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大学の先輩であるストーカー男・誠人から執拗に

付き纏われていた女子大生の千奈津ー。


ある日、そんな状況を見かねた彩夢が、千奈津を助けに入った際に

逆上した誠人は交通事故により死亡してしまうー。


”死”という結末に複雑な感情を抱きながらも、

どこか安堵の気持ちもあった千奈津ー。


しかし、誠人は消えていなかったー。

親友の彩夢に憑依、彩夢の身体を乗っ取り、千奈津への

ストーカー行為を続けていたー。


”ストーカーはもういないはずなのに見られている気がするー”

そんな不安を抱く千奈津ー。

その不安は、”気のせい”などではなかったのだー…。


☆前回はこちら↓☆

<憑依>怨念の追跡者②~気配~

同じ大学に通う先輩・田代誠人からストーカー行為をされていた 女子大生・千奈津ー。 誠人は、思い込みが激しい危険人物で、 ”努力は才能を超える”と、何度拒まれても、千奈津を我が物に しようとしていたー。 そんな状況を知った親友・彩夢が、千奈津を助けようと、 誠人から遠ざけようとするも、その騒動の最中、 千奈...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー俺から逃げられると思うなよー」

ペロリと唇を舐めながら小声で呟く彩夢ー。


ストーカー被害を受けていた千奈津の親友・彩夢は

今や完全に死亡したストーカー男・誠人に支配されていたー


誠人に乗っ取られて

千奈津のことを守りたいと必死になっていた彩夢はー

今や自分自身がストーカーと化しているー。


「ーーーーー」

昨日は、夜も千奈津の住むアパートの近くで

千奈津の部屋を見つめ続けていた彩夢ー


そして、今日もー

大学に向かう最中の千奈津のことを

彩夢は背後から見つめ続けているー。


彩夢が身に着けているペンダントが赤く光るー。


「ーーくくくくく…」

彩夢は低い声で笑ってから、千奈津に「おはよ~!」と

声を掛けるー


「あ、彩夢…おはよ~!」

千奈津は微笑みながら、振り返るー。


千奈津はまだ、親友の彩夢の身に起きていることに

気づいていないー。

まさか、死んだはずのストーカー・誠人が彩夢に憑依しているなどと、

夢にも思っていないー。


「ーー!」

彩夢が、突然千奈津の手を握るー。


「ーーあ、彩夢ー?」

千奈津は彩夢に手を握られて戸惑いの表情を浮かべるー。


「ーふふふ…別にいいでしょ?

 わたしたち、”親友”なんだからー」

彩夢がクスッと笑うー


「ーーう、、うん…」

千奈津は妙な気味の悪さを感じながら、彩夢と

手を繋いだまま、大学の方に向かうー。


妙にゾワゾワとした不気味な感覚を感じる千奈津ー。

彩夢は満面の笑みを浮かべながら、嬉しそうにしているー。

時々、繋いでいる手を、撫でまわすように触りながらー。


このゾワゾワは、なんだろうー?

千奈津は、そんな不安を覚えるー。


”彩夢が急に手を繋いできたからー?”


大の親友の彩夢とー

手を繋いだことは、確かにあるー。


ストーカーの誠人に絡まれていた時も、

彩夢に手を引っ張られるかたちで、千奈津は一緒に逃走しているー


その時は、特に何とも思わなかったー。


けれどー

どうしてー?

どうして、今日はこんなに嫌悪感を感じるのー?


「ーーーあ、、彩夢ー…み、みんなも見てるからー」

そう言いながら、千奈津は彩夢から手を放すー


だがー

彩夢は千奈津の手を少し乱暴に掴むと、

再び手を強く握ってきたー


「ーーあ、彩夢…?」

千奈津は、不安そうに彩夢のほうを見つめるー。


「ーーー手、繋ぎたいの」

彩夢は、笑いながらー

けれども、低い声でそう呟いたー


「ーーど、、どうしちゃったの…?

 き、急に…何…?」

千奈津の不安はさらに膨らみー

彩夢のほうを見ながら怯えた様子で言うー。


「ーーつ・な・ぐ・の」

彩夢はにっこり笑いながらそう呟いたー


口調は怒っているー

なのに、笑っているー


その姿がー

どことなく”怒っていても、いつもニコニコしている”

ストーカー・誠人と”重なって”見えたー。


「ーーう…うん……」

千奈津は恐怖から何も言えなくなってしまいー

結局、そのまま大学に到着するまで、彩夢に手を繋がれたままだったー。


彩夢は、千奈津が逃げないように、かなり”力”を込めていたー。


大学に到着して、ようやく解放された千奈津は、

怯えた表情で、彩夢から逃げるようにして、

自分の最初の授業が行われる場所へと向かったー


「ーーー……んふ…」

彩夢が自分の手の平をペロペロと舐めているー


あらゆる角度からー

ペロッ、ペロッ、ペロッと手を舐める彩夢ー


「ー千奈津ちゃんと、繋いだ、手ー」


ペロリとイヤらしく彩夢は自分の綺麗な手を舐めるー


彩夢の身体が激しく興奮するのを感じるー


ペロッー

ペロッーー


やがてー

気持ちよさそうに、ペロペロペロペロと手を舐めるとー

彩夢はその手の匂いを嗅いで、

顔を真っ赤にしながら「んぅ~♡」と、声にならない声を出したー


「ーーち・な・つ…ちゃん…

 ふふふ…くふふふふふふふふふふ」

彩夢は興奮を抑えきれない様子で、静かに大学の構内を歩き出したー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


千奈津は怯えていたー


”もう、先輩はいないはずなのに…”


それなのにー

”視線”を感じるー

先輩は、死んだはずなのにー。


ストーカーだった男が、目の前で交通事故を起こしー

死ぬのを見てしまったからなのだろうかー。


昼休みー

千奈津は怖くなって、他の友達と常に一緒に行動していたー


それでも、見張られている感じが、どうしても抜けないー。


”なんで…?どうして…?”

千奈津は、何度も何度も深呼吸をして、自分を落ち着かせようとするー


”田代先輩は、もういない”と、

自分に何度も何度も言い聞かせるー。


それでもー

”田代誠人”の視線を感じてしまうー。


”きっと、目の前で先輩が死ぬのを見たからー

 心が落ち込んでるだけー”


何度も何度も何度もー

繰り返し、自分にそう言い聞かせていくー


けれどー

”田代誠人”の視線が消えないのは当たり前だー。


「ーーーーーーーーー」

少し離れた場所からー

田代誠人は、見ているのだからー。

千奈津のことをー


「ーーーーー」

彩夢は興奮した様子で、自分の人差し指を口に咥えながら

千奈津の様子を、観察していたー。


「ーーー…千奈津ちゃん俺は溶け合う運命なんだ…ふふふふ…」

彩夢はそう囁くと、静かに笑みを浮かべるー。


彩夢とは思えない、不気味に表情を歪めながらー

千奈津のことを、愛おしそうにーー

見つめ続けたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


やがてー

千奈津は、彩夢のことを避け始めたー。


彩夢の”異常な距離感”に耐えられなくなったのだー。


当然、彩夢にストーカー男の誠人が憑依しているー

などとは、夢にも思っていないー。

それでも、ここ最近の彩夢からは、底知れない不気味さを

感じずにはいられなかったー。


「ーーち~~な~~~つ!」

女子トイレの個室から出てきた千奈津の前に

待ち伏せていたかのように姿を現す彩夢ー。


ニヤニヤしながら千奈津のほうを見つめる彩夢に対してー

千奈津は”怖い”と感じながらー

「もう…やめてよ……普通にしててよ…!」

と、嘆願するように呟いたー。


「ーーふつう?わたしはふつうだよ。」

彩夢が笑いながら言うー


「ー千奈津が、わたしのこと避けるから、

 わたし~傷ついてるんだよ?」

彩夢はそれだけ言うと、千奈津の腕を掴んでくるー。

そして、突然、千奈津にキスをしようとしてきたー。


「ーーやめて!」

千奈津が顔を背けようとするー


だがー

彩夢は止まらないー


「ーーいいじゃん…女の子同士なんだし…

 わたしたち、親友でしょ?」

彩夢は興奮した様子で、千奈津のほうを見つめながらー

無理やり千奈津にキスをしようとするー


「ーーやめてって言ってるでしょ!」

千奈津はカッとなって、彩夢にビンタをしてしまったー


最近の”異様な彩夢”に耐えられなかったー


「ーーーいったぁ~~~~…」

彩夢が頬を押さえながらブツブツと何かを呟きだすー。


「ー最近の彩夢…まるで田代先輩みたいで、わたし、怖いよ!

 なんでわたしが怖がることするの!?

 なんで親友なのに、相手が怖がることをするの!?!?」

泣きながら言う千奈津ー


そんな千奈津を見て、彩夢はにっこりと笑うとー


「ーーーわたしはただ、千奈津ちゃんが好きなだけなのー

 どうして、分かってくれないのー?」


と、呟いたー


その彩夢の姿にー


「ーー俺はただ、千奈津ちゃんが好きなだけなんだー

 どうして、分かってくれないんだ?」


生前、先輩の誠人が言っていた言葉がー

フラッシュバックしてー

たまらず千奈津は彩夢の前から逃げ出したー


「ーーーーー」

彩夢は逃げていく千奈津を見つめながら

ニヤリと笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


その日の夜のことだったー。


彩夢の妹・萌々から突然連絡が入るー


千奈津と彩夢は親友同士ー

親友の彩夢の妹である萌々とも面識はあるー。


だが、最近は会えておらず、

日常的にメッセージを交換するような間柄じゃないためー

”急な連絡”に、千奈津は首を傾げたー。


”相談がありますー”

彩夢の妹・萌々からのメッセージー


それはー


”最近、お姉ちゃんが変なんですー”


と、いう衝撃的な内容のメッセージだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


千奈津は、親友の彩夢の行動がおかしくなった

タイミングを考えていたー

彩夢の行動に違和感を感じ始めたタイミングがー

ちょうど、ストーカー・誠人が死んだ頃と一致しているー


今の彩夢は、まるで死んだ誠人と”同じ”ような行動を繰り返しているー


相手が”彩夢”だから、誠人に付き纏われているときとは

千奈津にとっても、少し”感じ方”は違うー。


けれどー

今の彩夢に、誠人の姿をどうしても重ねてしまうー。


「ーーーー」

今日は大学が終わったら、彩夢の妹である萌々と会う約束をしているー。

萌々から、”彩夢の異変”について詳しく話を聞くためだー。


昨日、メッセージのやり取りをした限りー

萌々にとって姉である彩夢は、家族とほとんど口を利かなくなり、

部屋で一人で笑っていたりー

”千奈津”と呟きながら一人、喘ぐような声が部屋から聞こえてくるー

とのことだったー


”まだまだ伝えきれないほどの異変”があるとのことで、

今日、会って話をする約束をしたのだったー。


「ーーー…」

千奈津は”視線”を感じながら、周囲を不安そうに見渡すー


離れた物陰から千奈津の様子を見つめていた彩夢はー

「ーー怯えた顔も…最高だよ…」と、静かに微笑んだー。


そしてー

夜ー。


「ーー…」

彩夢の妹、萌々は、千奈津と電話で話をしていたー


「これから向かいますね…

 お姉ちゃんのことで、色々ー」


家の玄関に手を掛けたその時だったー

ちょうど、姉の彩夢が帰宅して、

萌々は彩夢と鉢合わせしてしまったー


「ーーー…”お姉ちゃんのことで色々”ー?」

彩夢がにっこりとほほ笑むー


萌々は「お、、お姉ちゃん…」と言いながら

怯えた様子で彩夢のほうを見つめるー


「ーー誰と、電話してたの~?」

彩夢がニコニコしながら萌々を見つめるー


「ーーお、、お姉ちゃんの、知らない人だよ」

萌々が慌ててそう呟くと、

彩夢は強引に萌々のスマホを取り上げたー


「ーーーふ~~~~ん」

電話相手が千奈津であることを確認した彩夢は、

萌々のほうを見つめると、静かに笑みを浮かべたー


「ーー千奈津と何を話してたの?」

彩夢の言葉に、震える萌々ー。


「ーー…お姉ちゃんに、教えて?」

笑いながら萌々に顔を近づける彩夢ー


笑っているー

けれど、脅すような口調ー


萌々は震えながら

「ーーべ…別に…何も…」と、

答えたー。


「ーーー…お姉ちゃんに、隠し事するの?」

彩夢の”脅すような”トーンの口調ー


「ーーお…お姉ちゃん…どうし…ちゃったの…?」

震えながらー

萌々は目に涙を浮かべるー


「ーーー…言えよ」

彩夢が笑いながら呟くー


彩夢の豹変に、妹の萌々は、涙をこぼしながら、震えること

しかできなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


1時間後ー


千奈津は、自分の住んでいるアパートで

萌々の到着を待っていたー


”萌々ちゃん、遅いなぁ…

 それに…さっき電話が途中で切れた気がするし…”


♪~~


そんな風に思っていると、インターホンが鳴ったー


”ーーあ、、彩夢の妹の、萌々です”

怯えた様子の萌々の姿を確認するー


”千奈津は「ちょっと待っててね」と、言うと、

そのまま玄関の扉を開けたー


しかしー

玄関の扉を開けた千奈津は、軽く悲鳴を上げたー


萌々の背後からー

彩夢が姿を現したからだー。


白いワンピースに少し乱れた髪を揺らしながら、

強引に部屋に入り込んでくるー


「ーーーあ、、彩夢っ…」

千奈津が部屋の奥に逃げ込もうとするー


萌々が泣きながら「ごめんなさい…ごめんなさい…」と呟くー。


姉・彩夢のことを千奈津に相談しようとしているのを

見つかってしまった萌々はー、

彩夢に脅されて、千奈津の部屋に入るための”協力”をさせられてしまったのだー。


彩夢はそんな萌々を無視して、

部屋の奥に逃げ込んだ彩夢の胸倉をつかむと

にっこりと笑みを浮かべたー


「ーー怪しまれちゃってるなら、教えてあげるー」

とー。


「ーーーあ、、彩夢…」

震えながら彩夢のほうを見つめる千奈津ー


彩夢は服の下に隠していた

赤く光るペンダントを見せつけるとー

不気味な笑みを浮かべたー


「ーーー俺だよ…田代誠人だよー。

 言っただろ?

 千奈津ちゃんを振り向かせるためなら

 1万回でも告白するーって」


彩夢が笑いながら言うー


「ーーあ…彩夢…そんな…う、、嘘だよね…?」


彩夢の様子がおかしいー

そうは思っていたけれど、まさか、そんなー…、と

千奈津は狂気の現実に、震えることしかできないー。


「ーーーーくふふふふふ…

 千奈津ちゃんー

 身体は女になっちゃったけどー

 俺と付き合ってくれるよね?」


彩夢は狂った笑みを浮かべながら

そう、囁いたー


④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回の予定デス~☆

憑依されてストーカーと化してしまった親友…!

千奈津、彩夢、萌々の運命は…?


ぜひ最終回もお楽しみくださいネ~!

今日もありがとうございました~!

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