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治彦に奪われた身体を取り戻すため、

あらゆる手を尽くす治彦(裕美)ー


治彦(裕美)は友人の里恵と連絡を取り、

里恵になんとか入れ替わりを信じてもらおうとするも、

裕美になった治彦が、入れ替わったあとに裕美のあらゆることを

調べていたために、里恵の前でも裕美として振る舞うことに成功してしまい、

里恵にまで、”嘘はやめて下さい”と、言われてしまった

治彦(裕美)ー


そんな中、裕美(治彦)は今日も楽しそうにー

”女子大生”の立場を利用して、配信を始めるのだったー


☆前回はこちら↓☆

<入れ替わり>今日から俺は人気者④~反撃~

女子大生と入れ替わってしまった治彦は、 裕美の身体で、一気に人気配信者へと上り詰めたー。 一方、治彦になってしまった裕美は、なんとか自分の身体を 取り戻そうと”入れ替わってしまった”ということを周囲に伝えようとする。 しかし、裕美(治彦)や、そのファンたちから 治彦(裕美)を”人気の女性配信者に嫉妬する...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”現役女子大生が、一人で激辛ラーメンに挑戦”


「ーーあうっぅぅぅ…から~い…」

裕美(治彦)は可愛らしい仕草を心掛けながら

激辛ラーメンを口にしていくー


ただ激辛ラーメンを食べているだけなのに

再生回数は伸びて、たくさんの応援コメントに包まれるー


「みんなありがとうー…頑張る…」

裕美(治彦)は顔を赤くしながらそう呟くと、

激辛ラーメンを口にしていくー


入れ替わってから、さらに時は流れー

裕美(治彦)は充実した”人気配信者ライフ”を送っていたー。


もちろん、そんなに簡単にテレビデビューをするようなレベルで

有名になることはないが、

それでも、十分すぎるぐらいのファンを抱えて、

動画の収益化にも成功し、それなりの収益を得て、

治彦本人からすればまさに”夢”のような状態だったー。


「ーーおめでとう!お嬢ちゃんやるなぁ」

配信に協力してもらったラーメン屋の店主が

拍手をすると、裕美(治彦)は「ありがとうございますー

でも、最後はだいぶ苦しかったですけど」と、微笑むー。


”どんな仕草をすれば”

男が魅了されるのかを、治彦は”自分の経験上”から考え、

そして、実践していたー


”元男であるからこその

 あざとい女子大生”となった裕美(治彦)には

男性のファンがたくさんついていたー。


「ーほら、頑張った裕美ちゃんにおみやげだー」

このお店で販売されている持ち帰り用の冷凍食品を袋に入れて、

それを裕美(治彦)に渡す店長ー。


「え~~~!?申し訳ないですよぉ~」

裕美(治彦)が大げさなリアクションをすると、

「ーあんなに頑張って食べてもらったんだー。

 それに、裕美ちゃんのチャンネルは、視聴者も多いし、

 宣伝にもなるからさー

 そのお礼だよ」と、店長が笑うー


「わ~~~うれしい」

少し甘い声を出して、微笑むと、

裕美(治彦)は「美味しくいただきますー」と、笑顔を

店長に向けたー



「ーーははは、ちょろいもんだぜ」

裕美(治彦)は”現役女子大生”という肩書と、

裕美の容姿、声ー

そういったものを使うだけでこんなにも変わるなんてー。


いやー、もちろん全ての女子がそうと言うわけではないだろうー。


だがー

裕美の身体になった途端に、”治彦が配信していたのと同じような内容”で

ここまで人気になることができたんだー。


これはつまりー…

治彦に足りなかったのは”努力”ではなかったことを意味しているー。


裕美(治彦)は、そう思ったー。

”俺に足りないのは、努力でも才能でもなかったんだー

 ”華”という名の見た目だったんだー。”


裕美(治彦)はニヤリと笑みを浮かべながら鏡を見つめるー


「元々才能のあった俺が

 可愛い身体と女子大生という肩書を手に入れたー…

 へへへ…もう怖いもんなんてないぜ!

 へへっあはははははははっ♡」


裕美(治彦)は”ファン”から届いた

”わたしに着てほしい衣装”を見つめるー。


最近では、ファンにこうして”色々な衣装”を買ってもらいー、

そして、裕美(治彦)はそれを着て、生配信を行うー、という

企画も行っているー。


「ーーへへへへ…チャイナドレスにブルマか…」

裕美(治彦)は”少しお願いするだけで、こんなに買ってもらえるなんてー”

と、笑みを浮かべながらも、

「まぁ、こんな可愛い女が、送った服を着て配信してくれるー…

 なんて言ってたら、俺も送ったかもしれないしー

 気持ちは分かる気がするなー」と、

ニヤニヤと笑うー。


まさに”楽園”ー

まさに”夢”ー


こんな人生が手に入るなんてー。


裕美(治彦)は、少し前から大学にも通い始めたー。

裕美の過去のLINE、SNS、メール…

大学のプリント類や、大学の情報などを徹底的に調べ、

出来る限りの準備をしたー。


その結果ー

”裕美、なんか変わったね?”と言われることはあってもー

”致命的な変化”を周囲に感じ取らせることはなかったしー

”配信者デビューしたから変わった”と、

周囲に思わせることができたー。


「ーーなんか裕美、可愛くなったよね~」

親友の里恵にそう言われた裕美(治彦)は気分よく

笑みを浮かべるー。


”裕美の配信”の人気ぶりは大学でも話題になり、

大学内で、裕美(治彦)は人気者になっていたー。


元々、孤立していたわけでも、

友達がいなかったわけでもなく、

ほどほどに人付き合いはあったものの、

今の裕美は、まさに”大学内のアイドル”のような扱いになっていて、

治彦にとっては本当に夢のような状態だったー。


「ーふふふふ…♡」

裕美(治彦)は笑みを浮かべるー


”今頃、この子はどうしてるんだろうなー…?

 でもまぁ…この状況ー…

 俺の方が”この身体を有意義に”使えるってことだぜー”


裕美(治彦)は”勝ち”を確信していたー。

人生の大逆転だー。


大学でもー

私生活でもー

何もかもが、充実しているー。


”人生”とはこんなにも眩しく、尊いものであったと、

裕美の身体になって、初めて理解したー。


己が身体では、理解できなかった

この世界の”輝き”ー



「ーーーーー」

だが、そんな裕美(治彦)が大学から帰宅している最中ー

その背後から、裕美(治彦)を睨みつけている人物の姿があったー。


「ーーーー…わたしの…身体ー」

ギリッと歯ぎしりをする治彦(裕美)ー


治彦になってしまった裕美は、あのあとも、

自分なりにできるあらゆる手を尽くしたー。


だが、それでもー

自分の身体を取り戻すこともできず、

ネットでは”人気の女子大生配信者に嫉妬するアンチ”扱いされー、

友達からも信じてもらうことはできずー、

実家にも足を運び、必死に両親を説得したが、

ついには”通報する”と言われてしまう始末だったー。


「どうしてー…

 どうして、わたしがこんなー」

治彦(裕美)は、全ての手段を失い、

只々、”楽しそうに配信している自分”を見せ続けられていたー。


しかもー

”裕美が裕美であったころ”よりも、輝いている笑顔でー、

人気者となっている裕美(治彦)を見たくなくても、

見せつけられてしまうー。


まるで、地獄のような日々だったー。


「もう、終わりー」

治彦(裕美)は、今日、”最後の手段”に出ようとしていたー。


そう、それはー


「ーー!?」

帰宅中だった裕美(治彦)が、背後に気配を感じて振り返るー。


そしてー


「ーーわたしの身体を、勝手に使わないで!!!!!!!!!」


刃物を手に、突進してくる治彦(裕美)の姿が見えたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーこんばんは~!今日は以前から気になっていた

 このゲームをやっていきたいと思います~!」


半月後ー

人気女子大生配信者・裕美の配信が始まり、

ファンたちが、それを見つめるー。


今日も裕美は可愛らしい服装に身を包み、

視聴者たちのコメントに答えたりしながら、

ゲームを楽しんでいるー


今日の裕美が楽しんでいるのは、ホラー系のゲーム。


親友の里恵が”裕美、怖いの苦手でしょ?”と笑いながら

先日”今度、これ配信やってみてよ”と、持ってきたゲームだー。


案の定ー

悲鳴を上げながら敵から逃げ続ける裕美ー


”わわ~!?ダメダメダメダメ!来ちゃダメ!”

一人発狂している裕美の実況を、自宅で見ながら

里恵は「ふふ」と、思わず微笑んでしまうー


裕美が予想通りの反応を示していて、

里恵は、満足そうに裕美の配信を見つめるー


”でも、本当によかったー”


里恵は半月前のことを思い出したー

半月前ー

裕美は大学からの帰宅中に

”裕美のアンチ”だった男に狙われたー


突然、治彦という男が、裕美に刃物を持って

突進してきたのだー。


だがー

その際に裕美とぶつかり、裕美と治彦は転倒ー

幸い、裕美はその際に軽く切りつけられた切り傷だけで済みー、

例のアンチ男は逮捕されたー


その治彦という男は、

以前から、裕美の配信に対して”わたしの身体を返して”と

意味不明なコメントを投稿したり、

親友の里恵に対しても、”入れ替わってる”と言ってきたり

裕美の実家を訪れたり、奇行を繰り返していて、

”裕美のファン”だった男が、エスカレートして

犯罪行為に及んだー、と

警察は判断したー


「ーーーーーーー……」


逮捕されて、留置所にいる治彦は、

悔しそうに表情を歪めていたー


「くそっ……!せっかくー…せっかく

 夢を手に入れたのにー」


歯ぎしりをする治彦ー


半月前のあの日のことを思い出すー。


”わたしの身体を勝手に使わないで!!!!!!!!”

大学からの帰り道ー

裕美(治彦)に対して、刃物を手に突進してきた

治彦(裕美)ー


「ーお…お前…!や、やめろ!自分の身体だぞ!?」

裕美(治彦)が必死にそう叫ぶと、

治彦(裕美)は言ったー


「これ以上、わたしの身体が好きにされているの…

 もう見てられない!

 だったら、わたしを殺して、わたしも死ぬから!!!」


追い詰められた治彦(裕美)は、

”自分”を殺して”自分”も死ぬつもりだったー


「わっ…ま、待て!やめろ!」

悲鳴を上げる裕美(治彦)ー


そんな裕美(治彦)に向かって突進する治彦(裕美)ー


だがー

刃物は上手く刺さらず、治彦(裕美)が

裕美(治彦)を押し倒すような形になってしまい、

二人とも路上に倒れ込むー


その時だったー


”再び”入れ替わりが起きたのはー


「ーーいたっ…」

転倒した際に腕にかすり傷を負った裕美は

表情を歪めながらも

「あれ…わたし…」と、自分の身体を嬉しそうに見つめるー


一方の治彦は、まるで天国から地獄に突き落とされたかのように

絶望の表情を浮かべて悲鳴を上げたー


「お…お…お、、も、元に…元に戻ってる…!?

 そんな…そんなああああああああああああ!!!」


そしてー

警察に通報されたあとー


”ーーわたし、あなたのこと許さないー

 でもーー…ありがとうございますー”


裕美に、そう言われたことを思い出すー


”あなたがわたしの身体を勝手に使ったようにー

 わたしは、あなたが作り出した”人気者”のこの状況を

 勝手に使わせてもらいますねー”


裕美は、仕返しの意味もー

身体を勝手に奪われたことへの怒りも込めて、

逮捕される直前の治彦にそう言い放ったー


そうー

裕美と治彦は、治彦になってしまった裕美が

ナイフを持って”これ以上わたしの身体を好きにさせない!”と

”元・自分の身体”を殺して、自分も自殺しようとしていたあの時ー

再びぶつかったことにより、再び入れ替わったのだー


元に戻ってしまった治彦はー

裕美の身体を失い、裕美の身体で作り上げた”人気”を、

そのまま裕美に取られてしまいー、

さらには治彦の身体になっていた裕美が、必死に

”わたしの身体を返して!”と叫んでいたことから

”犯罪者扱いされる自分の身体”に戻ってしまったのだー


「ーーー……」

裕美の配信を、服役中に目にする治彦ー


裕美の身体で新しい人生を送るつもりだった治彦はー

”裕美の人生を壊すような”ことはしておらずー

結果的に、裕美を人気者にしてあげただけー…と、いうような

状態になってしまったー。


裕美の身体と人生を奪おうとした治彦はー

逆に裕美に”自分が裕美の身体で作り上げた人気”を奪われー

しかも、犯罪者のレッテルを貼られてしまったのだったー


「ー結局…俺の人生はこんなもんかー」

すっかり疲れ果ててしまった治彦は、

裕美の配信を見つめながら、深々とため息をついたー。


夢は、夢でしかないー。

現実の中で、夢が叶ったとしてもー

やはりそれは、一時の夢ー…


治彦は、そんな風に思わずにはいられなかったー。


おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


最終回でした~!☆


裕美は、配信関係は未経験でしたが

「せっかくなら…」とそのまま続けた結果、

楽しくなってしまったようデス~★笑


結局、元のあるべき姿に戻った感じですネ~!


お読み下さりありがとうございました!!

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