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女子大生と入れ替わった犯罪者の俊ー。


だが、”自白天使”の異名を持つ刑事・杉浦は、

菜月美と俊の入れ替わりを見抜いたー。


自分が疑われていることを察知した菜月美(俊)は

子分の康司と共に国外逃亡を決意ー

勝手に作った菜月美のパスポートを手に、

空港へと向かうー。


一方、杉浦刑事も、俊(菜月美)を連れて

空港へとやってきていたー。


二人の運命はー…?


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>わたしの身体で国外逃亡しないで!④~対峙~

子分の康司から、色々遊ばれながらも、 パスポートの手配を終えた、菜月美になった俊ー。 女子大生と入れ替わった俊は、女子大生としての立場の 悪用を考えつつも”万が一”に備えて国外逃亡の準備を済ませていたー。 一方、警察に逮捕されてしまった俊になった菜月美を 取り調べていた”自白天使”の異名を持つ刑事・杉浦は...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーお嬢ちゃんの未来にー

 ”闇”が待っているー」


空港のロビーを歩きながら、菜月美(俊)は、

空港周辺で占いをしていた、怪しげな老婆に言われた言葉を思い出すー


「ーー姉御~!どうしたんすか?さっきから難しい顔しちゃって」

子分の康司がニヤニヤしながら言うー。


だが、不機嫌そうな菜月美(俊)は

キャリーバッグを手に、そのまま返事をせずに、搭乗口の方に向かって

歩いていくー。


「ーーもしかして、さっきの婆さんの手相占い、気にしてるんすか?」

ニヤニヤしながら言う康司ー


「うるせぇ!」

菜月美(俊)が言うと、康司は、

「ーー兄貴らしくないっすよ」と、菜月美(俊)に声を掛けるー。


「ーあん?」

髪を揺らしながら振り返る菜月美(俊)ー

康司は、そんな菜月美(俊)に対して言うー。


「ー兄貴はいつも、自分の長年の勘を信じて

 これまでも修羅場を潜り抜けて来たじゃないっすか。

 あんな占いを真に受けて、考え込むなんて

 兄貴らしくないっすよー」


康司の言葉に、菜月美(俊)はイライラした様子で

髪を掻きむしると、

「ーーお前に指摘されるのはちょっとムカつくけどよー…

 確かに、その通りだなー」

と、笑みを浮かべながら言うー。


「ーー…か弱い身体になって、ちょっと影響されちまってたぜ」

菜月美(俊)は、そう言うとー


”そうだー

 俺は、自分の勘を信じて、これまでも裏社会で

 生き抜いてきたんじゃないか”


と、気を持ち直して、

康司のほうを見つめるー。


「ーー康司、やっぱ”兄貴”のほうがしっくり来るー

 姉御はもうやめろー調子が狂う」


その言葉に、康司は


「嫌っす!」

と、即答したー


「おい!」

菜月美(俊)が大声で叫ぶと、康司は

「ーそんなエロい身体でウロウロされたら、やっぱ姉御って

 呼ぶしかないっすよ~」とニヤニヤしながら言うー。


「ーうるせぇ!俺は男だぞ!」

菜月美(俊)がムキになって言うー。


「ーーへ~~? でも姉御、

 そこについてるおっぱいは何すかぁ~?」


揶揄うようにして言う康司に、

「-テメェ、向こうについたら、覚悟しとけよ」と、

菜月美(俊)は言い放つー。


「ーーへへへっ…」

康司は、そんな言葉を言われても嬉しそうだー。

菜月美(俊)も、子分の康司との会話に、少しだけ

楽しそうに笑うとー

「いいからそろそろ行くぞ」と、康司を手招きするー。


搭乗予定の飛行機の出発時間が近づいているー。


「ーーーーーまぁ…なんかアレだー

 テメェにはいつも世話になってるからよー…

 無事に向こうについたらー

 たっぷりヤラせてやるよー

 この身体とな」


菜月美(俊)が言うと、康司は「うほっ!マジっすか!?うぇい!」と

妙なテンションでガッツポーズをしたー。


だがー

その時だったー。


「ーーーわたしの身体を、返して!」

声が聞こえたー。


「ーー!?」

菜月美(俊)と康司が振り返るとー

空港に到着した俊(菜月美)と、”自白天使”の異名を持つ杉浦刑事の

姿が見えたー。


「ーー北森 菜月美さんですねー?」

”自白天使”杉浦刑事が近づいてくると、警察手帳を示してから、

菜月美(俊)のほうを見つめたー


「ーー突然の出国ー。海外旅行か、何かですかね?」

杉浦刑事が笑みを浮かべながら言うと、

菜月美(俊)は「えぇ…わたし、彼と海外旅行に行こうと思って」と、

康司のほうを見ながら言うー。


「ーーわ、わたしの身体で勝手に国外逃亡しないで!」

俊(菜月美)が叫ぶー。


杉浦刑事は、そんな俊(菜月美)のほうを見てー

「まぁまぁ落ち着いてー」と、だけ言うと、

再び菜月美(俊)のほうを見つめるー。


「ーーほぅ。それはまた急にどうしてー?

 体調不良で大学を休まれていたはずではー?」

杉浦刑事が穏やかな笑みを浮かべながら言うー。


菜月美(俊)は表情を歪めるー。


「つまり、何が言いたいんですか?刑事さんー」

顔は笑っているー

だが、菜月美(俊)は激しい殺意を抱いていたー。


「ーーつまりー?

 そうですねー。

 言うまでもないと思いますが、一応言ってあげましょうー」


杉浦刑事はそこまで言うと、笑みを浮かべながら

鋭い目つきで菜月美(俊)を睨んだー


「ーー浜崎 俊ー。

 お前と、その女性ー

 北森 菜月美の身体が入れ替わっているー


 そう、言ってるんだー」


急に態度を豹変させた杉浦刑事に、

菜月美(俊)は表情を険しくするー


”入れ替わり”に疑念を抱いても、確証まで

抱かれることはないはずー。

そう、考えていたー。


それならば「証拠は?」だとか、うまく誤魔化しながら、

海外に逃亡することは十分にできたー。


だが、甘かったー。


目の前にいるこの刑事は

”確かな確信”を抱いて、今、ここにいるー。


「うっぜぇ…」

菜月美(俊)は舌打ちをすると、本性を現したー


「ーーーう、、う、、うおおおおおおおっ!」

康司が二人に向かって突進していくー。


それと同時に菜月美(俊)が逃げ出すー


「姉御!どうか、、どうかご無事で!」

康司が叫びながら杉浦刑事に突進するー。


康司は、菜月美(俊)を逃がすための時間を稼ぐため、

杉浦刑事に突進したのだー。


「ま、待って!」

俊(菜月美)が、菜月美(俊)を追って走り出すー。


「ーーー待つんだ!」

杉浦刑事が叫ぶー。

俊(菜月美)を一人で行かせるのは危険だと思ったー。


だが、康司が想像以上に抵抗してきてー

俊(菜月美)が先に空港のロビーから飛び出してしまうー。


「ーーいい加減にしろ!」

杉浦刑事は、康司を床に投げ倒すと、そのまま手錠で

康司を拘束したー。


騒動になっている周囲を見ながら、空港の職員に

起きていることを手短に話し、

先輩の五十嵐刑事に無線で状況を報告ー

空港のほうの対応を五十嵐刑事にお願いしたー


そしてー

菜月美たちの向かったほうに走るー。



「ーーーくそっ…はぁ、、はぁ…貧弱な身体だぜー」

空港内の格納庫のような場所にたどり着いた菜月美(俊)は、

可愛らしい息を漏らしながら、そう呟いたー


「ー俺の身体だったら…余裕で振り切れるのに…」


はぁ、はぁと言いながら、額から流れてくる汗をぬぐうー


「ーー今だけはーJDの身体を憎むしかねぇなー」

そう呟くと振り返る菜月美(俊)ー


追いついた俊(菜月美)は

「ーーわたしの身体を、返してくださいー」

と、叫ぶー。


「ーーー…クククー」

菜月美(俊)は笑みを浮かべながら、

スカートの中に巻き付けていたポーチのようなものから

ナイフを取り出すー。


ペロリとナイフを舐める菜月美(俊)ー


「ーー!」

俊(菜月美)が表情を歪めるー


「ーお前とあの刑事をぶっ殺して、海外に飛んでやるー」

菜月美(俊)は笑いながら、俊(菜月美)に襲い掛かってくるー


「ーや、やめて!」

俊(菜月美)も必死に抵抗したー。


だがー

ここに”俊”の誤算があったー。


「ーーー!」

”菜月美の身体”は彼の思うようには動かなかったー。

運動神経が違うー。


「ーくそっ!邪魔くせぇな!!!!!!!!!」

振り乱れる髪にいら立つ菜月美(俊)ー


俊(菜月美)は、ナイフを前に悲鳴を上げながらー

菜月美(俊)を押し飛ばすー。


想像以上の力ー


「ーーぐっ」

菜月美(俊)は

”くそっ…この身体じゃ、俺の身体に押されてばかりー”と、

内心で舌打ちをするー


「ーーでも…こっちにはナイフがあるんだ!

 死ね!」

菜月美の声でそう叫ぶとー

俊(菜月美)を強引に近くの棚に押し付けてー

そのまま俊(菜月美)を引き裂こうとしたー。


その時だったー


「ーー!」

「ーーーあっ!」


俊(菜月美)を乱暴に押し付けた棚のようなものがー

突然傾きー

積まれていた資材もろとも、菜月美と俊の方に倒れ込んできたー


菜月美(俊)は、その時思ったー


「ーーお嬢ちゃんの未来にー

 ”闇”が待っているー」


占い師の言葉を思い出すー。


”ケッ…いい占いは当たらねぇのに、こういうのは、当たるのかよ”


それが、俊が最後に考えたことだったー。



「ーーー!」

駆け付けた杉浦刑事が目撃したのはー

倒れてきた棚の下敷きになってしまった

菜月美と俊の姿だったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーまぁ、結果オーライってところだな」


数日後ー

五十嵐刑事が笑うー。


「ーーそうですね。一時はどうなるかと思いましたがー。

 ただー…まぁ、浜崎 俊からは色々、密輸のルートとか、

 犯罪組織の関係性とか聞き出せたでしょうからー…

 僕の落ち度です」


杉浦刑事の言葉に、五十嵐刑事は

「いやいや、お前はよくやったよ。入れ替わりを見抜くなんて

 表彰モンだ」と、笑うー。


「ーー少し、様子を見てきます」

杉浦刑事の言葉に、五十嵐刑事は「おぅ、気をつけてなー」と、手を振るー



あのあとー

助け出された二人は、負傷していたー。


特に、浜崎 俊のほうは、後頭部を強打していたー。


そしてー


「ーー兄貴ぃぃぃぃぃぃぃぃ」

病院で、子分の康司は、悲痛な叫び声を上げていたー。


浜崎 俊は、死亡したのだー。


「ーーーくそっ…くそっー」

兄貴を失った康司は、警察に逮捕され、

その後は、全てを失ったかのように、呆然とする日々を

刑務所で送っているー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー身体のほうは、大丈夫ですかー?」

”自白天使”こと、杉浦刑事は、入院中の菜月美に向かって言うー。


「ーはい…だいぶ良くなりましたー」

菜月美が穏やかに微笑むー。


「ーー入れ替わった原因は調査中ですがー

 結果的に元に戻れてよかったです」


杉浦刑事が言うと、菜月美は「本当に、ありがとうございました」と

頭を下げるー。


二人が入れ替わったのは、逃亡中の俊と、偶然居合わせた菜月美が

ぶつかったことによるものー


あの時、倉庫のような場所で、棚が倒れてきた際に

二人が再度ぶつかったことにより、

こうして、無事に元に戻ったのだー。


だが、それ以上のことは、分からなかったー


「世の中には、不思議なこともあるんだなー…」

杉浦刑事はそんな風に呟きながら

順調に回復している菜月美のほうを見て、安心するー。


記憶もしっかりしているし、落ち込みすぎることもなく、

怪我も順調に回復しているー。

これならば、何も問題ないだろうー。


「ーー刑事さんが、気づいてくれてー

 本当に…本当に、よかったですー」


菜月美の言葉に、杉浦刑事は、穏やかに笑うと、

「ーーでは」と、立ち上がり、病室の外に出ていくー。


”10パーセントー”

杉浦刑事は”ある可能性”を、”10パーセント”と断定していたー


「ーーまぁ…さすがにそれはないだろうなー」


そう呟きながら、杉浦刑事は病院から立ち去って行ったー。



”なるほどなー”


病室で一人になった菜月美は、綺麗な手を見つめながら

笑みを浮かべるー


「ーーお嬢ちゃんの未来にー

 ”闇”が待っているー」


”菜月美の手”を見て占ったあの占い師が言っていたのはー


「ーー”俺”じゃなくて、”この女”の運命だったんだなー」

菜月美がニヤリと笑うー。


二人は、”元に戻って”などいなかったー。

”ぶつかって入れ替わった”二人が、もう一度ぶつかって元に戻るなんて

保証はないー。


それどころかー

”元自分の身体”が死んだからかー

それとも”菜月美の意識”が死んだからかー


「ーー今の俺には、この女の記憶も全部読めるぜー」

菜月美は笑みを浮かべるー


完全に菜月美に成りきることも、これで可能になったー


「俺は浜崎 俊でー わたしは菜月美ー

 なんてな…ククク」


もう国外逃亡する必要すらなくなったー


「ーー”俺”は、あの世に逃亡したぜー

 刑事さんよー クククー


 これからはこの身体で、しばらく女子大生ライフを楽しむとするかー」


菜月美(俊)はそう呟くと、

ペロリと自分の指を舐めて、不気味な笑みを浮かべたー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


国外逃亡を目指す犯罪者と女子大生の入れ替わりの

最終回でした~!


俊以外にとってはバッドエンドな結末ですネ~!


ここまでお読みくださり、ありがとうございました!☆

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Comments

みのむー

なるほど。こういう結末になりましたかー。 ダークだー。わーい。

Qoo8390

国外逃亡しないでください! →国外逃亡しなくて良くなったよ!良かったね! になるとは見事なタイトル回収だと思いました…女子大生ライフを楽しんでるうちに俊として死んだ菜月美の霊に遭遇してーーーなんて展開を妄想したりしましたねぇ。

無名

コメントありがとうございます~! ダークな結末を喜ばれてしまう菜月美ちゃん…笑 喜んでいただけて何よりデス~!

無名

コメントありがとうございます~! お楽しみ頂けて何よりデス! 女子大生ライフ編…★ それも面白そうですネ…!