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小野坂社長の正体を知ってしまった正司ー。


その翌日、会社に呼び出された正司は、

”社長の座を正司に譲る”という書置きを残して、小野坂社長が

失踪したことを知るー。


会社内で一番の新人の自分に社長の座を譲るー。

あまりにも意味不明な小野坂社長の行動に困惑しながら帰宅すると、

同居していた彼女・麻由里が脅すような口調で

”これから、頑張ってねー”と、囁いてきたー。


部屋の中には脱ぎ捨てられた小野坂社長の”皮”ー。


正司は、小野坂社長を乗っ取っていた男が、麻由里を乗っ取ったことを

悟るのだったー…


☆前回はこちら↓☆

<皮>ブラック企業の女社長③~恐怖~

ブラック企業”ローズ・テクノロジー”に入社した正司ー。 美人社長・小野坂梨沙の”悪魔のような所業”が 連日続く中ー、小野坂社長に睨まれていた入社3年目の女性社員・澪が 突然姿を消してしまうー。 そんな中ー 残業後に偶然、忘れ物を取りにオフィスに戻った正司は、 謎の男が”小野坂社長”を脱ぎ捨てて”澪”を着るー と…...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


麻由里の”いつもとは違う笑顔”を見て、

正司は直感的に悟るー。


昨日見た、”小野坂社長を脱ぎ、先輩の澪を謎の男が着た光景”をー。


「ーーー…ま…麻由里…?」

正司が言うと、麻由里はクスッと笑うー。


「ーーどうしたの?正司ー。

 これからはローズ・テクノロジーの社長として頑張らなくちゃ…!

 小野坂社長から、社長の座を譲り受けたんだからー」


麻由里の言葉に、

正司は「ま…麻由里じゃないな…? お前は…お前は誰なんだ!」と叫ぶー。


部屋の中に”脱ぎ捨てられた”ペラペラになった小野坂社長ー。


知らないはずのことを次々と口にする麻由里ー。


「ー何を言ってるの?どこからどう見ても、

 わたしはわたしでしょ?」


麻由里の言葉に、正司は「違う!」と叫ぶー


昨日見た光景ー…

”人を着ぐるみのように着る謎の男”ー


あいつが、麻由里のことを

”小野坂社長”や”澪”と同じ状態にしたに違いないー


「今すぐ麻由里から出ていけ!」

正司が叫ぶー。


だが、その言葉に、麻由里は笑みを浮かべながら、

「ねぇ、正司ー」と、足で壁ドンをすると、

そのまま、正司を睨みつけたー


「ー大事な”わたし”と、いずれ結婚したいんでしょー?

 だったら社長として頑張らなくちゃー。

 それとも、今すぐ別の男とヤリまくってあげようか??」


睨みながらそう言い放つ麻由里に、正司は

「ま…麻由里…目を覚ましてくれー…!」と、震えるー。


”小野坂社長”は、今までずっと

昨日見た男に乗っ取られていたのだと、正司は悟るー。


だから、小野坂社長と同じ大学の出身である先輩・雅夫も

”大学時代とは別人のようだと、言っていたのだろうー


「ーー…お…俺を社長にして…ど、どうするつもりなんだー」

正司がそう呟くと、


「ーお前が昨日、秘密を知っちゃったからー

 ”小野坂梨沙”として社長を続けるのは難しくなっちゃったんだよー。


 お前が騒いだら、それで終わりだろ?」


麻由里が、今まで聞いたこともないような口調でそう呟くと、

「ーだから、この女は人質になって貰ったー

 お前には”俺の言う通り”に、お飾りの社長をやってもらうー。

 少しでも変な真似をしたらー」

と、言葉を続けてー

キッチンの方に向かうと、麻由里は笑いながら

自分の首筋に包丁を向けたー。


「ーわたし、死んじゃうよ? ふふっ♡」

嬉しそうに笑う麻由里ー。


「ーふ…ふ…ふざけんな…お前は…お前は何なんだ…!」

正司が叫ぶと、麻由里は笑みを浮かべたー。


「ー信じれば裏切られるー

 人に施しを与えれば裏切られるー

 俺は嫌と言うほどそれを味わったー


 だから今度は、二度と同じ失敗はしないー


 利用できるものは何でも利用してー

 少しでも逆らったやつはすぐに処分してー

 社員に情けなど与えないー。」


麻由里が怒りの形相で呟くー。


”男”に、麻由里が勝手に怒りの感情を発散させられていることにも

正司は怒りを感じながら、麻由里のほうを見つめるー。


「ー俺は、絶望を見て、それを乗り越えたー!」

麻由里が狂った笑みを浮かべるー。


小野坂梨沙を”皮”にして乗っ取り、

ローズテクノロジーを設立した男は、

かつて、裏切られて絶望を経験したー


それまでは、優しい社長だったー。


だがー

地獄に突き落とされた彼は、

歪んでしまったー。


今の彼は、憎悪と復讐に満ちた

恐ろしい”魔物”と言ってもいいー。


「ーーー今日から、正司がローズテクノロジーの社長ー」


麻由里はそう言うと、足を壁にドンドン叩きつけながら


「がんばって ね♡」

と、睨みながら笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「ーー正司の行動はずっと監視してるからー

 わたしの言う通りに”社長”をやるんだよ?」


麻由里の言葉に、正司は暗い表情で頷くー


「逆らったらわたし、死ぬかもしれないしー

 そこら辺の男とヤリまくっちゃうかも!


 ふふー

 イヤでしょ?そんなの」


逆らうことはできなかったー。

小野坂社長がそうされていたように、麻由里は

”皮”のような状態にされて支配されてしまったー


その肉体も意識も、麻由里はあの男に支配されているー


最愛の人から、最悪の敵になってしまった麻由里ー。

しかも、その麻由里は”人質”に取られているも同然の状態だったー。


逆らうことなどできないー。


来る日も、来る日も、正司は”麻由里”からの命令通りー

ローズテクノロジーで麻由里に言われるがままに振る舞ったー


小野坂社長の同期だった雅夫は、

正司が”小野坂社長”の路線を引き継いで、

会社で権力を振るい始めたことに驚き、困惑するー


「ーおい…塚本…社員もみんな苦しんでるー。

 これ以上はー」


正司が社長になってから数か月ー。

正司の横暴な振る舞いに、雅夫は困惑しながら、

正司に声を掛けるー。


「なぁ……何があったんだー教えてくれー。

 塚本ーお前が自分の意思でこんな振る舞いをするとは思えないー」


雅夫の言葉に、すっかり麻由里の言いなり状態の雅夫は

表情を曇らせるー。


「ー今のままじゃいけないー。

 お前だって、そのぐらい分かるだろ!塚本!」


だがー

そんな雅夫の言葉にも、正司は答えることができなかったー


乗っ取られた麻由里に従いつつー、

なんとか麻由里を開放する方法をこの数か月、ずっと考え続けてきたー。


けれどー”皮にされた人間”を救い出す方法など、

見つからなかったー


いつかー、あの男が麻由里を開放してくれる日が来ると、信じてー

耐え続けるしかなかったー


「ーーーーー…俺には”こうするしか”道はないんですー」


正司が”言える”ギリギリの範囲内でー

正司はそう言葉を呟いたー


雅夫は表情を歪めるー。


正司は悔しそうに頭を下げながら

「ー…とにかく、俺の言う通り働いて下さいー」と、

そう言い放つことしかできなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー!!!」


帰宅すると、家の中に麻由里の姿はなかったー


正司は慌てた様子で「麻由里!?麻由里!?」と叫ぶー。


その直後ー

正司が帰宅したタイミングを見透かしたかのように、

麻由里から電話がかかってきたー。


”ーーー社員に余計なこと言うなって言ったよね?”

麻由里の冷たい口調ー


麻由里は、正司に盗聴器を持たせ、

さらには会社のカメラを自宅から監視ー

正司の行動・会話を全て監視していたー。


「ーー…あ、あのぐらい…いいじゃないかー」

正司が困惑しながら言うー。


”余計なこと”と言うのは、先輩の雅夫に対する言葉の

ことなのだろうー。


”良いかどうかは、あんたが決めることじゃないー

 わたしが決めるのー”


そこまで言うと、麻由里はクスクスと笑いながら呟いたー


”まぁいいやー

 約束を破った罰ー。

 これから、わたし、男とラブホでヤるからー”


麻由里の言葉に、正司は「え…ち、ちょっと待ってくれよ!」と

悲痛な叫び声を上げるー


だがー

麻由里は、そんな正司の悲痛な叫び声も聞き入れてくれなかったー


”ローズ・テクノロジーはお前にやるよー

 でも、その代わり、お前の彼女は俺が貰ってくー。

 俺はこの身体でまた新しい会社を作るからー

 お前も、ローズテクノロジーももう、必要ないー”


麻由里の冷たい声ー


「お…おい!お前!ふざけるな!ふざけるなよ!」

正司は我を忘れてスマホに向かって叫ぶー


「ーふざけるな!!!麻由里を返せ!

 おい!!クソ野郎!!麻由里を!!麻由里をー!」


しかしー

既に、麻由里に電話は切られていたー


慌てて麻由里に電話をする正司ー。


だが、麻由里は二度と電話には出てくれなかったー


「ーくそおおおおおおおおおおお!!!!」

正司は、怒りの形相で自宅の壁に思いきり、拳を叩きつけたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数年後ー


「ーーく、くそっ…!何なのいきなり…!」


数年間支配され続けて、すっかり別人のような容姿に

なってしまった麻由里は、

別会社を作り上げて、再び”ブラック企業の女社長”として

君臨していたー。


しかしー先日から、会社の買収が強引に推し進められていて、

麻由里は追い詰められていたー。


「ーくそっ!何で阻止できないの!無能!!ゴミ!!」

社員たちに当たり散らす麻由里ー。


数年前からは想像もつかないような派手な風貌で、

怒りの形相を浮かべる麻由里ー


その時だったー。


麻由里の会社の扉が開きー、

そこにーーー


ローズテクノロジーの社長を押し付けられた正司と、

正司の元で働く社員たちー、

さらにはー、麻由里を乗っ取っている男が、数年前まで皮にしていた

小野坂社長の姿もあったー


「ーーま、まさかお前たちがー」

麻由里が怒りの形相で叫ぶと、

正司は”乗っ取られ続けて変わり果てた麻由里”を見て心を痛めるー。


「ーあれからー…

 俺、必死に努力したよ」


正司はそう呟くー。


麻由里を奪われてから、

正司は全ての事情を、先輩の雅夫をはじめ、社員たちに話したー。


そして、ローズテクノロジーは名前を変えて、

”皮にされた人々を救うこと”と、”今までの事業”の2部署に分けて

活動を続けて来たー。


数年間かけてーようやく、正司と雅夫は”皮にされた人を救う方法”を

見つけ出し、あの日、放置されたままだった小野坂梨沙をー、

そして、皮にされた先輩女性社員の澪を救出したー。


皮肉にも、男が正司の家にそのまま放置していた

”小野坂梨沙”の皮が、皮にされた人々を救い出すための

研究材料となりー、その方法にたどり着いたのだー


「ーーお前の会社は、買収させてもらったー」

雅夫が言うと、正司は「後はー」と、言葉を続けるー


「ー麻由里を返せ!!!!!!!!!!」


ブラック企業だったローズ・テクノロジーは

正司によって、生まれ変わりー

今や、慕われる若き社長が率いる会社に変わっていたー


「ーーーあっ…ぐ…ぁ…」

正司が、開発した注射器を使い、麻由里を皮の状態に戻すー


麻由里を着こんでいた男が押し出されて、呆然とするー


「ーー…あなたがわたしの身体を好き勝手にー」

最初に男に皮にされていた小野坂梨沙が、男のほうを睨みつけるー。


「ひっ…」

怯える男ー


その様子を他所に、正司は、皮になっている麻由里に、

治療薬を投与しー、

そしてー、麻由里を元の姿に戻したー


数年ぶりに、正気を取り戻した麻由里は、ぼーっとした様子で

正司を見つめるー。


”自分が皮にされた瞬間”までを覚えていた麻由里は、

正司の顔を見つめると

「ーーー…正司が、助けてくれたんだね…」と、静かに呟いたー


「ーーーー…3年も待たせちゃって…ごめんな」

正司が言うー。


その言葉に、麻由里は驚きの表情を浮かべながらも、

静かに頷くー。


「ー俺…いつの間にか社長になっちゃったよ」

そう呟きながら、正司は、解放された麻由里を抱きしめると、

「ーこれからの3年間で、6年分、麻由里を幸せにするからー

 だからー…俺とー」

正司は、その場で麻由里にプロポーズをするー。


「ーーーー」

その様子を、先輩の雅夫が見つめながら微笑むと、

「ーさて」と、小野坂梨沙と共に、”人々を支配していた男”のほうを見つめー

「これからお前には、たっぷり罪を償ってもらうぞー」と、

静かに宣言したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数か月後ー


正司は、正気を取り戻した麻由里と結婚ー、

成り行きでなってしまった社長業を続けつつー、

幸せな日々を送っているー。


”人を皮にする”

そんな、恐ろしいことが現実にあるとは夢にも思わなかったー


けどー

ブラック企業勤務を乗り越えてー

大事な麻由里が奪われたという悪夢のような日々を乗り越えてー


今、こうしてようやく”希望”の日々がやってきたー。


この希望の日々を壊さないようー、

これから、支配されていた3年分も、麻由里が幸せを感じられるように、

頑張って行こうー、


そう決意して、正司は今日も会社に向かうのだったー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


バッドエンド比率が多い(気がする)皮モノの中では

ハッピーエンドの作品でした~★!


皮にされた人間が無事に救出されるのも、

私の作品の中では珍しい気がしますネ~!


お読み下さりありがとうございました~!

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