Home Artists Posts Import Register

Content

正体不明の犯罪組織・デビルコブラを追う

秘密対策チームの”オメガ”ー。

そんなオメガに所属する潜入捜査官の正樹は、

犯罪組織デビルコブラのボスの”妻”である、九条 繭に

特殊な装置を使って変身ー


犯罪組織デビルコブラの全容を暴き、

組織を壊滅に追い込むため、”命がけの潜入捜査”を

始めたのだったー。


繭の姿で、デビルコブラの本拠地に侵入することに成功した正樹は

デビルコブラのボス・九条 王牙(くじょう おうが)と

対面するのだったー。


☆前回はこちら↓☆

<他者変身>メタモル・ミッション①~命懸けの潜入捜査~

「ーーーーー」 妖艶な雰囲気を持つ美人女性が、夜の街を歩いているー。 まだ若く、20代に見えるものの、 その華々しい格好は、彼女が一般人ではないことを示しているー キラキラとした服を身に纏いー 高級なアクセサリーを身に着けた女ー 夜の街のセレブー そんな風にも見える彼女はーー ”犯罪組織・デビルコブラ”の...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーん~~~~~~~」

デビルコブラのボス・九条 王牙は、

綺麗な紫色のワインが入っているグラスを見つめながら

その見た目と香りを楽しんでいるー。


そしてー

鋭い爬虫類のような目つきで、妻の繭を見つけると、

そう呟いたー。


「この紫色の輝きは、何よりも美しいー」


繭は緊張した様子で、そんな王牙の様子を見つめるー。


九条 王牙ー。

犯罪組織・デビルコブラのボスー。

この男が、目の前に立っているだけで、

底知れぬ威圧感を感じるー


まるでー、

毒蛇に睨まれているような、そんな感じだー。

爬虫類のような細い目が、余計にそう感じさせるのだろうかー。


今、王牙の目の前にいる妻・繭は”本物”ではないー

本物の繭を捕らえた特殊捜査チーム”オメガ”の捜査官・正樹が

特殊な技術により”繭に変身”している状態だー。


全ては、デビル・コブラを壊滅に追い込むためー


だがー

もしも自分が”偽物”であるとバレたらー

いやー、そうでなくても

”偽物だと気づかれなかったとしても、

 王牙が、妻を殺す気になってしまったらー”

全ては、終わりだー。


正樹は、繭の姿で、

”偽物だとバレないように”するだけではなく

”王牙の機嫌を損ねないように”する必要があるー。


そのために、”繭の姿”に変身する今日までにー

調べることができる範囲内で、繭の日頃の言動・性格・来歴などを

調べ、いつでも繭らしく振る舞えるように、正樹は色々な

調査を行ってきたのだー。


入念な調査こそが、潜入捜査最大の武器となるー。


「ーー繭ーーー

 お前も、私にとってお前は、このワインと同じー

 この世で、最も美しいものの一つだと思っているー」


ワインを一口、口に運ぶと王牙は静かに笑みを浮かべたー。


”ふふー”と、繭の姿をした正樹が微笑もうとした

その瞬間だったー


王牙が持っていたワイン入りのグラスが勢いよく、壁に向かって

投げつけられてー

音を立てて、グラスが割れたのだー。


何が起きたのか、繭の姿をした正樹は

一瞬、理解することができなかったー。


だがー

持ち前の冷静さで、すぐに状況を理解するー。


王牙が、自ら今まで笑みを浮かべながら

飲んでいたワイングラスを、壁に投げつけたのだー。


「ーーー」

繭の姿をした正樹は動揺を悟られないように、

王牙のほうを見つめるー


王牙はゆっくりと、割れたワイングラスが

落ちている場所にまでやってくると、

それを何度も何度も、粉々になるまで踏みつぶしたー。


「ーーーあぁ、失礼」

王牙はそれだけ言うと、ハンカチで自分の服を軽く拭いてから

呟いたー。


「ー注文したワインと、違うワインが届いていたみたいでね。

 これは”裏切り”だー


 相手が美しければ美しいほどー

 裏切られたときの反動は、大きくなるー。


 怒りがー

 フューリーが心の底から吹き出てくるー」


王牙はそれだけ言うと、

新しいワインを手にしながら

「ーーおっと、すまないな。お前と久しぶりの夜だというのにー」と、

2つのワイングラスにワインを注いだー。


「ーーーふふふふ…あなたのそういうところが

 魅力的なのよ」


繭のフリをしながら、王牙に向かってそう言うと、

王牙は微笑みを浮かべるー。


「ーーー」

繭の姿をした正樹は、”恐怖”を感じていたー。


数々の修羅場に潜入してきたがー

犯罪組織デビル・コブラのボス、九条 王牙は、

今まで見てきたどんな危険な人物よりも、危険な香りがしたー。


踏みつぶされたワイングラスのほうをさりげなく見つめるー


” 相手が美しければ美しいほどー

 裏切られたときの反動は、大きくなるー”


その言葉はー

”妻”である繭に向けた言葉のようにも思えたー


”俺は既にーーー

 見破られているー?

 いや、そんなはずはないー。

 それなら、今頃俺の命はないはずだー”


繭の姿をした正樹がそう考えていると、


「懐かしいなー

 お前が私にプロポーズしたあの日ーー」


王牙がワインを飲みながらそう呟いたー。


”プロポーズの言葉ー”

ゴクリ、と唾を飲み込む繭の姿をした正樹ー


繭の個人情報は可能な限り調べたー。


だがー

”他人に変身している”この状態はー

”その人の記憶”を読み取ることができるわけではないー。


記憶は、あくまで自分の記憶のままなのだー。


”プロポーズの時に何を言ったのか”

そんなことを、外部から調べるのは困難だー。


当然、繭の姿をした正樹も知らないー。


「ーーお前は、私になんてプロポーズをしたか、

 覚えているか?」

笑みを浮かべる王牙ー


これはーー

”普段の会話”なのだろうかー


それともーーー

”試されている”のだろうかー。


”まったく気づかれていない状態で、普段通りの会話”

”何かが原因で”少し”疑われていて、探るための質問”

”既に偽物だと気づかれていて、遊ばれているー”


正樹は”どれだ?”と頭をフル回転させるー。


九条 王牙の雰囲気から読み取れる性格ー

王牙の妻、繭の調べた限りの性格ー


この場合ー

この場合は、なんて答えるー?


”九条 繭になり切れ…俺…!”

正樹は心の中でそう叫ぶー


”俺はーーわたしは、九条 繭よ!”

頭の中で自分にそう言い聞かせることで、

繭の姿をした正樹は本領を発揮したー


「ーーあら?あなたこそ、ちゃんと覚えているのかしら?」

繭の強気な性格ー

そして、九条 王牙の今、見た限りの性格ー


それらから、繭の姿をした正樹は、そう言い放ったー


「ーーククク…ふふふふふふ

 やはりお前は”最高のワイン”だー」


王牙はそう言って笑うとー


「覚えているともー。

 ”わたしは、あなただけの最高のワインになりたいの”

 ーー刺激的な夜だったよ」


「ーーーふふふ…お互いに忘れらない1日ってわけねー」


繭の姿をした正樹はそう言い放つと、

心の中で安堵の溜息をついたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


王牙は”予定”が入ったとのことで、

夜は自室で一人、過ごすことになったー。


自室の位置で戸惑っていると、疑念を抱かれることになるー。


正樹は持ち前の判断力で、繭の部屋にスムーズにたどり着きー

今は部屋の中で過ごしていたー。


「ーーー」

繭の綺麗な足が目に入るー。


だがー

潜入捜査のプロである正樹は、そのようなことで

ドキドキしたりはしないー。


”女の身体”になるのは初めての経験だが、

今までの潜入捜査で、女に誘惑されたこともあったし、

逆に女を罠にはめたこともあったー。

色仕掛けのようなものには絶対に引っかかってはならないー

そのための”訓練”も正樹は受けているし、

自分自身でも揺らがない精神力を身に着けるために

自主的に色々なことをしてきたー


髪を邪魔そうにどかしながら、

隠し持っていた小型の無線機で

特別対策班”オメガ”の本部に連絡を入れるー


”無事に潜入できたようで、何よりですー”

通信相手はオメガに所属する

女性捜査官ー

”ハニートラップの魔女”の異名を持つ那奈だー。


那奈は、自ら潜入捜査を行うほか、

オペレーターのような役割を担うこともある

オメガの貴重な”戦力”の一人だったー


”ふふ…その声だと、どうしても

 話してる相手が近藤さんだと思えませんね”


笑う那奈ー。


那奈は、”あえて”潜入捜査をしている捜査官の

緊張をほぐすトークを交えながら報告を受けるー


那奈自身も、潜入捜査の極度の緊張感を”理解”しているからだー。


それでいて”報告”に時間が掛からないようー

手短に済ませる配慮もできている、とても優秀な人材なのだ。


正樹は、繭の姿のまま、

報告を続けるー。


”犯罪組織デビルコブラの、本拠地の内部の確認できた限りの構造”

”ボスである九条 王牙の容姿や、その性格”

”その他、本部内で気づいたこと”

”次の連絡時間”

などを手短に伝えるー。


”わかりました…

 わたしから我妻班長に報告しておきます”


那奈はそれだけ言うと、

”引き続き、捜査をお願いします”とだけ告げて

そのまま会話を終了させたー


「ーーーーーーー」

部屋の中でも情報収集を行う繭の姿をした正樹ー


繭は宝石が好きなのだろうかー

あらゆる宝石が集められているー。


「ーーー」

繭の姿をした正樹は、部屋の色々な場所を確認したー


繭の部屋にも、何か”犯罪組織デビルコブラ”の壊滅に

繋がる情報が手に入るかもしれないー


「ーーーー…!」

繭の部屋の中で、繭の姿をした正樹は”アルバム”を見つけたー


その中にはー

無残な”遺体”の写真が何枚も収められていてー

その横に、繭のものと思われる字で

ひとつひとつコメントが書かれていたー


”ゾクゾクする悲鳴”


”情けない悲鳴”


”裏切者にふさわしい悲鳴”


「ーーーー」

思わず、目を逸らしたくなるような写真の数々ー


夫であるボスの九条 王牙が、危険人物であればー

妻の九条 繭も当然危険人物ーー。

そのことを、繭の姿をした正樹は、改めて決意するのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌朝ー


繭の姿をした正樹は、

妖艶な服装で廊下を歩いていたー。


流石になれない恰好だし、

かなり違和感は強いが、

女の身体にゾクゾクしたり、ドキドキしたりは、しないー。


「ーーー昨日は、急に予定が入ってしまって、すまなかったな」

夫の王牙が姿を現すー。


「ーふふ…痺れを切らしちゃうかもよ?」

繭のフリをしながら、王牙に言葉を言い放つと、

王牙は、ご機嫌そうに「そうだ繭。お前にも見せてやろうー」と、

繭の腕を引き、そのまま近くの部屋へと移動し始めるー


繭の姿をした正樹は、あえて王牙に身を任せるようにするとー

とある部屋の中へと入ったー。


「ーーーお前も、気に入るはずだー」


部屋の明かりをつける王牙ー


するとそこにはーーー

ガラス張りの部屋が3部屋ほど、用意されていたー


その一室ではー

大量の虫がうごめいていてー

その部屋の中央に男が悲鳴を上げて発狂しているのが見えたー


繭の姿をした正樹は思わずゴクリと唾を飲み込むー


「ーーお前がいない間に、こいつは記者に私たちの情報を

 売りさばこうとしたー。

 つまり、”裏切り”だー」


王牙はそう言うと、男の様子を見つめるー

虫だらけの部屋に閉じ込められた男は、泣き叫び、狂っているー


「ーー”虫けら”にふさわしい部屋だー

 お前もそう思わないか?」


王牙の言葉に、繭の姿をした正樹は「えぇ」とほほ笑んだー。

目を逸らしたくなるような残酷な光景を

”嬉しそうに見ている”フリをする繭の姿をした正樹ー。


「ーーーまぁ、こんな奴はどうでもいいー

 お前に見せたいのはー」


王牙はそう言うと、隣のガラス張りの部屋に

拘束されていた女性のほうを指差したー。


若い女性だー。

聞けば、隣の昆虫部屋で苦しんでいる男の”恋人”なのだというー


「ーー”連帯責任”ー

 私は裏切り者を決して許さないー」


そう言うと、王牙は、スーツ姿のまま、その女の

部屋へと入っていくー


「ーお、、お許しください…」

女が涙を流しながら言うー。


だがー

次の瞬間ー


九条 王牙は、拳を女の顔面に叩きつけたー。


血しぶきが飛ぶほどにー。


繭の姿をした正樹は、反射的に目を逸らしたくなるのを

抑えてー

それを見つめたー

”笑っているフリ”をしながらー


信じられないことに王牙は、

その女を何度も何度も、ボクサーのような動きを

しながら殴りつけていくー


”それ以上やったら、死んでしまう”と、

叫びたくなる気持ちも抑えー

それを見つめる繭の姿をした正樹ー


潜入捜査の鉄則ー。

正樹は心を殺して”繭”としてその光景を見るー


悲鳴を上げていた女の悲鳴が消えー

それでも王牙は、女に拳による制裁を加えていくー


「女ー

 子供ー

 老人ー


 誰であろうとー

 私は”裏切り”を決して許さないー」


王牙はそう言いながら

飛び散る血を浴びながら笑みを浮かべるー


「私を慕うものには、光をー

 裏切りには、死をー」


冷静に、そう呟きながらー

王牙は、裏切者の恋人の女を”撲殺”したー。

あまりにも、恐ろしい光景ー


潜入捜査官の正樹ですら、恐怖を感じるその光景ー


だが、それでも正樹は、繭のフリを続けるー


「ーーそんなあなたの危険な香りに…

 わたしは魅せられたのー」


繭のフリをして言うと、王牙は、繭の頬に

たった今、命を奪った女の血を塗り付けて

繭にキスをしたー。


「ーーーーーお前は、私の宝だー」

と、呟きながらー。


そしてーー

その日の夜ー

繭の姿をした正樹は、”恐ろしい計画”を知ることになるー


残忍な犯罪組織・デビルコブラの

”悪魔のような計画”をー。


③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


デビルコブラの危険性を描く②でした~!

(どこまで過激な描写を盛り込むか迷いながら書いてました!!)


危険な潜入捜査がどのようになっていくのか、

ぜひ見届けて下さいネ~!


今日もお読みくださり、ありがとうございました~!

Files

Comments

No comments found for this post.