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ストーカーと化した先輩の大学生・誠人ー。

そんな誠人から千奈津を救ってくれたのは、親友の彩夢だったー。


しかし、事故死した誠人が、彩夢に憑依してしまい、

身も心も乗っ取られてしまった彩夢は、

千奈津のストーカーと化すー。


ストーカーに身体を乗っ取られて自身もストーカーと化してしまった

親友・彩夢に追い詰められていく千奈津の運命は…!?


★前回はこちら★↓

<憑依>怨念の追跡者③~視線~

大学の先輩であるストーカー男・誠人から執拗に 付き纏われていた女子大生の千奈津ー。 ある日、そんな状況を見かねた彩夢が、千奈津を助けに入った際に 逆上した誠人は交通事故により死亡してしまうー。 ”死”という結末に複雑な感情を抱きながらも、 どこか安堵の気持ちもあった千奈津ー。 しかし、誠人は消えていなか...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーくふふふふふ…

 千奈津ちゃんー

 身体は女になっちゃったけどー

 俺と付き合ってくれるよね?」


千奈津の住むアパートー…

髪を乱しながら彩夢が狂ったように笑うー。


千奈津は「う、、嘘…!そんなはず…!」と、叫ぶー。


死んだ人間が、他人の身体を乗っ取るなんて、ありえないー。

そう、思いながらー。


だがー

狂気的な笑みを浮かべている彩夢は、明らかに正気ではないー。

本当の彩夢なら、こんな狂った笑顔は、浮かべないはずなのだー。


白いワンピース姿の彩夢が、

「大人しくしろよ…!ほら!」と、千奈津を無理やり

床に押し倒すー。


「へへへへへへ…脱げよほら!

 今は女の子同士だろぉ~?」

彩夢が笑うー。


「ーーあ、、彩夢…目を覚まして!」

千奈津はたまらず叫ぶー。

こんなの、彩夢じゃないー


”憑依”なんて信じられないけどー

”目の前にいる彩夢”の状況を見ればー

信じられないけど、信じるしかなかったー


「お姉ちゃんやめて!」

彩夢に脅されて、千奈津の家まで連れて来られた妹の萌々も叫ぶー


だが、彩夢は全く聞く耳を持たず、

千奈津の服を引きちぎろうとしているー


「ー親友のわたしに見せてごらん…!

 ほら、、千奈津ちゃんの全てを…♡」


彩夢がまるで幽霊かのように、不気味な声で囁くー。

興奮しきっていて、完全に理性を失っている人間の声だー。


「ーーはぁっ♡ はぁ♡ はぁっ…♡ はぁ♡」

彩夢が歪んだ笑みを浮かべながら

興奮を隠しきれない様子で荒い息を吐き出すー。


仰向けに倒れている千奈津の上に四つん這いの姿勢で、

千奈津の服を脱がしていく彩夢ー


「ーーやめてよ彩夢…」

泣きながら千奈津が彩夢の方を向いて呟くー


「ーはぁ…はぁぁぁぁぁ♡ わたしと…溶け合うの…♡」

彩夢が正気を取り戻す様子は全くないー。


「ーーやめてってば!そんな彩夢、見たくないよ!」

千奈津が泣きながら叫ぶー


彩夢は、あの日ー

ストーカーの先輩・誠人が事故死したあの日から、

きっと、ずっと憑依されていたのだー。


だからー

誠人が死んだはずなのに、ストーカー特有のイヤな視線を

感じ続けていたし、

彩夢の行動がおかしかったのだー


「ーーごめんね…彩夢…ごめんね…」

泣きながら、狂った笑みを浮かべる彩夢のほうを見て呟く千奈津ー。


自分を守ってくれた親友の彩夢をこんな風にしてしまったー

巻き込んでしまったー

もっと早く気づくことができていればー

運命も違っていたかもしれないー。


それなのに、気づいてあげることもできなかったー。


「ーーほら、、見せて…♡ 俺に…みせて…♡」

千奈津の服を半分脱がせて、下着まで脱がせようとする彩夢ー


「ーお姉ちゃん!やめてってば!!!!」

彩夢の妹・萌々が、思いっきり背後から彩夢を突き飛ばしたー。


「ーーぐぁっ!?」

彩夢が吹き飛ぶー。

千奈津は慌てて、起き上がって服を少しだけ整えると、

不安そうな表情で彩夢のほうを見つめたー。


彩夢は鬼のような形相で、

「ーー邪魔をするなあああああああああああ!」と叫ぶー


彩夢の目と、彩夢が身に着けているペンダントが赤く光るー。

彩夢の髪が少しだけ逆立ちー、

より不気味な感じが、周囲に伝わるー。


「ーーお姉ちゃん…お姉ちゃんを…助けて!」

彩夢の妹・萌々が泣きながら千奈津にしがみつくー。


千奈津は怯えながらも、

ニヤニヤしながら近づいてくる彩夢のほうを見つめるー


彩夢が身に着けているペンダントが

さっきから時々赤く輝いているー。


”あのペンダントー”

千奈津は、”彩夢はあんなペンダントは身に着けていなかった”と

思いながら、彩夢のほうを見つめるー。


”彩夢…”

乗っ取られて変わり果ててしまった彩夢のほうを見て、

千奈津は”今…助けるから…”と呟くー。


「ーーー…」

気づけば、自分たちが玄関のある方向にいて、

突き飛ばされた彩夢が部屋の奥にいるー


「ーーー逃げて!」

千奈津がそう叫ぶと、萌々が玄関から飛び出すー。

千奈津も慌てて玄関から飛び出すとー

「逃げられると思うなよ!」と、彩夢が大声で叫ぶー。


千奈津と萌々は外を走りながら会話していたー。


部屋の外に飛び出したのはー

誠人に憑依された彩夢から逃げるー…

ためではなかったー。


「萌々ちゃん…

 お姉ちゃんがしてたペンダントー

 あれ…お姉ちゃんがしてるの見たことある?」


千奈津が言うと、彩夢の妹・萌々は、走りながらー

「み、見たことないですー…最近、急に身に着けだしてー」と

答えるー。


千奈津は、あのペンダントが赤く光っていたことからー

あのペンダントに誠人の怨念…亡霊…なんだかは分からないけれど

そういう手のものが入っていて、彩夢がそれに操られているのだと

考えたー。


”あのペンダントを奪えれば、もしかしてー”


千奈津が、萌々に小さく耳打ちをするー。


そしてー

近くの公園に逃げ込むー


白いワンピースと髪を振り乱しながら

彩夢も公園まで追ってくるー


「ーーくふふふ…千奈津ちゃんー

 いい加減俺のほうを向いてくれよー

 ”努力”は”才能”も超えるー。


 俺は、千奈津ちゃんを手に入れるためなら

 なんでもするー

 死んだって、諦めないー。

 だからこの女を乗っ取って、こうしてるんだー


 逃げられると思うなよ?」


彩夢が、隠れた千奈津と萌々がどこにいるのか分からずに叫ぶー。


「ーー…なぁ、出て来いよ」

彩夢はイライラしながら言うー。


それでも、千奈津と萌々の返事はないー


「っ…ぁ~~~~~~~~~~」

彩夢は髪の毛を怒りに任せてぐしゃぐしゃにすると、

「いい加減出て来いよ!おい!!」

と、彩夢の声で大声で叫んだー。


「ーーー出て来ないなら、この女の身体、滅茶苦茶に

 してやってもいいんだぞ!?

 お前が大人しく、”親友”でいてくれれば、

 俺も”彩夢”として振る舞ってやるから、

 ほら、出て来いよー」


「ーーーー」

千奈津は待っていたー

彩夢が、自分の隠れている、公園のトイレの物陰の近くを通るのをー


「ーーほら!!わたしの前に出て来いよ!」

彩夢と誠人の口調が混じったかのような叫びをあげる彩夢ー


”今しかないー”


千奈津は、物陰から、彩夢の足を掴んで、

彩夢を転倒させるー


そして、彩夢のペンダントを踏みつけて破壊しようとするー


しかし、彩夢はとっさにそれを避けるー。

なんとか、ペンダントを取ろうとする千奈津ー


「ーーやめろ…この…やめろって言ってるんだよ!」

彩夢が千奈津を蹴り飛ばすー。


蹴り飛ばされた千奈津の方に向かいーー

彩夢は、千奈津を見下すー。


「ーーーいい加減にしねぇと、俺も切れるぜ?」

彩夢が冷たい口調で言うー。


「ーーーーそれは……わたしのセリフー」

千奈津は、彩夢のほうを見ながら、そう呟いたー


「ーーー!?」

彩夢は、背後に気配を感じてー

振り返ろうとしたーーー


だがー

その直後ー


「ーーーお姉ちゃん!!!」」

萌々が、ストーカーに憑依されている姉・彩夢を

背後から羽交い絞め状態にするー


「ーーなっ…!邪魔をするな…!このクソ女!」

彩夢が鬼のような形相で叫び始めるー。


「ーテメェ!今すぐ俺を離しやがれ!

 これ以上邪魔をすると…ぶち殺すぞ!」

憑依されているとは言えー

実の姉にそんなことを言われて、萌々は激しく動揺するー。


「ーーー…は、、早く…お姉ちゃんを…」

泣きながら萌々が、千奈津に、姉・彩夢の身についている

不気味なペンダントを引きはがすようにお願いするー。


千奈津は、震えながら彩夢のほうを見るー


ずっと、恐怖を感じているー

身体の震えが止まらないー。

”死んでも”、他人の身体を奪ってまで

千奈津に付き纏う執念のストーカー・誠人ー


「ーー彩夢…」

千奈津は、いつも頼りになる彩夢の笑顔を思い出すー。


親友の彩夢を救うためー

そして、この恐怖のストーカーとの戦いを終わらせるためー


千奈津は意を決してー

萌々に羽交い絞めにされている彩夢の

ペンダントを無理矢理、彩夢の身から引き離そうとするー


「ーーち~~~な~~~~つぅぅぅぅぅぅ~~~!!!!」

彩夢が目を真っ赤に光らせながら、怒りの声を上げるー

彩夢の髪が不気味に逆立っているー


「ーーー…いい加減にーーーー

 わたしに付き纏うのは、やめてください!」

千奈津は、ストーカー化した先輩・誠人に向かってー

彩夢の中に潜む誠人に向かってそう叫ぶとー

彩夢から、不気味に赤く輝くペンダントを引きはがしたー


「ーーぐあああああああああああああああっっっっ!!!!!」

彩夢が”絶叫”と言わんばかりの叫び声を上げるとー

「あ…」と、うめき声をあげて、その場に倒れ込むー。


「ーーお姉ちゃん!」

萌々がそんな彩夢を抱きかかえるようにして、

心配するー


「ーーーーーはぁ…はぁ…」

不気味に赤く輝いているペンダントー。


事故死した誠人が、事故に遭った際に身に着けていたこのペンダントー。

誠人のあまりにも強い執念が、誠人の意識をこのペンダントに宿らせたー。

そして、それを拾った彩夢に誠人は憑依したー。


けれどー

それも、終わりー


千奈津は、ペンダントを公園の地面に落とすとー


「ーーもう二度とーー

 もう二度と、付き纏わないで!」


と、叫んで、そのペンダントを踏みつぶしたー。


ペンダントの装飾が割れるー

赤い光が、蛍の光のように霧散して、消えていくー


「ーーーー…」

千奈津は、今度こそー

と、安堵の感情を抱きながらー

倒れたままの彩夢の方に駆け寄ったー


「彩夢!」

千奈津が呼びかける。


「お姉ちゃん!」

彩夢の妹・萌々が呼びかけるー。


「ーーーーーう…」

ようやく目を覚ました彩夢は、

乱れ切った自分の髪に手を触れてから、

千奈津と萌々の二人を見て

目から涙をこぼしながら「ごめんね…」と呟いたー


・・・・・・・・・・・・・・・・


1週間後ー


「ーー本当に、ごめんね…」

彩夢が食堂で悲しそうに微笑むー


「ううんー

 彩夢が無事で本当に良かったー


 それに、わたしの方こそごめんね…

 巻き込んじゃってー…


 彩夢がしたくないこともいっぱい

 させられちゃっただろうし、

 本当に、ごめん」


千奈津が言うと、彩夢は首を横に振りながら

「こうして今、元通りの日常を取り戻せただけで十分ー」と、

穏やかに微笑んだー。


千奈津と彩夢は、彩夢の妹・萌々のことを話題に出しながら

穏やかな昼休みを送るー。


そしてー

昼休みは終わり、彩夢が「また後でね!」と、そのまま

立ち去っていくー。


千奈津は「ふぅ」とため息をつくと、

そのまま大学の食堂の外に出るー。


「ーーーーーーー」


何故だろうー


”まだ”

視線を感じるー


どうしてかは分からないけれどー


”まだー”


千奈津は少しだけ不安を感じながらも

”今度こそ、気のせいだよね”

と、心の中で呟きながら、そのまま歩き出したー


・・・・・・・・・・・・


よかったーーー


ペンダントを砕かれたときー

今度こそ、俺は終わりだと思ったー


でも、よかったー。


ペンダントに俺の魂が”閉じ込められてる”状態だったんだなー。


千奈津ちゃんが、ペンダントを砕いてくれたおかげで、

俺は”自由に”動けるようになったぜー。


”努力”は才能を超えるー

”努力”は人間の生死をも超えるー


千奈津ちゃんに対する俺の情熱をー

俺の努力をー

神様は見ていてくれたんだー。


だからー

千奈津ちゃんー


俺は、見ているよー


ずっとー

”ここ”からーーーーーーー


千奈津を見つめる”目”ー

その人物は邪悪な笑みを浮かべたー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


狂気のストーカーによる憑依のお話でした~!☆


最後の公園のシーンは、

上のイメージ画像みたいなイメージデス…★!


今日もお読みくださりありがとうございました~!

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