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とある駅ー。


今日は休日と言うこともあり、

いつもの通勤ラッシュのような人混みはなくー、

比較的、余裕のある状態の駅のホーム。


そんな駅のホームに三人組の女子高生が

笑いながら雑談している姿があったー。


麻美(まみ)、璃子(りこ)、野々花(ののか)ー。


特に派手な感じもなく、

”ごく普通の女子高生三人組”という感じの彼女たちは

休日の今日、隣町のテーマパークに遊びに行く約束をしていて、

そこに向かっている最中だったー。


「ーーえ~?わたしはまずこれがいいかな~」

テーマパークのサイトをスマホで見つめながら

楽しそうに談笑している三人ー。


そうこうしているうちに、電車がやってきて、駅のホームに停車するー。


「ーーあ、電車来たよ~!」

しっかり者の璃子がそう言うと、麻美が「あ、ほんとだ!」と

言いながら電車の方に近付いてくるー。


のんびり屋の野々花も、にこにこしながら電車の方に

近付いてくるとー、

やがて、電車のドアが開くー。


がー

その時だったー


電車の車内から、服の乱れたギャルが飛び出してきて、

麻美に思いっきり、ドン!とぶつかってきたのだー。


「ーーちょ、ちょっと!」

麻美が”いきなり何なの!?”と思いながら

振り返って叫ぶも、そのギャルはまるで逃げるようにして

そのまま階段を駆け下りて行ってしまうー。


「ーー何あれー…最低」

麻美がそう呟くと、

璃子は「まぁ、ああいう人もいるからねー…気にしない気にしない」と

麻美を撫でながら、そのまま電車に乗り込もうとしたー。


がー、野々花がふと、口を開いたー。


「ーーねぇ…」

野々花が、これから乗り込もうとした車両を指さしながら

液のホームで声を上げるー。


「どうしたの?」

麻美がそう反応すると、野々花は不思議そうに呟いたー。


「この電車ー…

 ”憑依専用車両”って書いてあるけどー…」


とー。


「ーーへ?憑依?何それ?」

一度電車に乗り込んでいた麻美が、野々花の言葉を聞いて

一度電車から降りて車両を確認するー。


確かに”憑依専用車両”と書かれているー。


「ーーーーー…女性専用車両なら知ってるけどーーー」

苦笑いする麻美。


「ーーこんな車両、あったっけ…?」

首を傾げる野々花に対して、続けて出て来た璃子が「さぁ…」と答えるとー、

「まぁいいんじゃないー別にー

 あそこに若い女の人も乗ってるし、あっちにおじいさんも

 乗ってるし、大丈夫でしょ?」

と、麻美は笑うー。


”憑依”ー。

その言葉の意味は、三人とも何となく理解できるー


霊体が他の人間や動物に取り憑いたり、

そんな感じのことを意味する言葉だー。


「ーーお化けでも出てくるのかなぁ~?」

麻美が笑いながら言うと、

しっかり者の璃子は「ちょ、ちょっと~そういうのはやめて~」と、

震えながら言うー。


どうやら璃子はお化けが苦手なようだー。


「ーお化け屋敷みたいな演出があったりするのかもね~」

野々花がそんなことを呟くと、

麻美は「え~?ないでしょ~?たぶん、なんか違う意味だと思うよ」と、

三人とも”憑依専用車両”が意味することを理解しないままー

その車両に乗り込んだー。


電車の扉が閉まりー、

電車が走りだすー。


休日ということもあってか、

それとも”憑依専用車両”という謎の表記のせいかー

麻美たちが乗っている車両には、麻美たち三人と、OL風の女性、

杖をついたおばあさん、

最初から優先席で居眠りしているおじいさん、あとは子連れの親子と

髭面の夏目漱石みたいな雰囲気の男しか乗っていなかったー


「ふ~!やっぱり休みの日の電車はいいよね!座れるし!」

麻美がそんなことを言いながら、椅子に座ったその時だったー


「ーーー!」

突然、今まで感じたことのないようなー

まるでー”何かが身体の中に入って来るような”

そんな、不気味な感覚ー


身体の一部がスーッとして、そこから何か

冷たいものが入ってきているようなー…

得体の知れない感覚を、首筋に感じた麻美は、

首のあたりを不思議そうに触るー。


だが、首筋に何かついているわけでも、

何か起きているわけでもなくー、

麻美は首を傾げるー。


「ーーどうしたの?」

そんな麻美の異変に気付いたのだろうかー。

隣に座ろうとしていた璃子が声をかけると、

麻美は「え…あ、うんーだ、大丈夫ー」と、

少し青ざめた表情で答えたー。


がー、そう答えた直後ー

ずぽっ!と、身体の中に何かが入ったような感触がしてー

「ひっ!?」と、声を出して、ビクッと身体を震わせたー


「ま…麻美?」

流石に様子が変だと感じたのか、隣に座った璃子が心配そうに

麻美のほうを見つめるとー

麻美は突然ニヤッと笑みを浮かべたー


「ーーーえへへへー」

ニヤニヤしながら、麻美が取った行動に、

隣に座っていた璃子もー、

そして、座ろうとしていた野々花も、困惑の表情を浮かべたー。


「ーーー高校生の割にー…いい胸してんじゃん」

麻美がニヤニヤしながらそう言い放ちー、

璃子の胸を電車内で堂々と触ったのだー


「ーー!?!?!?!?!?!?」

親友の”突然のおかしな行動”に、璃子は言葉を失い、

自分の身体に視線を落とすー。


確かにー

麻美の手が璃子の胸に服の上から直接触れているー


「ーえ… え…?ちょ、ちょっとー何をしてるの…?」

呆然とする璃子ー。


「ーーなにって?おっぱい揉んでるに決まってるじゃんー」

麻美は、周囲に聞こえるぐらいの大きさの声で、

平然とそう言い放ったー


璃子は「ちょ!ちょっと!」と、顔を赤らめながら

周囲の乗客の視線を気にするー。


乗客は多くはないー

むしろ、少ないぐらいだが、

今の発言を聞いた人間もいるだろうー。


「ーーや、やめてよ麻美!」

璃子がそう言い放つも、麻美は、璃子の胸を触る手を

放そうとせずに、「あぁぁ~~…いいなぁ♡」と、

興奮した様子で言い放ったー


普段の麻美とは”別人”のようにも見えるー


そうこうしているうちに、野々花が璃子の左隣に座るー。


一向に璃子の胸から手を放そうとしない麻美に困惑した璃子は

「ち、ちょっと!野々花も麻美を止めてー!」と、

野々花のほうを振り返ろうとしたー。


しかしー


「ーーえ」

野々花がー

璃子の左胸に手を触れて、突然ニヤリと笑みを浮かべたのだー


「ーな…な…何…してるの?」

左隣の野々花が、璃子の左胸をー

右隣の麻美が、璃子の右胸をそれぞれ揉みながらー

”同じような”笑みを浮かべているー。


「ーちょ、ちょっと…や、やめて…あっ… や、やめてってば!」

璃子が顔を真っ赤にして言うー。


しかしー、麻美も野々花も嬉しそうに璃子の胸を

揉みながら、

「やめるわけないじゃん~!だって、自分で選んだんでしょ?」

と、野々花の方が言い放つー。


「ーえ…選んだってー…?」

困惑する璃子ー。


そんな璃子の反応を見て、野々花と麻美は

まるで、一心同体かのように同じ言葉を呟いたー


「ー”憑依専用車両”を選んだんだからー」

とー。


同時にそう呟く野々花と麻美を見て、

璃子は「ど…どういうこと…?」と、不安を覚えるー。


”憑依”という言葉の意味は知っているー。


そしてー

麻美と野々花が突然”別人”のようにおかしくなってしまったことに

璃子は強い不安を覚えたー。


「ーーーククククー

 ”憑依専用車両”に乗った身体はー」

麻美がそう言いながら立ち上がると、

その言葉を野々花が続けるー


「ー全部、俺のものだー」

とー。


野々花も立ち上がって、呆然としながら

座っている璃子の目の前で、

麻美に抱き着くー。


麻美と野々花が抱き合いながら、

激しいキスを始めるとー、

”友達同士がキスをしている”光景を前にー

璃子は呆然とすることしかできなかったー。


「ねぇ、あの人たち、何してるの?」

子連れの子供がそう呟くと、

その母親が「見ちゃだめ!」と、子供に言い放つー。


杖をついたおばあさんが、

「あんたたちー何してるんだい?」と困惑した様子で

近付いてくるー。


離れた場所に座っているOL風の女性は、

既にニヤニヤしながら胸を揉んでいて、

麻美や野々花と同じ状況に陥っていることが、

璃子にはすぐに理解できたー


そんなおばあさんの言葉も無視して

麻美と野々花は激しいキスを続けているー


璃子は見かねて「ふ、二人ともーやめてよ!」と

叫ぶも、麻美と野々花の二人は、やはり、璃子の言葉が

全く耳に入っていない様子だったー。


「ーーーあんたたち!」

おばあさんも、見かねて先ほどよりも強い口調で、

麻美と野々花に声をかけるー。


なおも無視する二人ー。


おばあさんが麻美の腕を掴んでやめさせようとすると、

麻美が「ババアは黙ってろ!」と、突然怒鳴り声を上げて、

そのままおばあさんを突き飛ばしたー


「ち、ちょっと!麻美!」

璃子は、困惑しながらおばあさんに駆け寄ると、

慌てておばあさんに「大丈夫ですか?」と声をかけて、

麻美と野々花に代わって謝罪の言葉を口にするー


それでもキスを続ける麻美と野々花ー

麻美も、野々花も興奮したような表情を浮かべているー


「ーちょっと!!いい加減にしてよ!」

璃子が麻美と野々花に言い放つー


「ーーーーーーさっきからうるさいなぁ~」

麻美がそう言いながら振り返ると、

野々花も麻美と同じような笑みを浮かべながら

璃子のほうを見つめるー


ニヤニヤとしている二人ー

”いつもの麻美と野々花”とはまるで別人に見えるような、

そんな笑みー


「ど、どうしちゃったの…二人ともー…?」

璃子が呆然としていると、突然背後から

がしっと、身体を掴まれたー


「えっ!?」

璃子が驚くと、さっき麻美に突き飛ばされた

おばあさんが、おばあさんの力とは思えないような力で

璃子を背後から動けないように押さえつけていたー


「ーえっ!?ち、ちょっと!?何するんですか!?」

璃子が叫ぶー


おばあさんに掴まれて動けない璃子に対して

麻美が近づいてくると

麻美は「いい顔してるなぁ…♡」と、不気味な低い声で

璃子の顔をイヤらしい目で見つめ始めたー


「ーさっきも言ったけどー

 お前ら”憑依専用車両”に乗っただろー?

 この車両に乗ったやつらは、俺に好き放題されるんだー

 いつ乗っ取ろうと、いつ解放しようと、

 俺の自由ー


 ”憑依専用車両”に乗った身体は

 俺が好きに出入りできるー」


麻美がそう言うと、

「見ろよ」と、言いながら

野々花のほうを指差すー


野々花が可愛らしい服を引きちぎりながら

笑っているー


「の…野々花ー…?」

璃子は呆然としながら様子を見つめるー。


野々花は走行中の電車の中で

服を破り捨てると、

半裸の状態で嬉しそうに胸を触り始めるー


「ーお前の友達、あんなことするのか?」

麻美が脅すような口調で言うー。


璃子は「ーーな…何なの…?あなたはー…だ、誰ー?」と、

震えながら呟くー。


先程までは恐らく正気だったおばあさんまで

憑依専用車両の餌食になって、

”何か”に憑依されているー


「ーへへへ…俺は憑依専用車両に乗った人間を

 好きなように支配することができるんだー

 一人でも、10人でも、100人でも、なー」


麻美がそう言いながら、

ニヤニヤと”車内を見て見ろよ”と呟くー。


さっきまで正気だった他の親子もー、

”憑依”されたのか、二人で虚ろな目で座り込んだままー、

おばあさんは璃子のことを動けないようにしていて、

OLは引き続きおかしな行動をしているー。


最初から寝ているおじいさんは、ずっと寝たままだー。


「ーーククー」

麻美は少しだけ笑うとー、

突然「えっ…!?」と、表情がガラリと変わって

周囲を見つめ始めたー。


「ーーま…麻美?」

璃子が困惑しながら言うと、麻美は周囲をキョロキョロしてからー

服を破り捨てて笑っている野々花の姿が目に入って

「な、な、何してるの!?」と大声で叫んだー


「ーし…正気に戻ったの!?」

璃子が言うと、麻美は「ど、どういうことー?」と、璃子のほうを見てー、

さらには、璃子がおばあさんに捕まえられている状況にー

「な、何が起きてるのー?」と、麻美は表情を歪めたー


しかしー

その直後ー


「ーーー何が起きてるんだろうねぇ~~~~~???」

と、璃子が突然豹変して、笑みを浮かべたー


おばあさんを突き飛ばすと、

憑依されたままのおばあさんはそのまま座り込んで、

呼吸以外何もしなくなってしまうー。


「ーーり、璃子ー…?」

さっきまで憑依されていた麻美が解放されー、

今度は璃子が憑依されたー。


謎の男は”憑依専用車両”に乗った人間に

好きなように憑依したり、抜けたりすることができー、

全員に一度に憑依することもー

その中の一部の人間だけに憑依することもできるー


”憑依専用車両”は、全て彼の思うがままー。


「ーーーえへへへへへへへ…」

璃子は、唖然とする麻美を無視して、

電車の窓に映った自分の姿を見つめながら

「こいつ、結構かわいいよなぁ」と、笑みを浮かべるー。


「ーこ、こいつ…?誰?」

麻美は、電車の窓に向かって璃子が”こいつ”と言ったため、

まさか”窓に映る自分のこと”を言っているとは思わず、困惑するー。


璃子はそんな麻美を無視して、電車の窓にキスを始めるー。


「ちょっと!?き、汚いよー!?

 っていうか何してんの!?」


麻美が大声で叫ぶー。


しかしー


「うっ…」とうめくと、麻美はまた憑依されて

「わたしもやる~!」と、ふざけた調子で笑いながら

璃子の隣で窓にキスをし始めたー


「きゃあああああああああああっ!?」

服を破り捨てて、胸を触っていた野々花が解放されて、

自分の状況に悲鳴を上げるー


それと同時に窓にキスをしている二人を見て

困惑する野々花ー。


だがー

その直後、野々花も含む、全ての”憑依専用車両”の乗客が

支配されー、

全員で笑みを浮かべながら「あぁ…最高だー♡」と、

不気味な声で一斉に呟いたー


”憑依専用車両”の乗客たちが支配される中ー、

電車は、次の駅へとたどり着きー

何事もなかったかのように、静かに停車したー…



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


謎の憑依専用車両…!

恐ろしい車両ですネ~!


続きはまた次回デス~!

今日もありがとうございました~!

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