Home Artists Posts Import Register
Join the new SimpleX Chat Group!

Content

夢に向かって日々頑張っていた高校生の架純が

交通事故に巻き込まれたー。


事故の原因は運転手の男・茂が運転中にスマホをいじっていたことに

よるものー。

運転手の茂はその事故により死亡、

だが、幸いなことに被害者である架純の方は辛うじて助かり、

無事に意識を取り戻すー。


娘の無事を喜ぶ父・明夫ー。


だがー…

娘の架純は、死んだはずの運転手・茂に憑依されていて、

父・明夫の前で開き直った態度を見せるのだったー…。


★前回はこちら★↓

<憑依>憎悪の狭間①~娘の異変~

「ーーじゃあ、気を付けて」 後部座席に乗っている娘に対して、そう声をかけると 娘の深沢 架純(ふかざわ かすみ)は、 「うん!ありがとう」と、微笑むー。 高校2年生の架純は、頑張り屋で優しい性格の持ち主ー。 ちょうど”思春期”と呼ばれる年頃真っ最中であるものの、 父親とも、母親とも仲が良く、 家族とも良好...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


病室ー。

交通事故に遭った娘・架純が目を覚ましたというのに、

父・明夫は険しい表情で架純を睨みつけていたー。


それもそのはずー、

架純は運転しながらスマホをいじっていたことによって

事故を起こした男・茂に憑依されている状態になってしまっていたー。


”身体は架純”


でもー


中身は、娘を傷つけた、明夫にとって最も憎むべき相手ー。


しかも、事故を起こした理由は”スマホを見ていたことによるもの”

つまりー、明夫からしてみれば、

何の同情の余地もない人間なのだー。


「ーー娘はー…娘は、どうしてるんだー?」

怒りの形相で、深く息を吐きながら明夫が

目の前にいる架純に質問するー。


”死んだはずの事故を起こした運転手”が

架純に乗り移っているような状態ー…であれば、

架純本人の意識はいったいどこに行ってしまったのだろうかー。


「ーーー…ふぅ~~~~~」

架純は綺麗な髪を掻きむしりながら、

「ー悪いけど、分かんねぇんだよ」と、

ニヤニヤしながら呟くー


「さっきも言ったけど、俺だってこの子の身体で

 目を覚ましたばっかで、

 出て行く方法も分からねぇし、この子がどうなってるのかも

 分からないー。

 俺に聞かれてもって感じだなー」


まるで他人事のような軽い口調で言う架純に対して、

明夫の怒りは、さらに膨れ上がっていくー。


「ーー娘を事故に巻き込んだだけでなく、

 娘の身体まで奪うつもりか!!」


明夫は病室の机を叩きながら、

大声で叫ぶー。


「ーーーーふふっ」

架純は少しだけ笑うとー

「お父さんさぁ~ここ、”病院”なんだけど。

 静かにできないの~?」と、

煽るような口調で言い始めたー。


架純じゃないー。

そんなことは分かっているー

でも、”架純に言われているような”

そんな気持ちになってしまうー。


「ーー架純の真似をするな!!!!!」

明夫が、架純の腕を乱暴に掴むー。


「ーーーーーーー」

腕を掴まれた架純は一瞬驚いた表情を浮かべながらも、

すぐにニヤッと笑みを浮かべて

「だ~か~ら~!痛いよ?お父さん?」と、

馬鹿にしたような口調で呟くー。


「ーーーくっ… く……く、、くそっ!!!!」

壁に拳を叩きつける明夫ー。


そんな明夫のほうを見ながら

架純は「まァ、真面目な話ー」と、言葉を続けるー。


「ーあんたにはこの状況、どうすることもできないし、

 俺にもこの状況、どうすることもできないんだよー。

 出て行く方法も分からないし、架純ちゃんーだったっけ?

 この子の意識がどこにあるのかもわからないー」


そんな架純の言葉に、明夫は悔しそうな表情を浮かべながら

「ー架純の身体でー」と、言葉を口にするー


「ー架純の身体で変なことを絶対にするんじゃないぞー!」

明夫の今にも爆発しそうな怒りをギリギリのところで

堪えながら発した言葉に、架純は

「ーへへ…人生を壊したりしないから、安心しなよー」と、

笑みを浮かべるー。


「ーこの子の身体で変なことしちゃったら、俺だって困るだろ?

 だってー

 もう、俺の身体は死んじまったんだから」


そんな架純の態度を見つめながら、

”架純の言葉遣い”

”架純の仕草”

”架純の表情”

あらゆる部分が、気になってしまう明夫ー。


架純が”俺”と言っているー

いや、”言わされている”だけで、心に刃物を突き立てられるような

そんな苦しみを感じるー


架純本人が自ら望んで一人称を”俺”にしてるなら、

それはそれで構わないー


けど、今の架純はそうじゃないー


”事故を起こした男”に乗り移られてー

本人の意識とは関係のないところで、

そんな言葉を口走らされているのだー。


「ーーー…頼みがあるー」

明夫は怒りを堪えながら、架純の方を見つめるー


「なんだー?娘とヤリたいのかー?」

架純が揶揄うつもりでそう言葉を口にしたー


「ーーお前、今言ったこと分からなかったのか?」

明夫が、殺意の満ちた目で架純を睨みつけたー。


「ーーー今、娘の身体で変なことするなって言ったよな!?」


その目はー

今にも架純を殴りつけそうなほどに、

憎しみに満ちていたー。


「ーわ、わ、悪かったよー」

流石に架純に憑依している茂もまずいと思ったのか

トーンダウンして、表情を曇らせると、

「ーー……で……何だよ、頼みってー」と、

明夫のほうを見つめたー


明夫は、”まだ怒りが収まらない”と言わんばかりの様子で、

「真美子の前ではー、架純のフリをしていてくれー」と、

頭を下げるー。


「ー真美子?」

架純が表情を歪めるー。


母親の名前を出しても、首を傾げる娘を見て、

明夫は”中身は架純じゃない”と理解しつつも、

酷くショックを受けてしまうー。


「ー俺の妻ー…要するに、架純の母親だー」

明夫が言うと、架純は「あぁ…なるほど」と、頷くー。


「ーーーー真美子がこのことを知ったらー…

 真美子は、きっと耐えられないー。

 だから、頼むー」


明夫が必死に頭を下げるー


そんな様子を見て、架純はしばらく沈黙していたが、

やがてー口を開いたー。


「ーーーーお願いしますー…だろ?」

架純がニヤリと笑うー。


「ーなに?」

明夫が顔を上げて架純のほうを見つめるー。


「ーー他人にお願いをするときは、

 お願いします、だろー?」


架純が再び言葉を繰り返すー。


「ーお前…!いい加減にしろよ…!」

明夫が顔を赤くして怒りを露わにするー。


だが、今度は架純も引かなかったー。


「ーーじゃ、”お母さん”の前でも

 こうやって話すとするかぁ」


架純が腕を組みながら、鼻で明夫を笑うと、

明夫はギリギリと歯ぎしりをしながら、

架純のほうを見つめるー。


今にも爆発しそうな怒りを、理性でなんとか抑えながらー

”真美子を傷つけないためだー”

と、自分に何度も何度も言い聞かせるー。


そしてー


「ーーーーお願いしますー」

明夫は、悔しそうに歯ぎしりをしながら、

娘の病室で、娘に向かって土下座をしたー


「ーーーーー」

架純は、そんな父親の姿を見つめながら

少し間をおいて、呟いたー


「ーーーもういいよ。わかったー。

 普段、架純ちゃんはどんな風に家で接しているのか、

 教えてくれ」


架純がそう言うと、明夫は険しい表情を浮かべながらも

”わかったー”と、言葉を呟いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


後日ー

架純は退院したー。


相変わらず、バカにしているような態度を

明夫の前で繰り返す架純に、

明夫の怒りはとうに、限界を通り越していたものの、

それでも、今の状況は

”娘の架純を人質に取られている”ようなものだったー。


何故ならー

架純に乗り移っているような状態である以上ー、

この茂という男が

”しようとさえ思えば”何でもすることができてしまうのだからー。


「ーーお母さん、ただいま」

架純が穏やかな笑みを浮かべるー


「よかったー…」

母親の真美子が”何も知らず”に、架純に抱き着くー。


架純が退院するまでの間、真美子も何度か架純の

お見舞いに来ていたものの、

架純に憑依している茂は”約束通り”

母・真美子の前では”架純のフリ”を続けていたー。


だがー

”いつ”本性を現すか分からず、父の明夫から

してみれば、常にひやひやしている、そんな状態が続いていたー。


「ーーここが、架純ちゃんの部屋かぁ」

父・明夫に案内されて、架純の部屋にやってくると、

架純はそう呟いたー


”自分の部屋についたのに”

そんな言い方をする人間は、普通はいないだろうー。


だが、今の架純は、そんな、普通は言わない言葉を口にするー。


「ーー絶対に、架純の私物をいじるなよ」

明夫が言うと、架純は「へへっ…わたしのものをわたしが

どうしようと勝手でしょ?」と、笑みを浮かべるー。


「ーー…お前…!」

明夫の言葉に、架純は「いちいちそう怒るなって」と、笑うー。


「ーそうそう、トイレとお風呂、着替えは普通にするからな?」

架純はそう、明夫に対して伝えるー。


一瞬、架純の言葉に、明夫は反論しようとしたが、

すぐに口を閉ざすー


「まさか、年頃の女の子に

 ”漏らせ!” ”風呂に入るな” ”着替えるな”なんて、

 言えないもんなぁ?」


こればっかりはー

架純に憑依している茂の言う通りだったー。


明夫がやり場のない怒りを感じて、

架純のほうを見つめるー。


「ーーいや、まぁ、”お父さん”が、

 トイレに行くなっていうのなら、俺は部屋で漏らすし、

 風呂に入るなっていうなら”汚い架純ちゃん”になって学校に行くし

 着替えるなっていうならー」


「ーわかった!もういい!」

明夫が叫ぶと、架純は「へへ…ありがと♪お父さん!」と、微笑むー。


母・真美子の前では”架純”として振る舞っている茂だったが、

明夫の前では相変わらずの人を小馬鹿にしたような態度ー


「ーそもそも、お前がスマホなんか運転中に見てるから

 こうなったんだー。

 お前を必ず娘から追い出してやるからなー?」


明夫が言うと、架純は「ーふふふ…お父さんってばこわ~い!」と、

ふざけた笑みを浮かべながら答えたー。


怒りのあまり言葉を失う明夫ー。


ふと、架純が周囲を見渡すと

「へ~…この子、絵を描くのが好きなのかな?」と、呟くー。


「ーーあぁ…架純は小さいころから絵を描くのが好きだったからなー

 将来はイラストとか漫画を描きたいって言ってたし、

 そのために頑張ってたー」


明夫が悲しそうに言うと、

架純は「ふぅん…」と、”自分”が描いたイラストを見つめるー。


「ーーー………ふん」

鼻で笑って興味なさそうにそれを放り投げると、

架純はベッドの上に座って笑みを浮かべたー


「ーまぁ、今は俺の好きなようにやらせてもらうぜ へへ」

と、だけ言いながら胡坐をかくと、

明夫に向かって架純は言い放ったー


「それじゃ、お父さん、いつまでも娘の部屋にいないで

 早く出てってよ」


架純がニコニコしながら言うー。


「ーーー…絶対にー…絶対に架純の身体で変なことするなよ…!」

今にも飛び掛かりそうな鬼のような形相でそう言い放つ明夫ー


張り詰めた空気が部屋の中に漂う中ー、

架純はクスッと笑ったー。


「ーわたしが、わたしの身体をどうしようと、自由でしょ?」

とー。


「ーー貴様ー!」

明夫の顔が歪むー


「ーーあはっ!あははっ!冗談だって!

 大丈夫、この子の人生を壊すようなことはしないよ。

 俺だって”もう自分の身体はない”んだからー

 この身体の人生が壊れちゃったら、困るからなー」


架純の言葉に、明夫は悔しそうにしながらも、

そのまま架純の部屋から外へと立ち去ったー


”ーー架純ー”

部屋から出た明夫は心の中で呟くー


”架純ー…俺が絶対に助けてやるからなー”

”事故を起こした男に憑依されている娘”

最悪の出来事だー。


でもー

決して、諦めないー

親が諦めた時、子供の未来は閉ざされてしまうからー。


ぎゅっと拳を握りしめて、

明夫は妻・真美子を心配させないようにと、

深呼吸して、穏やかな表情を浮かべるように努めながら

妻の待つ1階へと降りて行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーへへへ、面白い父親だなー」

架純はそう呟くと、

笑みを浮かべたまま、自分の胸を触り始めたー


「今は”わたし”の身体だしー

 どうしようが、わたしの自由なんだよー

 おと~さん」


馬鹿にしたように呟くと、架純は自分の胸を

嬉しそうに両手で揉み始めるー。


父・明夫がこんな光景を見ていたら

怒り狂ってしまうかもしれないー。


そんな、光景ー


「ーわたしは架純…ふふふ わたしは架純 わたしは架純ー

 架純架純架純架純架純ーー…


 ふふっ…あはははっ

 たまんねぇな…!あはははははっ♡」


架純は一人、自分の部屋で愉快そうに笑い始めるー


理不尽に事故に巻き込まれてー

その上、身体まで奪われてしまった架純は今、

とても嬉しそうに、笑みを浮かべていたー



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


ゴールデンウィークの3連休も最終日ですネ~!

明日もお休みの方はまだまだ連休を堪能してくださいネ~!


仕事!学校!の人は、

私と一緒に頑張りましょう~★!


今日もわざわざここに足を運んでくださりありがとうございました~!

いつも感謝デス~!

Files

Comments

No comments found for this post.