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コンビニの前に集結していた暴走族らしきグループと、

妹の雫が合流したのを目撃した悠馬は、

雫たちが、地下にあるゲームセンター・エンジェルエデンに

入って行ったのを見て、そのあとを追うー。


”あいつらに雫は、脅されているんだー”


そう思った悠馬は、店内で雫を見つけ、

暴走族のリーダー・修に対し、雫を返してほしいと嘆願するー。


しかしー

悠馬の推理は間違っていたー。

雫は暴走族に脅されて仲間入りしているのではなくー

”何者かに洗脳されて”、自らワルたちと仲良くしているのだー。


そんな雫に、悠馬の言葉は届くはずもなく、雫に裏切られた悠馬は

暴走族たちに、徹底的に痛めつけられてしまうー…


そしてー、呆然と街を歩く悠馬を見つけた彼女の愛梨沙はー…


★前回はこちら↓★

<MC>歪められた絆⑤~裏切り~

妹・雫の豹変に困惑する日々は続くー 何とか、妹・雫が豹変した理由を突き止めようとする悠馬は、 大学で妹の豹変について話していた際に、 親友の亮介が言い放った言葉ー… ”誰かに脅されているとか、ないのか?” が、気にかかっていたー。 確かに、妹の雫を怒らせるようなことをした覚えはないし、 あそこまで態度が豹...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


★主な登場人物★


・神里 悠馬(かみさと ゆうま)

大学生。妹の雫が豹変したことに困惑する。


・神里 雫(かみさと しずく)

高校生。兄の悠馬のことが大好き。少しイタズラっ子な一面も。


・森永 愛梨沙(もりなが ありさ)

大学生。悠馬の彼女。成績優秀な優等生。コスプレ趣味がある。


・藤嶋 亮介(ふじしま りょうすけ) 

大学生。高校時代からの親友。困った時には頼りになる存在。


・西園寺 美桜(さいおんじ みお)

高校生。妹・雫の親友。表裏が非常に激しい。


・九条 輝樹(くじょう てるき)

高校生。妹・雫の幼馴染で悠馬とも小さいころから面識がある。


・玉城 東吾(たまき とうご)

裏社会の便利屋。ヘルメットの人物と共に雫を洗脳した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


傘を持っていた愛梨沙が、

雨が降ってきたのに気づいて、

空を見上げるー。


「ーー悠馬ー…そんな身体でここにいたら、

 風邪ひいちゃうよー」


愛梨沙は心配そうに呟くと、

悠馬は「あぁ…そうだな…」と、痛々しい顔で頷くー


そんな悠馬を見て、亜理紗はハッとして、

スマホを取り出すー。


彼氏の悠馬が、暴走族たちに痛めつけられて痛々しい姿に

なっていたことに気が動転して、ついつい頭から

抜けてしまったものの、こういう時は、まずは警察に

通報しないといけないー。


そう思って「悠馬ー…とりあえず警察にー」と、

愛梨沙がスマホを操作し始めるとー

悠馬が、亜理紗の手を優しく掴んだー


「ーーえ」

愛梨沙が驚いて悠馬のほうを見ると、

悠馬が悲しそうに首を横に振るー。


「ーーー…もう少しー…もう少し、待ってくれー」

とー。


「ーーー雫がー…雫までー…捕まっちゃうかもしれないー」

悠馬が、悔しそうに歯ぎしりしながらそう呟くー


「ーー悠馬ー…」

悠馬の言葉に、亜理紗も、”悠馬の妹・雫まで捕まってしまうかもしれない”

という現実に気付き、困惑するー


「ー雫はー…雫は、自分からあんなことする子じゃないんだー

 絶対にー…絶対に、何か、何か理由があるはずなんだー」


悠馬が涙を流すところなんて、初めて見たー。


愛梨沙は、そんな悠馬の手を握ると

「ーー…家に、帰ろっかー…

 わたし、送っていくからー」と、

悠馬を少しでも元気づけようと、優しく悠馬に微笑みかけたー。


愛梨沙が傘を差し、

悠馬が愛梨沙と一緒に歩くー。


「ーーーーー…」

悠馬は、ものすごく悲しそうな表情を浮かべたまま、

口数も少ないー。


そんな悠馬を横目で見つめながら、亜理紗はー

雫が豹変した理由を考えるー。


愛梨沙も、雫とは面識があるー。

雫は愛梨沙によく懐いていたし、

愛梨沙はそんな雫を可愛がっていたー


”雫ちゃんー…どうしてなのー…?”

愛梨沙は困惑するー。


”お兄ちゃん!”と、いつも悠馬に懐いていた雫のことを

愛梨沙もよく知っているー。


その雫が、どうしてー

どうして、こんなに”お兄ちゃん”を悲しませるようなことを

するのかー


「ーーーー」

やがて、雨の中、悠馬の家の前までやってくると、

悠馬が「ごめんなー…心配かけて」と、愛梨沙に対して

申し訳なさそうに言葉を口にするー。


愛梨沙は微笑みながら首を横に振ると、

「ー悠馬のお母さんとお父さん、びっくりしちゃうと思うし、

 わたしも一緒に説明してあげるー」と、穏やかな口調で呟いたー。


「ーーーーー…本当にありがとなー…愛梨沙」

悠馬はそう言うと、二人そろって、悠馬の家の玄関の扉を開いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーへへへへ…やるじゃねぇか」


ゲームセンター

エンジェル・エデンの店内では

暴走族たちと雫が、貸し切り状態で遊び続けていたー


「ー修が弱すぎなのよ」

冷たい口調でそう言い放つ雫ー。


「ーへへへ…今度は勝つさー」

雫のそんな雰囲気にゾクゾクしながら

暴走族のリーダー・修がそう呟くと、

「にしても、さっきのお前の兄貴の顔、最高だったなぁ~」

と、ニヤニヤしながら呟くー


「ーーあの兄貴もお前みたいな悪い女が妹なんてー

 災難だなぁ!ははははっ!」


修がそこまで言うと、雫は少しムッとした様子で、

「帰る」と、呟くー。


”兄の悠馬を馬鹿にされた”ことに

何故か、腹立たしさを感じた雫ー。


”今の雫”は、自分自身も悠馬のことが憎くて仕方がないのにー

何故だろうかー。


そんな、”よく分からない自分の感情”にも苛立ちを覚えて、

ゲームセンターの外に向かう雫ー


「ー何だよ~!もう帰っちまうのかよ?

 今日はヤラせてくれるって言ってたのにー」


修が笑みを浮かべるー。


「ーー今日はそんな気分じゃないの」

雫は、不機嫌そうにそう呟くと、そのまま

エンジェルエデンの店内から外に出ていくー


もちろんー

”本当の雫”は、そんなに簡単に身体の関係を持つような子じゃないし、

どちらかと言うと、そういう話題は苦手なタイプだー。


しかしー

”洗脳された雫”は、違うー


洗脳した人間が”悠馬との関係をより強く引き裂くためー”

男癖の悪さまで、雫に植え付けていたー。


「ーーーーーー…」

雫が不愉快そうに、雨の街を歩くー。


途中で、気の弱そうなおじさんと肩がぶつかった雫は

舌打ちをすると、

「ー気を付けろよ!!」と、声を荒げて、

おじさんを委縮させるー。


「ーーほんとうざい」

雫はそれだけ呟くと、家に向かって不機嫌そうに歩き始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「本当に、大丈夫なのかー?」

悠馬の父・茂雄が呟くー。


帰宅した悠馬は、彼女の愛梨沙と共に、

妹・雫のことー、そして、起きた出来事を話したー


母親の裕子は、雫の様子を伝えられた際には

泣いていたものの、今は何とか落ち着いているー。


「ーーー俺は大丈夫だからー…

 父さんと母さんにも、まだこのことは警察に言ったり

 しないでほしいんだー」


悠馬は、”雫の様子”から、そう呟くー。


当然ー、

雫が”暴走族たちに無理やり捕らえられている”感じだったり、

脅されている感じであれば、すぐに通報した方がいいー。


しかし、少なくともゲームセンターの店内で見かけた雫は

”嫌々、一緒にいる”という感じではなかったー。

あの様子だと、警察に通報すれば、

最悪の場合、雫も一緒に警察沙汰に巻き込まれる可能性があるー。


幸い、殴られたのは悠馬だけだー。

悠馬が”俺は構わない”としているのであれば、通報しなくても

問題にはならないー、と悠馬は考えたー。


不安そうにする母・裕子と、父・茂雄ー。

そんな二人を見て、悠馬は

「ーー雫がこんなことになるなんてー…俺も思わなかったよー」と、

寂し気に呟いたー。


「ーー愛梨沙ちゃんも、ごめんねー…うちの家族のことに巻き込んでー」

悠馬の母・裕子が申し訳なさそうに言葉を口にするー。


愛梨沙は、悠馬の彼女として、既に両親とも面識があり、

悠馬の母、父とも良好な関係を続けているー。


特に愛梨沙が、実家から離れ、一人暮らしをしていることもあり、

悠馬の母・裕子は何かと愛梨沙のことを気に欠けているー


「いえ、わたしは全然、大丈夫ですからー!」

笑いながら少し恥ずかしそうに言う愛梨沙ー。


「ーーー無理はするなよ、悠馬ー」

父・茂雄が言うー。


「ーもちろんだよー父さんー」

悠馬がそこまで言うと、

母・裕子は「愛梨沙ちゃん、今日はうちに泊まって行ったら?」と

提案するー。


愛梨沙は一人暮らしー。

既に、夜だったこともあり、家のことも片付いていて、

明日は土曜日であるために、泊まること自体には問題はないー


「え、で、でも急にそんなー」

愛梨沙が申し訳なさそうに言うと、

父の茂雄も「うちは全然構わないよー。部屋も用意できるしー」と

優しく頷くー。


それでも少し申し訳なさそうにしている愛梨沙に、

悠馬も微笑みながら「ー俺も、大歓迎だよ」と、言い放つと、

愛梨沙は照れくさそうに「じ、じゃあー…お言葉に甘えさせていただきますー」と

悠馬の両親に向かって頭を下げたー。


その時だったー


玄関の扉が開いて、

”洗脳された雫”が帰宅したー。


母・裕子も、父・茂雄も、

悠馬も、そして彼女の愛梨沙も、雫のほうを見つめるー。


「ーー…し、雫ーお帰りなさいー」

母・裕子が最初に口を開くと、

「ーー雫ちゃんー」と、悠馬の彼女・愛梨沙が

雫の方に近付いたー。


雫は、愛梨沙の姿を見ても、

いつものような笑顔を浮かべる様子も全くなくー

愛梨沙を睨むようにして見つめたー。


「ーーーいたんだ」

雫はそれだけ言うと、そのまま悠馬のほうを見つめるー


「ーーーーーー」

そして、悠馬の顔や手の傷を見つめると、

雫は、一言だけ呟いたー


「ーダッサ」

と、心底馬鹿にするようにー。


呆然とする両親と、

悲しそうな表情をする悠馬ー。


雫は、クスッと笑って、そのまま自分の部屋のある

2階に向かおうとするー。


だがー

そんな雫の腕を、悠馬の彼女・愛梨沙が掴んだー。


「ーちょっと待って雫ちゃんー。

 今の、何ー?」


愛梨沙が、あくまでも”質問するような口調”で尋ねるー


「ーなにって?」

雫は、面倒臭そうに愛梨沙を睨みつけるー。


「ーーなにって?じゃないでしょ?雫ちゃんー。

 悠馬がー、雫ちゃんのお兄ちゃんが、

 雫ちゃんのためにー

 あんなに怪我してるんだよー?


 それを”ダサい”って、どういうことなのー?」


愛梨沙は、悲しそうにそう言い放つー


「ーーダサいやつに、ダサいって言って何が悪いの?」


だがー

”洗脳された雫”には、兄・悠馬の言葉も、

慕っていた愛梨沙の言葉も、届かないー。


「ー雫ちゃんーそれ、本気で言ってるの?」

愛梨沙が雫のほうを悲しそうに見つめながら呟くー


「ーーーは~~~~~~~~」

雫はため息をつきながら、亜理紗のほうを見つめると

「ーそうやってわたしを見下してー

 前から思ってたけど、あんたも、ホント、うざいよね」

と、心無い言葉を投げかけるー


愛梨沙は「ーちょ、ちょっとー…雫ちゃんー」と、

困惑した様子で、雫を見つめるー。


悠馬は「雫!愛梨沙に八つ当たりはやめろよー」と、

口を挟むが、雫は止まらなかったー


「ー大体、あんなダサいやつの彼女になるとか、

 あんた、頭おかしいんじゃないの?」


雫は、バカにするようにして愛梨沙をあざ笑うー。


「ーー…ねぇ……本気で言ってるの?」

愛梨沙の声のトーンが少し変わるー。


「ーーーさっきから、自分のお兄ちゃんのことを

 ダサいダサいダサいって、雫ちゃん、

 いつからそんなこと言うようになったの!?」


愛梨沙が少し感情的になって、雫に言い放つと、

雫が、亜理紗を睨み返すー。


「ーお、おいおいー…愛梨沙も、一回落ち着いてー」


”妹”と”彼女”が火花を散らすなんてことが

起きるなんて、夢にも思わなかったー


悠馬は慌てながら、愛梨沙を止めるとー

愛梨沙は、悠馬の言葉に応じて、一旦深呼吸をすると、

再び雫のほうを見つめたー。


「ーダサい恋人同士でさ、イチャイチャでもなんでも

 してればいいじゃん!

 ホント、バッカみたいー」


雫はそれだけ言うと、そのまま部屋に立ち去ってしまうー。


母・裕子は混乱ー、

父・茂雄は少しビビった様子で口を閉ざすー。


「ーーー……」

しばらく沈黙していた愛梨沙は、やがて

傘を手にすると

「悠馬ー…ごめん…今日はわたし、帰るねー」と、

言葉を口にして、悠馬の両親に挨拶を済ませると、

愛梨沙はそのまま、立ち去って行ってしまったー。


「ーーーー愛梨沙ー…」

悠馬は、亜理紗をイヤな気分にしてしまったであろうことを

申し訳なく思いながらも、

どうすればいいのかさっぱりわからず、雫の向かった2階のほうを

見つめることしかできなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


土曜日に、愛梨沙が悠馬の家に来る件はー、

中止になったー。


あの夜、愛梨沙は雫と直接話をしたし、

まともに話すのは難しそうだからー、と

愛梨沙は困惑した様子だったー。


土曜日もー

日曜日も、雫は遊びに出かけー、

そして、夜遅くに帰宅するー。


そんな日々を繰り返したー。


問題は解決しないままー

月曜日を迎えるー。


大学に登校した悠馬が、廊下を歩いていると、

悠馬の前から、眼鏡をかけた目つきの鋭い男がやってきて、

悠馬の姿を見ると立ち止まったー


「ーー神里くんー。その顔は、どうしたのかね?」


「ーーーあ、いえー」

立ち止まった悠馬は、その相手ー、

村瀬(むらせ)教授のほうを見ると、すぐに目を逸らしたー


「ーーー家の階段でちょっとー」

悠馬が咄嗟にそう呟くー。


まさか”暴走族にボコボコにされました”とは言えないー


「ーーーーーーー本当かね?」

目を細めながら、村瀬教授が悠馬の顔を見つめるー。


だが、やがて「まぁいいー」と呟くと、

悠馬から少し離れて言葉を続けたー。


「ーー君も、大事な時期だー。

 くれぐれも、問題を起こさないように気を付けたまえー」


眼鏡をいじりながら、村瀬教授はそう言うと、

悠馬が「はいー、ご心配ありがとうございます」と返事をしたのを

確認して、そのまま立ち去って行ったー。



村瀬教授ー。

高圧的で、他人を見下し、”品定め”するような性格で、

大学内では、学生たちから嫌われているー。


噂によれば、研究者の道に進もうとしていたが、

上手く行かずに挫折ー、大学教授になったものの、

将来のある学生たちを良く思っておらず、

己の待遇に不満を抱いているー…

とも言われているー。


「ーーふぅー」

悠馬自身も、村瀬教授にはあまり良いイメージを持っていないー。


とりあえず、これ以上追求されなかったことに

安堵の溜息をつくー。


「ーー危なかったなー」

その様子を偶然目撃していた親友の亮介が、苦笑いしながら

近付いてくるー。


「ーーお、亮介ー」

悠馬がそう返事をすると、亮介は悠馬の顔を見て

表情を歪めたー。


土日の間に、悠馬と連絡を取り合っていて、

既に亮介も金曜日に起きた出来事は知っているー。


「ーー…いやぁ…でも、想像以上にやられたなー…

 それじゃ、村瀬教授があんなこと言うのも、分かるって言うかー」

亮介が苦笑いすると、

悠馬も「まぁ…怪我って感じじゃないもんな…」と、自分の

顔を触りながら呟いたー。


「ーーーーーーー…こんなこと言っていいのか

 分からないけど、あんまり思い詰めるなよ?」


心配そうに呟く亮介ー


「ーーあぁー…ありがとな」

悠馬はそう言いながらも、やはりその表情はどこか暗かったー。


大学にいても、豹変した雫のことばかり考えてしまうー。

どうして、雫はあんな風になってしまったのかー。

そればかりを、考えてしまうー。


「ーー悠馬!いたいた!」


気付けば昼休みー。

食堂で、味も感じない昼食を口に運んでいると、

彼女の愛梨沙が悠馬の前にやってきたー。


「ーー愛梨沙ー」

悠馬が愛梨沙のほうを見ると、

愛梨沙は「悠馬!聞いて聞いて!わたし、いい作戦思いついたの!」と、

張りきった様子で呟くー


「ー作戦?」

悠馬が言うと、「うん!」と、愛梨沙は笑みを浮かべるー


そして、言葉を続けたー。


「ーー雫ちゃんが、あんな風になっちゃったのには、

 やっぱり何か理由があると思うのー。

 人間、何かきっかけが無ければあんな風にならないでしょ?


 だから、雫ちゃんの行動をずっと見張ってれば、何か

 ヒントが得られるんじゃないかーって」


愛梨沙が言うと、

悠馬は「そ、そりゃそうだけどー…どうやってー?」と呟くー


悠馬も、亜理紗も、雫には顔が知られているー。

当然、尾行などすれば、すぐに雫に気付かれてしまうー。


プロの探偵でも雇うというのかー。


「ーーふふふふ…大丈夫大丈夫!

 今日、大学終わったら悠馬の家に行くから!」


愛梨沙は意味深な笑みを浮かべながら、

自信に満ちた表情で悠馬にそう言い放ったー


「ーーー?」

悠馬は少し苦笑いしながら、

そんな愛梨沙のほうを見つめたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


放課後ー


”洗脳された雫”は、不愛想に高校から立ち去ろうとするー。


「ーー雫ー」

そんな雫を、雫の彼氏・九条輝樹が呼び止めるー。


「ーーなに?」

雫は、つまらなそうな表情で、輝樹のほうを見つめると、

輝樹は「ちょっとだけ、話、できるか?」と、

雫に言い放ったー。


面倒臭そうにしながらも応じる雫ー。


輝樹は、雫を校舎の裏に連れて行くと、

立ち止まってから口を開いたー。


「雫ー…」


輝樹は、金曜日の夜のことを思い出すー。

悠馬がゲームセンターで、暴走族らに暴行されている時ー、

輝樹は、別の場所で偶然、

雫らを洗脳した人物の一人・裏社会の便利屋、東吾とすれ違ったー


その際に東吾は”洗脳に関わったヘルメットの人物”と電話をしていてー


「ーーしっかしー

 ”神里 雫”も正気を取り戻したら

 今の自分のしてることを見て、何て言うんだろうなー?」


と、言葉を口にしていたのだー。


当然、輝樹も洗脳のことなど知らないがー

その言葉が、妙に引っかかっていたー。


「ーーー…雫さーー…

 今、正気?」


輝樹が、単刀直入すぎる質問を雫にぶつけるー

元々、ハッキリと物事を口にしてしまう性格なので、

これは仕方ないー。


そんな言葉を聞いた雫は、表情を歪めたー。


「ーーは?」


そんな雫に対して、輝樹はさらに言葉を投げかけたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーじゃ~ん!!!」

悠馬の家に、彼女の愛梨沙がやってきたー。


「ーーえ……え…???」

顔を赤らめながら困惑する悠馬ー。


眼鏡をかけたOLのような格好をしてやってきた

愛梨沙ー。


愛梨沙は「どう?仕事できそうな女に見えるでしょ?」と

笑いながら、得意げな表情で言い放ったー


愛梨沙の趣味はコスプレー。

自宅には、色々な服を持っているのは悠馬も知っているし、

色々見せてもらったこともあるー。

雫が洗脳される直前にも、学園祭に備えてメイド服を着て

大学内を徘徊していたぐらいだー。


そんな、趣味の服を使って”雫を尾行する”のだと言うー。


「ーーた、た、た、確かに見えるけどー…

 え?その姿で尾行を?」

悠馬が恥ずかしそうにしながら確認すると、

「そう!これなら絶対バレないし!」と、愛梨沙は

得意げに仕事ができそうなポーズをしながら笑みを浮かべたー


「ーーで、でも、愛梨沙にそんな迷惑かけるわけにはー…」


悠馬が申し訳なさそうにすると、

愛梨沙は微笑みながら答えたー。


「ーー大好きな悠馬のためだし、このぐらい全然!

 とにかく、わたしに任せておいてー!」


母・裕子が見ている前で、”大好き”と、堂々と言われた悠馬は

少し恥ずかしそうに、OL姿の愛梨沙のほうを見つめたー


⑦へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


7月最初のお話は長編でした~!

(毎週金曜日は長編なので~★!)


妹が洗脳されていることに気付いた後には、

登場人物たちの行動も色々変わっていきます~!☆

まだ少し先ですが、その変化も楽しみにしていて下さいネ~!

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