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後輩の紀香から告白された際に、

恥ずかしさのあまり、否定の言葉を口にしてしまった茂。


自暴自棄になった紀香が”他人に身体を貸す”

入れ替わりバイトを始めたことを知った茂は、

責任を感じて、何とか紀香を立ち直らせようとするー。


しかし、学校では話を聞いてくれない紀香ー。


困った末に、茂は”客”として、入れ替わりカフェに足を運び、

紀香を指名することにしたのだったー…。


★前回はこちら★↓

<入れ替わり>失恋少女②~後悔する先輩~

男子高校生の茂は、同じ図書委員の後輩・紀香から 告白された際に、恥ずかしさのあまり、 告白を揶揄ってきた友人の前で、心にもない言葉を連発し、 紀香を傷つけてしまうー。 失恋したー…と、思い込んだ紀香は自暴自棄になって ”入れ替わりカフェ”で、自分の身体を知らない男たちに貸す 危険なアルバイトに手を出してし...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


紀香に話を聞いてもらうため、

入れ替わりカフェ”夢の花園”へとやってきた

茂は、紀香を指名、さらには入れ替わった状態での

接客を希望するコースを選び、

紀香と入れ替わっていたー。


別に、紀香の身体で好き放題したいわけではないー。


学校でも、余所余所しくなってしまった紀香と話をするには、

こうするしか良い方法が思いつかなかったのだー。


「ーーー水島さんー…

 きっと水島さんは、勇気を振り絞って告白してくれたんだよなー…

 それなのにー…俺…あんな態度しちゃってー…本当にごめんー」


自分から、紀香の声が出ていることに少しドキドキしながらも、

茂は心の内に秘めた思いをしっかりと口にして、謝罪するー。


「ーーーーーー別に、いいです」

茂(紀香)は、それだけ呟くと、目を逸らしたー。


「ーー良くない!だって…水島さん、こんなバイトに手を出してー…

 俺のせいだー…本当にごめんー」

紀香(茂)が再び頭を下げるー。


「ーーー…いいんです。

 真面目すぎてつまらないって、自分でもわかったのでー」

茂(紀香)の言葉に、紀香(茂)は困惑しながらも、

「ーーそんなことないんだよ!

 俺ー…いつも、いつも水島さんと一緒に当番の日は

 その、楽しかったしー…

 仕事も一生懸命頑張ってて、俺も見習わなくちゃなって、

 いつも思ってたんだ!」と、必死に叫ぶー。


「ーーーー…」

茂(紀香)は表情を曇らせながらー

「わたし…”あんな後輩”なので…」と目に涙を浮かべながら呟くー。


「バ…バカ!あんな後輩、好きなわけないだろ!」

友人の大夢に揶揄われた際に、大夢に対して自分自身が言い放った

言葉を思い出すー。


「ーーあ…あれは…あいつ…大夢に揶揄われてー…

 つい…」

紀香(茂)は申し訳なさそうに呟くー。


「ーーーーーー」

茂(紀香)は「もういいですから」とだけ、呟くと、

部屋の中の少し離れた椅子に座るー。


「ーーー……”あんな後輩”なんて、思ってないしー

 ”嫌いなタイプ”なんて思ってないしー」


紀香(茂)は悔しそうに呟きながら

「あぁ…くそっ…俺、どうしてあんなこと言っちゃったのかなー」と

悔しそうに歯ぎしりをするー。


「ーーー…」

茂(紀香)は、そんな紀香(茂)のほうを見つめながら、

複雑そうな表情を浮かべるー。


「ーーーー……くそっ……俺はバカだー…くそっ!」

紀香(茂)は、自分の愚かさに、悔しい気持ちでいっぱいになって、

目に涙を浮かべながら歯ぎしりをするー。


「ーーーーもう、放っておいてくださいー

 わたしは、大丈夫なのでー」

茂(紀香)が言葉を口にするー。


「ーーー大丈夫なんかじゃないだろ!?

 水島さんは、こんなことする子じゃないだろー?」

紀香(茂)は悲しそうに茂(紀香)の方に近付いていくと、

茂(紀香)の腕を掴むー。


それをバッと振り払う茂(紀香)ー


「ーー勝手に…!勝手に決めないでください!

 わたしはこういう女なんです!

 もう…わたしに構わないでください!」


茂(紀香)が泣き叫ぶようにして言うー。


紀香(茂)は、茂(紀香)に手を振り払われたことに

驚いた表情を浮かべながらー、

”そっかー…俺の身体の方が力があるってことかー”と、

初めて入れ替わったことを意識するー。


「ーーーーーーそうだな…うん、ごめんなー」

紀香(茂)はそう呟きながら何度か頷くとー


「ー確かに俺は、水島さんと図書委員で一緒になってるだけだし、

 水島さんのことは、まだまだ知らないよなー…


 だからー…水島さんの気持ちも、俺ー…

 自分が友達に揶揄われて恥ずかしいって気持ちを優先しちゃって、

 ちゃんと考えてあげられなかったー…

 本当に後悔してるー。


 さっきも言ったけど、水島さんはきっと、勇気を出して

 俺に告白してくれたんだよなー…


 俺、誰にも告白したこともなかったし、

 告白されたこともなかったから、そういうこと…

 本当に分からなかったし、緊張して、どうしていいか、

 分からなくなっちゃったんだー…


 ーーごめんなー…

 水島さんから見れば頼りになる先輩だったのかもしれないけど、

 俺…色々、不器用なんだー…

 

 傷つけて、本当にごめんー。」


紀香(茂)は、髪を揺らしながら頭を下げるー。


「ーーーーーーーー」

不器用な言葉だったと思うー。

正直、今もどうやって謝ればいいのか、よく分からないー。


思いつくままに言葉を必死に口から振り絞ってー

出来る限りの謝罪はしたつもりだー。


でも、女の子を傷つけてしまった時、どうすれば良いのかも、

茂には分からないー。


「ーーーーーーーーーー………」

茂(紀香)は、戸惑った様子を見せながらもー

「先輩…頭を上げて下さいー…」と、

ようやく言葉を口にしたー。


「ーーー…」

紀香(茂)が、顔を上げて茂(紀香)を見つめるとー

「ーーなんだか…自分に謝られているみたいで…気味が悪いですー」と、

ほんの少しだけ、茂(紀香)は微笑んだー。


「ーーーーあ…」

紀香(茂)はそう呟くと、

「ーーそ…そうだよなー…ちゃんと…ちゃんと、自分の身体で

 謝らなくちゃなー」と、苦笑いするー。


「ーーー……わたしもー…

 先輩と同じですー…」

茂(紀香)は少し恥ずかしそうに言葉を口にするー。


「ーわたしにとって、先輩は初めて好きになった人でー

 初めて告白した相手でー…

 その先輩に、あんなことを言われてー

 頭が真っ白になって、何にも考えられなくなってー…


 そしたらー

 このバイトを見つけてー


 あんな風に振られた時ー

 どうしたらいいのか…分からなくてー」


茂(紀香)はそれだけ呟くとー


「振られただけで、こんなになっちゃうような後輩じゃー…

 先輩に振られて、当然ですねー」


と、自虐的に笑ったー


「ーーー…そ、そんなことないよ!

 俺ーー

 今度は、ちゃんと俺の身体で謝るからー

 そしてー

 ちゃんと、告白の返事をするからー…!


 それにー…

 ほら、俺たちまだ高校生ー


 なんていうか、その”ガキ”だからさー。

 俺も失敗するしー、水島さんも失敗するしー

 いっぱい失敗して、成長していけばいいと思うしー」


紀香(茂)が、そこまで言うとー


”ーーそろそろお時間ですー”

と、入れ替わりカフェ”夢の花園”の店員が、

入れ替わり時間の1時間が過ぎたことを告げに来たー。


「ーーーーー…あ…すみませんー」

紀香(茂)がそう呟くと、

隣にいる茂(紀香)に向かって

「ーー明日、ちゃんと自分の身体で謝りたいし、

 告白の返事もしたいからー…

 昼休みか放課後、時間、作って貰えるかなー?」と、小声で言うー。


茂(紀香)は「分かりましたー…放課後にー」と、返事をすると

「ー面倒臭い後輩で、すみませんー」と頭を下げるー。


「ーー…俺だって面倒な先輩だしー

 そもそも恋愛って…面倒ごとの塊みたいなものだしー…

 大丈夫ー」


紀香(茂)はそう言うとー

係員の指示に従って、そのまま元の身体に戻ったー


「ーーーー」

”次の客”が紀香を指名しているー。


そんな光景を見ながら店を後にした茂は、

”ちゃんと謝ろうー

 そしてー、ちゃんと告白の返事をしよう”と、

改めて決意をするのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー。


朝、登校すると茂の元に友人の大夢がやってくるー。


「ーそういや、水島さんとはどうなったんだよ」

大夢の言葉に、茂は

「全くー…お前が揶揄うから、こんなことになったんだからな…」と、

不満を呟くー。


大夢は少しだけ苦笑いしながら

「いやぁ…いつものノリで」と、呟くー


「ーーまぁ…恥ずかしがってあんなこと言った俺が

 一番悪いんだけどさ」と、茂は後悔しながらそう呟くと、

少し間を置いてから「でも、何とか仲直りできそうだし、良かったよ」と、

大夢に伝えるー。


「へ~やるじゃん」

大夢の言葉に、茂はため息をついてから

「俺が恋愛経験とかないの知ってるだろ?

 もう、あんま揶揄わないでくれよ」と、

照れくさそうに呟くー。


「ーははっ…分かったよ

 でも、仲直りが出来そうならよかったよ」

大夢はそう言うと、茂は照れくさそうに頷いたー。


放課後ー

茂は、昨日、入れ替わりカフェで約束した通り、

放課後に紀香の教室に向かうー。


放課後に教室で待っている、と紀香が言っていたため、

紀香に会うため、足を運んだのだー。


「ーーあ、水島さん、いる?」

茂が、面識のある後輩の男子生徒に言うと、

「ーあ、先輩ー水島さんは今日、休みですよ」と、返事をしたー。


「ーーえ?休みー?」

茂が言うと、後輩の男子は不思議そうに「ええ…休みですけど」と、

返事をするー。


「ーー風邪ー?」

茂が聞くと、後輩は「さぁ?そこまでは分かりませんね…」と

首を横に振るー。


「ーー分かったー…ありがとう」

茂はその後輩にお礼を言うと、紀香の教室から立ち去るー。


紀香は後輩で学年も違うし、連絡先も”今はまだ”知らないから、

今まで紀香が学校に来ていないことに気付いていなかったー。


”ーーー…話をする約束をしていたのに”

と、茂は少し不思議に思うー。


もちろん、紀香が体調を崩して休んだだけの可能性はある。


しかしー

昨日の雰囲気からすると、茂の必死の言葉に、

紀香も心をある程度開いてくれたように見えていたし、

今日、しっかりと謝罪して、仲直りー…

という方向に向かっていた気がするー。


心配になった茂は、放課後に再び

”入れ替わりカフェ”夢の花園へと足を運んだー。


「ーーーーー…あら…」

女店長が茂に気付くと、

茂を手招きしたー。


店の端っこの方で女店長が口を開くー。


「ーーまた、あの子に会いに来たんだろ?」

とー。


「ーえぇ…今日、学校に来てなかったので

 心配でー」

茂が言うと、女店長は「ーー昨日…”盗まれた”のよー」と、呟くー。


「ーーは?」

茂が首を傾げると、女店長は少し店内の様子を見てから

「ついてきて」と、店内の奥の通路に茂を案内し始めるー。


そしてー

数ある扉のうちの一つの前にやってくると、

扉をノックしてから「紀香ちゃんー。入るわよ」と

女店長が言葉を口にしたー。


茂が戸惑いながら、女店長の後に続き、

その部屋に入るとー

中には、目つきの悪い中年の男がいたー。


その中年の男は、茂の姿を見ると同時に、

目に涙を浮かべたー


「ーー先輩ーーー」


「ーーーえ」

茂が唖然とするー。


唖然としている茂に対して、女店長は言い放つー。


「昨日、あんたが帰った後に、紀香ちゃんを指名した客が、

 トイレに行くフリをして、紀香ちゃんと入れ替わったまま

 身体を持ち逃げー…

 盗んで、逃げたんだよ」


女店長の言葉に、茂は「えっ…」と、表情を歪めるー。


紀香は、入れ替わった相手の客に、身体を”持ち逃げ”

されてしまったのだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


夜の繁華街ー


派手なミニスカートに肩を出した格好で、

化粧をした少女が歩いているー。


そんな少女は、道端にいた少しチャラそうな男を見つけると

笑みを浮かべたー


「ねぇ…わたしと、遊ばないー?」

挑発的な笑みを浮かべる少女ー。


「ーーーおぉ?可愛いねぇ」

男はニヤニヤと笑みを浮かべるー


「ーーーふふふ」

その女はー

身体を奪われた紀香ー…

紀香の身体を持ち逃げした客だったー


チャラそうな男を誘惑して、

男と共に夜の街の中に消えていく紀香(客の男)ー。


入れ替わりカフェで紀香を指名し、入れ替わりー、

そのまま紀香の身体を持ち逃げした男は、

紀香の身体で欲望を満たそうとしていたー


④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


和解エンド…!に向かうのかと思いきや

身体を持ち逃げされて大変なことに…★!


続きはまた次回デス~!

今日もありがとうございました!

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