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魔物たちの本拠地に乗り込んだ

勇者の末裔・ランヴァルドたちの行く手を阻むのは

魔帝ガロス配下の三大魔将軍たちー。


それぞれが、魔将軍と対決を開始する中、

ランヴァルドは、洗脳されたエミリアと対峙するー。


魔将軍アルテイストの術により、完全に支配下に置かれてしまった

エミリアの運命はー…!?


★前回はこちら↓★

<MC>消息不明のキャラって大抵生きてるよね?④~魔城~

洗脳されたエミリアを退け、 魔帝ガロスが待ち構える 魔城ナイトメアへとやってきたランヴァルド一行。 魔物たちの三大将軍のひとり、 魔将軍アルテイストに洗脳されてしまったエミリアを救い出し、 魔帝ガロスを倒すためー、 ランヴァルドたちは、意を決して魔城ナイトメアへと足を踏み入れたー…。 ★前回はこちら★↓ ・...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー所詮、この程度かー」


魔城ナイトメアの東側では

魔将軍ファントムが、倒れたエディを見つめながらそう呟いたー。


「”前菜”にすらならぬなー」

そう呟くと魔将軍ファントムはそのまま立ち去って行こうとするー。


「ーー待て…よ」

背後から声が聞こえたー。


「ーーー!」

魔将軍ファントムが立ち止まり、振り返ると、

倒したはずのエディが、ボロボロになりながらも立ち上がっていたー。


「俺はランヴァルドのように勇者の血なんて引いてないしー、

 エミリアのように光の一族の末裔とか、そんなんじゃねぇー…

 でも… でもよー。

 俺だって…俺にだって…意地はあるんだよ!」


魔将軍ファントムに向かっていくエディー


「ーー笑止ー。意地だけで我に勝てるとでもー?」

魔将軍ファントムが、”怨念の壁”で、エディの攻撃を防ごうとするー。


しかしー


「うおおおおおおおおっ!」


「ーーなにっ!?」


エディの”意地”が魔将軍ファントムの怨念の壁を打ち破るー。

防戦一方だったエディが、魔将軍ファントムに初めてダメージを与えたー。


「ーーーほぅー」

魔将軍ファントムは自分の傷を見つめながら、少しだけ笑みを浮かべると

今一度エディのほうを見つめたー。


「ーーー貴様のこと少し甘く見ていたようだなー」


そう呟くと、魔将軍ファントムは「よかろうー」と、笑みを浮かべるー。


「我が力の全てを以て、貴様を調理してやろうー」

魔将軍ファントムの本気ー。

エディはゴクリと唾を飲みこむー。

けれど、退くわけにはいかないー


”あいつは、もっと過酷な戦いをしているんだー。

 俺がここで立ち止まるわけにはいかねぇ!”


エディは意を決して、魔将軍ファントムのほうを見つめたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーー」

激しい音が響き渡るー


”暴風”

そう表現するに相応しい威力の技ー


魔城ナイトメアの北側では、

全身を禍々しい鎧で包んだ魔将軍ベンジャミンと、

勇者ランヴァルドの仲間、セシリオとマーヤが激闘を繰り広げていたー。


「ーーくっ…これでもー」

セシリオが呟くー。


セシリオの奥義とも言える”風の秘術”


それでさえもー

魔将軍ベンジャミンは動じる様子を見せなかったー。


鎖分銅による激しい攻撃が続くー。


「ーーくそっ…アタシたちの攻撃が何も通じないなんてー」


一切言葉を発することのない魔将軍ベンジャミンを前に、

二人は次第に追い詰められつつあったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


魔城ナイトメア西側ー。


「真っ白なキャンバスに絵を描いたらどうなる?

 もう、元には戻らないだろうー?」


「ー絵を描いた画家を殺してもー

 キャンバスは、白には戻らないー」


魔将軍アルテイストの高笑いが響き渡るー。


再洗脳により、完全な殺人マシーンと化したエミリアが

ゆっくりとランヴァルドの方に近付いてくるー。


「ーーーエミリアー」

エミリアの顔には”殺意”だけが浮かんでいるー


あの優しかったエミリアがー

こんな風にー


「ーー……魔将軍アルテイストー…!」

ランヴァルドがアルテイストを睨むー。


「ーー貴様だけは、許さんぞ!」

魔将軍アルテイストに突進しようとするランヴァルドの前に

洗脳されたエミリアが立ちはだかるー。


「ー死ね!死ね!死ね!死ね!ふふっ…ひひひひひひ♡」

血に飢えた殺人鬼ー

今のエミリアを現す言葉は、まさにそれだったー。


「エミリア…!くそっ!エミリアー!」


魔将軍アルテイストの言う通りー、

ランヴァルドの言葉が通じる様子は、もはやないー。


「ーさァ、殺せー 殺し合えー!」

魔将軍アルテイストが離れた場所から笑みを浮かべるー。


「ーーーくく…ひひひひひ…

 これは、これは、なんと最高の絵だろうかー!

 殺し合え!勇者の末裔ランヴァルド!

 光の一族の末裔エミリア!


 やれ!やれ!やれぇええええええ!」


魔将軍アルテイストの叫びと共に

エミリアが闇の魔法を猛烈な勢いで放ち始めるー


「ーはぁ…はぁ…はぁ…はぁ」

エミリアは苦しそうにしながらも、なおも闇の魔法を乱射するー。


「ーーいいぞ!自分の身体のことなど考えなくていい!

 お前は勇者を殺す殺人マシンだ!」


魔将軍アルテイストは上機嫌だー。


エミリアが魔力の使い過ぎで床に膝をつくー。


ランヴァルドは必死に攻撃を避けながらも、

エミリアのほうを見つめるー。


「ーエミリア!もう、、やめてくれ!!!」


こんな叫びが届かないことぐらいは、ランヴァルドにも分かっているー。

けれど、それでも叫ばずにはいられなかったー。


「ーーエミリア!このままじゃ、君はー!」

エミリアの身体を心配するランヴァルドー


「ーそんなことは関係ないー!

 戦え!


 壊れるまで戦え!

 いいやー、壊れても戦え!ははははははははっ!」


魔将軍アルテイストの言葉に、

ランヴァルドが怒りの雄たけびを上げるー。


だがー、その命令に従うように、エミリアが立ち上がりー、

青ざめた表情で闇の魔法を唱え始めるー


「やめろおおおおおおお!」

ランヴァルドの叫びはかき消されて、洗脳されたエミリアの放った

闇魔法が直撃するー。


剣と共に吹き飛ばされるランヴァルドー。


「ーくくくくーさぁ…愛した男をその手で殺せー」

魔将軍アルテイストの言葉に、ランヴァルドは表情を歪めるー。


「ーおや、知らなかったのかー?」

アルテイストの言葉ー。


洗脳されたエミリアは、ゆっくりとランヴァルドの方に近付いていくー。


”これから、勇者の末裔を殺せるー”

そのことに、嬉しそうな笑みを浮かべながらー。


「その女はー

 貴様のことを愛していたー。」


「ーーー!」

ランヴァルドがエミリアを見つめるー。


エミリアの想いー。

エミリアは、”戦いが終わるまで”ランヴァルドに負担を掛けまいと、

そのことを、くノ一のマーヤ以外には伝えていなかったー


だから、ランヴァルドもエミリアの想いを知らないー。


「ーーーーだがー

 その愛もー

 俺が、塗りつぶしてやったァ!くひひひひひひひっ!


 どうだー

 愛をも塗りつぶすアート!

 これが、芸術呪術家アルテイストの最高傑作だー!


 さァ、エミリアー

 我が作品よ!

 愛した男に、トドメを刺せー!

 この上ない喜びを感じながら、トドメを刺せぇ!」


魔将軍アルテイストの合図にー

エミリアはニヤァ、と笑みを浮かべるー


「殺す…殺す…ふふっ♡ うふふふっ♡」


「ーーやめるんだ…エミリアー」


ランヴァルドの言葉に、

魔将軍アルテイストは邪悪な笑みを浮かべるー。


「ー安心しろー。

 お前が死んだあとは、その女もすぐに後を追わせてやるー」


「ーーなんだってー?」

ランヴァルドが苦しそうに言うと、魔将軍アルテイストはニヤァ…と、

狂気的な笑みを浮かべたー


「ーー美しい女がー、

 自分で自分を切り裂く最高の”解体ショー”ーーーー

 一度、見て見たかったんだよなァ…


 この世のものとは思えない、美と血の饗宴ー

 最高のショーをーー」


爬虫類のような舌をペロリと出しながら、

魔将軍アルテイストは笑ったー


「ーーーーー!」


洗脳されたエミリアのほうを見つめるー


”ふざけるなー”

”ふざけるなーー”

”ふざけるなーーーーー”


「ーうおおおおおおおおおおおおおおおっ!」

ランヴァルドが目を赤く光らせながら、突然、光に包まれて

怒りの雄たけびを上げるー。


「ーーーー!?!?!?!?!?」

魔将軍アルテイストが目を見開くー


「ーーーー貴様だけはーーー許さないーーーーー!」

ランヴァルドの中に眠る”勇者の血”が、

怒りの限界を超えたランヴァルドを”覚醒”させたー


「ーーこれはいったいー!?」

魔将軍アルテイストは、表情を歪めながらもすぐに叫ぶー


「ーエミリア!こいつをさっさと始ーーーーーー」


そう言いかけた時にはー

魔将軍アルテイストの身体は、城の壁面にめり込んでいたー。


「ーうおおおおおおおおおおおおおお!!!」

ランヴァルドが、血を噴き出しながらアルテイストの方に向かってくるー。


何が起きたのか分からないー

あまりの速さに、ついていくことができないー。


「ーひぃっ!?」

魔将軍アルテイストが、筆を手に、”金色の絵の具”を放つー


「ーーーくそっ!我が秘術、ゴールドテンペストで貴様をじg


その言葉がー

最後まで放たれることはなかったー。


魔将軍アルテイストは、ランヴァルドの激しい怒りに

切り裂かれてー

そのまま、この世から木っ端微塵となって、消滅したー


「ーーーはぁっ…はぁっ…はぁっーーー」

ランヴァルドは膝をつくー


”これが、死、なのかー?”

ランヴァルドはそう思いながら、苦しそうに息をしたー


”全身から力が抜けていく”


すべてが失われていくー。

今までに感じたことのない感覚ー。


”無の世界に落ちる”

そんな、感覚を感じるー


「ーーひひひひひひ…死ね…死ね…」


それでもー

洗脳されたエミリアは、ランヴァルドの方に向かってくるー。


「ーーーーー…エミリア…」

ランヴァルドは、”限界を超えた力”を発揮してー

もう動けないほどに衰弱していたー


エミリアがランヴァルドの剣を拾って、それを振り上げるー。


「ーーーーー君だけでもーーーーーーー」

ランヴァルドは、そう呟きー、

祈るようにして、目を閉じたー


光の雫となって消えていくランヴァルドー


エミリアに、その光が吸い込まれていくー。

勇者の血ー。

それが、最後に起こした奇跡ー


「ーーーー…え…」

エミリアの瞳が震えるー。


絶対に、元に戻るはずのなかったエミリアがー

正気を取り戻したー。

ランヴァルドの、命と引き換えにーーー


「ーーーわたし…… え…… ランヴァルドー…」

今まで自分がしていたことを全て知り、エミリアはその場で

膝を折り、一人、涙を流したー。


”ーーーー俺の心は、君と共にあるー…

 エミリアー……”


そんなエミリアに、ランヴァルドの声が響き渡るー。


「ーーーラ、、ランヴァルドー?」

”信じられない”という様子でエミリアが顔を上げるとー

”ごめんなー”と、ランヴァルドの声が聞こえたー。


”ーーーエミリアーー……みんなを…みんなを救ってくれー”

ランヴァルドの声が聞こえるー

エミリアは泣きながら頷くー。


「ーーーーー」

その場で目を閉じるエミリアー


”勇者の末裔”

”光の一族の末裔”


その、二つの力が合わさったときー

奇跡は起きるー。


「ーーーーーー」

エミリアは、これまでにない力を発揮してーーー

魔城ナイトメア中を光の力で包み込んだー


「ーーーランヴァルドーーー」

エミリアが涙をこぼすー。


エミリアに宿ったランヴァルドの意識がー

最後の力を振り絞って、エミリアの光の力を増幅させー

魔城ナイトメア中を、光で包み込んだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


魔城ナイトメア東側ー


「ーーなんだこの光はー!?」

魔将軍ファントムが、表情を歪めるー


ボロボロだったはずのエディが光に包まれるー


「ーーな、なんだこりゃあー…?」

エディも驚いているー。


だが、エディの中に力が溢れてくるのが分かるー。


”エディー…お前は生きろー!”

そんなランヴァルドの声が聞こえた気がしたー


「ランヴァルドーお前…」

エディは何かを察しー、みなぎる力を手に、

静かにランヴァルドの言葉に対して頷いたー。


「ーーー!」

魔将軍ファントムが、エディのほうを見つめながら表情を歪めるー


”我を凌駕するオーラだとー…”


「ーー面白いー」

笑みを浮かべながら魔将軍ファントムはエディのほうを静かに

睨みつけたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


魔城ナイトメア北側ー。


「ーーー!」

魔将軍ベンジャミンも異変を感じ取っていたー。


「ーー力が溢れてくるー?」

風の魔法使いセシリオとくノ一のマーヤが、不思議そうに呟くー。


「何が起きているのかは分からないけどー」

マーヤはそう呟くと、禍々しい鎧を身にまとうベンジャミンを見つめるー。


「とにかく今がチャンスってことねー!」

その言葉に、セシリオも「そのようですね」と頷きー

魔将軍ベンジャミンを見つめて、再び闘志を新たにしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーランヴァルドー…」

洗脳されていたエミリアは、ランヴァルドが残した最後の力に、

涙を流しながら、

決意の言葉を呟くー


「ーーわたし……負けないー」

エミリアは、静かにそう呟くと立ち上がるー


そして、魔帝ガロスが待つ最上階に向かって歩き始めるー。


”俺の魂は、いつでも皆と共にー”

光となったランヴァルドのそんな声が聞こえた気がしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーーー」

魔帝ガロスはガラスに映し出された

魔城ナイトメア内の状況を見つめながら静かに笑みを浮かべるー


「アルテイストよ、散ったかー」

そう呟くと魔帝ガロスは、

ガラスの一つに映るエミリアの姿を見つめるー。


「ー勇者の血筋の成せる技ー」


勇者の末裔と光の末裔ー

その二人が引き起こした奇跡的な力ー

ランヴァルドの残した思いがエミリアに宿りー、

エミリアは奇跡的に正気を取り戻したー。


そして、仲間たちにも、力を与えたー。


「ーーーーーだがー」

魔帝ガロスは静かに笑みを浮かべたー。


「ーーーやがて、人は闇に飲まれるー

 それが人の性(さがー)であり、運命(さだめ)ー

 たとえ、勇者の末裔であろうともなー」


光に包まれた魔城ナイトメアー

しかし、”悪夢”は未だ蠢いていたー


正気を取り戻したエミリアー

それを迎え撃たんとする魔帝ガロスー。


人間と、魔物の決戦はー

最後の時を迎えようとしていたー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


最終回でした~!☆


打ち切りエンドではなく、

最初からこの予定で、

”洗脳”モノなので、ここで終わりデス~★

(もう、洗脳の部分は終わってしまったので~!)

書き終えてみて、「あれ?これだと打ち切りエンドに見えるような…」と

私も少し思っちゃいましたケド…笑


いつか、機会があれば後日談を書くこともある…かも?

(現時点では未定デス~!)


お読みくださりありがとうございました!

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