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男性会社員・基之の上司はパワハラ上司だったー。


ある日、実家暮らしで現在大学に通う妹・史香が

遊びに来ることになった基之は、史香の到着を待っていたものの、

あろうことか、家に向かう途中で、階段から転落し、

史香とパワハラ上司の根本が入れ替わってしまったー…!


史香になった根本部長と共同生活をする羽目になってしまった

基之は、翌日会社に出社…

そこで、根本部長になった史香ーー…のはずが、

根本部長は”いつもと同じ”振る舞いで…?


”中身は史香じゃないのか?”

そんな不安を抱きながら、基之は根本部長(史香??)の様子を

観察しながら、仕事を続けることにー…


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>俺の妹がパワハラ上司に!?③~同居~

妹の史香とパワハラ上司の根本が入れ替わってしまったー。 しかも、史香になった根本部長と一緒に共同生活をすることに なってしまった史香の兄・基之は困惑するー。 当初、”お互いに気づかないフリ”をしていたが、 それもすぐに限界を迎えてー 基之は”妹の史香と部長が入れ替わっていることを知っている”ということ、 ...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


昼休みーー


基之は、戸惑いを隠せずにいたー。

史香の身体の中に根本部長がいるということは、

根本部長の身体の中には史香がいるはずなのだー。


しかしー

根本部長(史香??)は、基之のことを見ても

反応する様子を見せずー

いつものように、高圧的で嫌な感じだー。


「ーー????」

自販機コーナーで、頭に「?」をたくさん浮かべる基之ー。


「どうしたんだ?」

先輩の烏丸が声を掛けてくるー。


「ーーあ、いえ…ちょ、ちょっとー」

基之が言うと、烏丸は「何かあったんじゃないのか?」と

心配そうに再び聞いてくるー。


「ーーい、いえ、大丈夫です。すみませんー」

基之は、根本部長の身体に史香がいないならー、

史香の意識はどこにー?と、

不安がさらに募っていくー。


「ーーーいてっ!!!」

考え事をしていた基之はー

廊下の曲がり角で、誰かにぶつかってしまい、

「す、すみまーーー」と、声を出しかけたー。


「ーーう…」

基之はぶつかってしまった相手の顔を見て、口を閉ざしたー。


基之がぶつかってしまったのはー

あろうことか、その根本部長(史香??)だったのだー


「ーーーどこを見て歩いてるんだ?」

根本部長(史香??)の怒りの声ー。


「ーーあ、いえ、そ、、その、、そ…」

基之は混乱しながら、なんとかこの場を切り抜けようと必死になるー。


基之の、そんな狼狽えて居る様子を見た根本部長(史香??)は

突然、笑みを浮かべたー


「ぷっ…くくくく…」

とー。


「ーーえ?」

基之が唖然としていると、

根本部長(史香??)は大声で笑いだしたー。


「あ~~~!お兄ちゃんってば、本当に面白い~!

 朝からず~っと、たこを失ったたこ焼きみたいな

 顔しちゃって!」


根本部長(史香)は、笑うー。


「ーーえ??え???」

基之が、困惑を続けていると、

根本部長(史香)は「どうだった?部長のフリ!」と、

笑みを浮かべるー。


朝からずっと、根本部長の中身は史香だったのだー。


「お兄ちゃんからいつも聞いてたゴリスメント部長さんっぽく

 振る舞ってみたけど、似てた??似てた????」

笑いながら迫ってくる根本部長(史香)に対してー


「ーー似すぎだよ…」

と、基之は首を振りながらため息をついたー


そしてー


「ーーあと、たこが入ってなかったら

 それはたこやきじゃない」


と、根本部長(史香)に対してつけ加えたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーー」


仕事が終わると、基之と根本部長(史香)は

使われていない会議室に入り、話し合いを続けていたー。


「ーーわたしになった部長さん、変なことしてないかな?」

根本部長(史香)の言葉に、

「ーーまぁ…ホントはずっと家で見張ってたかったけどー…」

と、呟く基之ー。


だがー

根本部長はパワハラ気質のイヤな部長だが、

昨日の態度を見ている限り、史香の身体におかしなことをしそうな

そぶりは全くなかったー。


もちろん、その素振りが”演技”である可能性も否定はできないが、

根本部長は元々、良くも悪くも表裏のないタイプでー、

”少しぐらいパワハラ気質を隠してくれよ”とツッコミたくなってしまう

ぐらいに、単純な部長だったー


そんな性格を知っている基之からすれば、史香の身体になった

根本部長が、何かおかしな行動を起こすとは考えにくかったしー、

だからこそ、こうして会社に来たのだー。


史香が根本部長の身体で出社した以上ー、

根本部長(史香)のことも心配だったし、

会社に来ざるを得なかった、という事情もあるー。


「ーーー史香も休めばよかったのにー」

基之が言うー。


”部長、皆に嫌われてるし、いなくても正直仕事は進むしー”

とー。


「ーーーうん。そうみたいだね」

根本部長(史香)が呟くー


「ーだって…朝からわたし、仕事してるフリをしてただけで

 ほとんど何もしてないけど、普通に仕事は進んでたし、

 誰もわたしの異変にも気づかなかったでしょ?」


根本部長(史香)の言葉に、基之は

「ま…まぁ、確かに…」と頷くー。


「ー史香の演技が、意外と部長に似てたってのもあるけどな…」

と、基之は呟きながらも、

「ーーーで、どうやって戻すか、だなー」

と、考え込むー。


根本部長(史香)は、そんな基之の様子に

少しだけ笑みを浮かべるー。


「ーーーわたしも早く戻りたいけどー、

 でも、ちょうどいい”チャンス”でもあるからねー」


「ーー?」


根本部長(史香)の言葉に、基之は首をかしげながらー


「っていうか、やっぱ根本部長でその振る舞いは

 違和感すごすぎる!

 これじゃ、おネェ系の部長だよ!」


と、叫んだー。


笑いながら雑談を続ける二人ー


「ーーーーーーーーーーーーー」

二人のいる会議室の扉が、ほんの少しだけ開いていてー

何者かが覗いていたことを、二人は知らなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


帰宅すると、史香(根本部長)は

大人しく椅子に座って、パソコンをいじっていたー。


「ーーー…帰りました」

基之が困惑した表情で言うと、


「ーーん…」

と、史香(部長)は気まずそうに「お疲れさん」とだけ

呟いたー。


「ーーへ、、変なこと…してないですよね?」

基之が不安そうに”確認”するー


「ーーーしてたのはーー」

史香(部長)はそう言うと、恥ずかしそうに家の中を指さしたー。


「部屋の掃除と、トイレ掃除と、お風呂掃除ー…

 あと、洗濯物とー…」


その言葉にー

「えぇ!?部長、家庭的なんですね、意外とー」

と、驚きながら基之はスーツを脱ぎ始めたー。


「ーーー……」

パソコンの画面をじっと見つめている史香(部長)ー


”髪が長い”という状態に慣れていないのか、

しきりに髪をどかすような仕草をしているー。


「ーー…!」

ふと、史香(部長)のパソコンの画面に

エッチなキャラクターが映ったのが見えたー。


「ーちょ!?部長!?史香の身体でエッチなの見てません!?」

基之が慌てて言うと、

史香(部長)は顔を真っ赤にしながら振り返って、

「ば、、バカ!ちげぇよ!」と、叫ぶー。


「ーーーあ」

基之は、画面を見て”誤解”だったことを悟るー。


よくある、ホームページ上に表示されている広告に

たまたまちょっとエッチなスマホゲームの広告が表示

されているだけだったー。


「ーー…」

基之はふと画面のほうを見るー


そこにはー

”入れ替わり”と書かれた検索候補が大量に表示されていたー


「ーーー…なんとか、元に戻してやろうと思ってな」

そう呟く史香(部長)ー。


「ーー……へぇ…部長にもそんな一面があるんですね…」

基之が意外そうに言うと、史香(部長)は

「ーーう、うるさいぞお前はさっきから!散れ!散れ!」と、

鬱陶しいと言わんばかりに手を払ったー。



翌日ーーー


「ーーーー…」

家事をしている基之を見て、

「ーーー…お前、意外と色々できるんだな」と、

史香(部長)は呟くー。


「ーーーーー…それはまぁ、一人で暮らしていますから」

基之はそう言うと、史香(部長)は基之のほうを見つめながら

表情を歪めるー。


「ーーーー…」

基之の行動を見ていると、基之が妹・史香のことを

本当に心配している様子が痛いほどよく伝わってきたー。


直接口には出さないものの

史香になった部長のことをさりげなく、常におかしな行動を

しないかどうか気を配っているのもわかるし、

とにかく、一生懸命であることは伝わってきたー。


会社でいつもイライラしながら基之のことを見ていた時には

気づかなかったことだー。


”どうして、自分はあのような振る舞いしかできないのかー”

史香(部長)は自分の中でそのことを考えるー


”部下”に対してどうしてもキツく当たってしまうー

”部下”を見るとイライラしてしまうー

特に”基之”には、イライラしてしまうー


「ーーーー葉山ー」

史香(部長)が基之を呼ぶー


「ーーへ?」

今日も出勤の準備をしていた基之は少しだけ首をかしげると、

「座れ」と、史香(部長)が、ソファーのほうを指差した。


少し不機嫌そうに腕を組んだままの史香(部長)を見て

”史香の不機嫌そうな顔なんてめったに見ないなぁ…”と思いながら

基之は「ーーそ、そろそろ出勤しようと思うのですけどー」と、

逃げようとしたー。


しかしー


「いいから座れ!」

史香(部長)が叫ぶと、基之は「は、、はいっ!」と、

困惑した様子で座ったー。


「ー今からなら、まだ30分ぐらい余裕があるだろ?」

と、史香(部長)が腕組みしながら呟くと、

「ま…まぁ…」と、基之は頷くー。


「ーーーーーー」

史香(部長)が史香の髪をいじりながらソワソワした様子で

周囲をキョロキョロし始めるー。


「ーーあ、、あの…話って…?」

基之は戸惑うー。


「ーーーあ~~~~~~~~~~~~~~」

史香(部長)は、史香の髪をぐしゃぐしゃに掻きむしると、

やがて、ため息をついてから続けたー。


「ーーーーー悪かったー」

とー。


「ーーーえ?」

基之は、困惑の表情を浮かべるー。


いきなり、史香の身体のまま謝りだした部長ー。


”入れ替わってしまったこと”を謝っているのかー

それともー、部長自身が入れ替わりを仕組んだのかー


いやー

今までのパワハラを謝っている可能性もー


”いやいやいやいやいや、パワハラを謝るような部長じゃないよな”

そう思いながら、基之が史香(部長)のほうを見つめると、

「ーー今まで、本当に悪かったー」と、

顔を真っ赤にしながら呟くー。


「ーーえ?」

基之は混乱していたー

パワハラ部長が、謝罪をしているー???


「ーーー……会社での俺の態度ー……

 お前には特に……」


恥ずかしそうにしながら史香(部長)は


「ーーお前には特に、酷いことばっかりした」と、

言葉を続けるー。


「ーーー…た、、確かに、、きついですけど、

 どうして、急にー?」

基之が言うと、

史香(部長)は言ったー。


”仕事中”以外の基之を見てー

そして、基之と妹の史香を見てー

仕事から離れて自分を見つめなおしてー

色々なことが積み重なって、謝ることを決意したのだと言うー。


「ーーー俺は…妻を取られたんだ」

史香(部長)が言うー。


「ーーーへぇ~…そうなんですね…… って、、はい???」

基之が変な声を出すと、史香(部長)は、

自分には元々妻がいて、10年ほど前に別れたのだというー。


根本部長の妻は、当時はまだ別の部署にいた頃、

彼自身の部下だった若い男に、妻を奪われたのだというー。

いつの間にか、妻とその男が親しくなっていてー

仕事が忙しく、家庭を顧みる時間がなかった当時の根本部長は、

妻を奪われ、娘も奪われたー


それ以降ー

根本部長は”仕事”に異様に執着するようになりー

自分の妻を奪った”部下”と同じ立場にいる人間に

半ば”八つ当たり”のような形で、パワハラを繰り返すようになったー


「ーー”部下”を見ると、疑心暗鬼になって、イライラもしてー…

 お前や、他の社員が関係ないのには分かってるー。

 でも、どうしても、妻を俺から奪い、今ものうのうと暮らしている

 そいつを思い出してしまうんだー」


根本部長から妻を奪った男は今、根本部長の元妻と結婚し、

根本部長と元妻の間にできた娘と幸せに暮らしているのだというー。


「ーーーーお前に、似てるんだー」

歯ぎしりをする史香(部長)ー


「ーーえ?」

基之が言うとー

史香(部長)は、歯をギリギリしながら、涙目で基之を見つめたー


「ーー俺の妻を奪った”部下”とー

 お前はーーよく似てるんだーー…

 だからーーーー


 俺は、、お前に特に強く八つ当たりしていた!」


机を叩く史香(部長)ーー


「ーーーー…そ、、そんなの逆恨みですー

 俺は部長の奥さんを奪った”部下の人”とは、別人ですー」


基之が言うと、史香(部長)は「あぁ…そうだ」と呟くー


「どうしようもなくて醜いー

 それが、俺だー

 俺は、弱いー」


頭を抱える史香(部長)ー


そして、史香は、”部長の娘”が今、ちょうど大学生になっていてー

もし、いっしょにいれば、史香のような年齢なのだというー。


「ーーーなんか…娘を見ているような気がしてなー…

 もう、娘とも10年会ってないがー

 今のこんなどうしようもない俺を見たらー

 娘はどう思うかと思ってー……」


史香(部長)はそこまで言うと、

基之は立ち上がったー


「ーーパワハラは正直、許せないですー。

 俺からすれば、理不尽すぎる理由ですー」

基之はそれだけ言うと、

「でもー」と、続けたー。


「ー…これからのことはまず、元に戻ってからー

 考えましょうー…」


基之が言うと、史香(部長)は、

「あぁ…そうだな…」と、首を振りながら呟いたー


たとえー

謝罪されてもー

”パワハラ”に対する不満や苦しみはそう簡単には消えないー


たとえー

謝罪してもー

根本部長自身も、結局、また同じことを繰り返すかもしれないー


人間は、そんなに綺麗な生き物でも、簡単な生き物でもないー


”悔恨”は続くー。


「ーーー…(まずは、史香と部長を元に戻さないとなー)」

基之がそう思いながら会社に向かうー。


「ーーーあ、おはよう」


会社につくと、部長のフリをした史香が声を掛けてくるー


「あ、おはようー、いや、」

周囲の目線に気づき「おはようございます」と言い直した

基之はそのまま座席に座ったー。


「ーーーーーーーー」


”部長”を睨みつける目ーー。


”部長”を睨むように見つめる

その目線にー

基之も部長(史香)もまだ、気づいていなかったー


⑤へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回(の、予定)デス~!

果たして無事に元に戻れるのでしょうか~?


今日もお読みくださり、ありがとうございました~!

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