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同じ大学に通う先輩・田代誠人からストーカー行為をされていた

女子大生・千奈津ー。


誠人は、思い込みが激しい危険人物で、

”努力は才能を超える”と、何度拒まれても、千奈津を我が物に

しようとしていたー。


そんな状況を知った親友・彩夢が、千奈津を助けようと、

誠人から遠ざけようとするも、その騒動の最中、

千奈津を追うことに夢中になった誠人は、トラックに衝突し、

即死してしまったー。


だがー、誠人の強い執念は、誠人が身に着けていたペンダントに

宿っていたー。

そのペンダントを拾った彩夢は、誠人に憑依されて

身も心も乗っ取られてしまうー…


★前回はこちら★↓

fanbox post: creator/29593080/post/2793250

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー千奈津ー

 千奈津ーー

 千奈津


 千奈津ー

 千奈津ーーー

 千奈津ー


 あぁ、千奈津ちゃんーーー」


千奈津の親友・彩夢は唇をペロリと舐めながら

一人、そう呟いていたー


彩夢が身に着けているペンダントが赤く輝くー。


千奈津のストーカー・誠人が死亡した際に

身に着けていたものでー

事故現場で、吸い込まれるようにそれを拾ってしまった彩夢は

ペンダントを通じて、誠人に完全に乗っ取られてしまっていたー。


「ーーー」

朝食を食べながら、スマホで千奈津の写真を見つめる彩夢ー


彩夢が浮かべることのない、気味の悪い笑みー。

無心で朝食を食べ続ける姉に違和感を感じたのか、

妹の萌々が不思議そうに「お姉ちゃん?」と首をかしげるー


「ーーー…あ」

彩夢はスマホから視線を離すと、

「ーーなんでもないよ」と、にっこりとほほ笑んだー。


姉が”ストーカー男”に憑依されて乗っ取られてしまったなどと

夢にも思わない萌々は、

「なんか今日、お姉ちゃんぼーっとしてない?」と笑うー。


「好きな人のことでも考えてるの~?」

冗談を口にする萌々ー


彩夢はニヤリと笑うとー


「ーそうだよー」

と、低い声で囁いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


千奈津は一人暮らしをしているアパートから

大学に向かって歩き出すと、

昨日のことを思い出しながらもー

どこか、安堵している自分がいることに気が付いたー。


ここ最近は、

家を出てから、帰るまでー

常に”ストーカー”の影に怯えていた気がするー


流石に、24時間ずっと見られていたわけでは

ないだろうけれど、

”ずっと見られているかのような”

そんな錯覚をしてしまうほどに、千奈津は追い込まれていたのだー。


朝、大学に向かう最中もー

帰りに、家の玄関の扉を開けるまでもー


いや、もっと言えばー

家にいる間も、

田代先輩ー…田代誠人が姿を現すのではないか、と

そう、怯えていたー。


けれどー

田代誠人は死んだー。

人の死を喜ぶなんてことはあってはいけないことだと思いながらもー

自分の人生にとって”大きな不安”であった、誠人がいなくなったことはー

喜ぶわけではないけれど、”安堵”の気持ちが強い、というのが

正直なところだったー。


”一番の大きな悩み”が、

たった1日にして、全部消し飛んだのだー。

この気持ちは、きっと、誰にだってわかるはずー。


千奈津はそんなことを考えながら、

視線を感じて、背後を振り返ったー


粘り付くような嫌な視線ー

田代誠人の”視線”ー


「ーーー!!」

だが、千奈津は、振り返ってすぐに、安堵の表情を浮かべるー。


「ーおはよ」

微笑みながら近づいてくるのは、親友の彩夢だったー。


「ーーあ、彩夢!おはよ…!」

千奈津が言うと、

珍しく髪型をポニーテールにしている彩夢がにこっと微笑んだー。


彩夢と一緒に学校に向かう千奈津ー。


さっき、一瞬”誠人”の視線を感じたー

だが、もう誠人はいないー。

昨日、目の前でトラックに跳ね飛ばされて、誠人は目の前で

死んだのだー。


「ーー大丈夫?」

彩夢がほほ笑むー。


「ーーーーあ、うん…ほら、昨日あんなことあったからー…」

千奈津はそう呟くー。


相手がストーカーだったとは言え、目の前で無残な姿を晒した

誠人を目の当たりにした千奈津は、少なからずショックを受けていたー

それは昨日、一緒にいた彩夢も同じはずだー。


「ーーごめんね…」

千奈津が静かに呟く。


「ーえ?」

首をかしげる彩夢ー。


「ほら…昨日……彩夢ちゃんのことまで巻き込んじゃって…

 嫌なモノ見せちゃったと思うし…」


申し訳なさそうに言う千奈津ー

そんな千奈津のほうを彩夢は微笑みながらじっと見つめているー。


誠人によるストーカー行為の狙いはあくまでも”千奈津”だったー。

彩夢があの時、千奈津を助けようと乱入しなければ、

少なくとも彩夢は、目の前で先輩が死ぬー…という場面を

目撃しなくて済んだのだー。


昨日は、さすがの彩夢もかなり動揺した様子を見せていた気がするし

千奈津は”巻き込んでしまってごめんなさい”と、いう気持ちで

いっぱいになっていたー。


「ーーーううん。大丈夫だよ」

彩夢はニコニコしながら言うー。


「ーーわたし、千奈津のこと、ず~っと、ずっと

 守るって決めたから…ふふ」


少しだけ意味深な笑みを浮かべる彩夢ー


「ーーわわっ…!彩夢に守ってもらえるなんて、

 わたしも安心だね!」

笑う千奈津ー。


嬉しそうに前を歩きだす千奈津を見て、

彩夢はペロリと唇を舐めたー


「ーーあぁ…最高だよ千奈津ちゃんー」

小声で囁く彩夢ー。


彩夢とは思えないような低い声にー

不気味な笑みー


「ー千奈津ちゃんのおかげでー

 ”千奈津ちゃんとずっと一緒に入れる最高の身体”を

 手に入れることができたんだからー」


服の中のペンダントに少しだけ手を触れるー


「ーこの女は、俺のものだー」

彩夢はそう囁くと、千奈津の背後を、不気味な笑みを

浮かべながら歩き出したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


昼休みー


”ストーカー”のいない大学生活ー。

千奈津は、穏やかな昼休みを送っていたー


食堂で軽い食事をとりながら、友達と楽しく会話を続けるー


だがー

千奈津はある”違和感”も感じたー


”見られているー”

そんな、気がするのだー。

散々、誠人に付き纏われていたせいか、

”誠人の視線”を感じるようになっていた千奈津ー。


他の人に見られている時と、

誠人に見られている時ではー

言葉で言い表すのは難しいが”何かが違う”のだー。


「ーー(田代先輩はもういない…田代先輩はもういない…)」

ストーカーの誠人はもういないのだー。

確実にー。


そう自分に何度も何度も言い聞かせていると、

親友の彩夢がやってきたー


「ーーわたしも一緒に食べていい?」

千奈津や、他の友人二人に声を掛けると、

千奈津たちは「あ、彩夢!いいよ!」と、彩夢を歓迎したー。


彩夢が千奈津の隣に座ると、妙に嬉しそうに

千奈津の方に寄って来るー


「ちょ…ちょっと、彩夢…近いよ~」

苦笑いする千奈津ー


「ー”わたしたち”恥ずかしがるような仲じゃないでしょ?」

微笑む彩夢ー


「そ、そうだけど~」

千奈津が照れくさそうに言うと、

他の友達のうちの一人が

「千奈津ちゃんと彩夢ちゃんって本当に仲良しだよね~!」とほほ笑んだー。


「ーーー(ククク そう…仲良しなんだぜ…)」

彩夢が邪悪な笑みを浮かべたことに、誰も気づかないままー

昼食は進むー。


「ーあ、千奈津の飲み物おいしそ~!」

彩夢は千奈津が飲んでいた缶ジュースを勝手に手にすると

そのまま千奈津と”間接キス”しながら缶ジュースを口にしたー


「ーーん~~おいしい~!」

彩夢はそう言うと、千奈津に缶ジュースを返して、

「ごめんね!急に味が気になっちゃって!」とほほ笑むー。


千奈津は少しだけ困ったような表情をしながらも

「全然いいよ」と、笑みを浮かべるー


「ーーー…えへ」

彩夢は少しそわそわしてから、「あ、ごめん!わたし

トイレに行きたくなっちゃったから、先に行くね!ばいばい!」と

笑いながら、立ち去っていくー


「ーーあ、うん、お疲れ様~!」

千奈津はそう言って、立ち去っていく彩夢に手を振るー。


そんな様子を見ていた、千奈津の友達の一人が、ふと言葉を口にしたー


「なんか今日の彩夢ちゃん、ちょっと変だったね~」

ーと。


・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーふふっ…ふふふ、うふふ…ふふふふふ」

廊下を速足で歩きながら、自分の指をちゅぱちゅぱと口の中に入れる彩夢ー


「ーーあぁぁ…千奈津ちゃんと間接キスなんてー

 美味しすぎるだろ…

 ふへ…えへへへへへ」

興奮を抑えきれないという様子で、”誠人”のいつもの癖で男子トイレに

駆け込むと、ちょうどトイレを利用していた男子が

唖然としているのを無視して、そのまま男子トイレの個室に

入り込んだー


「ーやっべぇ…興奮が止まらねぇ…」

彩夢がニヤニヤしながら、自分の身体を

興奮が抑えきれない、という様子で抱きしめるー


「千奈津ー…千奈津…

 おいしかったよ…

 千奈津…♡」

うっとりとした声でー

”千奈津の唾液の味”を思い出すー。


”おいしい”と言ったのはジュースのことではないー

付着していたであろう千奈津の唾液のことだー


彩夢の身体が激しく興奮しているのを感じる誠人ー


「ーーーえへっ…えへへへへへ

 この女も、千奈津ちゃんのこと好きだったのかなぁ…

 こんなに…こんなに…

 ゾクゾクしちゃって…」


身体中が火照るのを感じるー。


「ーーくくくく…たまんねぇ…

 千奈津ちゃんは…俺の…いいや…わたしのものよ…

 くく…ひひひひひひひひ♡」


男子トイレの個室から、彩夢の不気味な笑い声が

響き渡ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


大学での1日が終わるー。

千奈津は、誠人がいない状況に安堵しながらも、

やはり、どこか不安を感じていたー


今まで、散々ストーカー行為をされてきたから、

1日でその恐怖が消えるものではないのかもしれないー


けれどー

まだ”どこかで”見られているようなー

そんな、気がしてしまうー。


「ーーなぁ、そういえばさっき倉崎さんが

 男子トイレに入ってきたんだけどー」


「ーーえ?マジ?あの倉崎さんがー?

 いやいや、絶対ありえねぇだろ」


ふとー

男子学生二人の会話が聞こえたー。

”倉崎”とは、彩夢のことだー。


その言葉に、千奈津はつい聞耳を立ててしまうー。


「ーいやいや、本当なんだって、倉崎さんが急に

 ニヤニヤしながら男子トイレに入ってきて、

 トイレの個室でなんか一人で笑ってたんだよー」


「ーーマジで!?いや、ありえねぇ

 いくら倉崎さんが美人だからって、

 そんな妄想するのはヤバすぎだろ」


そんな男子二人の会話に不安を感じていると

背後から声が聞こえたー


「ちーなーつ!一緒に帰ろ!」

待ち伏せしていたかのように姿を現す彩夢ー


「あ、うんー」

千奈津は、彩夢を前に、いつものように微笑むと、

一緒に帰り始めたー。


彩夢はいつも以上にハイテンションで、

色々なことを千奈津に聞いてきたー。


「ーーーなんか、今日の彩夢、わたしに興味ありすぎじゃない?」

苦笑いする千奈津ー


「ーんっふふ~…親友のことはなんだって知っておきたいでしょ?」

彩夢が微笑むー。


「ーーーーー」

何だか今日は、彩夢と一緒にいると落ち着かないー。

まるで、誠人に追い回されているときのようにー


「ーーどうしたの?」

彩夢がにこっ、とほほ笑むー


「ーーあ、うん…あの、田代先輩…

 まだ、どこかで見ているような気がしちゃってー」


千奈津は、まさか目の前にいる彩夢が、その”田代先輩”ー

つまり、ストーカーであった誠人に憑依されて

乗っ取られているなどとは、夢にも思わず、そう呟くー


彩夢のペンダントが赤く光るー

ペンダントは服の下に隠れていて、千奈津からは見えないー


「ーー大丈夫…わたしが守ってあげるって約束したでしょ?」

彩夢はそう言うと、甘い息を吐きながら千奈津を抱きしめたー。


「ーーひっ」

反射的に千奈津は彩夢を振り払ってしまうー。


彩夢の中に、誠人を感じたのかー

それとも、誠人の件で臆病になっていたのかー

それは、分からないー


「ーーーっ」

彩夢は笑いながら舌打ちをしたー。


「ーーーあ、、ご、、ごめん…つい…」

千奈津が言うと、彩夢は満面の笑みを浮かべながらー


「あんなことがあったんだもんねー

 仕方ないよー」

と、笑うー。


「ーーー」

千奈津は、ストーカーの誠人もいつも笑っていたことを思いだすー


「ーーご、ごめんね…

 今日はもう、帰るからーー」

千奈津はそれだけ言うと、彩夢の前から足早に立ち去っていくー


一人残された彩夢は舌打ちをするとー

「ーますます、好きになっちゃうなぁ…♡」と不気味な笑みを浮かべたー



その日の夜もー

千奈津は、アパートの自分の部屋で、怯えていたー。


”誠人”の気配にー

いないはずなのにー

確実に昨日、死んだはずなのにー


「ーーーー」


だがーー


”誠人”はいたー。


「ーーーー」

黒いサングラスをかけた白いワンピース姿の女がー

千奈津の住んでいるアパートを、近くの木の影から見つめていたー


「ーーー千奈津…くくくくく♡」

誠人に乗っ取られた彩夢だったー


彩夢は、誠人に身体を奪われてー

身も心も、ストーカーと化してしまったのだー


彩夢が帰ってこないことを心配した妹・萌々からの電話にー

彩夢は「うるせぇな」と呟くとー

”わたし、今日はお泊りするから心配しないで”と返事をLINEで送るー


そして、スマホの電源をそのまま切ると、

彩夢はにやりと笑みを浮かべたー


「ーー千奈津ちゃんー…千奈津ちゃんー

 千奈津ちゃんー」


呪文のようにそう呟き続ける

”親友”の姿は、もはや”ストーカー”そのものだったー



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


親友が狂気のストーカーそのものになってしまいました…!

恐ろしいですネ~…!


続きはまた次回デス~!

今日もありがとうございました!!

(Fanbox)


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