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作品の性質上、地震災害の描写などが存在します。

苦手な方は、ご注意ください!

作中で発生する地震災害、場所、物語は全てフィクションデス!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「先ほど12時54分頃、蒼月市北部を震源とするー

 M7.8の地震により、各地で甚大な被害が起きていますー。


 先ほど、公島総理大臣は、迅速な対応を指示ー、

 救助活動に全力を尽くすと、会見で語りましたー


 現在も、余震活動が続いており、

 先ほどもM4.8の余震が発生しましたー。

 今後も、余震活動は続くものと見られますー


 命を最優先にー

 身を守る行動を、落ち着いて取って下さいー。


 また、各地で停電や断水の報告が相次いでおり、

 蒼月市北部を中心に、火災が発生しているのも

 上空の映像からは確認できますー


 あ、ここで、現地からの映像ですー。

 現地からの中継ですー

 蒼月テレビの、南さん、お願いしますー」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


主な登場人物


月森 彩香(つきもり あやか)

高校3年生。修学旅行中に地震に巻き込まれる。


日向 俊樹(ひゅうが としき) 

彩香を助けた謎の男。


的場 聡(まとば さとし) 

高校3年生。彩香の彼氏。


相馬 晴美(そうま はるみ)

高校3年生。生徒会長。誰にでも優しい。


木下 響子(きのした きょうこ)

高校3年生。彩香の親友。


早乙女 美穂(さおとめ みほ)

高校3年生。大人しいタイプの子。


黒井 健太郎(くろい けんたろう) 

高校教師。影で女子を盗撮しているという噂も。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


★あらすじ


修学旅行中の彩香を襲ったのはー

”蒼月市を震源とした巨大地震”だったー。


さらにー、彩香は地震の発生時に、

自分を助けてくれた謎の男、

日向 俊樹と入れ替わってしまうー。


俊樹と入れ替わったことに戸惑いながらも、

謎のスキンヘッドの男から何とか逃れた二人はー

蒼月市の”崩壊”した現状を目の当たりにし、

唖然としていた…。


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>崩壊都市①~発生~

作品の性質上、地震災害の描写などが存在します。 苦手な方は、ご注意ください! 作中で発生する地震災害、場所、物語は全てフィクションデス! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ついさっきまで、こんなことになるなんて、夢にも思ってなかったー。 「ーー走りにくいな…この身体ー!」 「ーーそ、そんなこと...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


1日目 13:30-


路地から出て、蒼月市の惨状を目の当たりにした

彩香と俊樹のふたりはー、

その悲惨さに、言葉を失っていたー。


ふたりは、自分たちの身体が入れ替わってしまっていること以上にー

強い衝撃を受けていたー。


崩れた建物ー

散乱したガラスや瓦礫ー

遠くからは炎や煙も見えるー


泣き叫ぶ人ー

瓦礫の下敷きになって、悲鳴を上げている人ー

それを助けようとする人々ー


緊急事態発生を知らせるラジオー


「ーー”また”ーーーーー」

彩香(俊樹)が険しい表情でそう呟くー


「え…?」

俊樹(彩香)が言うと、彩香(俊樹)は、俊樹(彩香)の

ほうを振り向いてから、

「ーーこの近くの一番近い避難所は、蒼月第3小学校だったなー…

 まずはそこに移動しよう」と、呟くー。


「ーそ、その前にーちょっと、スマホ返してー」

俊樹(彩香)の言葉に、彩香(俊樹)は「ん?あぁ」とスマホを返すー


しばらくスマホをいじってから、俊樹(彩香)は表情を曇らせるー。


「ーーーどうした?」

彩香(俊樹)が、尋ねるー。


俊樹(彩香)は、少し恥ずかしそうにー

「し、指紋ー」と、スマホを彩香(俊樹)の方に突き出すー


「ーわたしはわたしなのにー

 自分のスマホのロックも解除できないなんてー」

スマホを渡して”自分の身体”が、指紋認証を解除しているのを

見ながら、不貞腐れた様子で呟く俊樹(彩香)ー


「ーーま、まぁー仕方ないだろ。

 自分でも解除できるように、指紋認証は変えておいたほうがいいぞ」


彩香(俊樹)はそう言いながら、ロックを解除した

彩香のスマホを返すー。


「ーー今、君の指紋は俺のものなんだしー」

俊樹(彩香)が苦笑いしながら言うとー

「なんかヤらしい言い方ー」と、ジト目で、彩香(俊樹)を見つめる

俊樹(彩香)ー


「ーーえぇっ!?なんでだよ!?」

思わず突っ込みを入れる彩香(俊樹)を無視してー

俊樹(彩香)が電話をし始めるー。


修学旅行の同じ行動班だったー

親友の響子、生徒会長の晴美、大人しい性格の美穂に

ひとまず自分の無事を伝えようとしたー。


響子に電話を入れる俊樹(彩香)ー


”ウチと彩香は、ずっと友達やからー”

響子の顔が浮かぶー。


けれどー

電話は繋がらないー。


「ーー響子ー」

続けて、生徒会長の晴美に電話を入れるー。


いつもしっかり者で頼れる存在の晴美ー

けれどー

晴美にも電話は繋がらないー。


「ーーー」

焦った手つきで美穂に連絡を入れるー


だが、美穂にも連絡はつかなかったー。


「ーーー…みんな…出てよ…」

表情に焦りが浮かぶ俊樹(彩香)ー


別の班だったため、別行動の彼氏である・聡にも

連絡を入れたが、やはり繋がらないー


俊樹(彩香)が続けて両親に連絡しようとしたその時だったー。


その様子を壁に寄りかかって腕組みしながら見ていた

彩香(俊樹)が呟くー


「ーー地震直後は、設備のトラブルとか、通信規制もかかるし、

 みんな一斉に電話しようとするからな…」


”当分、まともにはつながらない”という

彩香(俊樹)の言葉に、俊樹(彩香)は慌てた様子で

スマホでの連絡を諦めて、

「響子ー…みんなー」と、呟きながら、先ほどまでいた

裏路地まで戻ろうとするー。


「おい!やめとけ!」

彩香(俊樹)が、俊樹(彩香)の肩を掴むー


「離して!みんなが…みんながー」

俊樹(彩香)がそう叫びながら、彩香(俊樹)の腕を振り払うー。


「…ーーー!」

彩香(俊樹)は、彩香の手ー…

今は”自分の手”を見つめるー


そしてすぐに叫ぶー


「おい!まだ余震があるかもしれないから、

 そっちは危ないから戻ってこい!」

彩香(俊樹)が叫ぶと、俊樹(彩香)は

「ー放っておいてよ!」と叫ぶー。


そのまま、裏路地の方に入ってしまう俊樹(彩香)ー


「ーーーは~~~~~~」

彩香(俊樹)は綺麗な黒髪を掻きむしりながら

ため息をつくと、「ーー俺の身体を持ち逃げするな!」と

叫びながら、俊樹(彩香)を追って、再び裏路地に入ったー。


”ごめんねーーー”

一人の少女の言葉が、彩香になった俊樹の中にフラッシュバックするー。


「ーー身体は変わってもーー忘れたりはしないよ」

彩香(俊樹)は小さくそう呟くと、


もう二度とーー


と、俊樹になった彩香が向かった方向に走るー


「ーっ…女って本当に走りにくいな…!

 スカートはふわふわするし、

 胸になんか違和感あるしー!

 もう、はぁはぁ息切れしてるし、

 おまけに息切れ可愛くて気が散るし!」


自虐的にそう叫びながら、彩香(俊樹)が、曲がり角を曲がるとー

そこには、途方に暮れた俊樹(彩香)がいたー。


彩香と同じ班だった、響子・晴美・美穂がいた方角への道はー

地震の際に倒壊した建物によって、完全にふさがれてしまっていたー。


「ーーー」

俊樹(彩香)は、彩香(俊樹)のほうを見ると、

彩香(俊樹)を無視してそのまま、さらに路地の奥に向かって

”別の道”を探そうとするー。


だがー

そんな様子を見て、彩香(俊樹)は、俊樹(彩香)の腕を今度は

さっきよりも思いっきり掴んだー


「離して!みんなのところに早く戻らないとー!」

俊樹(彩香)が叫ぶー。


「友達が心配なのはわかる!でも、こんな狭い場所にいたら危険なんだ!」

彩香(俊樹)が言うー。


建物が密集しているこの裏路地はー

”余震”が発生したら、非常に危険だー。


大きな地震災害が発生した際にはー

最初の本震(ほんしん)よりも、小さな余震であったとしてもー

既にダメージの蓄積している建物が倒壊する可能性があるー。


それにー

本震だと思っていたものが、実は本震はなくー

そのあとにさらに大きな地震が来るケースもあるー。


俊樹はー

それを、知っているー


「ーー君を心配して言ってるんだ!早くさっきの場所に戻ろう!」

彩香(俊樹)が叫ぶと、

俊樹(彩香)が、目に涙を溜めながら

「放っておいてよ!あなたに何がわかるの!!」

と、俊樹(彩香)は叫んだー


そう言われた彩香(俊樹)は、表情を歪めながらー


「ーーバカ野郎!!!」

と、叫びーー


俊樹(彩香)の頬に、ビンタを食らわせたー。


突然、”元自分”の身体にビンタされて驚く俊樹(彩香)ー


「ーー君は死にたいのか!?

 突然のことに慌てるのはわかる!

 俺だって”そう”だったー! 

 

 でも、それじゃダメなんだ!

 冷静さを失ったら、本当に、死ぬんだよ!」


彩香(俊樹)が感情的になって、目を潤ませながら言うとー

俊樹(彩香)は、ようやく我を取り戻したのかー

「ご…ごめんなさい…」と呟いたー。


建物の密集した裏路地ー。

既に半壊している建物も多く、非常に危険なことは、

俊樹になった彩香にも、改めて見て見ると、よくわかったー。


「ーーーわたし…こんなこと、はじめてでー…」

俊樹(彩香)が言うと、

彩香(俊樹)は、深呼吸をしてから、

俊樹(彩香)のほうを見て、優しく微笑んだー。


「ーー…ごめんな…急に叩いたりしてー

 でもーー…地震は本当に怖いものだからー」


「ーー本当よ!女の子を叩くなんて、最低!」

俊樹(彩香)が批判の言葉を口にするー。

けれど、その表情は、本気、という感じではなくー

冗談であることがわかるような口調だったー。


「ーーーはは…残念だったなー」

ニヤッと笑う彩香(俊樹)ー


彩香(俊樹)は、自分を指さしながらー

「今は、俺が女の子ー」

と、呟き、そして、俊樹(彩香)を指さしてー

「ー君が、男ー」

と、笑うー。


「ーー女子高生が、言うことを聞かないおっさんを殴っただけー」


彩香(俊樹)は、ニヤニヤしながら言うとー

俊樹(彩香)は「もう!!」と、不貞腐れた様子で頬を膨らませたー


「ははは、俺の身体も中身が違うと可愛いなー」

緊張をほぐすかのように、そんな冗談を口にすると、

彩香(俊樹)は深呼吸をして、路地の出口のある方向を見つめるー。


彩香(俊樹)の、”まるで過去にも被災したかのような発言”に、

俊樹(彩香)は

「ーーーあなたは…前にも被災したことあるの?」と、不安そうに呟くー


「ーーー…まぁな」

彩香(俊樹)はそれだけ言うと、わずかな揺れを感じてー

警戒しながら周囲を見つめるー。


幸い、余震はすぐに収まり、彩香(俊樹)は

「早くこの路地から出ようー。さっきの場所に戻るんだ」と、

俊樹(彩香)に向かって言い放ったー


「ーーねぇ…余震ってどのぐらい続くの?あと何回ぐらいー?」


路地の出口に向かいながら、俊樹(彩香)が言うー。


彩香(俊樹)はー

「ー分からない…さっきの地震はかなり大きかったしー…

 何百回…何千回…何万回も続くかもー」

と、険しい表情で答えるー


「ーーえ、、えぇっ!?余震ってそんなにー?」

俊樹(彩香)が驚くー。


「ーー何十年前の地震の余震が来ることもあるぐらいだからな」

彩香(俊樹)が、路地の出口にたどり着いて、

俊樹(彩香)と共に路地から出ると、

駅の方の建物が火災になっているのが見えたー


「ーーあれは…ホテル蒼月か…」

彩香(俊樹)が、唖然とするー


駅前の大きなホテル”ホテル蒼月”が、火災になっているのだー。


「ーーー…どうするの?」

俊樹(彩香)が呟くー


「ーどうするって…?俺たちには何もできないよー…

 だから今はーーまず、いったん避難所に向かおうー。

 君の友達もそこにいるかもしれないー。


 この身体のことも、まず避難所に行ってから話そうー」


この付近の避難所は、

彩香になった俊樹によれば

”蒼月第3小学校”らしいー。


被災した際には、まず、安全な場所へと移動することが

何よりも大事だと、彩香(俊樹)は説明したー。


「ーーーみんな…無事でいてねー」

俊樹になった彩香は心の中でそう呟くー


響子ー

晴美ー

美穂ー

同じ行動班のメンバー


同じクラスの友達たちー


彼氏の聡ー。


それにー

担任の黒井先生ー。


ちょうど班ごとの”自由行動”の時間だったのが災いしたかもしれないー

先生も、生徒たちも色々な場所で散り散りだー。


自由行動の範囲は、蒼月市内だけではなく、

北蒼月市、南蒼月市ほか、周辺の市内も設定されていて、

班によっては、別の市で被災した可能性もあるー。


全員が合流するのは、かなり困難だったー


「ーーーさっきの写真の子は、彼氏か何かかー?」

彩香(俊樹)が歩きながら言うー。


俊樹(彩香)は「えっー」と、言いながら顔を赤らめて、

彩香(俊樹)がスマホをいじっていた際に、

スマホの待ち受け画像を見られたことを悟るー


「ーーちょっと!勝手に見ないでよー」

恥ずかしそうに言いながら俊樹(彩香)はーー


「ーーそうー…わたしの、彼氏の聡ー」

とー、不安そうに呟くー。


明るく、気配りもできる性格の聡ー。

成績優秀で、先生やクラスメイトたちからの信頼も厚いー。

去年は、1年生の頃は、生徒会の書記を担当していたこともあるー。


彩香とは、元々はクラスも別で、ほとんど接点はなかったものの、

2年生の際の文化祭の時に、一緒に実行委員をやったことがきっかけで

意気投合し、去年のクリスマスに付き合いを始めた間柄だー。


”いつも勉強してそう”なイメージもあったものの

休日にはよく出かけたり、家にいるときはゲームも遊んだりと、

実際に付き合ってみると「勉強も娯楽も一生懸命楽しんでいるー」

そんな感じの男子だったー。


「ーーいつも笑ってる聡といっしょにいるとー

 ホントにこっちも笑顔になれるっていうかーそんな感じでー」


歩きながら彼氏の話をして、

微笑む俊樹(彩香)ー


「ーー君は、本当にその彼氏のことが好きなんだなー」

彩香(俊樹)はそう呟きながらー

「早くー、元に戻る方法も見つけないとな」

と、付け加えるー。


「ーーこのままじゃ、おっさんと男子高校生のボーイズラブになっちまうー」

そんな冗談を口にする彩香(俊樹)ー


「ーーーーー」

俊樹(彩香)は思わず、一瞬考えてしまいー

「ちょっと!変なこと想像させないでよ!」と叫ぶー。


「ーっていうか、あなたは何歳なの!?おっさんって歳じゃないでしょ!」


「ー20過ぎりゃ、おっさんだよ」


そんなやり取りをしながらも、

再び余震の揺れを感じて、

彩香(俊樹)は、俊樹(彩香)に注意を促すー。


「ーー足元にも、気をつけてなー」

彩香(俊樹)は、地面にガラス片や、危険なものが散乱している

可能性も指摘しながら、再び歩き出すー。


「ーーねぇ…さっきのスキンヘッドのヤバそうな人ー

 あなたのこと、知ってたよねー?」


歩きながら、俊樹(彩香)が今度はそう尋ねるー。


「ーーー」

彩香(俊樹)は、一瞬沈黙しようとしたものの、

少ししてからようやく口を開いたー。


「ーーー赤岩(あかいわ)ーーー」

そう言いかけたその時ー


「ーーーあ!」

俊樹(彩香)が声を上げるー。


ちょうど、反対側から歩いてくる人の中にー

彼氏の聡の姿見えたのだったー


「ーーーさ、、さと…!」


彼氏の姿に、嬉しそうに叫ぼうとした俊樹(彩香)ー


しかしー

自分の口から出た声に、イヤでも、

”今、自分はちょっぴりイケメンな30代前後の男”であることを思い出すー。


「ーーねぇ…」

俊樹(彩香)は彩香(俊樹)のほうを見て呟くー。


「ーー入れ替わっちゃった!なんていきなり言って信じてもらえると思うー?」


その言葉に、彩香(俊樹)は、「ーー君の彼氏は、信じてくれそうなのか?」

と答えるー。


聡は、気配りもできるタイプだし、

二人で説得すれば、信じてもらえると思うー、と俊樹(彩香)は答えたー


「ーーわかったー えっと…普段は”聡”って呼んでるのか?」

彩香(俊樹)はそう言うと、

俊樹(彩香)は頷きー、二人は共に、彼氏の聡に声をかけたー。


「さ、聡~!ぶ、無事で、よ、よかった!」

少しぎこちない様子で彩香(俊樹)が声を掛けると、

聡は「彩香!」と、嬉しそうに微笑んだー


だが、すぐに横にいる俊樹(彩香)の姿を見ると、

聡は「その人はー?」と、彩香(俊樹)に尋ねるー。


「ーーわ…わたしを助けてくれた人でー」


”地震の時に助けてくれた”と、彩香(俊樹)が説明するー。

ウソはついていないー。


すると、聡は「彩香を助けてくれたんですねー。ありがとうございます」と

礼儀正しく頭を下げたー。


「ーーい、、いえ」

俊樹(彩香)は、戸惑いながら目を逸らすー。


そしてー

彩香(俊樹)と俊樹(彩香)が目をあわせてからー

”入れ替わってしまったこと”を聡に伝えようとするとー


「ーそうだ彩香!いっしょに駅前に行かないか?」と、

聡が先に口を開いたー


「駅前…?」

彩香(俊樹)は、

駅前の蒼月ホテルが火災になっていて危ない、ということや、

これから蒼月第3小学校の避難所に向かおうとしていることを伝えたー


するとー


「ーーははっ そっか。 俺はとりあえず、駅前行くから」

と、聡は笑ったー。


「ーー駅に何かあるの?」

俊樹(彩香)は、思わず俊樹の身体であることを忘れて

普通に喋ってしまいー

”あっ”と内心で焦ったもののー

聡は普通に反応してくれたー。


「ーーいや、すげぇらしいんだよ!駅前の火事!」

スマホを手にしながら呟く聡ー


「ってか、地震やばいよなー。

 マジさっきからテンションあがっちゃってさ~」


聡が笑いながら言うー。


「ーーさ、聡ー?」

俊樹(彩香)は思わず、表情を曇らせるー。


「ーーいや、だってさ、こんなの見たことないじゃん!

 マジでゲームみたいで、すごいし、

 駅前のホテルも、ほら、あんな燃えてるー!」


遠くに見える炎を指さしながら、聡は笑うー。


「ーーーー……何言ってんのー?」

不愉快そうに、彩香のフリをした彩香(俊樹)が

聡を睨みつけるー。


「ーーせっかくだからさ、動画に撮ろうと思ってさ!

 撮影ミッション的な? ははっ!」


聡の言葉にー

彩香(俊樹)は

「ーーこれは、ゲームなんかじゃないんだよ」と、

ひきつった笑顔を浮かべながら反論するー


俊樹(彩香)は気まずい空気を察して

俊樹のフリをしながら「き、君も、一緒に避難所にー」と、

割って入るー。


だがー

その直後ー

駅の方向から爆発音が聞こえてー

聡は嬉しそうにスマホで動画を撮影し始めるー


「すっげぇ…すげぇ…ゲームみたいだ…!すげぇ!」

聡は目を輝かせながら、そのまま駅の方に走っていくー。


「ーーさ、聡!」

思わず叫んでしまう俊樹(彩香)ー


立ち去っていく聡はー

”いつものように”とても楽しそうだったー


でもーーー


”どうしちゃったの…聡…?”

俊樹(彩香)は、そう思わずにはいられなかったー。


彩香(俊樹)は「君の彼氏は、いつもあんななのかー?」と、

不愉快そうに呟くー


俊樹(彩香)は「ううん…いつもはー…優しくて…

一緒にいると安心できるのにー」と、返事をしながらー

聡の後ろ姿を見つめるー。


その直後ー

再び強い揺れが二人を襲うー。


「危ない…!そっちに!」

彩香(俊樹)が、近くの建物が崩れかけているのを見て、

建物から離れるように、と叫ぶー。


幸いー

すぐに揺れは落ち着いたものの、道路には亀裂が入りー

建物が半壊ーー

聡の向かった方向に進むことは困難な状況になってしまったー。


「ーーー聡ー」

不安そうに呟く俊樹(彩香)ー


「ーーひとまず、避難所に向かおうー」

彩香(俊樹)が言うと、俊樹(彩香)はしばらく戸惑った様子を

見せてから頷くー


”聡…無事でいてね”

俊樹(彩香)は、そんなことを思いながら歩き出すー


けれどー

彩香(俊樹)は険しい表情を浮かべていたー。


被災地ではー

”人”はーー

支えにも、敵にもなるー。


俊樹は、それをよく知っているー。


助け合いー

支え合いー

暖かい一面ばかりが、世間では報じられるー


けれどー

決して、そうではないー。


光の裏には、闇があるー。


空き巣を繰り返す火事場泥棒ー

パニックを起こす人ー

そして、極限状況下で攻撃的になったりー

理性を失う人ー


人は、”支え”にも”恐怖”にもなるー。


彩香(俊樹)は、彩香の彼氏である聡の先ほどの雰囲気を見て

そのことを”再び”噛み締めるのだったー


③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


長編入れ替わり「崩壊都市」の第2話でした!


今日は現実でも、震度5弱の地震が2か所で発生したりと

不安な状態ですネ…

防災用品の見直しのいい機会なのかもしれません…!

(私も避難用のグッズを用意しているのですが、

 最近はチェックしてなかったので、後でチェックしようと思います~★!)


執筆前から、テーマの一つが重い部分なので、

こういうこともあると思ってはいましたが、

「冒頭に地震描写があることを明記する注意文」を入れたり、

「舞台を架空の地に設定」したり(この二つは第1話時点から

やってることですネ…!)

必要な部分は、今後も、色々配慮しつつやっていきます~!


今日もお読みくださりありがとうございました~!



(メイキング・崩壊都市)


・物語の舞台は「蒼月市」

 地震災害を物語中に登場させる上での配慮などから

 考えた、架空の地域を舞台としています!


・彼氏の聡

 よく考えたら「かれし」「さとし」の響きが似ていて

 何だか「彼氏の聡」と書くたびに変な気分デス


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