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女体化をきっかけにー

No1ホストだったジュンの周辺では、色々な変化が起き始めたー


仕事ではNo1の座から転落ー、

必死に、”女になった身体”でなんとか巻き返しを図るものの、

やはり、現実は厳しかったー。


そんな中、ジュンは”同僚のホスト”たちに対する感情にも

変化が現れ、不安な日々を送るー。


やがてー、母親に”自分が女になってしまった”ことを打ち明けたジュンは

母親からのアドバイスを元に

ホストクラブの店長に対して”ある決意”を口にするのだったー。


☆前回はこちら★↓

<女体化>女体化ホスト③~転落~

ある日、突然女体化してしまったNo1ホストのジュンー。 戸惑いながらも、何とか上手く生活できていたジュンだったが、 やがて、”男ではなくなったホスト”のジュンから 女性客たちの心は離れていくー。 No1の座から転落する危機を迎えるほどに 常連客がいなくなってしまったジュンは、自分が女になってしまったこと...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「お願いがありますー」

女体化したジュンが、ホストクラブ・ファンタジーガーデンの

店長である片桐のほうをまっすぐと見つめるー。


少し戸惑いながらも、片桐店長は頷くー


「ーーーー俺ーーーー

 ”男”として生きることを、諦めようと思いますー」

ジュンの言葉に、片桐店長は一瞬表情を曇らせたー。


ジュンが、何を言おうとしているのか、

瞬時に理解することはできなかったからだー。


「ーー急に女になってからー…

 最初は”身体は女になっても”俺は男として生きていこうー、

 って、そう思ってましたし、

 実際にそうしてきましたー。」


ジュンの言葉に、片桐店長は「あぁ…そうだったな」と、頷くー。


女体化してから、ジュンは髪を短くしたり、

男として振る舞ったり、

服装もできる限り”女”を感じさせないような服装を選んだりー、

ホストとしての仕事も、男として一生懸命やってきたー。


けれどー。


「ーーーーー」

片桐店長は、ジュンのほうを見つめるー。


「ーーーこのままだと俺ー、

 永遠に苦しみ続けることになってー

 永遠に前に進むことができないままになってしまうー…

 そう、思ったんです」


ジュンは少しだけ悲しそうな表情を浮かべるー。


女体化した当初ー

髪を常に短く切りそろえていたジュンだったが、

最近は少しずつ、髪が長くなってきているしー

服装も、当初のように頑なに”男”をアピールするようなー、

そんな服装ではなくなっていたー。


「ーーーいつか戻れるー、そう思ってー

 必死に、自分に”俺は男なんだ”って、

 言い聞かせてきましたー


 でもー

 さっきも言った通り、

 身体だけではなく、だんだん、心も”女”になってきているのがー

 自分で分かるんです。


 最初は、その現実から目を背けようとしましたー。


 ”ふざけんじゃねぇ、俺は男なんだ!”ってー


 けどー……」


ジュンが、”自分が男として生きること”を

諦めなければいけないことを、悔しそうにしながらも、

続きの言葉を振り絞ろうとするー。


「ーーーわかったー」

片桐店長は、ジュンが辛そうに話をしているのを悟り、

静かに答えたー。


「ーーー君は、”女性”として生きる道を選んだー。」

片桐店長の言葉に、ジュンは静かに頷いたー。


話をしている最中、片桐店長は

ジュンの仕草や座り方、話し方ー

そういったものを見ていて、理解したー。


”本人は多分意識していないのだろうがー…”

片桐店長は思うー。


細かい仕草ひとつひとつが”女性”そのものになっているー


普段、頼りない一面も多い片桐店長だが、

彼がこうしてホストクラブの一店を仕切る店長として

やってこれているのは、”人を見る力”=観察眼にあったー。


誰にホストの資質があるのかー、

誰をどこに配置すれば良いのかー、

どのお客さんに、どのホストが合うのかー

そういった”人を見る目”を、片桐店長は

夜の世界で生き延びるために、培ってきたー。


その”見る目”が、ジュンをこれ以上”無理させるわけにはいかない”

と、片桐店長自身も、そう思っていたー。


「ー実はさー、俺も、言おうと思ってたんだー」

片桐店長が頭を掻きながら呟くー


「ー”これ以上無理するな”ってさー。

 ジュンが無理してるのは、俺から見てもよく分かったからー」

片桐店長の言葉に、ジュンは「なんだー…そうだったんですかー」と、

微笑むー。


「ーー…今、店長のこと、ちょっとかっこいいと思っちゃいましたよー

 ーー異性としてー」


ジュンが少しふざけて笑いながら言うと、

片桐店長は顔を少し赤らめて

「バ!バカ!揶揄うなよ!」と、苦笑いしたー。


「ーーーまぁ、半分冗談で、半分本当なんですけどねー…

 もう、俺は身体だけじゃなくて、心も女体化したみたいですー」

ジュンは、そこまで言うと、深呼吸してからー


「ーーで、本題の”お願い”なのですがー」

と、言葉を続けたー。


「ーーはは…言われなくても分かってるさー。

 さっきも言っただろ?

 俺もそろそろ、ジュンに”これ以上無理はするな”って

 伝えようとしてたんだよー」


そこまで言うと、片桐店長は笑みを浮かべながら

「少し待ってろ」と、事務所の奥の方に向かうー。


一人、椅子に座りながら、ジュンは

自分の手を見つめるー。


その手は、完全に男のものではないー。

男でも、手の綺麗な人間はいるがー

やはり、男と女では、”違う部分”もあるー。


そう感じずには、いられなかったー。


視線を下に落とせば、胸の膨らみが見えるー。

当然、男として、およそ20年お世話になったアレは、

もう、自分の身体には存在しないー。


寂しさを覚えながらも、ジュンは、戻ってきた片桐店長のほうを

静かに見つめたー。


「ーーーージュンがお願いしたいのはー

 ”こういうこと”だろー?」


片桐店長はそう言いながら、持ってきた紙をジュンに手渡すー。


ジュンは、片桐店長のほうを見つめるとー

「ーーーさすが店長ー…ありがとうございます」と、

深々と頭を下げたー。


”男して生きること”を諦めたジュンー。

だが、ジュンは”No1になること”も諦めていないし、

”夜の世界で生きること”も諦めたわけではないー。


もちろん、人生を諦めたわけでもないー


”俺は、今までどんな時だって乗り越えて来たんだー…

 急に女になっちまうとか、本当に訳が分からないけどー

 それも全部、乗り越えてやるー…!”


急に女になってしまってー

もう、元に戻れないのならー


”与えられた環境で、必死に生き抜くー”


ジュンの母親が、そうしてきたようにー。


ジュンは、片桐店長から受け取った用紙を見つめるー。

そこには、片桐店長の知り合いが経営する、

この街のキャバクラの一つの情報が書かれていたー。


「ーー男から、女になっても、夜の世界でNo1になるー…

 だろ?」

片桐店長は、ジュンが”女として夜の世界で働ける場所を

紹介してほしい”と、お願いしてくることを見越してー

既に、準備してあったのだー。


「ーここの店長は昔馴染みだからねー…

 ジュンのこともちゃんと話してあるー。


 けどー……

 今まで男だった君が、急に女として、

 女を武器に、頂点に上り詰めるー…ってのは、

 そう簡単じゃないからな?」


片桐店長が言うー。


「ーーーこの店にいる子たちは、

 みんな、生まれてからずっと”女”として

 やってきた子たちだー。


 君とは、”女”の経験年数が違うー」


片桐店長が、”女体化した君には、困難もたくさんあるはずだ”と、

付け加えるー。


それでもー、

ジュンの決心は変わらなかったー。


「ー人生ー、”簡単”なんて思ったことは一度もありませんよー。

 この店でもー、

 学生時代もー」


ジュンがそう言うと、

片桐店長は、ジュンの決意を読み取り、静かに頷いたー。


「ーーーしかし、”ジュン”って名前でよかったなぁ」

片桐店長が立ち上がると、笑いながらそう呟くー。


「ーえ?」

ジュンが首を傾げると、

「ーほら、ジュンって男にも女にもいるだろ?」

とー、片桐店長は笑ったー


「ーあぁ、確かにー…

 これで俺が”タケシ”とか”ゲンザブロウ”とかじゃ、

 さすがにそのままの名前じゃきついですからね」


ジュンが言うと、片桐店長は「だな」と、笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーお世話になりましたー」

ジュンが頭を下げるー。


「ー本当は、ホストとして、もっともっと、

 上を目指したかったけどー

 残念ながら俺は、見ての通りー

 もう、男には戻れませんー。

 どう隠そうとしても、この胸を隠すことはできないし、

 声も、完全に女ですー」


ジュンはそのまま、片桐店長に話したのと

同じような決意を口にしていくー。


そして、最後に


「だから俺はーーーー

 与えられた環境で、精一杯、あがいていこうと思いますー


 今まで、本当にありがとうございましたー」


ジュンは、後輩のホスト・アキラや、

現在のNo1ホストに返り咲いたリョウマー、

No2ホストのタクミー、

その他ホストたちの顔を見つめながら、

笑顔で別れの挨拶を済ませたー。


後輩のアキラがジュンに「ジュンさん!最後に触らせて下さいよ!」と

笑いながら言うー。


ジュンは「やめろよ!今、言っただろ!?もう、触られることにも

抵抗があるんだって!」と、自分の気持ちが男であったころと

変化していることを叫ぶー


「ーーっていうか、イケメンが近くにいるとドキドキするようになったし」

ジュンが揶揄うようにして言うと、アキラは一瞬ドキッとした様子を

見せながら

「ーー俺もジュンさんにドキッとすることになるなんて

 夢にも思いませんでしたねー

 ってか、脳がバグりそうですー」

で、笑いながら呟いたー


「ーあ、そうだ!ジュンさん!

 そのうちもっと心が女性になったら、ここに来て俺を指名

 して下さいよ!」


アキラが笑いながら言うと、

他のホストが「あ、おい!それはせこいぞ!」と、茶化すー。


ジュンは、仲間のホストたちと、最後のひと時を過ごしながらー

”俺は、絶対に負けないー”

と、心の中で呟いたー


”何で俺が女になったのか分からないけどー

 それならそれで、今度は女の夜の世界のNo1になってやるー”


ジュンはそう思いながら、ホストクラブを後にしてー、

自分が今まで働いてきたホストクラブの建物に向かって

頭を下げたー。


「ーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

ジュンが立ち去ったあとー

まだ盛り上がっていたホストクラブ店内で

No1に返り咲いたホスト・リョウマが少しだけ不機嫌そうに

酒を口にしたー


「ーーージュンさん、No1キャバ嬢になれますかね?」

アキラが笑いながら言うと、

リョウマは舌打ちしてから答えたー


「すぐには無理だろうが、アイツなら本当になるかもしれねぇなー」

リョウマは思うー。


アイツは、天才だー。

とー。

才能のある人間は、何をさせても上手く行っちまうー。


”俺が、アイツの飲み物に女体化薬を仕込んで”

No1の座から蹴落としたのにー


リョウマは心の中でそう思ったー。


ジュンが来るまで、ずっとNo1だったリョウマは

表向きは”実力の世界だから気にするな”と言いつつ、

ずっと激しいライバル心を燃やしていたー


だから、裏サイトで手に入れた女体化薬でジュンを女にして

ホストの世界から蹴落としたー


結果ー、リョウマはNo1に返り咲いたがー

リョウマの心は、満たされないままだったー。


”ーー”

あいつはじきに心も完全に女になるー


でもー

あいつは、あいつであることには変わりないー


「ーあいつならーーNo1になるだろうなー」

リョウマは今一度、静かにそう呟いたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


1か月後ー


すっかり見た目も、服装も女性らしくなったジュンは、

今日も勤務先のキャバクラに向かっていたー


もちろん、そんなにすぐにNo1になることが

出来るほど、甘い世界ではないー。


けれどー

この世界は、実力がモノを言う世界だー。


年功序列ではないー。

”力”で上へと上がっていくー


その力に嫉妬する人間もいればー

妨害する人間もたくさんいるー


それでも、それを乗り越えた先に頂点があるー。


「ーーー今日も…頑張ろ」

ジュンはそう呟きながら微笑むと、

今日も、新しい自分の居場所に向かって

歩を進めるのだったー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


女体化ホストの最終回でした~!☆


普段あまり書かない舞台設定のお話だったので、

書いていて、少し新鮮な気持ちになりました…★!


お読み下さり、ありがとうございました~!


近日中に、通常の更新とは別の新コーナーも

(創作に関する考え方のお話みたいなコーナー…!)

スタートできそうデス~!

興味がある方は読んでみて下さいネ~!

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