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「ーーおい!いい加減にしろ!」


河川敷ー

いつの間にやらホームレスのたまり場となったその場所でー

ホームレスらしき男が、別のホームレスらしき男の胸倉を掴んでいたー。


「ーーーへへへっ…へへへへへ…まぬけ!」

胸倉を掴まれている方の男が、笑みを浮かべるー


歯はボロボロで、髪もボサボサー、

ずる賢さが顔に出ているその男は、胸倉を掴まれてもなお、

怯える様子もなく、相手を馬鹿にする態度をとっているー。


「ーーふざけやがって!」

胸倉を掴んでいた別のホームレスが、男を投げ飛ばすー


「おいおい、どうしたんだ!?」

他のホームレスが集まってくると、

胸倉を掴んでいた方のホームレスが声を上げたー。


「ザキの野郎…!また俺の集めた空き缶を…!」

怒りの形相を浮かべるホームレスー


”ザキさん”

そう呼ばれているホームレスは、

へらへらしながら立ち上がると、

「ーーー盗られるお前が悪いって言ってんだろぉ~?このまぬけが!」

と、怒っているホームレスを挑発するー。


「ーなんだとこの野郎!」


「やめろって!」

周囲のホームレスたちが止めに入るー。


”ザキさん”は、そんな様子を見ると

「ーー空き缶取られたぐらいでガタガタ言うなや。

 それとも、何か、お礼でも欲しいのか?」と、

カビの生えたジャケットを整えながら、笑うー。


顔を真っ赤にしながら、「テメェ…!ザキ!」と、怒りの口調で

呟くホームレスー


そんなホームレス仲間に対して

”ザキさん”は、「じゃあさ」と、言うと、突然、他のホームレスたちの前で

鼻をほじりはじめて、指についた汚いモノを、そのまま

怒っているホームレスの頬につけて、笑みを浮かべたー。


「ーーー見返りが欲しいならくれてやるよー。

 ”ザキさんコイン”をー はははははっ」


”ザキさん”は、自分の鼻の中から取り出したごみを

”ザキさんコイン”と称して、ホームレス仲間の頬にくっつけると、

そのまま笑いながら立ち去って行ったー。


「ーーあの野郎…!もう我慢ならねぇ!ぶっ殺してやる!」

怒り狂うホームレスー。


「やめろ!やめろって梅さん!あんな奴にムキになることはねぇ!」


”ザキさん”ことー

ホームレスの下崎 瑛士(しもざき えいじ)は、

ホームレス仲間たちからも嫌われているー

”最悪”な性格の持ち主だったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー~~~~~…」


とある高校の教室ー。

眠そうに目をこすっていた女子生徒に向かって、

別の女子生徒が声を掛けたー


「ーーなんか、朝から眠そうだけど大丈夫?」

心配そうに声を掛けられて

眠そうにしていた女子生徒はー

「あ、凛(りん)ー…うん、大丈夫ー

 昨日、紀彰(のりあき)の勉強手伝ってたら

 遅くなっちゃってー」

と、苦笑いするー。


紀彰とは、彼女の妹で、現在中学3年生ー。

高校受験を控えているため、

弟と仲良しな彼女は、何かと勉強を手伝っているのだー。


「あんまり無理しちゃだめだよ~?

 乃愛(のあ)は昔から頑張りすぎなんだから~!」


凛にそう言われると、眠そうにしていた女子生徒、乃愛は、

恥ずかしそうに笑いながら「ーうん…!気を付けるね!」とほほ笑むー。


「ーーーーー」

その言葉に、凛は覗き込むようにして、乃愛の顔を見つめるー。


「ーーほんと~に、わかってる?」


「ーーえ?」


凛の言葉に、ギクッとする乃愛ー。


「ー乃愛ちゃんってば、いつも「気を付けるね!」って言うけど、

 いっつもすぐに無理してるし、

 ホントに、倒れちゃうからね!!!」


乃愛は、とても穏やかで”誰にでも優しい”性格ー。

しかしー、小さいころから乃愛のことを知っている凛からすれば

”優しすぎる”のも事実だったー


”親切すぎるー”

つまり、”お人よしすぎる”のだー。


「ーー周囲の人のこと、大事にするのは、いいことだけど、

 自分のことも大事にしなくちゃだめだからね!」


凛が、乃愛の頬を指でつつきながら言うと、

乃愛は「ごめんってば~!分かってるよ~」と、

申し訳なさそうに言い放ったー。


「も~……乃愛が倒れたら、悲しむ人、いっぱいいるからね?」

凛が、そう言いながら、乃愛のほうを見るとー

乃愛はウトウトして、首をコクコクさせていたー。


「ほらぁ~!絶対寝不足!」

凛がそう叫ぶと、ウトウトしていた乃愛はビクッと震えて

「ご、ごめ~ん!」と両手を合わせて謝り始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーなぁー遠藤(えんどう)さんー。

 ザキさん、なんとかならないのかよ?」


夜ー

河川敷のテントの一角で、ホームレスたちが集まってきたー


”ザキさん”による横暴な振る舞いに、

ホームレスたちの不満は爆発していたー。


周囲のホームレスたちから相談を受けた”遠藤さん”は

この河川敷のホームレスを束ねるリーダー的存在だー。


「ーーーーーー…すまんなー」

遠藤はそう呟くー。


”ザキさん”とは対照的に、この遠藤という男は、

ここら一帯のホームレスたちからとても慕われていたー


「ーーーーーあいつは、昔の同級生でなー…

 助けてやろうと思ったんだがー

 それが、かえってみんなを苦しめる羽目になってしまったー」


”ザキさん”は、遠藤の同級生にあたる人物で、

ザキさんが、自分と同じくホームレスになって、

他の場所でも、”厄介者”扱いされて、各地を転々としているー、

と、聞いた遠藤は、彼に救いの手を差し伸べて

この河川敷に招き入れたー。


しかし、”ザキさん”は、そんな遠藤の想いを踏みにじり、

周囲のホームレスに迷惑をかける行為を繰り返しているのだー。


「ーーーー……すまないー」

遠藤は、他のホームレスたちの前で土下座をするー。


「ーーや、やめてくださいよ遠藤さんー」

土下座する遠藤に、”頭を上げて下さい”と、言い放つ

他のホームレスたち。


ホームレスたちの”ザキさん”に対する不満は

さらに膨れ上がりつつあったー。



そんな、ある日ー。


「ーーーZZZZZZZZZZZZ」

他のホームレスのテントから奪った酒を飲んで

自分のテントの中で眠っていたザキさんー


ふと、気配がして、目を覚ますとー、

「ーーー!」

ザキさんのテントの中に見覚えのない小包が置かれていたー


「あん?」

酔いも十分に醒めていない状況の中、

乱暴に小包を開封するとー

そこには、謎の液体とー

汚い字で書かれた手紙が添えられていたー


”もしも、他人と身体を入れ替えられることができるのなら、

 お前はどうするー?

 これは、人生を逆転するチャンスだー。

 お前に”その力”を与えようー”


そう書かれた手紙ー

その下には、小包の中に手紙と共に同封されていた

謎の液体について書かれていたー


「ーー入れ替わり薬ー?」

ザキさんは、表情を歪めるー。


これを飲んで、入れ替わりたい相手とキスをすればー

その相手と自分の身体を入れ替えることができるのだと言うー。


「げっへへへへ…マジかよー

 もしもこれが本当ならーー?」

ザキさんは鼻をほじりながら、笑みを浮かべるー。


”いきなり置かれていた怪しい液体”

しかも、その内容が”入れ替わり”などというあまりにも現実離れしているもので

あれば、普通は警戒するだろうー。


だが、欲望のままに生きているザキさんに、怖いモノなどなかったー。


”死んだら、それで終わり。それ以上先はないー

 だから、何も恐れるものはないー”


それが、ザキさんの”生き方”だったー。


己がやりたいと思ったことは、やるー。

ただ、それだけだー。


「ーーもしこの薬が偽物ならー

 俺ゃ捕まることになるけどー

 まぁ、それならそれで仕方ねぇ」


賢い人間ならー

”本番”で試す前に、入れ替わり薬を、身近なホームレスで

試したりしたかもしれないー。


だが、ザキさんは”策略的な計算”は苦手だったー。

あくまでも、彼は、本能のままに動くのだー


「ーーくっくくく…エロい女子高生の身体を俺のものにしてやるぜ」


ザキさんは、己の欲望を隠そうともせず、そう言い放ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「ーーまた明日~!」

女子高生二人が、手を振って、それぞれ別の道に分かれるー。


「ーーーー」

その様子を、河川敷の一角から見つめていたザキさんは笑みを浮かべるー。


”へへへへ…活発で明るそうな、女ー

 それに、健康そうだー”


分かれて歩き出した女子高生のうちの一人ー、

お人よしの乃愛のことを心配していた凛の姿を見つめるザキさんー。


ザキさんは既に、入れ替わり薬を飲んでいるー。


もし、これが”本物”なら、あとは狙った相手とキスして

入れ替わるだけだー。


「へへへへ…エロエロボディがもうすぐ、俺の手にー」


凛の後ろ姿を見つめながらー


「ーーでもなァ~俺はーー」

と、視線を凛からずらすー。

凛とは別の道ー

河川敷付近の道のほうを進んでいる乃愛のほうを見つめるー


「ーーこっちの子のほうが、よりエロさを感じるぜぇ…」

ザキさんは、唇をペロリと舐めるー。


乃愛は、凛とは対照的で、穏やかそうな雰囲気の美少女だー。

華奢な感じも、また、ザキさんの好みに合っていたー。


「ーーお前に、決めたー」


そう決めると、ザキさんはー

小細工などしなかったー。

背後から忍び寄り、乃愛の手を強引に掴むと、

そのままホームレスたちのテントがある一角に引きずり込むー


「ーーひっ!?な、、な、、何ですか!?」

乃愛が怯えた様子で叫ぶー


「うるせぇ!お前のエロボディをよこしやがれ!」

ザキさんはそう叫ぶと、乃愛に対して容赦なくビンタを食らわせるー。


「ーーお、、おい!何やってんだ!?」

すぐに他のホームレスたちが集まってくるー


女子高生を押し倒して、上に乗っているザキさんを見て、

周囲のホームレスたちはそれを止めようとするー


悲鳴を上げる乃愛ー。


「おい!ザキさん!やめろ!」

「それは犯罪だぞ!」

「ーやっちゃいけないことの区別もつかなくなったのか!?」

「今すぐその子から離れろ!」


ホームレスたちがザキさんに向かって叫ぶー。


だがー、ザキさんは、倒れている乃愛に、上から覆いかぶさるようにして

キスをしたー


どよめく周囲ー。


やがてー

上に乗っていたザキさんが、バサッと乃愛に倒れ込むような形になりー

乃愛が、上に乗っていたザキさんを蹴とばすようにして、どかしたー。


「ーーーーえ…」

周囲のホームレスたちが騒然とするー。


乃愛に足でどかされたザキさんが「え…??え…?」と、

自分の手や身体を見つめて驚いているー


「ーーげへへへへへ…」

つい数十秒前まで、悲鳴を上げていた乃愛が、目に

涙を浮かべながら笑いだすー。


「ーげへへへへへへへ!手に入れた!手に入れたぞ!JKの身体を!

 うへへへ…うへへへへへへ!

 今日からお前はホームレスだ!残念だったな!

 この身体は、俺のものだー!うひひひひひひひっ!」


ホームレスたちの目の前でー

堂々と、乃愛の身体を奪ってみせたザキさんー


乃愛になったザキさんは、ザキになった乃愛を見つめながら、

「気持ちいいなぁ~~これ」と、自分の胸を両手で揉み始めるー


「ちょ!ちょっと…やめてください!」

ザキさんになった乃愛が叫ぶー。


騒然とする周囲ー


「ど、どういうことだー?」

ホームレスたちがどよめく中、乃愛(ザキ)は、笑みを浮かべたー


「ーーーこのJKと、身体を入れ替えたんだよ!ひひひひひひひひ!」

足をバタバタさせながら、そう叫ぶ乃愛(ザキ)ー


周囲のホームレスは、「そ、そんなことがー?」と、

泣き出したザキの身体になった乃愛を、慰め始めるー


「ーーお、おい!今すぐこの子に身体を…返すんだ!」

ホームレスたちが騒ぐー。


そしてー

乃愛になったザキを取り押さえようと、何人かが

乃愛(ザキ)に近付こうとしたー。


しかしー


「ーー近寄るんじゃねぇ!!!!!

 お前ら、分かってるのか~?

 今や俺は可愛い女子高生ー

 お前たちは、うす汚ねぇホームレスー。

 俺の身体に少しでも触ってみろ~???

 痴漢扱いして警察に突き出してやるぞ!」


乃愛(ザキ)は下品な笑い声を発しながら、

大声で叫ぶー


「うっーー…」

ホームレスたちは、その言葉に、動きを止めるー


「はははははは!誰にも邪魔させねぇ!

 俺は今日から、女子高生だ!

 うひひひひひひひひ!」


ホームレスたちの前でそう宣言するとー


「ーーもうこんなところに用はねぇ…!

 あばよ!」


と、叫ぶと、そのまま乃愛(ザキ)は立ち去っていくー。


「ーま、、待って…!返して…!わたしの身体ー!」

ザキ(乃愛)は、突然身体を奪われてしまった現実にー

悲鳴をあげることしかできなかったー。


②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


ホームレス仲間からも嫌われるほど、

悪い性格で下品なホームレスに身体を奪われてしまった彼女の運命は…!?


隠す気もなく、堂々と入れ替わる人は、

私の作品では珍しい気がしますネ…笑


お読みくださりありがとうございました~!

続きはまた次回デス!

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