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入れ替わってしまったカトリーヌとマリー。


二人は入れ替わったまま、海賊・ナイトメアが当初から

計画していた”故郷の仇”と”姫・マリー”の交換交渉の日を

迎えようとしていたー。


陰謀渦巻く中、

入れ替わってしまった姫と、女海賊の二人を待つ運命はー…?


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>女海賊とお姫様④~野望~

女海賊のカトリーヌと入れ替わってしまったマリー。 迎えに来た海賊船に入れ替わったまま乗り込むことになってしまい、 二人は”お互いのフリをしながら”元に戻る方法を探ることにー。 マリーになってしまったカトリーヌは、自身が信頼している子分・レオに 全ての事情を打ち明けた上でカトリーヌになってしまったマリー...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


カトリーヌ(マリー)は、夜の海賊船の上で

広い海を見つめていたー


”どうして、身体が入れ替わってしまったのかー”

”元に戻ることはできるのかどうか”

”無事に帰ることはできるのかどうか”


そしてー

海賊のNo2・ジャンの陰謀に、

マリーが女王として統治している島国の不穏な空気ー


あらゆることが、彼女の不安を強めていくー。


カトリーヌ(マリー)は、カトリーヌの手を見つめながら

呟くー


「わたしと…そんなに変わらないー…」


”姫”として小さいころから大事にされて育ってきたマリー。

もちろん、マリーはマリーなりに”姫”という立場上、

苦労してきたこともたくさんあるー。


しかし、幼少期から海賊としてー

それも、先代の頭であり、父親が病に倒れ、

”海賊の頭”として生きて来たカトリーヌは

それ以上に大きな苦労をしてきたことだろうー。


「ーーー…」

カトリーヌ(マリー)は表情を曇らせるー


さっき、着替えた際にカトリーヌの身体を見たー

鍛えられてはいたものの、

カトリーヌの身体は華奢だったー。


そしてー

”数々の痛々しい傷”が、その身体には刻まれていたー

彼女がどれだけ過酷な人生を送ってきたのかは分からないー…


だが、そんなカトリーヌの身体の傷を見るだけで、その過酷な生き方が

少しだけ、伝わってきたー。


そんなことを思いながら、

カトリーヌ(マリー)は、

先程、地下の牢屋でジャンに痛めつけられた

マリー(カトリーヌ)が言った言葉を思い出すー。


”姫さん、頼みがあるー”


”ジャンはあんたの国との”交換”の際に

 混乱に乗じてあたしを殺す気だー

 さっき、やつはあたしに対してハッキリそう言ったー”


カトリーヌのことを善く思わないNo2のジャンは

”マリーの国との取引の際”に、カトリーヌのことも

亡き者にしようと計画していたー


マリーとカトリーヌがまさか、

”入れ替わっている”などとは夢にも思っていないジャンは、

マリー(カトリーヌ)の前で、

”お頭を亡き者にしようとしている”ことを自ら喋ってしまったー。


マリー(カトリーヌ)は、

ジャンに痛めつけられた身体で、深々と頭を下げながらさらに

言葉を続けるー。


”姫さんを危険に晒しちまうのは承知の上でー

 お願いしたいー”


”ーーあいつー…ジャンの計画にあえて

 何も知らないフリをして、そのまま乗ってほしいー…”


その言葉はー

”カトリーヌの身体になっているマリー”にとっては

非常に危険なお願いだったー


”あたしの身体になってる姫さんが危険な目に

 遭っちまうことは、分かってるー

 でも、あたしとレオで何とかするー


 どうかー

 どうか、あいつの…ジャンの計画に何も知らないフリを

 して、乗ってほしいー”


不安そうな表情を浮かべるカトリーヌ(マリー)ー。


そんな彼女に対して

マリー(カトリーヌ)は真っすぐな表情で言い放つー


”姫さんー

 あんたのことは必ず無事に自分の国に返してやるー

 約束するー。

 

 だから、どうかあたしを信じてほしいー”


とー。


マリーになったカトリーヌからそんなお願いをされた

カトリーヌになったマリーは、彼女のほうを

見つめながら険しい表情で考えるー。


カトリーヌの身体でジャンの計画に乗るー。

それは、そのまま”ジャンの計画通り”に進んでしまった場合、

マリーは、女海賊・カトリーヌの身体のまま

”ジャンに殺される”ことを意味するー


そして、もし、このカトリーヌが、

この状況に乗じて、”カトリーヌになったマリーを死なせて、

自分がマリーに成り代わろう”としているのだとすればー


カトリーヌになったマリーが死ねば

”入れ替わり”を騒ぐ人間はいなくなり、

女海賊カトリーヌは、島国の王女・マリーの身体で

海賊の頭から、一気に一国の王女になることができるー


ーーその可能性も否定はできないー。

相手は”海原の悪夢”の異名を持つ海賊団・ナイトメアの頭ー


マリーはまだ、カトリーヌと出会ってから、

わずかな時間しか行動を共にしていないー


カトリーヌのことを心から信頼しても良いのかどうかー

カトリーヌのこれまでの話を全て鵜呑みにしても良いのかどうかー。


「ーーーーーー」


いやー

答えは決まっているー


”入れ替わったからこそ”わかるー

この人は、嘘をつくような人じゃないー、とー。


カトリーヌ(マリー)は、色々考えた末に、

静かに微笑んだー


「ーーー足りないー」

カトリーヌ(マリー)がそう言うと、マリー(カトリーヌ)は

「え?」と、首を傾げるー。


”あんたのことは必ず無事に自分の国に返してやる”

だけでは、”約束”が足りないー、と

カトリーヌ(マリー)は微笑むと、

「わたしも、あなたも無事に”自分の帰るべき場所”に

 帰らなくちゃだめですー」と、優しく呟いたー


その言葉に、マリー(カトリーヌ)は、ふっ、と笑うと

「そうだなー。分かったー約束するー」と、

”二人で無事に元に戻ること”を、誓うー。


「ーーーーー」

牢屋での会話を思い出しながら

カトリーヌ(マリー)は”絶対に二人で元に戻る”ことを

誓って、船の上から夜の海原を見つめたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


カトリーヌ(マリー)は、ジャンの元に行き、

ジャンが提案した通り、交渉の日を早めることを伝えたー


その言葉に、ジャンは満足そうに笑みを浮かべるー。


そして、翌日ー

海賊・ナイトメアと、マリーが統治する王国の

”取引”が行われることになったー


海賊・ナイトメアが姫君・マリーを開放する代わりに、

カトリーヌらの故郷を滅ぼした王国の宰相・ゼウランと、

実行犯であるラウルを海賊側に引き渡すー。


そんな、取引だー。


元々、海賊・ナイトメアがマリーらの船を襲撃したのは、

マリーの身柄を拘束して、この取引を行うことが目的だったー。

海賊たちの生まれ故郷である小さな島を焼き尽くした王国の関係者への復讐と

”なぜ”そのようなことをしたのか、それを聞きだすためー。


だが、宰相のゼウランが王国の外に自ら出て来ることはほとんどなく、

ゼウランの身柄を確保するためには、マリーを拘束、

このような取引を行うか、王国を直接攻めるしか方法はなかったー。

”海原の悪夢”と恐れられているとは言えー

相手が小さな島国とはいえ、流石に海賊・ナイトメアも一国を直接攻めて

勝てるほどの戦力は持っておらずー、

こうしてマリーを拘束、交換をすることしか、

故郷の仇である宰相のゼウランの身柄を手に入れる方法はなかったのだー。



海賊船の眼前に、王国側の船が姿を現すー。

海賊船と王国の船が大海原の上で接近し、

すぐ側まで、互いにやって来るー。


「ーーー(ラウルー)」

カトリーヌ(マリー)は不安そうに呟くー


ラウルは、姫・マリーの小さい頃からの指導役でもあり、

そのようなことをする人物には見えなかったー。


だがー

小さい島国とは言え、国である以上、色々な権力や力関係があり、

ラウルも”上からの指示”に従わざるを得なかったのかもしれないー。


「ーーー…姫さんー」

カトリーヌが信頼する子分・レオが呟くー。


王国側の船の上には、

王国の大将軍・ジルベールと

宰相のゼウラン、そしてマリーの世話役でもあったラウルの

姿があったー。

ゼウランとラウルの二人は、海賊側に受け渡されるためか、

手を縛られた状態になっているー。


大将軍・ジルベールが声を上げるー。


「ー海賊よー

 そちら側の要求通り、宰相ゼウランと、ラウルの身柄を

 そちらに引き渡すー。


 だがその前に、姫様の身柄を確認したいー」


威厳すら感じる歴戦の勇者ー

そんな風貌の大将軍ジルベールを前に、

海賊のNo2・ジャンが「よかろうー」と、答えるー。


互いの船が海上で隣接する中ー

ジャンは、マリー(カトリーヌ)の姿を王国側の船に

見せつけるー。


カトリーヌ(マリー)は、その様子を少し離れた場所から

見つめながら、不安そうな表情を浮かべるー。


「ー大丈夫ですー。お頭は必ず約束を守る人ですからー」

レオが小声で呟くと、

カトリーヌ(マリー)は”うん”と呟いたー


ジャンは、この取引に乗じて”お頭”を殺そうとしているー。

だが、”どのように仕掛けて来るのか”は、まだ分からないー。


交換をするとなると、この場で

”マリー(カトリーヌ)”と、”ラウル・ゼウラン両名”の

身柄の引き渡しで終わりだー。


どうやってカトリーヌを事故死に見せかけて殺そうと言うのかー。


”ーーーーー”

ジャンは、笑みを浮かべながら”身柄の交換”を進めていくー


王国側は大将軍ジルベールが、

宰相のゼウランと、ラウルの身柄を兵士と共に、

海賊側はNo2のジャンが、マリー(カトリーヌ)の身方を

相手の船との境まで持ってくるー


カトリーヌ(マリー)は、海賊船の後ろ側で

その様子を見つめているー。


「ーーでは、姫様の身柄をこちらに」

大将軍ジルベールが言うと、

ジャンは首を横に振ったー


「ーそちらが先だー。

 こちらの船に、その二人の身柄をー」


ジャンは、そう言いながらも、

ニヤリと笑みを浮かべたー。


「ーーーーーー」

マリー(カトリーヌ)は険しい表情を浮かべたー


”ジャンが少しでもおかしな行動をしたら、

 すぐにジャンを拘束するように、レオを始め、

 カトリーヌが信頼する部下たちに指示してあるー。

 ”お頭の命を奪おうとする”

 そんな行動を見せた瞬間に、ジャンを拘束ー、

 ”決定的な裏切りの証拠”を、仲間の海賊たちに

 突きつければ”ジャン派”の部下たちも

 さすがにジャンに従うものはほとんどいないはずー


 ジャンを失脚させるにはー

 ”現行犯”のような状況で、ジャンを拘束する必要があるー。


「ーーー(どうやって、あたしを殺すつもりなんだー?)」


”事故に見せかけて殺す”

ジャンはそう言っていたー。


だが、カトリーヌ(マリー)には

なるべく”ジャンから離れた安全な場所”に立ち、

レオと、信頼できる部下数名と一緒に立つように

予めレオを通じて指示しておいたー。


ジャンは、”王国の船”と隣接している船の端っこの部分にいて、

直接カトリーヌを殺すには距離が遠すぎるー。


協力者がいるにしても、カトリーヌ(マリー)をそう簡単に

殺すことは、できないはずー。


ジャンと、王国側の大将軍ジルベールの

”身柄交換”の話し合いが続くー


ジャンも、ジルベールも

”相手が素直に交換しないのではないか”という部分で

揉めている様子だったー。


「ーーーーー」

ジャンがしきりに、海のほうを何度か見つめるー。


”ククククククー

 お頭ーあなたは今日、ここで”事故死”するのだー”


ジャンはーーーーー

”海賊船”そのものに爆薬を密かに仕掛けていたー

”王国側との交渉の最中に”突然、海賊船が爆発を起こし、

カトリーヌは事故死ー


彼は既に近くの島の港町に部下を待機させており

その部下たちが、今、船でこちらに向かっているー。


ジャンが海を眺めているのは

その”迎えの船”が見えるのを待っているからだー。


船が大爆発を起こし、ジャンは海に飛び降りるー。

そして、迎えの船に回収されてー、

自身は信頼する部下たちと共に脱出、

生き残った海賊たちに”王国側に船を爆破されて、

お頭は犠牲になった”と、言いふらし、

”憎しみを王国側へと向けさせ”

自らは海賊団・ナイトメアの頭となるー


そんな計画を練っていたのだー


”まさか、船ごと爆破するとは、お頭も思っておるまいー”


ジャンは、遠方に”迎えの船”の姿を確認して笑みを浮かべたー

計画を実行に移す時がやってきたのだー。


「では、同時に交換しようー」

互いの船を接続し、簡易な連絡橋のようなものを接続すると、

海賊側は姫・マリー(カトリーヌ)の身柄を、

王国側は宰相ゼウランとラウルの身柄の交換を実行に移したー


ジャンは、マリーとカトリーヌの入れ替わりを知らないー。

だが、マリーたちはジャンがまさか

”海賊船ごと爆破してカトリーヌを殺そうとしている”とは思っていないー。


お互いに”知らないこと”がある状況ー。


しかし、この勝負は”ジャンの勝ち”で終わろうとしていたー。

このまま彼が部下に合図を出せばー

海賊船は爆発し、ジャンは狙い通り海に飛び降りて

迎えの船に回収されるー。


入れ替わったままであろうと、”カトリーヌ”は死ぬのだー


カトリーヌが描いているように”ジャンが確実に怪しい動きをしたら拘束する”

ことは、できずに終わるー。


入れ替わっていようが、入れ替わっていなかろうが、

全てはージャンの狙い通りー


ーーー進むはずだったー


人質の交換が終わり、

海賊船側に宰相のゼウランとラウルがー、

王国の船側にマリー(カトリーヌ)が移動するー


”ジャンのやつ、何も仕掛けて来ないのかー?”

マリー(カトリーヌ)が険しい表情を浮かべるー。


”ーーー今だ”


ジャンが、自分を迎えに来た船が、十分近い位置に

来たこと確認し、海賊船にしかけた爆薬を起爆する合図を

部下に出そうとするー


しかしー


”今だ”と

心の中で思ったのは、ジャンだけではなかったー


「ーーーー!」

ジャンが、身体に鈍い衝撃を感じるー。


「ーーー…あ?」

ジャンが、表情を歪めると、

”身柄交換”で海賊船側にやってきていた

王国側の宰相・ゼウランが

拘束されていたはずの手が、いつの間にか自由な状態に

なっていて、その手に隠し持っていた短刀をジャンの腹部に

突き刺していたー。


「ーーーがっ」

目を見開くジャンー


その直後、誰かが勝手に王国側の船に向かって

矢を放ち始めたー


「ーー海賊どもめ!」

王国側の船が”攻撃された”と判断して、

すぐに海賊船側に反撃を始めるー


あっという間にー

2隻の船同士の争いが始まりー

双方が、大量の矢を相手の船に浴びせるー


「ーーえ…ちょっと…!」

カトリーヌ(マリー)は困惑するー。


混乱に乗じて”邪魔者”を排除しようとしているのは、

ジャンだけではなかったー


ジャンが”お頭”を排除して海賊団の実権を握ろうとしていたのと同じくー

王国側の宰相・ゼウランも”姫様”を排除して王国の実権を握ろうとしていたー


ゼウランが予め海賊の一人に、多額の報酬で

”交換の際にこちらの船に矢を放つように”指示を出していて、

その海賊が先に王国側の船に矢を放ったー

当然、王国側はそれに反撃するー。


こうして、王国と海賊の船の”交戦状態”を作り出したー


ゼウランは”海賊船から攻撃された”との大義名分を得ることができると同時にー


「ーーーがっ!」

海賊船側が放った矢が、マリー(カトリーヌ)の腕を貫くー


”姫様ー

 あなたはここで”海賊との争いに巻き込まれて非業の死を遂げる”のですー”


彼にとって、邪魔な姫を”事故死”に見せかけて殺すことができるー。


宰相ゼウランは、心の中でそう呟いて、邪悪な笑みを浮かべたー



⑥へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


入れ替わったままの二人の運命は…?

次回が最終回デス~!


今日もお読み下さりありがとうございました~!!

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