご)

裏社会の便利屋。ヘルメットの人物と共に雫を洗脳した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 「ーーーーーー何よー」

不満そうな表情を浮かべる雫ー。


「ーーーー……いやー」

雫の彼氏・九条輝樹は、学校で雫の顔をじっと見つめていたー。


「ちょっと!何なの!」

洗脳されている雫は、そんな輝樹の態度に苛立ち、机を叩くー。


雫の親友、西園寺美桜が、少し離れた座席から

そんな雫の態度を不快そうに見つめるー。


「ーーーーーーー」

それでも、輝樹は雫のほうをじっとー

見つめていたー


”その目”をー。


「ーーー………~~~~…」

洗脳されている雫も、ずっと”彼氏”に見つめられ続けたからか

ほんの少しだけ顔を赤らめると、

「ーー…い、いい加減にして」と、困惑した様子で呟くー


雫に”いい加減にして”と言われた輝樹は

”ありがとう”とだけ呟くと、そのまま座席の方に戻っていくー


「ーーー…何なの??」

雫が首を何度も傾げながら不満そうにそう呟くと

輝樹は”確認してみる価値はありそうだなー”と、心の中で

そんなことを呟いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「愛梨沙ー…」


悠馬は、今日も愛梨沙のことを考えながら

大学での1日を過ごしていたー。


そんな中ー、

親友の亮介から”村瀬のやつが、怪しい動きをしてるー”

と、心配そうに悠馬の元にやってきたー


「村瀬ー? 村瀬教授のことか?」

悠馬がそう言うと、亮介は「ああ」と、

珍しく険しい表情を浮かべているー。


確かに、玉城東吾のことを調べている最中にー

村瀬教授には脅しとも取れるようなことを言われているー


「ーもしも君たちが”何か”をしようとしているのであれば、

 悪いことは言わないー

 大人しく身を引きなさいー」


とー。


もちろん、何も関係がないかもしれないー

しかしー


「ーー今朝、村瀬の奴がコソコソ誰かと喋ってたからよー

 盗み聞きしたら、あいつ、”玉城さん”とかなんとか

 言ってたんだー」


亮介が言うー。


「ー玉城?」

悠馬が不安そうな表情を浮かべると、

亮介は頷きながら、険しい表情を浮かべるー


「ーたまたま同じ名前なだけかもしれねぇー

 でも、玉城ってー

 例の裏社会の便利屋の名前だろー?


 なんか臭うって思ってなー」


亮介のそんな言葉に、

悠馬は困惑の表情を浮かべるー


”まだ”


”まだ、何かあるのか”


とー。


妹の雫を洗脳した

”ヘルメットの女”の正体は彼女の愛梨沙だったー。


そして、その愛梨沙から依頼されて、

”雫の洗脳”に加担したのが

裏社会の便利屋・玉城東吾だー。


だがー

村瀬教授まで関係しているとなればー

悠馬はまだー”全てを知らない”のかもしれないー。


表情を曇らせる悠馬ー

そんな悠馬を見て、亮介は「ま、村瀬教授の方は

俺の方で何とかするからー」と、笑うー。


「ーー念のため、お前にも伝えて置いた方がいいと思って

 教えておいただけだー。


 お前は、愛梨沙ちゃんと、妹のことに集中しろー

 何か分かったらすぐ知らせるからー」


亮介のそんな言葉に、悠馬は

「ー色々迷惑かけて、本当にすまないー」と、

頭を下げるー


「ーいいんだよー。親友なんだからー


 それにほら、

 村瀬のやつ、いつも偉そうで

 個人的に嫌いだからさー、

 雫ちゃんの洗脳の件に関わってるならー

 蹴落とすこともできちゃうしな!」


子供のように無邪気に笑う亮介ー


悠馬はそんな亮介を見て

「はははー…亮介らしいな」と、少しだけ笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


昼休みー


”愛梨沙に雫を元に戻してもらうためにはどうすれば良いのかー”


そんなことを考える悠馬ー。


しかし、愛梨沙とは小学生時代からの知り合いで、

雫とも面識があるー。


一体”何が”愛梨沙をそんな凶行に走らせてしまったのだろうかー。


「ーーー……ーーー」


もちろんー愛梨沙は”普通の女子大生”のはずだー。

少なくとも、悠馬が知る限り、裏社会に通じていたり、

エイリアンだったり、そんなことはないー


だからー、悠馬と輝樹で力づくで愛梨沙を制圧しようと思えば

恐らくはできるー。


しかしー…

雫が洗脳されている以上ー、愛梨沙にそれをすれば

雫が殺される可能性も0ではないー。


”洗脳”の力の全貌は不明だがー

一度”ダークアプリM"で洗脳していればー

スマホを持っていなくても操ることができる可能性もあるー


そうなれば、愛梨沙を力づくで取り押さえた瞬間ー

極端な話をすればー”自殺”させられてしまう可能性も

十分に考えられるー。


「ーーーー…」

やはり、愛梨沙がこの凶行に至った理由を何とか

本人から聞きだして、その上でー


「ーー悠馬ー」

食堂で、一人考え事をしていた悠馬ー。


そんな悠馬に声を掛けて来たのはー

他でもない、愛梨沙だったー


「ーあ、愛梨沙ー…」

悠馬は戸惑うー


自分が雫を洗脳したと言うのに、

何食わぬ顔で普通に話しかけて来る愛梨沙にー

悠馬は困惑の表情を浮かべるー


「雫ちゃんの件ー、何か分かったー?」

愛梨沙がそんな言葉を呟きながら、悠馬のいるテーブルに座るー。


「ーー…え…」

悠馬は思わず変な声を出してしまったー。


「ーー何でって?

 ふふふふー

 だって…ふふふ…あはははは…

 面白いんだもん!」


自ら、雫を洗脳したことを認めた愛梨沙ー。

その愛梨沙の言動が、悠馬には全く理解できなかったー。


悠馬を挑発しているのかー

それともー


「ーーーーーどういうつもりなんだー…?」

悠馬は戸惑いながらそう呟くー


「ーーえ?」

愛梨沙は少し笑いながら首を傾げるー。


「ーー…俺ーー

 こんな仕打ち受けるようなこと、愛梨沙にしたかなー…?」


悠馬は悲しそうに呟くー


「ーえ…ちょ、ちょっと待ってー…何のこと?」

愛梨沙がそう言い放つと、

悠馬は表情を歪めるー。


”ーーーわたしを追求しても、無駄ー

 ”徹底的に”何も知らないふりを貫き通してあげるー…”


あの日、対峙した愛梨沙の言葉の通りだー

愛梨沙は、徹底的に普段通りの振る舞いをして

悠馬をあざ笑っているのかもしれないー


けれどー…


「ーー愛梨沙にも何か理由があるのかもしれないー…

 でもー…でもさ、雫だけは、雫だけは元に戻してやってくれー」


悠馬が悔しそうにー

嘆願するかのようにそう言い放つー


けれどー

愛梨沙は心底驚いたような様子で、すぐに口を開いたー


「ちょ、ちょっとー…

 な、何か誤解されてないー?

 わ、わたしがー…

 わたしが雫ちゃんを元に戻すの?」


愛梨沙のその言葉に、

悠馬は表情を歪めるー


「ーーーーーー」


悠馬は少し違和感を感じて口を開こうとするー。


だがー口を開く前にー

聞きなれた声が、悠馬が口にしようとしていた言葉をかき消したー。


「あ、森永先輩!」と、偶然通りがかった

後輩の田内純恋が、

愛梨沙を見つけて話しかけて来たのだー。


「ーーあ、邪魔してごめんなさい!」

彼氏の悠馬も一緒なことに気付き、

純恋は申し訳なさそうにするとー

「いや、大丈夫だよ」と、

悠馬はいつものように穏やかな笑みを浮かべるー


「ー田内さんーどうしたの?」

純恋に話しかけられた愛梨沙が純恋のほうを振り返ると、

純恋は何か行事関係の相談があったらしく、そのまま

愛梨沙と話し込み始めるー。


「ーーーー…」

悠馬は、愛梨沙の”不可解な行動”に少しだけ首を傾げながらー

その光景を見つめることしかできなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


大学での1日が終わるー


大学から出て、

自宅に向かって歩く愛梨沙ー


そんな愛梨沙の前にー

雫の彼氏である輝樹が姿を現したー


輝樹は、高校が終わってすぐに、愛梨沙がいつも通る道で

愛梨沙を待ち伏せしていたのだー


「ー先日はどうも」

輝樹が言うと、愛梨沙は少し困惑した様子で会釈だけするー。


「ーーーー雫を洗脳した”張本人”なのに、

 随分と堂々としてますねー…

 そこまで開き直られると、逆にこっちもやりにくいー」


輝樹がそう言うと、

愛梨沙は「え?」と、表情を歪めるー。


だが、輝樹は元々愛梨沙を疑い、

愛梨沙を犯人だと決めつけるような言動を繰り返していたー


そんな輝樹の”いつもの問い詰め”だと判断した愛梨沙はー

「だから、わたしじゃないってば!」と、

再び反論するー。


その反応に、輝樹は頷きながら愛梨沙の目を見つめると

「俺ー…思ってたんですー

 森永さんの反応を見て、もしもこれで”ヘルメットの女”だったら

 名女優顔負けの演技だってー…」

と、輝樹は呟くー


「そして、俺もしつこく森永さんを追求するうちにー

 森永さんが犯人ではないーって

 そう確信しましたー


 でもー」


輝樹は、そこまで言うと

「ヘルメットの女は、森永さんー…あんただったー」

と、輝樹は愛梨沙を指さしながら言うー。


愛梨沙は思わず呆れ顔で首を横に振ると

「ーいい加減にしてよ!」と、少し涙目で言うー。


だがー、

続けて輝樹から出て来た言葉はー

愛梨沙が全く予想もしていない言葉だったー。


「ーーー森永さんーーー

 ”洗脳”されてません?」


とー。


「ーーえ??」

困惑した表情を浮かべる愛梨沙ー。


「ーー森永さんはどう見ても、嘘をついてるように見えないしー

 悠馬さんから聞いた話を総合すると、

 雫を洗脳するような人には思えませんー

 

 ずっとずっとー森永さんが犯人だってことに

 違和感がありましたー」 


輝樹はそこまで言うとー


「ーー”洗脳”された心当たりは、ありませんか?」

と、愛梨沙に対して言い放つー


「ーせ、せ、洗脳ー…わ、わたしが?

 雫ちゃんみたいに?」


愛梨沙が戸惑いの表情を浮かべるー。


「森永さんが”洗脳”されてるんだとしたらー

 全部説明がつくかなってー、

 そう思ったんでー」


輝樹が言うと、

愛梨沙が瞳を震わせながら

自分の最近の行動を思い起こし始めるー


「ーーそ、そんなことー…あるわけー…」

愛梨沙はそう言いながらも、

最近の悠馬の反応を思い出すー。


数日前から悠馬が険しい表情を向けてきたりー、

愛梨沙のことをとても悲しそうな目で見つめてきたりしているー。


突然、距離感を感じるような、そんな状況に

愛梨沙自身も疑問を感じていたー。


「ーーー…ねぇ、九条くんー…だったよね?

 このあと、少し時間ある?」


「ーーもちろんー

 雫を助けるためなら、俺はいくらでも時間を作りますよー」


輝樹はそう言うと、愛梨沙と共に、少し大学から離れた

ファミレスに入り、そのまま話を始めたー。


「ーーーーーーさっきの話ー…詳しく聞かせて?」

周囲にあまり人がいない座席を選び、着席すると、

愛梨沙は自分の髪を整えながら、そう呟いたー。


「ーーー…」

輝樹は静かに頷くとー、

「ー玉城東吾ー例の便利屋が、

 ヘルメットの女は森永さんだと言ったんですー。

 それで俺は、森永さんを毎日のようにしつこく追及してましたー」

と、言葉を続けるー。


「ー悠馬さんにも、先にも、もちろんその話は伝えてましたけどー

 悠馬さんはー……ああいう性格なのでー」


輝樹が言うと、愛梨沙は届いたジュースを口にしながら

「悠馬はホントに優しいもんねー」と、微笑みながら

言葉を口にするー。


「ーえぇー。俺からすると優しすぎるぐらいなんですどねー」

輝樹はそう言うと、


「ーーまぁでも流石に、”自分の彼女を疑え”ってのはー

 悠馬さんにとってキツイことぐらいは俺にも分かりますから、

 俺が森永さんに何度も何度も会いに来てたってわけですー


 ーーものすごく失礼なことしてるのは分かった上でー」


と、言葉を続けたー


しかし、愛梨沙は首を横に振ったー


「ーー玉城って人が、ヘルメットの女がわたしだって

 名指ししてたなら、仕方ないよー

 わたしがー九条くんの立場だったとしても、調べると思うー」


その言葉に、輝樹は

「そう言ってもらえると助かりますー」と、少しため息をつきながら頷くー。


その上でー、

輝樹は愛梨沙のほうをまっすぐと見つめたー。


「ーーそれでー…さっきも少し言いましたけど、

 何度も何度も、森永さんと話をするうちにー

 ”この人がそんなことするはずない”って、俺も思ったんですー」


輝樹は、注文したハンバーグが届くと

それを美味しそうに食べながら愛梨沙のほうを見つめるー。


「ーでもー

 結果は森永さんだったー」


輝樹が言うと、

愛梨沙は表情を曇らせるー


「ーわたしが、ヘルメットの女ってことー?

 そんなわけー」


愛梨沙が再び否定しようとすると、

輝樹は「ーーーーー”洗脳”」と鋭い目で

愛梨沙を睨みつけるー。


「ーーーもしも、森永さんが洗脳されているとすればー…?

 そうすれば、全て辻褄が合うー」


ハンバーグの横のコーンを食べながら

輝樹は言うー。


「ー森永さんがそこまで必死に否定するのもー

 森永さんの”目”が嘘をついていないのもー

 普段は徹底的にそんな素振りを見せないこともー


 ”自覚のないまま”森永さんが誰かに洗脳されて

 利用されているのならー

 全部、辻褄が合います」


輝樹のそんな言葉に、

愛梨沙はグラスを持った手を震わせながら

「で、でもーわたし、ちゃんとー…記憶はーあるよー」

と、”記憶が飛んでいる時間帯がない”ことを告げるー。


「ーーー…”記憶”も操作できるとしたらー?」

輝樹の鋭い指摘に、愛梨沙は目に見えて動揺しながら

「ーそ、そんなー…そ、それじゃあー

 わたしが、悠馬や雫ちゃんを、傷つけてるのー?」

と、輝樹のほうを見つめるー。


「ー森永さんが、”犯人”じゃないならー

 そういうことになりますー

 俺と悠馬さんは、確かにーーー

 ヘルメットを被った森永さんに襲われたー」


輝樹の無情な言葉に、

愛梨沙は「嘘……うそ…そんな…」と、

目のあたりを押さえながら、涙を浮かべるー。


「ー落ち着いて下さいー

 もし、本当にそうならーーーー」


輝樹がそこまで言いかけたその時だったー


突然、ジュースの入ったグラスを手に、

それを一気飲みすると、愛梨沙は

「クククククー」と笑い始めたー。


目に涙を浮かべたまま、低い声で笑い出した愛梨沙ー


輝樹は表情を歪めながらー

愛梨沙のほうをまっすぐ見つめるとー

声に怒りを滲ませながら呟いたー


「ーー森永さんーーーー

 いいやーーー”クズ野郎ー”

 ようやく出て来たかー」


輝樹が愛梨沙を睨みつけるー。


そんな輝樹を見て、

愛梨沙は先ほどまでとは別人のような笑みを浮かべて

小さく拍手を始めたー


「いやぁーおめでとうー…

 正解だー」


愛梨沙はそう言うとー

ニヤリと笑ったー


「ーわたし~~~~

 雫ちゃんの”洗脳”を実行に移す前から

 ”犯人役”として洗脳されてるの~♡


 普段はーーー

 ”その自覚がないまま” ねー

 クク…ふふふふふふふ♡」


愛梨沙は歪んだ笑みを浮かべながらー

輝樹に対してそう言い放ったー。


㉑へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


ここ数話、洗脳モノなのに、洗脳された妹の

出番が少なく見えたのは…

別の洗脳された人物が、たくさん登場していたからでした~☆

愛梨沙が洗脳されている…を知ってから見返すと

ゾクゾクできるかもしれませんネ~!


いよいよ終盤に向けて、

物語は進行していきます~!

まだ、もう少し時間がかかりますが

どんな結末が待っているのかも

ぜひ楽しみにしていてください~!


今日もありがとうございました~!

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