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大学生の竜太が付き合っている彼女・綾香は

竜太の親友・恵一が”憑依”している状態だったー。


そもそも綾香は、元々竜太とほとんど接点がなく、

竜太と綾香が付き合い始めた頃にはー

”綾香は竜太の親友に憑依されている”状態だったのだー


そんな秘密を知ってしまった妹の由紀奈ー。


綾香は、”秘密を知られたなら、お前が由紀奈ちゃんに憑依するしかない”と、

竜太に迫るー。


しかしー…?


★前回はこちら↓★

<憑依>お兄ちゃんの彼女は何かがおかしい①~秘密~

「ーーただいま~!」 実家で暮らす男子大学生・久本 竜太(ひさもと りゅうた)が、 帰宅したー。 「ーーお邪魔しま~す」 そんな竜太の隣にいた 可愛らしい女子大生が、微笑みながら家の中にやって来るー。 彼女は竜太の彼女、沼澤 彩香(ぬまざわ あやか) 「ーーあ、綾香(あやか)さん!こんにちは~!」 そん...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ー”彼女”を守るために、

 竜太はちゃんと、やるべきこと、やってくれるよね?」


綾香がにっこりと笑いながら、竜太にそう言い放つー。


けれども、

竜太は表情を歪めたまま、

「いや…いや、ちょっと待ってくれよー頼む」と、

綾香のほうを見つめるー


「ーまだ、由紀奈がさっきの話を聞いたとは限らないだろ?

 さっきも言ったけど、由紀奈、意外とドジだから

 何のことか分かってないかもしれないしー…


 ゆ、由紀奈にも人生があるからー

 できれば憑依するなんてことはー」


竜太がそう言うと、綾香が、ガチャッ、と部屋の扉の

入口を開くー


「え…お、おい!どこ行くんだよー」

竜太が慌てた様子で言うと、綾香が振り返ったー


「ーお前の妹のところ」

とー。


「な…なぁ、待てよ!落ち着けって!」

竜太が、廊下に出た綾香を呼び止めて、声を掛けるー。


「ーお、お前の気持ちはよく分かったよー。

 確かに、お前には元に戻る身体がないから、

 そうして焦るのは分かるー。


 でも、落ち着けよ。

 ”憑依”なんてこと、簡単に信じるやつなんていないし、

 俺とお前で、うまく口裏を合わせれば、

 仮に由紀奈が聞いてたって誤魔化せるってー。


 だってー

 普通、憑依なんて信じないだろ?

 憑依した現場を見られたわけじゃないんだし、大丈夫だって!


 むしろお前がここで変な行動を起こすほうが

 よっぽど由紀奈に怪しまれちまう。

 違うかー?」


必死に竜太がそう言い放つと、綾香は、険しい表情で

竜太のほうを見つめ続けるー


「せっかく、可愛い子に憑依して自分のものにしたんだから

 そんな顔すんなってー

 しわができるぞ?


 それにー

 さっきだってそうだ!

 お前が、いつもと違う雰囲気を出したから由紀奈、余計に

 引いてたじゃないか。

 

 いつも通りー。

 いつも通り”綾香”として振る舞えよー

 お前だってそうしたいから自分の身体を捨てて

 その子に憑依したんだろ?」


竜太が必死の説得を終えると、

綾香は「ふぅ」と、ため息をついたー。


「それも、そうだなー…」


そこまで言うと、

綾香は少し間を置いてから

「竜太の言う通りだった!ごめんね!」と、

いつものような明るい笑顔に戻って、手を合わせながら

謝罪の言葉を口にしたー。


その綾香の反応に、心底安心する竜太ー


「ーっていうか、俺と二人の時だけ

 素に戻るのやめようぜ?」


竜太がそう言うと、綾香は

「ーたまには素に戻らないと、自分が男だったってこと

 忘れちまうだろ? こんなエロイ身体になったんだし」と、

胸を触りながら笑みを浮かべたー。


そのまま”いつものように”二人の時間を楽しむ

竜太と綾香ー。


綾香に憑依した親友・恵一は、二人きりの時以外は

すっかり”女子大生”になりきっていてー、

竜太と二人きりの時も、

”竜太が望めば”

”綾香”として振る舞ってくれるー。


憑依してから、時間が経過するにつれてー

どんどんどんどん”本物の女子”っぽくなっていくー


”まぁ…身体はホンモノの女子なんだけどなー”


そんな竜太はー

”身体は綾香”で”中身は親友”だとは理解しつつもー

今では本当に”綾香のこと”が異性として大好きだったー。


中身が親友ー、それを理解した上でも、だー。


”やっぱ、身体の力ってすごいんだなー”


正直なところー、

綾香に憑依している恵一のことは、”友達として”なら好きだが

”恋愛的な意味”で好きになることは、少なくとも竜太は

絶対になかっただろうー。


だが、その恵一のことを、今は”身体が綾香”なだけで、

異性としても、本当に好きになっているー。

中身は親友であると分かっているのにも関わらず、

異性としての恋愛感情が湧いてくるー。


「ーーー…あ!もうこんな時間!」

綾香が時計を見つめてそう叫ぶと、

「あ、そうだなーと、竜太もそれに応じるー。


「駅まで送って行こうか?」

竜太が言うと

綾香は少し笑いながら

「ははは…こう見えても俺は元男だぜ?」と、

腕をぶんぶん振りながら笑うー。


「ーでも、身体は女の子だろー?」

竜太がそう指摘すると、

綾香は「へへへ…大丈夫大丈夫」と、笑いながら玄関先まで向かうー。


竜太の妹・由紀奈にも声を掛ける綾香ー。


由紀奈は一瞬ビクッとした感じを見せたものの、

すぐにいつも通りの笑顔を浮かべながら

綾香と少し雑談をしたー。



「ーじゃ。また大学で」

綾香がそう言うと、竜太は「おう」と答えて

手を振ったー。



”綾香”が”綾香”のままだったらー、

ほぼ確実に”恋人関係”になどなれてはいないー。


綾香は、恐らく竜太のことなど

”大学で見たことのある名前も知らない人”レベルだったはずだー


その綾香が、今は、彼女ー


考えれば考えるほど

”憑依は恐ろしいな”と思ってしまうー。


憑依のおかげで、こんなに良い思いを出来ている、ということは

分かっているー


けれど、やっぱり、その恐ろしさは考えてしまうー。


だってー

綾香という子が”一切眼中になかったであろう竜太”と、

こんな風にカップルに”させられている”のだからー。



「ふぅ…」

綾香の姿が見えなくなると、ホッとした様子でため息をつく竜太ー。


家の前で見送っていた竜太が、そのまま家の中に入ると、

妹の由紀奈が暗い表情で、

「お兄ちゃんー…綾香さんはー…」と、不安そうに呟くー


「ーーど、どうしたんだよ~?そんな暗い顔して」

竜太がそう言うと、由紀奈は

「さっきの話…」と言葉を続けたー


”やっぱ、聞かれてたのかー”

と、竜太はそう思いながらも、

「ーー聞かれちゃったかぁ~…」と、

やれやれという様子で少し考え込むー。


だがー

竜太はすぐに由紀奈のほうを見ると言葉を続けたー


「ーーー来月、学園祭あるだろ?

 俺の大学でー」


竜太がそう言うと、


「ホントはずっと秘密だったんだけど、

 学園祭で劇やるから、その練習してたんだよー」


と、言葉を続けたー。


「劇ー?」

由紀奈が首を傾げるー。


「そう。劇ー…

 まだ劇を制作してるサークル仲間にしか

 内容も何も話してないやつだから

 絶対!誰にも言わないでくれよ?な?頼む!」


竜太が気まずそうにそう叫ぶと、

由紀奈は急に笑顔になって、

「ーな、なんだぁ!そうだったんだ~」と、安堵の笑みを浮かべたー


「て、てっきりわたし、綾香さんが本当に

 お兄ちゃんの親友って人に乗っ取られてるのかと思っちゃってー」


由紀奈の言葉に、

竜太は「そんなわけないだろ」と言いながらも

”完全に全部聞かれてるな”と、青ざめるー。


しかし、これで何とか誤魔化すことができそうだー。

あとは学園祭の時までに綾香と口裏を合わせるようにしておけば、

問題はないはずー。


「ーーまぁ、そういうことだからー…

 俺の大学に知り合いはいないと思うけど、

 一応、な」


竜太がそう言うと、由紀奈は「うん!わかった!」と、

笑顔で答えたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「ーーあ、竜太~!」


昼休みに食堂で、竜太を見つけると嬉しそうに手を振る綾香ー。


「ーー少し遅れちゃったよー。悪かったな」

竜太がそう言うと、綾香は「ううん!全然大丈夫」と

笑いながら、座席の方に座るー。


「そういや、昨日、由紀奈のこと、うまくごまかしておいたよー。

 やっぱ由紀奈、ほとんど何の話だか分かってなかったみたいだし」


竜太がそう言うと、綾香は「ふ~ん、ならよかった!」と笑いながら

”何食べよっかな~!”と、呟くー。


”二人きり”にならない限り、綾香は絶対に”素”を出さないー。


何人かの友達には、”綾香、最近なんか変わったよね”と言われていることが

あるのも事実だー。

憑依して半年ー、今のところ何もトラブルは起きていないものの、

綾香に憑依した親友も、やはり、そのことは心配しているのだろうー。


時々、竜太は”彼女として”楽しそうに振る舞っている綾香を見て

疑問に思うこともあるー。


”いくら親友とは言え、せっかくこんなかわいい子を乗っ取ったのに

 俺と付き合おうなんて、よく考えたよなー”


と、そんな風に思うのだー。


まぁでも、憑依してかわいい子の身体を奪うと、

そんなものなのだろうかー


「どうしたの?ほら、何食べるの?」

綾香がにこにこしながら、竜太の腕をポンポンと叩いてくるー


「ん?あ、あぁ、え~っと」


やっぱりだめだー。

中身が”親友”だと分かっていても

ドキドキしてしまうー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


その日の夕方ー


大学が終わり、

竜太はサークルの活動関係で少し用事があるために

綾香が一人で先に帰路へとつくー。


自分の綺麗な手を満足そうに見つめながら

微笑む綾香ー


”そろそろー”

そんなことを思っていると

「あ、綾香さん!」と、背後から声を掛けられたー。


「ーーあれ?由紀奈ちゃん!今、学校帰りなの~?」

綾香が微笑みながら振り返ると、

「あ、はい!」と、竜太の妹・由紀奈が微笑んだー。


偶然出くわした二人は、”一緒に帰ろっか”と、

帰り道が分かれるまでの間、一緒に帰ることにして、

そのまま歩き始めるー。


「ーそういえば、お兄ちゃんから聞きましたー

 学園祭で劇やるって!」


由紀奈が笑いながらそう言うと、

綾香は「劇ー?」と首を傾げたものの、

「う、うん~まだ実際にやるかは分からないけど~!」と、

無難な言葉を返すー。


しかしー

由紀奈はー

続けて”言ってはならない言葉”を口にしてしまったー


「昨日、お兄ちゃんの部屋で、綾香さん

 ”憑依”とか言ってて、

 男の人みたいな喋り方してたり、

 自分のことを他人みたいに言ったりしてたので、

 びっくりしちゃいましたよ~」


由紀奈は、兄・竜太の言葉を心から信じて、

何気なくそんな言葉を口にしたー。


「ーーーー!!!!」

横を歩いていた綾香の表情が変わったー。


表情を歪めて、横目で由紀奈を見るー


”こいつー…俺のこと、やっぱり聞いてやがったー”


綾香は、そう確信すると、

その場に立ち止まったー。


竜太はー

”由紀奈”とも”綾香”とも

打ち合わせが中途半端だったー


由紀奈に”学園祭の劇のことは、綾香にはあまり言うなよ?

綾香、劇のこととか先に知られるの嫌がるから”とでも

付け加えておけば、こんな風に綾香の前で”憑依”のことを

口にすることはなかっただろうー。


綾香に”由紀奈にはこういう話をしておいたから、

口を合わせてくれ”と言っておけば、

こんな風に綾香に憑依した親友が”身の危険”を感じてしまう

ことはなかっただろうー。


「ーー由紀奈ちゃんー

 ちょっと、一緒に行きたい場所があるんだけどー

 時間ある?」


綾香のその言葉に、

由紀奈は「え?」と一瞬首を傾げながらも、

懐いている綾香の願いー、ということで、

すぐに「大丈夫ですよ!」と、笑顔で返事をしてしまったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーふぅ~今日も疲れたなぁ」

大学での用事を終えて、家に帰宅しようとしていた竜太は、

ふと”綾香”からの伝言が入っていることに気付き、

それを確認するー


「ーー綾香からメッセージか。何だろうなー」

のんきにそんなことを呟きながら、

綾香からのメッセージを確認し始める竜太ー。


しかし、その表情はみるみると青ざめていくー。


”由紀奈ちゃんにやっぱ昨日の話聞かれてたみたい!

 もう後戻りはできないね…

 地図を送ったから今すぐ、書いてある場所に来て!


 由紀奈ちゃんを、”どうにか”しなくっちゃ!”


そんな、悪魔のような言葉に、

竜太は真っ青になって、表情を歪めたー


「お…お…おい…ま、待ってくれよ…!何で」

竜太は慌てた様子で、スマホに表示された場所に

向かって走り出したー。


妹の由紀奈の無事を只々祈りながらー…



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


妹に迫る危機…

どうなってしまうのかは、また次回を楽しみにしていて下さいネ~!

今日もお読み下さりありがとうございました~!


次回が最終回デス~!☆

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