Home Artists Posts Import Register

Content

男子高校生の菅井 駿平(すがい しゅんぺい)は、

クラスでは目立たないタイプの地味な存在ー


そんな駿平には、”好きな子”がいたー。


同じクラスの奥村 杏美(おくむら あずみ)ー


「あ~~~奥村さん可愛いなぁ…」


昼休みー

駿平が、数少ない友達の一人、紀本 誠司(きもと せいじ)に

笑いながらそう呟くー。


「あ~あ…告白したら間違ってOKとかしてくれないかなぁ…」

駿平が続けてそう呟くと、

話を黙って聞いていた誠司が、首を横に振ったー。


「奥村さんが、菅井と付き合うわけないだろ」

”即答”されたー。


「ーーわ、わ、、わ、分かってるよ!そんなことー」

顔を真っ赤にしながら、駿平が少しムキになったのを見て、

誠司は面白そうに笑うー。


「ーーで、でも、ほら、ガチャみたいに、

 万が一、大当たりが出ればさー」

スマホのソーシャルゲームのガチャに例えて、

”たとえ可能性が0.1パーセントでもあるなら”

分からないだろ?と、誠司に対して言う駿平ー


「ははははっ!

 ソシャゲで欲しいものが、たま~に、当たるのは

 何でだか知ってるか?」


誠司がニヤニヤしながら言うー。


駿平は「え…、運がいいからに決まってるだろ?」と、

きょとんとしながら答えるー。


すると、誠司はさらに面白そうに笑いながら

「ー可能性が0.1でもあるからに決まってんだろ!」と、言い放ったー


「奥村さんが菅井と付き合う可能性は0.0%ー。

 ソシャゲとは、全然違うってことだよ!へへっ」

笑う誠司に対しー

駿平は不貞腐れた様子で頬を膨らませるー


「ちぇっ…そこまでハッキリ言わなくてもいいじゃんかー」


誠司は、悪気はないのだが、

平気で思ったことを口にするタイプで、

デリカシーがないー。


「ーーじゃあ、紀本くんはどうなんだよー」

駿平が不貞腐れたまま言うと、誠司はニヤッと笑みを浮かべたー


「決まってんだろ。

 俺が奥村さんに告白してOKを貰える可能性はー

 0.0%だ!

 ハハッ!」


誠司は、そう言って愉快そうに笑うと、

「なんでそんな前向きなのさー」と、駿平は苦笑いしながら

誠司のほうを見つめたー。



「ーーーあ、うん!わかった、またあとでー」


「ーー!!」

駿平は、聞き覚えのある声が聞こえて来てビクッとするー。


ちょうどー

昼休みで教室の外に出ていた憧れの”奥村さん”が、

友達と一緒に教室に戻ってきたのだー


「ーーーへへへ 聞かれなくてよかったな」

ニヤニヤする誠司に対して、

駿平は「まったくだよ~」と、言いながら

ため息をついたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そんな駿平たちの2学期は終わりを迎えるー。


24日ー

クリスマスイブの日に終業式を迎えたー。

今年はクリスマスが土曜日なこともあり、

冬休み突入=クリスマス、なムードが教室に

漂っていたー。


校門を潜り抜けた瞬間が、冬休みのスタートだ。


たった今、冬休みが始まった駿平。

そんな駿平に対して、

「ーーへへ 菅井、お前は今年もくりぼっちか?」

と、

ニヤニヤしながら声を掛けてくる誠司ー。


「ーーー決まってるだろー」

駿平がいつものように拗ねた様子で言うと、

誠司は「安心しろ!俺もだ」と、ドヤ顔で叫ぶー。


「ーー何が安心なんだよ」

駿平が、そんな風に言うと、

「ま、お互いくりぼっちを満喫しようぜ」と、

誠司は駿平の肩をポンポンと叩いて、そのまま、自分の

家の方向に向かって歩き出したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーはぁ」

帰宅した駿平は、クリスマスイブをいつも通り過ごすー。


母親が、スーパーで買ってきたいちごのショートケーキを

晩御飯に出してくれたが、それ以上は、何もないー。


ショートケーキを食べ終えて、自分の部屋に戻る駿平ー。


「ーーーー」

駿平は、ゲームを遊んだり、漫画を読んだり、

スマホで誠司とくだらないやり取りをしたりー、

”いつも通りの1日”を過ごしー

ベッドの中に入ると、天井を見上げたー


”そういえば、昔はサンタさんが来る!ってワクワクしてたっけなぁ”


小さいころのことを思い出す駿平ー。

昔は、クリスマスイブは本当に楽しみだったし、

なんだか神秘的な空気すら感じたー


けれどー

小学生になってしばらくして、

サンタさんは”両親”であったことを知ったー。


それからは、何も、ないー。


”ーーーーーーー”


駿平は、なんとなく布団から起き上がると、

小さなころに使っていた小さなクリスマスツリーを押し入れから出すと、

机の上にあったメモ用紙に、何か文字を書き始めたー。


そして、クリスマスツリーにそのメモ用紙を引っかけてみるー。


そこにはー

”奥村 杏美さんをくださいー”

と、書かれていたー


「ーーーぷっ」

自分のしていることに対して、呆れて笑ってしまう駿平ー。


「はぁ~~~我ながらバカらしい」

そんな風に呟くと、机にペンを置いて、

「ー昔はこんな風に枕の横に靴下を置いてたなぁ」などと

呟きながら、枕の横に靴下を置いてー

そのまま、眠りについたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌朝ー


小鳥のさえずりと、窓の外から入り込んだ朝日が、

朝の到来を知らせるー。


「ーーーあ…」

目を覚ました駿平は、

自分の身体の感覚と、明るさ的に、

”結構寝ちゃったかな”などと思いながら

時計を見るー。


時計の針が示している時間は、

10時12分ー。

冬休みだから、別にいつまで寝てても構わないのだが、

休みの日はなんとなく、早く起きた方が得、だと考えている駿平は、

少しだけ残念そうな表情を浮かべるー。


「ーーは~~~…今日はクリスマスかぁ~」

昨日はクリスマスイブー、

ということは、今日はクリスマスだ。


そんな風に考えながら、身体を起き上がらせるとー


「ーーーえ…?」

部屋の中に見覚えのない”プレゼント”の箱が置かれていたー


「ーーーーー」

しばらく、目をぱちぱちさせる駿平ー。


「ーーー」

そして、クリスマスツリーにかけた

”奥村 杏美さんをください”というメモ用紙を見つめるー


「はは、まさかねー」

駿平は、箱の大きさ的にも人間が入っている大きさではない、と

思いながら、その箱に手をかけるー。


箱は、そこそこのサイズではあったものの、

人間が入るには小さすぎるー

そんな感じのサイズだったー。


にも、関わらず持ってみても、少しふさふさという

音がするだけで、妙に軽いー。


「っていうか…これ、母さんか父さんだよなー?」

そう思うと、途端に恥ずかしさがこみあげてくるー。


駿平が寝ている間に、両親のどちらかに、

クリスマスツリーにかけたメモと、枕元の靴下を見られたかもしれないー。


顔を真っ赤にしながら駿平が、

プレゼントの箱を開くと、

そこにはーーー


「ーーーーえ…」

目を見開いて、驚きのあまり言葉を失う駿平ー


そこにはーーーー

”脱ぎ捨てられた着ぐるみ”のような姿になったー

奥村 杏美の姿があったー。


「ーーお、、お、奥村さんそっくりの着ぐるみ!?」

びっくりする駿平ー


「あ、、あ、悪趣味すぎるだろ…?」

そんな風に呟きながら”ペラペラ”な皮となっている

杏美を手に持つ駿平ー。


「っていうか、どうやってこんなの作ったんだよー。」


見れば見るほど、

本物そっくりな雰囲気の”皮”ー


駿平は「確かに奥村さんがほしいって書いたけどー

奥村さんの着ぐるみを貰ってもなぁ~…」

と、とほほな様子でそのまま自分の部屋に出て

1階にまで足を運んだー


「おはよ~」

母親に軽い挨拶をすると、「あ、おはよう」と

母親から返事が返ってくるー。


駿平は朝食にパンをひとつ、と、家にあるパンの中から

適当に食べるパンを選ぶと、

パンを口にしながら

「そういえばさ、母さんー」

と、駿平は言葉を口にしたー。


「ーーあのクリスマスプレゼントのことだけどー、

 あれってどうやって作ったの?」

とー。


「ーーーえ?」

母親が首を傾げるー


「ーークリスマスプレゼントってー?」

母親はそう呟くと、

「小さいころは、よくサンタさんとして色々あげてたね~」と、

笑いながら、懐かしそうにそう呟くー


ーー!?!?!?

駿平は表情を曇らせるー。


”あの着ぐるみみたいなものは、母さんか父さんがくれた

 プレゼントじゃないのかー?”


そう思いながらー

夜、帰宅した父親にもさりげなく確認してみたがー

”杏美の皮”は、両親が用意したプレゼントではなかったのだー。


部屋に戻った駿平は困惑しながら

”憧れの奥村さん”の皮を見つめるー。


まるで、着ぐるみのようなー

奥村 杏美を模した皮ー。

いやー

ペラペラしている点を除けば、もはや”本物”にすら見えるー。


これは、いったいー…?


駿平は、そんな風に思いながら

”まさか、これ、本物の奥村さんってことはないよなー…?”と

困惑の表情を浮かべるー。


もしも、

もしも、これが、本物の”奥村杏美”だとすればー…


「いや、それはないよね」

駿平そう呟きながら、「今日はもう寝ようー」と

”杏美の皮”をプレゼントされた以外は、何もないクリスマスを

終えたのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


再び、杏美の皮を見つめる駿平ー

どうしても、これが何なのか気になってしまうー。


そもそも、これをプレゼントしてくれたのが、

母さんと父さんじゃないのだとすれば、

いったい、誰がー?


「ーー…気味悪いな…」

両親が駿平の部屋に置いたのではないー


…と、すれば

”外部から誰か入ってきた”ことになるー。


「空き巣ー?いや、でも…

 まさかー」


まさか”サンタさん?”などと一瞬思ってしまったものの、

すぐに首を横にぶんぶんと振る駿平ー


その時だったー


「ーーー!」

親友の誠司からの着信ー


スマホを手にして「あ、もしもし、紀本くん?」と、

駿平が応答すると、

”いいくりぼっちだったか?”といきなり誠司の冗談が飛んできたー


「そっちこそ、どうだったんだよ?」

駿平が拗ねた声で言うと、誠司は笑ったあとに、

”そういや聞いたか?”と続けたー


「え?なにを?」

駿平が首を傾げながらそう呟くとー

誠司から返ってきた言葉は、恐るべき言葉だったー。


”ーー奥村さんが、昨日から、行方不明らしいー”


とー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


”奥村さんが、昨日から、行方不明らしいー”


その言葉が、何度も何度も頭の中に響くー。


駿平は、部屋に”杏美の皮”を、横たわらせて

それをじっと見つめていたー


まさかー

これって、本物のー?


そんな風に思ってしまう駿平ー。


「僕が、サンタさんに、奥村さんが欲しいなんて言ったからー?」

そう思い始める駿平ー。


けれどー

あれは別に、こんなことを望んだわけじゃないー


本当に、”奥村 杏美”が手に入るなんて思っちゃいないー。


誠司によれば、クリスマスイブの夜に、部屋で寝たのを最後に、

杏美は姿を消したのだというー。

時間はちょうど、一致してしまっているー。


「ーーーー」

不安でいっぱいになった駿平は、

不安そうな表情のまま、杏美の皮を掴むと、

どうにか、”これが何なのか”を確かめようと、

色々なことを試してみたー。


台所から水を汲んでみて、それをかけてみたりもするー


「ー…人間に戻ったりするわけないかー。

 フリーズドライじゃないんだし…」


そう苦笑いするとー

駿平はー

「っていうか、これ、着れそうだなぁ…」

と、呟きながらー

杏美の皮を、まるで”着ぐるみ”を着るかのように、

着始めたー。


”僕は何をやってるんだ”

そんな風に自虐的に呟きながらー

驚くほどにすっぽりと自分の身体が

杏美の皮に溶け込んでいくのを感じるー


そしてー


「ーーーーってこんなことしてる場合じゃー…え…?」

杏美の皮をそう呟きながら脱ごうとした駿平は、

驚いて言葉を途中で止めたー


口から出た声がー

自分の声じゃなくて、可愛い声にーー


そうーー

杏美の声になっていたのだー。


「ーーえ…???え…?」

杏美の皮は想像以上にぴったりと自分の身体にうまく合ってー

気付けば、自分が奥村杏美そのものになっていたー


鏡を見つめる”驚いた杏美の顔”ー


「ーーえ…??え…??え」

顔を真っ赤にしながらーー

駿平は、杏美の髪ー

杏美の綺麗な手ー


そしてーー

ゴクリと唾を飲んでからー

杏美の胸に手を触れるー


「ーー!?!?!?!?!?!?!?」

すぐに胸から手を離した杏美になった駿平はーー


「ーーな、、なんなんだ…これ…?」

と、杏美の声で不安そうに呟いたー…



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


12月!ということでクリスマスの皮モノデス~!

サンタさんから、とんでもないモノをプレゼントされてしまった

彼の運命は…!?


続きはまた次回デス~!


クリスマス当日に…とも思ったのですが、

ジャンルが偏らないようにするためと、

②では終わらないので、どのみち24日、25日では

終わらないので、少し早めのクリスマスになりました~笑

Files

Comments

No comments found for this post.