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怪しげな人物たちに”洗脳”されてしまった妹の雫ー。


兄の悠馬は、洗脳された雫の突然の豹変に困惑するー。


”今日はたまたま機嫌が悪いのだろう”

最初はそんな風に思っていた悠馬も、翌日になっても雫の態度が

変わらないことから、強い違和感を抱き始めるー。


妹の突然の豹変ー。

困惑しながらも、兄の悠馬は今日も大学へと向かうのだったー。


★前回はこちら↓★

<MC>歪められた絆②~豹変~

兄・悠馬と仲良しだった女子高生の雫ー。 しかし、ある日の下校中、雫は 謎のヘルメットの人物とオールバックの人物に拉致され、 その場で”洗脳”されてしまうー。 洗脳されるその瞬間まで、必死に”お兄ちゃん”のことを 考えていた雫ー けれど、洗脳された雫は、それに抗うことはできずに 豹変してしまったー。 ”妹が洗脳...

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★主な登場人物★


・神里 悠馬(かみさと ゆうま)

大学生。妹の雫が豹変したことに困惑する。


・神里 雫(かみさと しずく)

高校生。兄の悠馬のことが大好き。少しイタズラっ子な一面も。


・森永 愛梨沙(もりなが ありさ)

大学生。悠馬の彼女。成績優秀な優等生。コスプレ趣味がある。


・藤嶋 亮介(ふじしま りょうすけ) 

大学生。高校時代からの親友。困った時には頼りになる存在。


・西園寺 美桜(さいおんじ みお)

高校生。妹・雫の親友。表裏が非常に激しい。


・九条 輝樹(くじょう てるき)

高校生。妹・雫の幼馴染で悠馬とも小さいころから面識がある。


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「ーーなんだって?マジかよ」

親友の亮介が少し大げさな手ぶりを加えながらそう呟くー。


亮介が時々、オーバーリアクションなのはいつものことだー。


「ーお前、何か妹を怒らせるようなこと、しちゃったんじゃないのか?」

亮介は揶揄うような口調でそう言ったものの、

悠馬がいつものように冗談に乗ってこないのを見て、

気まずくなったのか、

「ーー…雫ちゃんってー…そういう子には見えなかったけどなー」と、

困惑の表情を浮かべるー。


「ーー思い当たることも、何もないんだよね?」

彼女の愛梨沙が、不安そうな表情を浮かべて呟くー。


「ああ…何もー」

悠馬はそう呟きながら、昨日から突然豹変した雫のことを

思い出すー。


朝は”生徒会副会長になる・ならない”の話をしながら笑っていて、

”いつも通り”だったー。


それなのにー


「ーーー朝までは普通だったの?」

彼女の愛梨沙が、心配そうに聞いてくるー。


「ーーーで、帰ってきたらメチャクチャ機嫌が悪くなってた、

 ってことかー」

親友の亮介が、愛梨沙の言葉を補足するかのようにそう呟くー。


「ーーーー」

悠馬は思うー


「ごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃ!

 朝からうるさい!黙ってて!」


あれはー

本当に”機嫌が悪い”だけなのだろうかー。


「ーーー……わたしも雫ちゃんの連絡先知ってるから、

 時間のある時に連絡してみる」


愛梨沙の言葉に、悠馬は「ありがとう」と、少しだけ微笑むと

愛梨沙は「雫ちゃんは、わたしにとっても妹みたいなものだし」と、

少し照れくさそうに笑うー。


「ーーあ、そろそろわたし、行かないと」


「ーーあ、俺もー」


時計を見ながら愛梨沙と亮介がそう呟くと、

「ーあぁ、朝から変な話してごめんな」と、悠馬が

申し訳なさそうに笑うー。


「ーいいってことよ」

亮介が笑いながら悠馬の肩を叩くー。


「ーじゃあ…また後でね」

愛梨沙が小さく手を振り、

そのまま目的地が亮介と同じ方向だったため、

亮介と一緒に立ち去っていくー。


「しっかし、学園祭でメイド服なんてなぁ~

 愛梨沙ちゃんが貧乳じゃなかったらなぁ~」


「ーちょっと!それどういう意味!?そんな貧…貧乳でもないし!」


「ーーそうかなぁ~?」


「そうよ!っていうか、失礼すぎじゃない!?」


「ーーはははは」


二人のそんな雑談を聞きながら、悠馬はため息をつくと

”雫…本当にどうしちゃったんだろうなー”と、再び雫のことを

考え始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


高校のチャイムが鳴り、

昼休みの開始を告げるー。


雫のクラスメイトたちは、朝から雫の雰囲気に

違和感を抱いていたー


謎の人物たちによって洗脳された雫は、

学校でも、

”いつもとはまるで別人のような雰囲気”で、

振る舞っていたー。


「ーーーー…雫…大丈夫か?」

雫の彼氏、九条 輝樹が少し困惑した様子で

昼休みが始まると同時に雫に声を掛けると、

雫は「何が?」と、棘のある口調で、

輝樹のほうを見つめたー


「ーーーいや…朝から機嫌悪いみたいだからさ」

輝樹がそう言うと、

雫は「そう?別にー」と、だけ答えて

4時間目の授業で使っていた教科書を机の中にしまい、

座席から立ち上がるー


「ーーーーー」

輝樹が、困惑した様子で教室の外に向かおうとする雫のほうを

見つめているー。


「ーあ、そうだー」

雫は何かを思い出したようにそう呟くと、

振り返って輝樹のほうを見つめたー


笑みを浮かべている雫ー。


だが、その笑みは

いつものような”笑顔が似合う”雫の笑みではなくー

邪悪な雰囲気の漂う笑みだったー。


「ーー今度さ、わたしの家に来ない?」

雫の言葉に、輝樹は「ん?あぁーいいけどー」と、頷くー。


輝樹は雫と付き合い始めてから何度か、雫の家にも

お邪魔したことがあり、

兄の悠馬や母親の裕子とも面識があるー。


「ーーーふふ…ありがと」

雫はそれだけ言うと、ニヤッと笑みを浮かべて、

そのまま教室の外に向かっていくー。


「ーーーーーーーー」

廊下側の座席に座っている雫の親友・

西園寺 美桜は、教室から出て行く雫の後ろ姿を見つめながら

不愉快そうな表情を浮かべたー。


教室から出た雫は廊下を歩くー


「ーーあいつを苦しませてやるー…!

 もっと、もっと、あいつをー

 ふふ… ふふふふふふふっ♡」


昨日まで”大好きだった”兄のことを

そんな風に呟きながら、

雫は一人、悪女のような笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ー色々考えてみたんだけどー…」


大学での1日が終わり、

レポートの整理をしながら、愛梨沙が

悠馬のほうを見つめるー。


「ーーやっぱり、昨日学校で何かあったんじゃないかな?

 …まぁ…わたしが言わなくてもそう思ってるかもしれないけど」


愛梨沙の言葉に、悠馬は「まぁ…な」と、頷くー。


”昨日の朝までは普通”だったー。


そして

”帰ってきた後から、様子がおかしい”


と、なれば”その間”に何かがあったと考えるのが普通だろうー。


「ーーーちょっと、高校で何かなかったのか聞いてみるよー

 連絡先知ってる子がいるし」


悠馬がスマホを持ちながら少しだけ笑うと、

「ーーえ?知り合いいるの?」と、愛梨沙が少し驚くー。


「ーん~あぁ、ほら、雫の彼氏だよー。

 うちに来た時、雫が”連絡先交換タイ~ム!”とか言い出して

 交換させられたからー」


悠馬は”普段は連絡取り合ったりはしてないけどな”と付け加えると、

「そっかー。彼氏さんなら何か知ってるかもしれないもんね」と、

愛梨沙も納得の表情を浮かべるー。


「ーーそうだ!今度の土曜日、わたしも悠馬の家に行っていいー?」

愛梨沙が思い出したかのようにそう言うと、

悠馬は「全然ー。愛梨沙なら、母さんも父さんも歓迎だと思うしー、

雫もー…いつもなら、愛梨沙に懐いてるからなー」と、笑うー。


「ーーふふふ…わたしが雫ちゃんから色々聞いてあげるから!

 悠馬は安心して!

 女の子同士なら、お兄ちゃんに言えない秘密も教えてもらえるかもだし!」


愛梨沙の言葉に、

悠馬は「ははは…じゃあー…お願いしちゃおうかな」と、

笑いながらも、

「ーま…俺も色々、調べてみるよ」と、

朝よりも少し元気を取り戻した様子で、静かに頷いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーー雫は?」

帰宅した悠馬が、母親の裕子に確認すると、

裕子は困ったような表情で首を横に振ったー


つまりー

”まだ、機嫌が悪い”ことを意味しているー


「ーーなんか…色々買ってきたみらいで、

 部屋に戻ってからは1回も出てきてないわ」

裕子が言うと、悠馬は不安そうな表情で

雫の部屋のほうを見つめるー。


「ーーーーー」

悠馬は正直、”今の雫”に話しかけることには

少なからず恐怖もあったー。

いつもならー

”妹に話しかける”ことなんて躊躇しないー。


だが、今は違うー。


妹の部屋の扉がー

まるで”地獄への入口”になってしまったかのように、

近寄りがたい雰囲気を醸し出しているー。


昨日の朝まで、そんなこと、全然なかったのにー


「ーーーーー」

すぅっ、と息を吸ってから、悠馬は雫の部屋をノックしたー。


しかし、雫から返事はないー


「し…雫、いるんだろ?」

悠馬が困惑した様子で声を掛けると、

「ーいるけど、あんたの顔は見たくない」と

部屋の中から返事が返ってくるー。


「ーーな…なぁ…ほんと、どうしちゃったんだよー?」

混乱する悠馬ー


「どうもしない。あんたがうざいだけ」

雫の返事は、なおも冷たいー


”あんた”なんて今まで呼ばれたことがないー。


今までー

ずっと”お兄ちゃん”と十数年も呼ばれてきたのに

それがいきなり”あんた”になったショックー

これは、そう簡単に理解できるものではないだろうー。


”こころ”に直接、矢を打ち込まれたような、

そんな、強いショックを受けてしまうー


「ーー…わ、わかった、ごめんなー」

悠馬はそれだけ言うと、雫の部屋の扉を開けるのを

諦めて自分の部屋に戻るー。


そして、スマホを手にすると雫の彼氏である

九条 輝樹に対してメッセージを送ったー。


輝樹から見れば悠馬は”彼女の兄貴”だー。

向こうからしてもやりにくいだろうし、

基本的には連絡を取ることはしていないが、

何度か、雫関連で連絡が必要になったことはあって

そういう時はお互いにやり取りしたこともあるし、

面識もあるー。


”久しぶり”と、いう出だしで当たり障りのない言葉と、

雫の様子に変わったところはなかったかどうか、

それとなく確認するメッセージを送ってから数分ー。


雫の彼氏・輝樹から電話が掛かってきたー


”で、電話かよ”

そう思いながらもスマホを手に、返事をすると、

”お久しぶりです”と、輝樹の声が電話の向こうから

聞こえて来たー。


「ーー急にごめんなー…」

悠馬が言うと輝樹は”いえ”と、だけ呟いて、

少しため息をついてから言葉を続けたー。


”俺は、家庭で何かあったのかと思ってましたけど”


輝樹のそんな言葉に、悠馬は

「ーや、やっぱり高校でもあんな感じなのか?」と確認するー


輝樹は”えぇー。何があったんです?”と、逆に質問を

投げかけて来るー。


「いや…それがー俺にもー」

悠馬がそう言いかけると、輝樹は言葉を続けたー。


”俺はー原因は悠馬さんにあると思ってます”

とー。


「ーお…俺に?」

悠馬が聞き返すー。


輝樹は、”彼女”の雫が”お兄ちゃん大好き!”という態度を

隠そうともしないことから、

”相手は兄だから”と理解しながらも嫉妬していてー

雫と付き合い始めたころから、悠馬に対するあたりが強いー。


”えぇ。だってそうでしょう?

 昨日、帰るまではいつもの雫だったんですから”


輝樹がうんざりした口調で言うー。


「なんだって?」

悠馬は思わず聞き返すー


”昨日、帰るまでは普通だったー”


輝樹の言葉が本当なら、

雫は”学校を出てから”ー”帰宅するまで”の間に

豹変したことになるー。


”ーーだから、昨日帰り、学校を出る直前に

 話したときは普通だったんですよ”


輝樹の口調は丁寧だが、端々に敵意ー…

明確な…と言うより、”ライバル”的な、

そんな敵意が込められているー


”だったら、プライベートで何かあったって

 考えるのが、普通でしょう?”


輝樹の言葉に、悠馬は

「ーーっっ いや、待ってくれー

 昨日、雫が帰ってきたときにはもう様子がおかしくてー

 俺はてっきり学校でー」と、輝樹に向かって言い放つー。


しかしー

輝樹は”雫の豹変は兄である悠馬のせい”だと決めつけて

”雫を苦しめるなら、俺は、悠馬さんが相手でも容赦しませんよ”と、

だけ呟いて、そのまま電話を切られてしまったー


「ーいや、待てって! くそっ!」

スマホを手にしたまま悠馬がそう呟くー。


”いったい、昨日の帰り、雫に何があったんだー?”

そんな疑問を抱きながら、悠馬は部屋の中で考え込むー。


だが、やはり、

どんなに考えても雫が”豹変”した原因は思い当たらないー。


結局、晩御飯の時間まで考え込んでいたものの、

答えは出ずにため息をつきながら1階に降りるー。


既に、父の茂雄も帰宅していて、「お!今日もお疲れ」と

2階から降りて来た悠馬に対して、言葉を投げかけたー


「父さんも」

悠馬がそう言いながら、着席すると、

2階からー

雫が下りて来たー


派手な髪型に、ミニスカートに肩を出した服装ー


今までに見たこともないような、風貌でー


「し、雫ー?」

母・裕子が驚いて雫を呼ぶと、雫はそのまま玄関の方に向かうー


「お、おい、雫ー?どこ行くんだー?ご飯、できてるぞ」

父・茂雄が困惑しながらそう言うと、雫は「いらない」とだけ

呟いて、そのまま玄関の扉を開けてー

外へと出かけてしまうー


「ーーー…ちょ……おい!雫!」

悠馬も思わず叫ぶが、既にその言葉は、雫には届いていなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーー例のグループで、問題なかったかー?」


オールバックの髪型の人物が、スマホを手に

誰かと会話をしているー


”あぁ、問題ないー

 既に神里 雫は、そのグループの所に向かわせたー

 今日から夜に遊び回る悪い妹になるんだー”


機械音声のような声が電話から響き渡るー


「ーーへへ…それはそれはー」

オールバックの人物は少し軽い調子で笑みを浮かべるー。


彼は、雫を洗脳したヘルメットの人物から”依頼”を受けて

雫を洗脳する前から、色々と動き回っているー


先程も、”雫を不良グループの仲間にしたい”と依頼を受けて

このあたりの地域で、夜に遊び歩いている不良グループを見つけて、

それを報告したところだったー。


「ーしかし、あの”お兄ちゃん大好き!”な妹を

 こんな風にして、どうするつもりだよ?」


オールバックの人物が笑みを浮かべながらそう呟くと、

”玉城(たまき)ー余計な詮索はするな”

と、冷たい口調で相手から返事が返ってきたー。


「ーーーへへへー

 まぁ、俺は”報酬”が貰えれば何でもいいー。

 深追いはしないさー」


オールバックの人物が苦笑いしながらそう呟くー


玉城 東吾(たまき とうご)ー

彼は、裏社会で暗躍する”便利屋”でー

雫の洗脳の件でも”依頼”を受けて動いているー。


「ーー何かあればまた連絡しろ」

オールバックの人物=東吾がそう呟くと、

”わかった”と、相手から返事が聞こえて、

そのまま電話は切れたー


スマホを手に、それを少しだけくるくると回すと

「ー”洗脳”なんて、依頼人の考えることはよく分かんねぇな」と、

笑みを浮かべるー。


そしてーーー


”電話相手のこと”を思い浮かべながらー

「ーーー本当に、”恐ろしいやつ”だー」と、静かに呟き、

そのまま東吾は、夜の闇の中へと消えたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーねぇ、わたしも仲間に入れてよ」

洗脳された雫が、夜のゲームセンターで

大騒ぎしていた不良グループに悪い笑みを

浮かべながら声を掛けるー


「ーーへへ…なんだよ?お嬢ちゃん一人?」

不良グループの一人が、ニヤニヤしながら雫に近付くと、

「ひとりだけど?」と、雫は挑発的に返事をしながら、

その不良グループのリーダーらしき人物に近付いて、

笑みを浮かべたー


「ーわたし、真面目にやってるのが馬鹿らしくなっちゃったのー

 仲間に入れて」


洗脳された雫は、

自分が、自らの手で”大切なもの”をどんどん壊していることにも気づかずー

不良グループのリーダーに向かって、静かに笑みを浮かべたー



④へ続く


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コメント


お兄ちゃんはまだ、妹が洗脳されたことに気付くことができていません…☆!


いつ気付くのかも含めて、

今後も楽しみにしていてくださいネ~


今日もありがとうございました~!

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