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男子高校生・祥吾は、

ある日ー、彼女の樹奈が生徒会室で

男に”真っ二つ”にされて”皮”にされた挙句、そのまま”着られて”

乗っ取られてしまうという恐ろしい光景を目撃してしまったー。


だが、翌日ー。

樹奈は”いつものように”登校したー。


祥吾の前でも一見普通に振る舞う樹奈ー。


しかし、昨日の光景は確かに現実だー。

祥吾は、昨日のことを聞こうと思ってもー…

言い出せずに、そのまま時間だけが過ぎていくー…


☆前回はこちら↓☆

<皮>さよなら負け犬①~目撃~

「ーーお疲れ様~!」 生徒会室ー。 2週間後に迫った文化祭の話し合いのため、 今日は放課後に生徒会の話し合いが行われていたー。 ちょうど、1時間ちょっとの話し合いが終わり、 生徒会書記の一人、響 祥吾(ひびき しょうご)は 少し眠たそうにしながらも、「ーあ、お疲れ」と、 先に生徒会室から外に出る後輩の男子...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


昼休みー


祥吾は、朝から今に至るまで、

ずっと樹奈の様子を気にしていたー。


友達と楽しそうに雑談している樹奈ー。

授業中は真面目にいつものように授業を受けていた樹奈ー。


特に、変わった様子はないー。


「ーー今日から俺が松原 樹奈だぜー」


昨日の放課後ー、

生徒会室で見たあの光景はー…


「ーーあ、ごめん、ちょっとお手洗いにー」

友達と雑談していた樹奈は、そう言いながら立ち上がるー


「ーーーー」

祥吾は、表情を歪めながら考えるー


昨日見た、あの光景は何だったのだろうかー。

自分の中で必死に”夢”だとか”見間違い”だとか、

そんなことを何度も何度も考えるー。


けれど、祥吾にも分かっているー。


あれはー

確かに”夢”ではなかったー。


あの場の空気ー、感触ー…

全てが”現実”だったー。


と、すればあり得るのは見間違いー。

しかし、見間違いだとしてもー


「ごめんね~!」

頭の中で必死に、昨日見た光景に対する

気持ちの整理をつけようとしているうちに、

樹奈が教室に戻ってきて、再び友達と話し始めるー。


「ーってか、そういえば今日、樹奈、トイレ多くない~?」

友達の一人がふと、そう呟いたー。


「え~?そんなことないよ~」

樹奈が笑いながら返事をするー。


「ーーー!」

祥吾は、そんな話を自分の座席で聞きながら

表情を歪めたー


1時間目のあとー

2時間目のあとー

3時間目のあとー

そして、昼休みの開始時と、今ー


確かに、かなり回数が多い気がするー。


普段は、樹奈が何回トイレに行っているかなんて

わざわざ見ていないし、気にしてもいないー。


だが、今日は昨日のことがあったし、

朝から樹奈の様子を、暇さえあれば常に観察していた祥吾には分かるー


確かに”毎回授業が終わるたびに”トイレに行くー。


もちろん、普段からトイレが近かったり、

なんとなくトイレに行くやつもいるが、樹奈は普段、そんなに

頻繁にトイレには行ってなかった気がするー。


いやー考えすぎかー


「ーーー吾! ちょっと!祥吾!?」


ふと、声がして、祥吾が我に返ると、

目の前に樹奈がいたー。


「うぉっ!?!?」

祥吾が驚くと、樹奈は「も~~!さっきから呼んでたのに」と

苦笑いしながら言うー。


「ーあ…!?え?」

祥吾が、教室の窓際の方に視線をずらすと、

さっきまで樹奈と話していた友人たちも既に解散したのか、

それぞれ座席に戻ったり、廊下の方に出て行ったり、

別行動を始めていたー。


「ーーー文化祭の日なんだけどー

 ちょっと後輩の子に、一緒に回りませんか?って言われちゃったからー

 祥吾と一緒に回るのは、1日目だけでもいいかなー…?


 祥吾とその子、半分ずつって感じでー」


樹奈が”わたしも祥吾と一緒に回りたいんだけど、その子のこともあるから”

と、申し訳なさそうに言うー。


祥吾は「もちろんー。付き合ってても独占とか、

そういうことするつもりはないしー」と、笑うー。


「ーーよかった!ありがと!」

樹奈は、祥吾の返事に安心したのか、にっこりと微笑むと、

そのまま廊下の方に歩いていこうとするー


「あ、樹奈!」

祥吾は、そんな樹奈を咄嗟に呼び止めたー。


”昨日、生徒会の話し合いが終わった後にー”

と、いう言葉が喉元まで出掛かったー。


「ーーーーー……~~…」

けれどー、祥吾はそれ以上、言えなかったー


「ーさっき、話が少し聞こえちゃったんだけどー

 お腹の調子でも悪いのかー?」

祥吾はやっとの思いでそう尋ねると、

樹奈は「ーーえ?あ~、今日は少し冷えてるし、トイレ近くてー」と、

笑いながら答えるー。


「そっかー。

 樹奈のことになると、つい心配でさー」

祥吾はそれだけ言うと、樹奈も嬉しそうに微笑んで

そのまま立ち去っていくー


廊下に出た樹奈の表情からはー

たった数秒前に浮かべていた笑みが、嘘のように消えてー

冷たい表情を浮かべていたー。


”彼氏持ちなのは知ってたがー…

 面倒臭そうなやつだなー。

 ま、いいさ。少しずつ距離を取ってー

 疎遠にしてやるぜ”


樹奈はにやりと笑みを浮かべると、

そのまま女子トイレの方に向かうー。


「ー教室では…揉めねぇからなー」

樹奈は笑みを浮かべながら、胸を触り始めるー


「ふふっ…♡ ふふふふふふふふっ♡ はははははっ♡」

あまりの気持ちよさに、胸を触りながら笑う樹奈ー。


”さ~てと…この女を少~しずつ、俺好みに変えていかないとなー”


樹奈を乗っ取った男はー

樹奈の記憶を全て読み取ることが出来ているー。


”俺が俺である”

そんな自我は明確に保ったうえで、

”松原 樹奈”としての人生を全てを自分のものとして

奪い取ったー。


”樹奈の生まれてから今までのことー”も、

”樹奈だったら、こういう時、どういう反応をするのかー”も、

”樹奈が、彼氏に対してどういう思いを抱いているのかー”


も、全部分かるー。


まるで、

”俺は俺であり、わたしは樹奈なのー”

というような”二つの自分”がいるような感覚に陥るー。


この不思議な感覚もまた、たまらないー。

そしてー”樹奈としての思考”もありながらー

それを歪めていくのは、もっともっと、たまらないー


「ふ~~~~~…」

スカートの中に手を突っ込みながら樹奈は、

ニヤニヤと笑みを浮かべると、

「さて…と」と、5時間目が始まる時間が近いことを

確認して、そのまま女子トイレの外に出たー。


”文化祭も、本当は自由に行動していたかったがー

 まぁいいー。

 1日だけは、一緒に行動してやるぜー”


樹奈はそう思いながら、にやりと笑みを浮かべてー

そのまま教室へと戻って行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


帰宅した祥吾は

ため息をつくー。


やっぱり、普通にしか見えないー。


でもー…


「ーーくそっ」

祥吾は舌打ちをするー。


単刀直入に聞けばいいのにー、と

自分でもそう思うー。


あれこれ悩むぐらいであれば、樹奈に直接、

”こういう光景を見たんだけど”と、聞けばいいー。

樹奈は、きっと笑いながら「あれはね~…」と言ってくれると思うし、

隠すことなく教えてくれると思うー。


聞けばきっと”なんだ…そんなことだったのか”というような

答えが返ってくるとは思うー。


けどー


もしもー


もしも、本当に、

”現実でこんなことがあるのかー?”と思ってしまうような

恐ろしいことが起きていたのだとしたらー?


樹奈が誰かに乗っ取られているのだとしたらー?


そしたらー

そしたら、どうなるー…?


祥吾は、色々なことを考えては、ため息をついて

頭を抱えることしかできなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーお、副会長ー

 急に呼び出してごめんー」


祥吾は、いつものようにふざけた調子で、

生徒会室にやってきた樹奈に対して、そう呟くと、

樹奈もいつものように「も~副会長はやめてってば~」と、

照れくさそうに笑うー。


「ーそれで、話ってー?」


太陽の光が差し込む夕暮れ時の生徒会室ー

そこで、祥吾と樹奈は二人きりになったー。


ゴクリと唾を飲み込み、何度か深呼吸を繰り返した末に、

ようやく祥吾は言葉を口にするー。


「ーーーこ…この前ー…見たんだー」

心臓をバクバクさせながら、ようやく全ての”言いたいこと”を

口にした祥吾ー。


「ーーーーーー」

樹奈は「ーーあ~~~~~~」と、笑いながら何度か頷くとー


突然、舌打ちをしたー。


「ーー見られたのかー

 だったらー…」


樹奈の表情から、突然笑顔が消えるー。


「ーー死んでもらうしかねぇな」

樹奈の冷たい表情に、冷たい声ー。


「ひっ…!?」

思わず尻餅をついてしまう祥吾ー


樹奈が隠し持っていたナイフを手に、祥吾の方に近付いてくるー。


「ーーーーせっかく、女子高生として生きるつもりだったのにー…

 邪魔されちゃ、たまんねぇからなー」


樹奈はそう言うと、祥吾の目の前までやってきて

ナイフをペロリと舐めたー


「死ねー」

樹奈の冷たい言葉と共に、ナイフが祥吾に向かってーーーー



「ーーうわああああああああああああ!!!!」


祥吾は、思わず布団から飛び起きたー


「ーーはぁっ…はぁっ…はぁっ…はぁっ…」

額から汗を流し、何度も何度も荒い息を繰り返す祥吾ー。


「ーーー兄さんー、どうしたんだよ?」

隣の部屋で寝ている祥吾の弟が、兄の悲鳴を聞いて

困惑の表情を浮かべながら部屋にやってくるー。


「ーーい、いや、何でもないー

 ヤバい夢みたからー…」

祥吾は慌ててそう言うと、弟は「ははは」と、笑いながら

そのまま立ち去っていくー。


「ーーーゆ…夢でよかったー」

祥吾は頭を抱えるー。


”あの日見たあの光景ー”

祥吾は、それに強い不安を抱いているー。


あんな夢を見たのも、きっと、祥吾が彼女の樹奈のことを、

不安に思っているからなのだろうー。


”ーーー…”

祥吾が考え込みながら学校に向かうー。


もしー

もしもー

”夢と同じように”樹奈に”あの日見た光景”の話をしたらー

現実の樹奈はどんな反応をするのだろうかー


「ーーってー」

そんなことを思いながら歩いていた祥吾の目の前に

見覚えのある人影が見えて、

祥吾は思わず声をあげたー


「ーーーえぇっ!?」

祥吾が叫ぶと、

頬を膨らませながら、まるで小学生のように小柄な

生徒会長ー、

先輩の梓の姿があったー。


文化祭の準備で、生徒会”副会長”の彼女・樹奈が、

忙しくしているのは、この会長の梓が、

階段で転んで骨折してしまい、学校に来れない状態が

続いているからー…


でもあったー。


「ーー…まだ復帰できないと、聞いてましたけどー?」

祥吾が先輩である梓に対してそう言うと、

梓は「わたし、もう大丈夫だもん!」と言いながら、

痛々しい姿で杖をつきながら歩くー。


「ーだ、大丈夫ですか?鞄、持ちましょうかー?」

祥吾が慌てて言うと、梓は、指を祥吾の方に向けて「ダメ!」と叫ぶー


「えっ…?」

戸惑う祥吾ー。


「ー子供扱い!だめ!」

小柄なことを気にしている梓がそう叫ぶと、

「ーー生徒会長のわたしが、文化祭当日まで休んでいるわけにはいかないから!」

と、無理やり学校に復帰した理由を語るー


「え…??で、でもー…会長、休んでた方がいいですって!

 ほら、俺の彼女のー…副会長が代わりにー」


祥吾が心配して、そう言い放つと、

梓は「大丈夫!わたしは不死身だから!」と、なぜかドヤ顔で言い返してきたー。


その直後ー。

「いたっ!?」と、苦しそうに叫ぶ梓を見てー

祥吾は”大丈夫かなぁ…”と、小柄で天然な生徒会長を見て

心配そうに呟いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


教室にたどり着いた祥吾は、樹奈のほうを見て、

再び”不安な状況”を思い出すー。


「あ、祥吾!おはよ~!」

樹奈が微笑むー。


「お、おはよう」

祥吾は、いつものように樹奈と雑談をするー。


樹奈の様子は、今日も変わらないー。


”焦る必要はねぇ…”

樹奈を”着た”男は笑みを浮かべるー。


”ゆっくり、少しずつ変えていけばいいー

 俺好みの女にー…

 俺好みの女子高生ライフにー”


樹奈は一瞬、ニヤリと笑みを浮かべたー


「ーー樹奈?」

その笑みを、祥吾は見逃さなかったー


「ーーあ、ううんー。

 文化祭楽しみだなぁって」

樹奈の言葉に、祥吾は「あぁ、そうだなー」と、微笑んだー。


”ーーーーー”

自分の座席の方に戻っていく祥吾を見つめながら

樹奈は舌打ちしたー


「ーーーこの女のこと、ずいぶん観察してやがるなー…」

一瞬、浮かべただけの笑みにも気づかれた樹奈は

少し苛立ちを感じながら

”ま…いいさー。じっくり距離を取るさ”と、心の中で呟いたー


”急に豹変”すれば、周囲に疑問を抱かれるー。


身体と心ー

人生そのものを奪うならばー


”少しずつー慎重に”


だー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


放課後ー


「ーーいた!!!!!」


背後から声が聞こえて、祥吾が振り返ると、

痛々しい姿の生徒会長ー、梓の姿があったー


「ーーえ!? 今日は話し合いなかったですよねー?」

祥吾は、一瞬生徒会の話し合いを忘れたのかと思って

そう言うと、梓は「うん。ないよー。そうじゃなくてー」と、

やっと目の前までやってくると、

信じられない言葉を口にしたー


「ーー響くんの彼女さんー、何かあったの?」

”響くん”とは祥吾のことだー。

つまり、響くんの彼女さん、とは樹奈のことー。


梓の言葉に、祥吾は「え?」と、首を傾げるー。


「ーー今日、昼休みにお話したんだけどー」

会長の梓は、自分が休んでた間のことを

副会長である樹奈から確認するために、

昼休みに樹奈と話したらしいー


そしてー


「樹奈ちゃんー、

 ーー顔は笑ってたけど、目は笑ってなかったからー」


そう、梓は言葉を口にしたー


「ーーーえ?」

祥吾の不安はー

生徒会長・梓の言葉に、

さらに急激に膨れ上がり始めたー…



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


”皮にされる光景を見た”ことを、

なかなか言い出せない状況が

続いていますネ~!


今日もありがとうございました~!

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