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兄の幸徳は、妹の茜を異様なまでに溺愛していたー。


そんな茜に彼氏ができたことで、狂気に走った幸徳は、

親友の哲雄に”皮にした妹を着て、妹になりきるように”強要したー。


哲雄はやむを得ず、幸徳を刺激しないように、

幸徳の妹・茜を皮を身に着けた状態で、幸徳の望む通りに

茜として振る舞いながらも、

親友である幸徳を止めて、親友の妹・茜を救い出すべく、

行動を続けるー。


そして、ある日ー

学校に行くフリをして、幸徳の部屋に忍び込み、

ついに”あるもの”を発見した茜の皮を着た哲雄はー…?


★前回はこちら↓★

<皮>無理やり妹にされた俺③~異様な愛~

親友の幸徳は、妹の茜を溺愛していたー。 ある日、そんな茜に彼氏ができたことを知った幸徳は ”妹はいなくなってしまった”と、 人を皮にする注射器を用いて妹の茜を皮にした上で、 哲雄に”茜の代わり”になるように強要したー。 脅された哲雄は、仕方がなく茜の皮を着て、 表面上は”幸徳の妹・茜”として振る舞いながらも...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーお兄ちゃん…どうして…どうして…こんなことするのー?」


帰宅した幸徳は、自分の部屋の中にいた

茜の姿を見て驚くー。


茜は目に涙を浮かべているー。


「ーーー…あ、茜ー」

呆然としている幸徳ー。


だが、幸徳はすぐに鬼のような形相になって、

茜のすぐ隣にいる人物を見て叫んだー。


「ーーー哲雄ーーー

 お前…!お前…!何をしたッ!」


茜の隣に立っていたのは、幸徳の親友・哲雄だったー。

哲雄は”皮になった茜”を着て、茜になっていたはずだー。


だが、今、幸徳の部屋にはその茜と哲雄の二人がいるー。


これは、つまりー

哲雄が茜を脱いで、茜を”元通り”にしたことを意味するー。


呆然としながら、叫んだ幸徳に対して、

哲雄は右手に”2本の注射器”を手に、幸徳にも見えるよう、

それを掲げたー。


「ーお、お前ーー…!」

驚く幸徳ー。


部屋の中の”気づかれる可能性の低い場所”に厳重に

隠しておいたつもりだったが、

茜の皮を着た哲雄はそれを見つけ出したー


2本の注射器はそれぞれ、

”人を皮にする注射器”


そしてー

”元に戻す注射器”ー。


茜の身体で、学校に行くフリをして、

幸徳が大学に向かったあと、哲雄は茜の身体で

必死に幸徳の部屋の中を探したー。


そしてー、

その2本を見つけた哲雄は、幸徳が帰宅する前に、

茜の皮を脱いで、茜を元に戻したのだー


「ー茜ちゃんには、全部事情を説明したー」

哲雄がそう言いながら、注射器のうちの1本を机の上に置くと、

そのまま幸徳のほうを見つめたー。


”人を皮にするほう”の注射器は、今、この場で手放すと、

幸徳が何をし始めるか分からないー。


それにー

”最悪の場合”はーーー。

”幸徳に対してこれを使ってでも”

幸徳の凶行を止める必要があるー。


そう考えながら、哲雄は、注射器を握りしめ、

幸徳を見つめるー


「ーーお兄ちゃんー…

 わたし、お兄ちゃんのこと裏切ってなんかいないのにー…」

茜が悲しそうに呟くー


「ーー茜ー」

幸徳は戸惑いの表情を浮かべながらも、

すぐに険しい表情に戻り、茜のほうを見つめて叫ぶー。


「ーーでも、お前は彼氏を作った!

 お前はお兄ちゃんを裏切ったんだッ!

 お前はー、お前は、最低な女だーーー!」と、

指を指しながら叫ぶー。


「ーーなんで… なんでそんなこと言うの…?」

茜は泣きながら、幸徳のほうを見つめるー。


とても、幸徳は正気とは思えないー。


「ーーーーーわたし…わたしは、彼氏を作っちゃいけないの!?

 誰かを好きになっちゃ、いけないの!?」

茜が叫ぶー。


「ーお兄ちゃんのことだって好きだよ!

 でもー、それとこれとは別でしょ!?

 なんで、なんで、こんなことするの!?」


悔しそうにー

悲しそうにー

茜は、そう言い放つー


「ーお前は…!お前は何を分かってないー!

 茜ーー俺は、俺は、お前をー、お前を…

 この世界で一番大事にしてるのにー!

 それなのに、お前は俺を捨てるんだ!


 このー…

 この、裏切者!

 お前なんか、お前なんかー!」 


幸徳はなおも怒り狂っているー


「ーーーーーー」

悲しそうに口を閉ざしてしまう茜ー。


「ーー俺を裏切るやつなんて、妹じゃないー

 だから俺は、哲雄に茜を着せて、

 ”ちゃんとした茜”になって貰おうとーー」


「ーちゃんとしたわたしってなに!?

 お兄ちゃん、酷いよー…」


その場で子供のように泣き出してしまう茜ー。


茜が泣きじゃくる中、

幸徳と哲雄は沈黙するー。


ようやく、哲雄が、

「ーー茜ちゃんー」

と、背後から茜に声を掛けると、

茜の肩を優しく叩いてから、哲雄が幸徳の前に立ちはだかったー。


そしてー

”皮”に関連する注射器2本と一緒に置かれていた写真を

幸徳に見せながら呟いたー


「ーこの子が”安裕香ちゃんかー?」


とー。


その写真を見て、幸徳は表情を露骨に変えたー。


「ーー俺がお前と知り合ったのは、大学生になってからだからなー

 知らなかったよー


 お前にはー

 ”もう一人”妹がいたんだなー」


哲雄が言うと、泣きじゃくる茜を他所に、

幸徳は「チッ」と舌打ちをすると「そうだよー」と、呟くー。


「ーお前がどうして、そんなに茜ちゃんに執着するのかー

 ずっと考えてたんだー。

 ”妹を大事にしてる”だけにしては、それを超えすぎてるー。

 

 だから、何か理由があるんじゃないかってー」


哲雄はそう言うと、茜の皮を着て、茜になっている際に、

茜の膝枕で寝落ちした幸徳が”安裕香…”と、寝言を呟いていたことにも

言及したー。


「ーこの写真を見て、ハッとしたよー。

 お前が、茜ちゃんに執着する理由ー」


その言葉に、目に涙を浮かべたまま、茜は哲雄のほうを見つめるー


「ーーー茜ちゃんから聞いたよー」


”安裕香”がどうなったのかー。

元に戻った茜から、幸徳が帰宅する前に、哲雄は茜に確認していたー。


「ーーーー………お前に分かるかよー」

幸徳は悔しそうに呟くー


「お前に分かるか!人生で初めての可愛い可愛い妹が、

 目の前で身体を潰されて、”苦しいよ、苦しいよ”って言いながら

 死んでいく光景を見た俺の気持ちが!」


幸徳の言葉に、哲雄は表情を歪めるー。


星村 安裕香(ほしむら あゆか)はー

幸徳の1歳年下の”妹”だったー。


幸徳は、そんな安裕香のことを、生まれた直後から

とても可愛がり続けて、いつも一緒に過ごしていたー。


その後に、次女となる茜も生まれたものの、

茜はどちらかと言うと、物静かな性格で

小さいころの幸徳は、特に安裕香のことを可愛がっていたー。


だが、ある日ー。

幸徳と安裕香が小学生低学年だったころー、

公園から帰ろうとしたその時にー

安裕香は、他の子供が路上に蹴り飛ばしたボールを

拾ってあげようとして、飛び出してしまいー、

そのまま、車にはねられてしまったのだったー


大人が見ても、”見るからに”もうダメだと分かる状態だったー。


安裕香は”お兄ちゃん助けて…”

”苦しいよ”

”痛いよー”

と、駆け寄った幸徳に、何度も何度も呟き続けたー。


”将来、お兄ちゃんと結婚する”などとまで言っていた安裕香を前にー

”何もできず”、幸徳は、ただただ、震えながらー泣きながらー

安裕香が死んでいくのを、目の前で見つめることしかできなかったー


そしてー

安裕香はーーー

そのまま、帰らぬ人となったー。


それ以降ーー

幸徳は”安裕香の分”まで、次女であった茜に執着するようになり、

”異様なまでの愛”を茜に注ぐようになったー。


大学で幸徳と知り合った哲雄は、今までその話を

知らなかったー。


「ーー…”また”妹がいなくなっちまう気がするー…

 だから、こんなことしたんだろ?」


哲雄が言うと、

幸徳は暗い表情で哲雄と茜を見つめるー。


「ーでもな、幸徳ー」

哲雄は、幸徳に近付くと、怒りの形相で叫んだー


「ーお前のやってることは間違ってる!

 お前の言う通り、目の前で大事な妹が死ぬのを

 見せつけられる気持ちなんて、俺には分からないー


 でも、これだけは分かるー!

 ”お前がやってること”は絶対に間違ってる!!!


 彼氏が出来たから、茜ちゃんがいなくなっちゃう気がするー?

 ふざけるなよ!

 茜ちゃんは、今もここにいるだろうが!!

 お前にこんなことされて、こんなに悲しそうに泣いてるだろうが!」


哲雄は、今までの人生でこんなに怒ったことは一度もなかったー。


だがー

今、目の前にいる”親友”の間違いを正すためー

哲雄は顔を真っ赤にして震えながら、怒りを幸徳にぶつけたー


「ーー哲雄ー……」

幸徳は、そこまで言うと、茜のほうを見つけたー


「ーーお兄ちゃんー…彼氏が出来ても、わたしー

 お兄ちゃんの前からいなくなったりしないよー?」


茜が泣きながら言うと、

幸徳は「ーー…どうしても、別れてはくれないんだなー」と、呟くー。


茜は「ー別れないよー。だって、お兄ちゃんの言ってることー

間違ってるもん!」と、叫ぶー。


「ーお兄ちゃんの前からもいなくならないし、

 彼氏とも別れないの!!!」


茜の言葉に、幸徳は「ふぅ」とため息をつくと、

何度か頷いて、「ーーーー…そうかーー」と、

少し諦めたような表情を浮かべたー。


「ーーー俺がーーー間違ってたんだなー」

幸徳はそう呟くと、

哲雄は「ーーーでも、まだやり直すことはできるー」とだけ呟くー


哲雄も、茜も”お互いに相談した上で”

幸徳の今回の件を”警察に突き出したり”することは

考えていなかったー


ひとまず、”哲雄と茜”以外に被害は一切出ていないー。

幸徳が改心するのであれば、それでー、

終わりにしたい、と哲雄は”親友”として、茜は”妹”として

そう感じていたー。


「ーーーーー……悪かったー」

哲雄に向かって深々と頭を下げる幸徳ー


「ーーお兄ちゃん…」

茜は泣きながら幸徳の方を見つめると、

哲雄が、幸徳に対して”確認”するー。


「ーだったらもう、”これ”はいらないなー?」

2本の注射器を手に、”こんな危険なもの、あっちゃいけない”と、

呟くー。


幸徳は少しだけ名残惜しそうな表情を浮かべながらも、

やがて、「わかったよー」と、頷いたー。


哲雄は、注射器を床に叩きつけると、

そのままそれを踏みつぶしたー。

”人を皮にする注射器”も、”元に戻す注射器”も、

粉砕した哲雄は、それをそのまま袋に入れて、

「ーこれは、俺が処分する」と、幸徳に対して言い放ったー


”万が一”何か悪用されると困る、との判断からだったー


頷く哲雄ー


「ーーお兄ちゃん…」


「ーー茜ー」


茜が幸徳の方に近付き、幸徳が茜を抱きしめるー


「ごめんなーーー」


幸徳にされたことは許せないし、悲しいー

けど、茜はそれでも”お兄ちゃん”のことは兄として

好きだったし、

こうして改心してくれるのであればー、

また、やり直していくー

そんなつもりだったー


「ーーははは…俺の前でそんな感動の再会しなくてもー」

哲雄は苦笑いしながら

「じゃ、俺はーとりあえず失礼しようかなー」と、

そのまま立ち去ろうとするー。


幸徳は”安裕香”の存在にずっと囚われていたのだろうー。

写真の安裕香は、ツインテールだったー。

茜を着た哲雄にツインテールを要求したのも、

やはり、死んだ長女の、安裕香の”幻影”をずっとずっと

追い求めていたからなのだろうー。



「ーーひぅっ」


「ーーーー?」


部屋から一足先に出ていた哲雄が”変な声”に気付き、

振り返るとー


「俺が間違ってたー」

と、茜を抱きしめたままの幸徳が呟いたー。


「ーーお、おいー?」

哲雄が異変に気付くー


抱きしめられたままの茜に”注射器”が打ち込まれていて、

茜はじたばたともがきながら

「おにい…ちゃん…?」と、苦しそうに呟くー。


まるで”空気が抜ける”ようにして、茜が再び皮になっていくー


「ーごめんなー茜ー

 ”お前なんかに”期待してー」


幸徳が皮になった茜に対して言い放つー。


「ーお、お前ー…な、何をー?」

哲雄は呆然としながら幸徳を見つめるー


「ー”俺が間違ってた”よー。

 茜なんかに期待するんじゃなかったー

 お前なんかに期待するんじゃなかったー。」


そう言いながら注射器をくるくると回すー。


「ー注射器が”1本”って誰が言ったー?

 注射器は2セット買ってたんだよ」


幸徳はそう言うと、


「ーーお前に茜を着てもらって、”ちゃんとした茜”に

 なって貰おうとしたのが間違いだったー


 最初からー」


と、茜の皮を掴んで、幸徳はそのまま”茜”を着たー


「ー最初から俺が茜になればよかったんだ!!!!」


幸徳に着られて支配された茜が狂気の笑みを浮かべながら笑うー


「ーゆ…幸徳!!!!お前!!!!!!!!!」


てっきり、幸徳が改心したのかと思っていた哲雄は

怒りの形相で茜の方に向かうー。


「ーー俺が茜ー そう、これからは俺が茜だ!

 俺は茜とひとつになったんだ!

 あはっ!あははははははっ!


 俺はお兄ちゃんであり、妹でもあるんだ!!!」


茜は、そう叫びながら、持っていた注射器の一つを踏みつぶすー。


”スペア”のもとに戻す注射器を破壊した茜ー


「これでもう茜は元には戻せない!ははっ!」

茜が笑いながら叫ぶー。


「ーテメェ!どうしてそこまで!幸徳!ふざけんなよお前!!」

哲雄が茜の腕を掴もうとしたその時だったー


「ーお前、もういらないや」


プスッー


哲雄は、嫌な感触と同時に、

自分の身体から”すべてが抜けていくような”

そんな感覚を覚えたー


「ーーお…おま……」

哲雄は、やがて言葉を発することもできなくなり、

その場に崩れ落ちるー。


「ーーー安心しろ お前は着ないー

 ハサミで切り刻んで、明日の燃やすごみに出してやるー」


茜のそんな言葉を最後に、哲雄の意識は途切れたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


後日ー


”幸徳”は消息を絶ち、両親も戸惑っていたものの、

”何が起きたのか”は、両親ですら理解することはできなかったー


”ツインテール”にした茜は部屋の中で

一人、鏡に向かってキスを続けているー


「ーお兄ちゃんだいすきー

 お兄ちゃんだいすきー♡

 お兄ちゃんだいすきー♡」


彼氏とは早速分かれて、毎日毎日”お兄ちゃん”への愛を呟く茜ー。


「ーー俺も大好きだよ茜ー」

鏡に向かって、一人で”お兄ちゃん”と”妹”両方のセリフを繰り返す茜ー


「ーーーーー最高だー♡」

茜はキスを終えると、うっとりとした表情で

鏡に映る”妹”であり”自分”でもある存在を満面の笑みで見つめたー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


いつもお話を作る時には

バッドエンドかハッピーエンドか迷ったりして、

書き始める前には大抵のお話で、”両方”の結末を頭の中で

考えてみるのですが

(※①を書く時点ではもう決まっています☆)

今回はバッドの方が映えそう(?)だったので、

バッドエンドのお話にしました~!


ここからの逆転は…もう難しそうですネ…!


お読み下さりありがとうございました~!☆

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