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メイドカフェ”ドリーム・サンクチュアリ”ー


可愛いものが好きだけど、大人しい性格の女子大生・園美は、

奥手な性格ながら”メイドさんになってみたい”と、

メイドカフェの面接を受けてー、”合格”したー。


しかしー

そのメイドカフェは、園美が思っているような

メイドカフェではなかったー…


☆前回はこちら★↓

<寄生>パラサイト・メイドカフェ①~寄生~

「ーーえ…!?メイドカフェー?」 女子大生の千奈津(ちなつ)が驚きの声を上げるー。 「ーーう…うん…」 恥ずかしそうにしているのは、同じ大学に通う女子生徒の 深沢 園美(ふかざわ そのみ)ー。 大人しい性格の園美が、 ”今度、メイドカフェでバイトしてみようと思ってー”と 言い始めたことで、千奈津は驚きのあま...

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「ーーえ~ホントですかぁ~?すご~い!」

先輩メイドの愛理がお客さん相手に、お客さんが喜びそうな

甘い声を出しながら、接客を続けているー


園美は、そんな愛理の姿を横目に恥ずかしそうにしながら

自分が接客中のお客さんのほうを見つめるー


「ーー園美ちゃん、物静かで可愛いねー…!

 僕、うるさい子より、園美ちゃんみたいな子のほうが、好きだよ」

男性客に、園美は

「あ、ありがとうございますー」と、恥ずかしそうにお礼の言葉を口にするー。


”やっぱり、慣れないー”

友人の千奈津から”園美、そういうの大丈夫なの?”と

メイドカフェでバイトしたいと言った時に言われたことを

思い出すー。


でもー

もう、後には引けないー。


それにー

メイド服を着ていると、なんだか自分に自信を持てるようなー

そんな気持ちにもなったー。


可愛い格好をしていることでー

いつもとは違う自分になっているー…

そんな、不思議な感覚を覚えながら、

園美は「ご主人様は甘い物、好きなのですか~?」と、

自分でも驚くような甘い声を出しながら

男性客が甘いケーキを注文したことから、会話を広げていくー。


”やるじゃんー”

少し離れた場所から見ていた先輩メイドの愛理はそんな風に思いながらも、

自分の接客を続けたー。


そしてー

その日のバイトは終わりー

事務室へと引き上げるー。


「ーー園美ちゃん、結構すごくないー?

 その雰囲気で、あの接客とかー、そこら辺の男の人じゃ、

 簡単に落とせる感じだよね~」

愛理の言葉に、園美は恥ずかしそうに「そ…そんな」と呟くー。


「ーーいやぁ、素晴らしかったよー。

 面接のときの雰囲気からは想像もできないー。

 君なら、すぐに”一人前”になって、ここを卒業できるかもなー」


オーナーの足立の言葉に、園美は「ありがとうございますー」と

嬉しそうに頭を下げるー。


「ーーー…」

だがー、

園美は不安そうに、足立のほうを見つめたー。


ドリーム・サンクチュアリのメイドは住み込みで

働くことを強制されているー。


”店の意”に背けば、

採用されたときに”寄生”させられた寄生虫に、

脳を食べられてしまいー、

”死”に至るー。


いやー

面接に来た日に”店の意”に背き、寄生虫に

脳を食べられてしまった祥子は”まだ”動いているー。


”身体だけ生きていれば、使い道はあるんだよ”

と、足立オーナーは言っていたー。


実際に、祥子がゾンビのようによろよろと立ち上がりー、

足立オーナーの指示に、操り人形のように従う姿を、

園美は初日の夜に見ているー。


あの祥子というメイドが今、何をさせられているのかは知らないー。


だがー

ああなってしまっては、死んだも同然だし、

”身体”は生きていたとしても、もう元には戻れないだろうー。


”絶対に、ここを出なくちゃー”

園美は、心の中でそう呟くー。


けれど、”希望”もあったー。

先輩メイドの愛理が言うには足立オーナーの意に従って

”1人前のメイド”になることができれば”卒業”することが

出来るのだと言うー。

これまでに何人も”卒業”していったメイドがいる、と愛理は言っていたー。


本当にー”卒業”できるのであればー。


”卒業”とは別の意味である可能性もあるー。

愛理は、そう思ったのだー。


それでも、今は”やる”しかなかったー。

一人前のメイドになるためにー


ズキッー

頭が一瞬痛むー


”はやく、いちにんまえのメイドにならなくちゃー…”

そんな風な思いが強まるー。


早く、ここから脱出しないとー、と。


「ーー美鈴(みれい)ちゃん、お疲れー」

足立オーナーが、店から引き揚げてきた別の先輩メイド・美鈴に

対してそう言うと、美鈴は「お疲れ様で~す」と、返事をするー。


美鈴はどことなくお嬢様のような雰囲気があるメイドで

”卒業目前”なのだと言うー。


「ーそうだ、美鈴ちゃん…

 美鈴ちゃんは、”次のバイト”で晴れて卒業だー。

 今までお疲れ様ー」


足立オーナーの言葉に、美鈴は「えっ!ほんとですか!」と、

嬉しそうに叫ぶー。


「ーーあぁ、本当だともー

 君の望み通り、ここから解放されるのも、

 ここで働き続けるのも、自由だー。」


足立オーナーの言葉に、美鈴は嬉しそうに頭を下げると、

愛理は「先輩!おめでとうございます!」と

美鈴を祝福したー。


園美も「おめでとうございます!」と言いながらも

”本当にここから解放してもらえるのかどうか”

それを見極めようとしていたー。


「ーーーーーー」

園美は、今一度、足立オーナーのほうを見て、不安を口にするー


「あ…あの…お、怒らないで聞いていただけますかー?」

園美が言うと、

愛理が不安そうに園美を見つめるー


”命令に背いたら、死ぬんだよー…?”と、言いたげにー。


「ーーー何だい?」

足立オーナーが優しく聞き返すと、

園美は「あ…あの…わたし、実家暮らしで、この3日間は、

なんとか理由をつけましたけど、これ以上家に帰らないとー…

そのー…両親が何を言い出すかー」と、言葉を口にするー


黒いメイド服に身を包んだまま、申し訳なさそうにする園美に

対して、足立オーナーは笑みを浮かべたまま、園美を見つめるー。


「ーー今日で3日、かー」

カレンダーのほうを見つめる足立オーナー


「ーー…す、すみません!

 その…逆らうつもりはないんですー…

 でも、その…親が心配して、事件だと誤解されたりしちゃったら

 お店にも迷惑がかかっちゃうってー…そう、思ってー」


園美の言葉に、

園美の耳から、寄生虫が突然飛び出したー


「あっ…」

園美がビクッとすると、足立オーナーは笑みを浮かべたー。


「ーー確かにそうだねー。

 園美ちゃんの言う通りだー。

 今日は、家に帰って、ご両親を安心させてあげなさいー」


その言葉に、園美は「あ、ありがとうございますー」と

嬉しそうに頭を下げるー。


「ーーただしー」

足立オーナーが言うー。


”次のシフトには、必ずちゃんと来るんだよ”

とー。


そしてー

”ここでのことは、常識の範囲内 以上を喋ってはいけないよ”

とも、付け加えたー。


「ーーいいつけを守れない悪いメイドはーーー」

足立オーナーはそう言うと、自分の頭を指さして、

ぐりぐりとする仕草をして見せたー。


「ーーーもちろんですー…」

園美は、そう言うと、頭を下げて、帰宅の準備を始めるー。


「ーーー園美ちゃんー…

 逃げちゃ、だめだからねー…?」

愛理が心配そうに言うー。


園美は「はいー」と言いながら、

”次のシフト”を確認するー


次のシフトは、”卒業”する先輩メイド・美鈴と同じ日ー。

ちょうど、美鈴が”ちゃんと卒業するのかどうか”も見届けることができるー。


「ーーーー」

更衣室でメイド服から私服に着替えるー


「ーーー」

鏡で自分の姿を見つめると、園美はなんだか”物足りなさ”を感じたー


「ーーメイドのわたし…かわいいな…」

園美はそんな風に呟くと、少し興奮しながら、

”ドリーム・サンクチュアリ”の外に出て、

自宅へと向かったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「お、姉さん!おかえり!」

帰宅すると、弟の博人が、数日ぶりの姉・園美の帰宅を喜ぶー


「ただいまー。心配かけて、ごめんね」

いつものように、園美が優しく言うと、

そのまま母親に、帰宅したことを告げて、

「しばらく友達の家に寝泊まりする日も増えそうだけど、

 心配しないでー」と、伝えるー


そしてー

部屋に戻った園美は、

ぼーっと、天井を見上げたー。


何故だろうー

メイドカフェに戻りたいー

そんな風に、急に思ってしまったー


3日間ー

一生懸命働いたからだろうかー。


そういえば、仕事をしすぎると、

仕事中毒ー…みたいな症状になってしまうと聞いた気がするー…


そんなことを思いながらー

ぼーっとしている園美はー

いつの間にかー

メイドカフェの制服ー…黒いメイド服に着替えていたー。


「ーーーーかわいい…♡」

メイド姿の園美は、鏡を見つめながらそう呟くー。


無性に興奮してー

自分の身体が火照っているのを感じる園美ー。


「ーーあ…♡」

ドキドキしながら園美は、自分の身体をイヤらしい手つきで

触り始めるー。


やがてー

園美は、普段、滅多にそんな気持ちにならないし、

普段、滅多にそんなことをしないのに、一人、自分の部屋で

エッチなことを始めてしまうー


顔を赤らめながら、気持ちよさそうに妖艶な笑みを浮かべる園美ー


その耳からはー

寄生虫が身体の半分を出して、嬉しそうに踊っているー。


そのことも、全く気にする素振りも見せずー、

園美はさらに激しく、身体を動かして、声を出し始めるー


「ーーーあ、姉さーーーぶっ…」

弟の博人が、いつものように部屋に入ってこようとして、

扉を開けた瞬間ー


気持ちよさそうに顔を真っ赤にして、

自分の身体を触っている園美と目が合ってしまったー


「ーー…ね…ねえさーー…?」

唖然とする博人ー

園美も、顔を真っ赤にしながら「え…あ……こ、これは…」と、

ものすごく恥ずかしそうに周囲をキョロキョロするー


「ーーー…あ、ごめん…で、出直すよー」

博人の言葉に、園美は「あ、ううん!だ、大丈夫だよ!」と、

博人を呼び止めると、博人は顔を赤くしながら

園美の部屋に入ってきたー。


園美は普段、部屋で着替えることはほとんどなく、

普通に部屋に入って行っても、全然気にしないタイプで、

それが当たり前になっていたため、つい、博人はいつも通り

部屋に入ってしまったのだー。


恥ずかしそうにしたまま、”この前借りた教科書返そうと思って”と、

勉強のために借りていた、園美が高校時代に使っていた

教科書を返却したー。


「ーーーー…」

気まずそうにしている姉に気付いたのか、博人は

「ーね、姉さん…な、なんか…すごい…その…似合ってるーというか

 可愛いじゃんー」と、気を遣うような発言をすると、

園美は「…あ、ありがとう…」と、顔を赤らめながら呟くー


「ーーで、でも姉さんがメイドなんてー…

 なんか…ドキドキするなぁ」

博人は恥ずかしそうにしながらそう言うと

「あ…邪魔してごめんー」とだけ呟いてー、

「き、気にしてないからー…ほら、その…誰だってそういう気分に

 なることはあるしー」と、気遣いの言葉を園美に投げかけたー。


園美は、「う、うんー」とだけ呟くと、

博人はそのまま部屋の外に立ち去って行ったー


「ーーーーー」

一人残された園美はしばらくドキドキが止まらなかったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「ーー最近、休みがちじゃない?」

友人の千奈津の言葉に、園美は「え…う、うんーバイトが忙しくて」と微笑むー。


「ー大丈夫~?変な男に絡まれてない~?」

心配する千奈津に、園美は「大丈夫大丈夫!」とだけ言うと、

自分が”メイドカフェ”のことばかり考えていることに

違和感を覚えたー。


そしてー

今すぐにでもあのお店ー

”ドリーム・サンクチュアリに戻りたい”と、そう考えていることにも

違和感を覚えたー。



大学が終わると、園美はすぐにメイドカフェに戻り、

メイド服に着替えるー


「ーーはぁ~~♡ これが本当のわたしって感じがするー」

園美は思わずそんな言葉を口走ったー


「ーーメイドになると、なんかやる気がみなぎってくるよね~」

先輩メイドの一人がそう呟くー


園美は、楽しそうに接客を続けるー


「ーも~!ご主人様ってば~!」

大人しい園美が嘘のように、楽しそうに話をしているー。

まるで、自分がメイドであることに喜びを感じているのかのようにー


「ーーーーーー」

オーナーの足立は、そんな様子を見つめながら

”控えめな子ほど、”浸食”は早いようだなー”と、笑みを浮かべるー。



その日の夜ー


先輩メイドの美鈴は”一人前のメイド”と認められて

”解放”されることになったー。


「ーーー君たちも、見るかい?

 自分が”本当に解放してもらえるのか”心配だろうー?」

足立オーナーは、園美ともう一人のメイドにそう告げるー。


メイドたちに”一人前になれば本当に解放してもらえるのか”

不安がられていることは、足立オーナーも理解しているのだろうー。


「ーー」

園美も、もう一人のメイドも頷くー。


「ーーーちょっと、気持ち悪いかもしれないが、我慢してくれー」

足立オーナーは園美たちにそう言うとー、

美鈴の耳から飛び出した寄生虫を黒い手袋をはめた手でつかむとー

それを、取り除いたー。


「ーー…今まで、お世話になりましたー」

美鈴が名残惜しそうに頭を下げるー。


「ーーーいやいや、私の方こそー。お疲れ様」

足立オーナーがそう言うと、「君たちも見ただろう?」と、

園美たちのほうを見て言うー。


”卒業”ー

メイドの美鈴は、目の前で寄生虫を取り除かれ、解放されたー。


「ーーはぁ~…ようやく解放された~~!」

美鈴が嬉しそうに言うー。


「ーーー君は、もう自由だー。

 私を殴ることだって、できるし、

 警察に通報することだってできるー」


足立オーナーの言葉に、美鈴は

「そんなことしませんよ」と笑うー


「何だかんだで楽しかったですし、お世話になりましたー」

美鈴が頭を下げると、足立オーナーは「達者でな」と、美鈴をねぎらうー。


美鈴が園美ともう一人のメイドにも別れの挨拶をすると

「みんなも、卒業目指して頑張って」と、笑みを浮かべたー。


そしてー

美鈴がメイドカフェの出口に向かうー


「あ!オーナー!このあと、帰り道で始末されるとかないですよね?」

よく足立オーナーに冗談を言っていた美鈴は、

去り際にも冗談を口にするー


「ははは、ないないー。そんなことしないさー

 君たちのような可愛い子には、色々活躍の場もあるだろうしー、

 そんな勿体ないことはしないー。

 君は自由だー」


足立オーナーの言葉に、美鈴はふふっ、と笑ってそのまま立ち去って行ったー。


”一人前のなれば解放されるー”

それを実際にこの目で見た園美は

”わたしは、一人前のメイドになる”と、改めて決意するのだったー。


③へ続く


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コメント


不穏な空気もある中、

本当に解放されることはできるのでしょうか~?


続きはまた次回デス~!

お読みくださり、ありがとうございました!

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