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小さな島国の女王・マリーは、

この世界の中心を支配する”ヴェルラント王国”から、

船で自分の国に帰る最中にー、

”海原の悪夢”の異名を持つ海賊団・ナイトメアに襲撃されてしまい、

さらにはその最中に嵐にまで襲われてしまったー。


目を覚ました時には、見知らぬ無人島に、

海賊団の首領・カトリーヌと二人きりの状態ー。


しかも、島で一夜を過ごした翌朝ー、

マリーは、あろうことかカトリーヌと入れ替わってしまっていたー…!


その直後ー

入れ替わった状態から

元に戻れないまま、カトリーヌの海賊団が島にやってきてしまい…?


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>女海賊とお姫様①~漂着~

「姫様…あと数時間ほどで到着します故、もうしばらくの辛抱ですー」 とある小さな島に存在する国ー。 その王国の女王・マリーに対して、 側近の男・ラウルが心配そうな表情を浮かべながら呟くー 「ーーぅぅぅぅ…もう…ダメ…」 マリーは、今にも吐きそうな表情を浮かべながら、 海のほうを見つめて、ゲホゲホと呟くー。 女...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”やれやれー”


嵐に巻き込まれて、小さな無人島に漂着した

島国の王女・マリーと、海賊の頭・カトリーヌ。


二人は今朝、”お互いの身体が入れ替わっている状態”で

目が覚めたー。


だがー

お互いに状況を把握し、”元に戻るために”色々なことを試す前に、

カトリーヌが頭を務めている海賊”ナイトメア”の船が

この無人島に到着してしまったー


マリー(カトリーヌ)は、その様子を少し離れた場所から

見つめながらー

”本当だったら喜ぶところだけど…厄介なことになったもんだね”と、

マリーの身体で舌打ちをするー。


「ーーお頭のご無事を、一同全員で案じておりました」

細身の髭面の海賊・ジャンがそう呟くー。

丁寧な口調、芝居がかった振る舞い、紳士風の髭ー

一見すると穏やかな人物に見えるが、その眼光には

”秘めたる野望”が浮かびあがっているー


「ーえっ…え、えっと…えっ」

カトリーヌ(マリー)は、チラチラと少し離れた場所にいる

マリー(カトリーヌ)のほうを見つめるー。


”二人が入れ替わっている”などということは、

当然、目の前にいるジャンも知らないし、

他の海賊団のメンバーたちも、

そのようなこと全く想像できないだろうー。


彼らからすれば、

ジャンの前に立っている”カトリーヌ”が、正真正銘のお頭であり、

まさか中身が、自分たちが襲った船に乗っていた女王だとは、

知りもしないことだろうー。


”ったくー…仕方ないねー”

女海賊として、幼少期から過酷な環境を潜り抜けて来た

カトリーヌは、マリーとそこまで大きく歳の差はないものの、

こういった”予期せぬ出来事”に対する判断力は圧倒的に上だったー


「ーー…あいつ…例の女王じゃ?」

ジャンの背後にいた海賊の男が叫ぶー。


”女王・マリー”が一人でいるー。

海賊たちにとっては、絶好のチャンスー。


カトリーヌ(マリー)はすぐにドキッとして、

「ーあ、あ、あの、違うんです!」と、咄嗟に叫ぶー。


「ー違う?何がです?」

ジャンが不思議そうな表情を浮かべると、

カトリーヌ(マリー)は叫ぶー


「実は、わたしたち入れ替わっt… ぎゃふぅっ!?」


”わたしとあなたたちのリーダーは入れ替わっていてー”

そう、説明しようとしたカトリーヌになってしまったマリー。


だが、その説明を終える前に、カトリーヌ(マリー)は

近付いてきたマリー(カトリーヌ)に突き飛ばされたー


「ーーーそうよ。わたしがマリーよ」

マリー(カトリーヌ)が、普段のマリーとは別人のような

高飛車な雰囲気で腕を組みながら呟くー


「ーーーテメェ!お頭をよくも!」

カトリーヌ(マリー)を突き飛ばしたことに怒る海賊たちー。


地面に手をつきながら、突き飛ばされたカトリーヌ(マリー)は

戸惑いの表情を浮かべて、マリー(カトリーヌ)のほうを見つめると、

マリー(カトリーヌ)はカトリーヌ(マリー)のほうを見つめながら

ウィンクのような仕草をしたー


”どういうことー?”

そう思いつつも、「ーーわたしは逃げも隠れもしません!」と

叫ぶマリー(カトリーヌ)を見て、

”じ、じゃあ、わたしはあなたのフリをすればいいってことー?”と、

カトリーヌ(マリー)も悟るー。


まだ若いとは言え、マリーも女王の立場にいる者。

”相手の意を読み取る能力”には優れていたー。


「ーーははっ…家来も周りにいないのに、勇ましいねぇ」

ジャンが笑みを浮かべながら言うー。


”恐らく、この人がNo2なのね…”

カトリーヌ(マリー)は、そう思いながらも、

すぅっ、と息を吸ってからー

「ーこの姫も一緒に連れていくよ」と、ジャンに対して指示をするー。


カトリーヌたちが海賊が、元々マリーをどうするつもりだったのかは

知らないー。

けれど、”無人島に一人、置き去りにされたら”大変なことになるー。


入れ替わったまま”自分の身体”とはぐれるのはとても心配だし、

最悪の場合、このまま”マリーになったカトリーヌだけが”

無人島に一人残されることになる可能性もあるー。


カトリーヌ(マリー)がチラッとマリー(カトリーヌ)のほうを

確認するものの、特に何の合図も送ってこなかったため

”これでいいってことだよね…”と、考えるも

”え…でも、元々この人たち、わたしのことどうするつもりだったんだろうー?”

と、”このあとどうすればいいのか”、困惑するー。


周囲をキョロキョロし始めるカトリーヌ(マリー)。

普段の姉御肌な感じの雰囲気とは全く違う、

挙動不審な怪しい感じになってしまっているー


「お頭?」

ジャンが首を傾げるー。

他の海賊たちも、同じように首を傾げている様子だー。


「ーーーわたしは、何も恐れませんわ!

 牢屋に放り込めるものなら、放り込んでみなさい!」

マリー(カトリーヌ)が腕組みしながらそう叫ぶー


「ーーー!!」

カトリーヌ(マリー)は表情を歪めながら

”わたし、そんな喋り方じゃないんですけどー…!”と、ツッコミを

入れそうになったものの、その言葉は口にはせずに、

すぐに、”とりあえず牢屋に放り込んで”と、伝えようとしていることを

悟るー。


一瞬、カトリーヌ(マリー)は

”自分の身体が牢屋に放り込まれる”なんて嫌だー、と思ったものの、

マリーになったカトリーヌにも考えあってのことだろうと、

「ーーじ、じゃあー…望み通りにしてあげるー」と、

カトリーヌのフリをして、「わたしを牢屋に放り込んでおきなさい!」と

叫んだー。


「ーーー…?」

ジャンが表情を歪めるー

他の海賊たちも、首を傾げるー


「ーーーーー…ち、違っ」

カトリーヌ(マリー)は途端に、自分が失言したことに気付き、

顔を真っ赤にするー。


本来”この女を牢屋に放り込んでおきな!”とか、

”姫さんを牢屋に放り込んでおきな”とか、言うべきだったのに、

つい”わたしを牢屋に放り込んで~”などと、完全に意味不明な

ことを言ってしまったー。


周囲の海賊たちに見つめられたカトリーヌ(マリー)は

「じ、じろじろ見てるんじゃないよ!

 わたしが…あたしがこの姫さんを牢屋に連れて行くって

 言ったんだ!」と、慌てて失言を帳消しにすると、

そのまま、マリー(カトリーヌ)の腕を掴んで

”牢屋の場所、教えて”と小声で囁くと、

マリー(カトリーヌ)は、”あんたー…こういうの慣れてなさそうだね”

と、少しあきれ顔で囁いたー。


周囲に悟られないように、マリーになったカトリーヌから

海賊船内の牢屋の場所を確認すると、

その場所に移動するー


”お頭~~!間もなく出航しやすぜ!”

上から声が聞こえて来て、マリー(カトリーヌ)が”返事をしろ”と

小声で言ってきたため「わかった!」と、大声で返事をしたー。


牢屋に入るマリー(カトリーヌ)。

牢屋に入ると同時に、足を組んで、余裕の表情を浮かべるー。


「まさか、あたしが自分の海賊船で、

 お姫様の身体のまま、この牢屋に入ることになるなんてー…

 笑っちゃうよー」


マリー(カトリーヌ)の言葉に、

カトリーヌ(マリー)は周囲を見渡してから

誰も海賊たちがいないことを確認するー。


そんなカトリーヌ(マリー)を見て、

マリー(カトリーヌ)は髪を何度かかきむしるような仕草をすると、

「ーーはぁ~…」とため息をつくー


マリーはカトリーヌよりも髪が長く、

マリーになったカトリーヌは、その髪がどうしても気になって

気になってしまっている様子だったー


「ーあんたの身体ー…なかなか慣れないねぇ…」

髪を触ったり、胸を触ったりしながら、マリー(カトリーヌ)は

再びため息をつくー。


カトリーヌの身体より、髪は長いし、胸は大きいー

同性同士とは言え、”いつもと違う自分”に、

女海賊であるカトリーヌも、戸惑いを隠せなかったー


「ーちょ!ちょっと!普通に堂々と触らないでください!」

カトリーヌ(マリー)が、恥ずかしそうにしていると、

「ーあんたの反応、面白いなー」と揶揄うようにして笑ったー


「か、揶揄わないでください!」

慌ててそう声を上げると、

カトリーヌ(マリー)は、続けて

「…そもそも、これからどうするんですかー?

 入れ替わったこと、打ち明けた方が良かったんじゃー?」

と、言葉を口にしたー。


マリー(カトリーヌ)は牢屋の中のタルの上に座って

足を組んだままー

「あたしも最初はそうしようかとも思ったー

 でも、それだと、最悪、あたしもあんたも死ぬー」

と、答えたー。


「ーーえ…それはどういう?」

カトリーヌ(マリー)が表情を歪めるー


お互いが入れ替わったことを必死に説明すれば、

信じてもらえる可能性はあるー。


確かに”本来であれば”その方がいいー


「ーあたしだってこんな牢屋にいたくないし、

 あんただって、あたしのフリをするのはきついだろ?」


マリー(カトリーヌ)の言葉に、

カトリーヌ(マリー)は頷くー


「ーでも、”やつ”がいる以上ー

 入れ替わりを悟られるわけにはいかない」


マリー(カトリーヌ)はそう説明したー。


「やつー?」

カトリーヌ(マリー)が確認すると、

「細身の髭の男、いただろ?」と、

マリー(カトリーヌ)は、険しい表情で呟くー。


カトリーヌが率いる海賊団”ナイトメア”のNo2、

ジャン=クリストフー。

彼は、”先代”時代からの腹心で、元々はジャンが次期”頭”に

なる予定だったのだと言うー。


「ーだが、父はあいつの野心を見抜いていたー」


ジャンは、カトリーヌの父とは真逆の性格の持ち主でー

No2にしておくには優秀な人材であるものの、

No1になれば、何をしでかすか分からず、

海賊団自体も、”自分の思い通りにしようと”独裁体制に

入る恐れがあったー。


そんなジャンの性質を見抜いていたカトリーヌの父は、

病に倒れたあと、娘であるカトリーヌを呼び差し、

カトリーヌに”頭”の座を明け渡したのだったー。


「ーでも、あなたには忠誠を誓ってそうな感じに見えましたけどー」

カトリーヌ(マリー)が言うと、マリー(カトリーヌ)は

首を横に振ったー。


「ーあいつは、常にあたしを蹴落とそうとしてるー。

 あたしが、あんたと入れ替わったことを知ったら

 あいつは必ず、動き出すー」


カトリーヌ(マリー)がそこまで言うと、

”最悪の場合”、

マリーの身体のままカトリーヌは”事故死”させられて、

カトリーヌになったマリーは”恐れるに足らない存在”として、

始末されるか、うまく頭の座から蹴落とされるかしてー、

結果的に”マリー”も”カトリーヌ”もジャンに殺される可能性があるー、

と、説明したー。


だからー

入れ替わりのことを打ち明けることができなかったー


とー。


「ーーーでも、そんな危ない人なら、どうして

 いつまでもNo2にしておくのですかー?」

カトリーヌ(マリー)が言うと、

マリー(カトリーヌ)は自虐的に笑ったー


「ーーあたしらの中には

 あいつを崇拝してる人間もいるからさー」


マリー(カトリーヌ)は、悔しそうに呟くー。


海賊”ナイトメア”は、

頭であるカトリーヌを慕うモノも多いが、

父の代からNo2であるジャンのほうを慕う人間も多いー。


もしも、カトリーヌがジャンを排除しようとすれば、

海賊”ナイトメア”は、真っ二つに割れて仲間割れが始まるー

そして、崩壊するー。


だからー”ジャン”を排除することはできずー

”カトリーヌがNo1に居続けることによって”

ジャンの暴走を辛うじて抑えることができている

そんな状況だったー


「ーこれから、どうするのー?」

カトリーヌ(マリー)が言うと、

マリー(カトリーヌ)は、


「現状ー

 入れ替わった理由も、元に戻る方法も分からないー

 まずは、あたしとあんたの身体を元に戻さないとな」


と、淡々と告げるー


「ーこのままお互いのフリを続けて、何とか元に戻る方法を探そうー」


その言葉に、

カトリーヌ(マリー)は、不安そうにマリー(カトリーヌ)を見つめるー


”牢屋に閉じ込められている状態の自分の身体”を心配しているのだー


「ー安心しな。元々あたしらはあんたを殺すつもりはなかったー

 ただ、”あんたの国”と交渉するために、あんたを捕まえたくてねー」


マリー(カトリーヌ)の言葉に、

カトリーヌ(マリー)は「それはどういうー…?」と

困惑の表情を浮かべるー。


「ーーあんた、女王の癖に、知らないんだなー

 あんたの国はー」


マリー(カトリーヌ)がそこまで言うと、

牢屋の扉が開いたー


二人は、会話をやめて”お互いのフリ”を始めるとー

そこにー、No2のジャンがやってきたー


「ーお頭ー。なかなか戻ってこないので心配致しましたー。

 何か、問題でもありましたかな?」


ジャンはそう言いながら、笑みを浮かべるー。


「ーいえ、何もー」

カトリーヌ(マリー)はそう言いながら、マリー(カトリーヌ)のほうを

見つめると、マリー(カトリーヌ)は牢屋の中から頷いたー


”このまま、お互いのフリを続けよう”

そういう、合図に見えたー。


「ーーーお頭にお話がありますー

 ここでは何ですので、ひとまず上へ」

ジャンがそう言うと、カトリーヌ(マリー)は「ーわかった」とだけ

返事をして、そのまま牢屋から船の上の方へと、ジャンと共に

向かい始めたー。



一人、牢屋の中に残されたマリー(カトリーヌ)は、

自分の髪、胸、服装を見て

「ほんと、動きにくいな」と、不機嫌そうにため息をついたー



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


普段あまり書かない感じの内容(な、気がします★)なので、

書いていて、いつもよりも新鮮な気持ちデス~!


次回以降も、ぜひ楽しみにしていてくださいネ~!

今日もありがとうございました~!

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