Home Artists Posts Import Register
Join the new SimpleX Chat Group!

Content

洗脳された幼馴染の結花里をなんとか助けたいー。


そう思い、結花里を洗脳した不良・大悟と直接対峙した紀明。

しかし、大悟は目の前で”わざと”一度結花里の洗脳を解除し、

苦しむ結花里を見せつけたあとに、再び結花里を洗脳しー、

紀明を精神的に追い詰めていくー。


結花里は、紀明に敵意をむき出しにし、

大悟は”結花里は俺の所有物だ”と言わんばかりに

勝ち誇った表情で立ち去っていくー。


紀明はただ、その場で絶望することしかできなかったー。


☆前回はこちら↓☆

<MC>洗脳されたとわかっていても③~奈落~

結花里は、自分が半年前に不良生徒の大悟らに 洗脳されたことを知ったー けれど、その事実を知りながらも 今の結花里には”半年前までの自分”の考えが全く理解できず、 思い出すだけで苛立つばかりー。 今の現状に満足していて、事実を知ったあとでもなお、結花里は 「洗脳してくれてありがとう」と大悟に対して微笑むー...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


帰宅した結花里は、母親から声を掛けられて

「ウザい!黙ってて!」と、叫ぶと、

そのまま部屋へと戻っていくー。


洗脳されてからの結花里は、両親との関係も

”最悪”の状態に陥っていたー。


部屋に戻って鞄を放り投げると、乱暴に

壁を蹴りつける結花里ー


”さっきー…”

結花里は何度も舌打ちを繰り返しながら

イスに座ると、不愉快そうな表情を浮かべるー


いつも穏やかだった結花里の表情ー。

だが、洗脳されてからは、険しい表情を浮かべ続けているー。


さっきー、一度”大悟に洗脳を解かれた時”のことを思い出す結花里ー


とても、とても不愉快な感じだった。


「ーあれが本当のわたしだって言うのー…?」

そう呟くと、結花里は不満そうに、自分の机を思いきり叩いたー。


「ーーわたし……酷いこと…いっぱい…

 ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…

 ぅっ…うっ…うあぁああああああ…」


「ーーー」

ギリッと歯ぎしりをする結花里ー


「あんなのわたしじゃないー…

 今のわたしが本当のわたしよー…!

 

 何がごめんなさいだよ!」


鏡に向かって怒鳴り声を上げる結花里ー。


紀明の言う話は、本当だー。

”半年前に洗脳された”のも、本当なのだろうー。

そして、さっき一度、洗脳を解除されて、

今はまた、洗脳されているのだろうー。


でもー

それでもー


「ーー大悟…♡」

結花里は苛立ちを埋め尽くすかのように

”大好きな大悟”のことを考えながら

一人、エッチなことを始めるー


いつもより激しくー

部屋の外に漏れだすほどに喘ぎ声を上げるー


洗脳されてたって構わないー

これが、今のわたしなんだからー。


”洗脳されている”そんな自覚があってもー

洗脳されている結花里は、

”正気の自分”のことをどうしても認めることができなかったー。


結花里は悪くないー。

結花里が弱いわけではないー

そう思わされてしまうー

それが、洗脳の力なのだからー。


・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「ーーふん」

結花里が不機嫌そうにガムを噛みながら

教室の座席に着席すると、

紀明は悲しそうな目で結花里を見つめたー。


「月森さんー…」

まだ、諦めたわけではないー。

けれどー

どうすれば、結花里を元に戻すことができるのかー


それが、もう、分からなかったー。


「ーーー……」

紀明や結花里よりも遅れて登校してきた静穂は

紀明のほうを見て、

”昨日、どのような結果になったのか”を悟ったー。


”やっぱり、矢吹くんは優しすぎるよ”

そんな風に心の中で静穂は思うと、

結花里のほうを睨みつけたー。


”わたしがー…やるしかないー”

とー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


放課後ー


大悟たち不良のたまり場になっている

ロボット同好会の部室に向かおうとする結花里を、

静穂は呼び止めたー。


「ーーー…何よ」

結花里は、面倒臭そうに静穂のほうを見ると、

静穂は「結花里ー…少し、話があるの」と、呟くー。


「ー話?あんたとなんて、話すことないー」

結花里はそれだけ言うと、立ち去ろうとするー。


だがー

今日の静穂は引き下がらなかったー


「ー結花里にはなくても、わたしにはあるの!」

静穂の言葉に、「は?」と不愉快そうな結花里ー。


「ーーいいからこっちに来て!」

生徒会書記でもある静穂が近くの生徒会室の中に

結花里を引きずり込もうとするー。


だがー、

結花里は静穂を振り払ったー。


「ーうざい!何なの!?」

結花里の言葉に、静穂は「いい加減に目を覚ましてよ!」と叫ぶー。


「ーーはぁ?だ~か~ら…!

 洗脳されてるのはもう分かったの!

 目も覚めてるの!


 今のわたしは、好きでこうしてるの!!!」


結花里が怒りを抑えきれない様子で、そう言い放つー。

けれど、静穂はそれでも、結花里に「とにかく!話を聞いて!」と、

結花里を真っすぐと見つめたー。


結花里は舌打ちしながらも「ーくだらない話だったら、すぐに帰るから」と

言いながら、仕方がなく静穂と共に生徒会室に入ったー。


生徒会室に入った静穂はー

”結花里…ごめんね”と、思いながらも、結花里の正気を

何とか取り戻そうと、心を鬼にしたー。


「結花里さ…前に”好きな人がいる”って言ってたよねー」

静穂が言うと、結花里は睨むようにして静穂のほうを見つめたー。


「ーあれ、誰のことだったのー?」


半年前ー、洗脳される直前に、結花里からそんな話を聞いた時にはー

静穂は、結花里が誰のことを言っているのか、全く

分からなかったー。


けれど、この半年間ー、結花里を正気に戻すために、

結花里の幼馴染でもある紀明と一緒に行動することが多くなって、

静穂は悟ったー。


”結花里が好きだったのは、きっと矢吹くんのことー”

とー。


そして、”そこ”を攻めれば、結花里の心を取り戻せるのではないか、と

静穂はそう考えたー。


”ショック療法ー”

もしかしたら、結花里を傷つけるだけになるかもしれないー。

けれどーー


”矢吹くんには、できないことだからー…わたしがー”

静穂は、そう思いながら結花里の返事を待つー。


「ーーわたしには、大悟がいれば他の男なんていらないー」

結花里の言葉に、

「ーでも、覚えてるでしょ?洗脳される前のことだって

 ちゃんと結花里、覚えてるんだからー」

と、静穂がすぐに反論するー。


ギリッと歯ぎしりをする結花里ー


「そんなこと聞いて、どうするの?」

結花里の言葉に、静穂は「聞きたいだけ」と、すぐに返事をするー


静穂のほうを睨む結花里ー。

静穂は、そんな結花里の視線から目を逸らすことなくー

逆に結花里を真っすぐと見つめ続けたー。


「ーーーー…(なんで、あんな奴のことー…あり得ないー)」

洗脳された結花里には、信じられなかったー

半年前まで、結花里が好きだったのはー

静穂の”推理”通りー、紀明のことだったー。


お互いに、”幼馴染”という気持ちが強すぎて

それ以上に進むことはできなかったけれどー


「(あんな弱そうで、エッチも下手そうな男ー

 こっちから願い下げよ)」


結花里は不満そうにそう思っていると、

静穂は「矢吹くんのことでしょ?」と、結花里の返事を待たずに

言い放ったー


「はぁ?誰があんなやつのこと!」

結花里がそう叫ぶとー

静穂は「うん。今の結花里は、そう言うよね」と、

微笑んだー。


「ーーな…何が言いたいのよ!?」

結花里は、静穂の話の目的が分からず、困惑するー。


「ーー今の結花里は、もうそういう風になっちゃったから、

 矢吹くんのことなんて必要ないよねー。


 うん。安心したー。

 結花里が”矢吹くんのこといらない”なら、わたしが貰うー」


静穂は、そう言い放ったー。


「ーーーーは?」

結花里が表情を歪めるー。


「ー矢吹くんのこと、もう好きじゃないんでしょ?

 だから、わたしが矢吹くんに告白して、わたしが矢吹君の彼女に

 なるのー」


静穂が笑いながら言うと、

結花里は「ちょっと待って!それどういうこと!?」と

声を荒げながら静穂に迫ってきたー。


「別にー。

 結花里が前、好きだった子が矢吹くんかな?って思ったし、

 結花里、矢吹くんと幼馴染の関係だから

 報告しておこっかなって」


静穂が少し挑発的に言うと、結花里は「ーーあっそ」と、

言いながら静穂から離れるー。


「ーーあ~~…矢吹くん優しいし、

 付き合ったら毎日幸せだろうなぁ~」


静穂がわざとらしく言うと、

結花里は「うるさい!あんなやつのどこがいいの!」と、叫ぶー。


静穂はそんな結花里の様子を見ながら続けたー。


「ーーふふ…そんなこと言わなくても大丈夫だよー。

 今の結花里みたいな子ー、矢吹くんも嫌いだと思うしー」


静穂の言葉に、結花里は静穂のほうを再び睨んだー


「ー今のわる~~~い結花里のこと、矢吹くん、嫌いだってー」


静穂が意地悪っぽく言い放つー。


”結花里ーーー…”

静穂は、紀明と付き合うつもりはないー。

”仲間”として信頼しているものの、

静穂から紀明に恋愛感情を抱いてはいないし、

紀明も、静穂に対して恋愛感情は抱いていないー。


けどー

静穂は”あえて”結花里を煽ったー。

結花里の心を、呼び覚ますためー


「ーーー嫌い……???はは…あはははははははははっ!

 バッカじゃないの!わたしのほうこそ、

 あんなキモイ奴、大っ嫌いよ!」


結花里がそう言うと、静穂は「ふ~ん」とだけ言いながらー

「じゃあ、紀明にも、そう伝えておくねー」

静穂はわざと紀明を下の名前でそう呼ぶと、そのまま生徒会室から

立ち去ろうとしたー。


「ーーーーー」

静穂は生徒会室の扉を静かに開けるー。


その時だったー


「ーー!?」

静穂の腕を、結花里が突然掴んだー。


「ーーなに?」

静穂が結花里のほうを見ながら言うー。


「ーーーーーーー…」

歯ぎしりをする結花里ー。


「ーーわたしが紀明と付き合うことが不満なの?」

静穂が言うと、結花里は目を震わせながら、落ち着かない様子を見せるー。


「ーーー何なの?ハッキリ言いなさいよ!」

普段穏やかな静穂が、洗脳された結花里に対して、

色々な感情をぶつけるようにして、そう叫んだー。


「ーーー…うざい!!!」

結花里はそう叫ぶと、突然静穂の頬をビンタしたー


少し驚きながらも静穂は、結花里のほうを見つめるー。


「ーうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいうざい!!!!」

結花里が発狂したようにそう叫ぶと、

静穂は少しだけ笑ったー


「なにが?結花里には、あの不良の彼氏がいるじゃないー。

 矢吹くんは必要ないでしょー?」


その言葉にー結花里は「うああああああああああああ!!!!」と

叫びながら静穂に突進してきたー


床に押し倒される静穂ー


結花里は、静穂に何度も何度もビンタをお見舞いすると、

胸倉を掴んでから叫んだー


「ーー泥棒女!!!!」

とー。


「ーー泥棒…?矢吹くんのこと、もう嫌いなんでしょ?

 だったら、わたしが付き合ったっていいでしょ?

 それともー…

 まだ、好きなのー?」


静穂があえて心を鬼にして、結花里にそう言い放つと、

結花里は悲鳴に似た叫び声を上げながら、

その場で頭を抱えて蹲ってしまったー


「(結花里…)」

静穂はそんな結花里の姿を見ながら、

心を痛めるー。


けれどー、ここで止まるわけにはいかないー


「ーーーそんな反応するってことは、まだ矢吹くんのこと、

 好きなんでしょ!?

 だったら、いつまでもそんなことしてたらー

 本当に嫌われちゃうよ?結花里はそれでいいの!?


 洗脳されるまでの記憶もちゃんとあるんでしょ!?

 だったらー、だったら、元の結花里に戻ってよ!!」


静穂は目に涙を浮かべながらそう叫んだー


結花里は蹲ったまま、しばらく泣いているような声を上げると、

やがて、静穂のほうを見つめたー。


「ーーあんたに…わたしの気持ちなんて分からないー…」

結花里は涙目のまま静穂のほうを見つめるー。


「ー洗脳されてることなんて、分かってる!

 あいつの…あいつのことが好きだったのも分かってるよ!

 でも…でも、それでもわたしは大悟が好きで好きでたまらないの!

 元のわたしのことを思い出すと、ウザくてウザくて仕方がないの!」


結花里が泣きながら叫ぶのを見て、

静穂は「結花里…」と、か弱い手を握りしめるー。


「ーーだったら…!だったら、元に戻る方法を一緒に探そうよ!

 わたしも、手伝うから!」

静穂の言葉に、結花里は静穂を鼻で笑うー。


「ーーいいの。わたしは今のままでー。

 真面目にやるなんて、馬鹿みたいだしー

 戻りたいなんて、思ってない」


結花里はそれだけ言うと、目の涙を雑に拭いて

そのまま逃げるようにして立ち去ろうとするー。


「ー洗脳されたと分かってても、

 もう、わたしは、大悟から逃げられないしー

 大悟と一緒にいるのが幸せなのー」


結花里はそう言うと、生徒会室の扉を乱暴に開くー。


「結花里!!!」

静穂がありったけの感情を込めて叫ぶー。


その叫びに、結花里は立ち止まると、

「ーーー……そんなに言うんだったらー…

 あんたがわたしを洗脳して、元のわたしみたいなわたしに

 戻してよー」

と、だけ呟いたー。


「ーーえ…」

静穂が言うと、結花里は静穂のほうを見るー。


「ーわたしなりに、考えたのー。

 わたしのことを”誰かが”上からさらに洗脳してくれればー

 ”元通りのわたしになるように”洗脳してくれればー

 昔のわたしみたいに、戻れるんじゃないかってー」


”洗脳された結花里”が、

洗脳された範囲内でようやく導き出した答えー。


「ー大悟、まだあの薬、持ってるみたいだからー」

結花里はそれだけ言うと、舌打ちして、そのまま立ち去ってしまったー


”助けてー”

洗脳された結花里に言える”ギリギリのSOS”ー

静穂には、そう思えたー。


「ーー結花里ー」

静穂は、そう呟くと、一人残された生徒会室で

「必ず、助けるからねー」と、

明日、紀明にもこのことを相談することを決意しながら、

静かにそう呟いたー。


⑤へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


「洗脳されたという自覚があっても抗えない…」

そんなテーマの作品の結末は…!?


いよいよ次回が最終回デス~☆!

今日もお読み下さりありがとうございました~!

Files

Comments

No comments found for this post.