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大学から帰宅した際に、男に部屋に乗り込まれて

人質にされてしまったー。


紗枝は無事に救出されるも、

警察官の突入前に、男は特殊な道具を用いて

紗枝の姿に変身したー。


警察は”乱暴な口調の紗枝”=”本物の紗枝”を偽物と

断定してしまい、本物の紗枝を連行ー、

偽物の紗枝は自由を手にしてしまうー。


取り調べを受ける、本物の紗枝の運命は…?


★前回はこちら↓★

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”事件”当日ー。


「ーーーはい、ありがとうございます」

”偽物の紗枝”は、警察で一通り”事件”を説明すると

自分を慰めてくれた女性警察官に向かって礼儀正しく頭を下げたー。


「ーーあんまり、無理はしないでね」

優しく呟く女性警察官ー。


「ーーはい」

”偽物の紗枝”は、微笑みながら頭を下げるー。


「ーーそれにしてもー…

 人の姿に変身できる犯罪者なんてー…

 わたしも色々な事件を見てきたけどー

 そんなの初めてー…」

女性警察官は、そう呟くと、さらに続けたー


「でも、まぁ、わたしたちは、色々な事件も見てきてるし、

 事件を起こすような人間と、”そうじゃない人”っていうのは

 わたしたちには、すぐ見分けがつくからー

 誰の姿に変身しても、無駄なんだけどねー」


女性警察官が笑いながら言うー。


「ーーやっぱり、警察の人ってすごいんですねー」

”偽物の紗枝”が微笑みながら言うと、

女性警察官は、得意げに微笑むー。


「それはそうよ!毎日凶悪な事件と戦ってるんだから!

 そんなに簡単に騙されてたら、警察は務まらないもん!」


突然押し入ってきた男に人質にされて、

挙句の果てにその男が、特殊なナイフを使い、目の前で自分の姿に変身ー


そんな、恐ろしい目に遭った女子大生・紗枝の

精神的なショックを少しでも和らげようと、

この女性警察官は”あえて”フレンドリーな接し方をしていたー。


「ーふふ、そうですね」

”偽物の紗枝”は笑みを浮かべるー。


「ーー(そんなに簡単に騙されてたら、警察は務まらない、かー

    じゃあ…お前には、警察は務まらねぇな?へへへ)」


男は笑うー。

目の前にいる”俺”こそが偽物なのにー

こいつはー

いいや、こいつらは、まったく気が付いていないー。


「ーーーくくくくく…バカなやつらだぜ…!

 くく、、くくく…あはははははははははっ!


紗枝の姿ー

紗枝の声で

狂ったように笑みを浮かべると

”偽物の紗枝”はそのまま姿を消したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー


留置場に入れられてしまった

”本物の紗枝”は、不満をあらわにしていたー。


”早くここから出ないと”という焦りよりも

気の強い性格の紗枝は、

”なんでわたしがこんなところに…!という

気持ちの方が強かったー。


「ーちょっと!こんなことして、タダで済むと思うなよ!」

大声で叫ぶ本物の紗枝ー。


その”反抗的な態度”が、さらに本物の紗枝に対する

疑いを強めていってしまうー。


「ーーふざけんな…!マジでふざけんな…!」

本物の紗枝が怒りの形相で、警察官が通りかかるたびに叫ぶー。


血液ー

指紋ー

DNAー


あらゆるものが一致してしまっている状況ではー

自分が本物だと証明する手立てがないー。


「ーーどうすればいいんだよ…!くそっ!」

本物の紗枝は、留置場の中でひたすら悪態をつくー。


”お姉ちゃんは、あんな言葉遣いしません”


取調室に、本物の紗枝を見に来た妹ー。

何故、妹はあんな言葉を口にしたのだろうー。


紗枝は、妹の前でも、がさつな振る舞いをしていたし、

男のような言葉遣いもしていたー。

それなのに、どうしてー?


「ーーーーーーあぁぁ、もう!」

本物の紗枝は、”被害者である自分”がこんな目に

合っているこの状況にー

激しい苛立ちを感じるのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーククク」

”偽物の紗枝”は、警察から解放されてすぐに、

本物の紗枝の家に行き、本物の紗枝の私物を持ち出して

行方を晦ましていたー。


”大学”に行けばー

必ずボロが出るー。


紗枝に変身している男は、そんなことはちゃんと理解していたー。


髪型を変えて、

サングラスをかけて、

メイクをしてー

ラバースーツ姿の”偽物の紗枝”は、

夜の街を歩いていたー。


男が欲しかったのは”美人の姿”ー

別に紗枝になりすますつもりはないし、

紗枝の人生を奪うつもりもないー。


”その場しのぎ”で警察から解放されたら

最初から行方を晦ますつもりだったのだー。


「ー”女”の身体を武器にすればー

 ”裏”の仕事も何かとやりやすいからなー」


笑みを浮かべる偽物の紗枝ー。

偽物の紗枝は”仲間”が待つバーへと入ると、

「ー待たせたな」と、紗枝の声で笑みを浮かべたー


「ーおぉぉ~!いい女じゃねぇか!」

紗枝に変身した男の仲間が笑うー。


男は、とある街を根城にしている、

窃盗などを繰り返しているグループのリーダー格だったー。


「ーーーへへへへ どうだよ?この身体はー。

 すげぇだろ?」

”偽物の紗枝”は、色っぽいポーズを決めるー。


だがー

その時だったー


「ー動くな!」


「ー!?」

偽物の紗枝と、その仲間たちが振り返るー。


バーに流れ込んでくる警察官たちー。


その奥からー

”本物の紗枝”の取り調べを行っていた

警察官・源五郎が姿を現すー


「ーあ、、あ、、、け、警察の方…」

”偽物の紗枝”は両手を挙げながら、とっさに

”か弱い女子大生”を演じたー。


だがー


「ーー下らねぇ猿芝居はやめろー。

 てめぇが偽物だってことは最初からわかってるー。」


源五郎はそれだけ言うと、

「ーお前らのアジトを突き止めるために、わざと泳がせてたんだよ」

と、つけ加えてー

抵抗しようとする偽物の紗枝を取り押さえたー。


他の仲間たちもすぐに取り押さえられていくー。


「ーーく、、くそっ……」

あっけなく連行されていく”偽物の紗枝”ー


「ーー”テメェ”ごときに構ってる暇はないんでな」

源五郎はそれだけ言うと、

偽物の紗枝たちを連れた部下の警察官たちに

”連れていけ”と、指示を出したー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー。


「ーー”偽物”は、逮捕したよー」

源五郎が、取調室にやってくると、

本物の紗枝は安堵の表情を浮かべたー。


「ーーほ、、ほんとに…?

 よ、よかったー…

 

 っていうか、だから最初からわたしが本物って言ってるじゃん!」


怒りの形相の紗枝ー。


だがー

源五郎は信じられない言葉を口にしたー。


「ーー”本物”はどこにいるー?」

とー。


「ーーは?」

本物の紗枝は表情を歪めるー。


「ーー”本物”は、どこにいるー?」

源五郎は、さらにはっきりとした口調で、そう呟いたー。


「ーーは???偽物は逮捕したんでしょ?

 だったら、わたしが本物に決まってんだろ!?」


本物の紗枝は怒り心頭、と言わんばかりの表情でそう叫んだー。


「ーー偽物は一人とは限らないー」

源五郎は鋭い目つきで紗枝を睨むー。


「ーーあ、あんた、おかしいでしょ!?

 わたしが本物に決まってんだろ!!!」


机を叩く紗枝ー。


「ー乱暴な、女だなー」

源五郎はそれだけ言うと、煙草に火をつけてから、

紗枝の方を見つめたー。


「ーどうしてお前、そんな乱暴な言葉遣いなんだー?」

源五郎の言葉に、紗枝は

「女だからって、こういう喋り方しちゃいけないってことはないだろ!」と

怒りの形相で叫ぶー。


「あぁ、それはそうだー」

源五郎は、それだけ言うと、煙草の煙を噴いたー。


「ーーでも、”川園 紗枝”は

 高校を卒業するまではー

 ”穏やかな少女”だったと聞いているぞ?


 既に、調べもついているー」


高校時代の紗枝の写真を出してくる源五郎ー。


「ーーーっ…人は変わるもんだろ!」

紗枝が言うと、

源五郎は「この前、妹が取調室のお前を見て、

”お姉ちゃんは、あんな言葉遣いしません”って言ってたのー…

覚えてるよな?」と呟くー


「も、もちろんー。あれはーー」

紗枝が言葉を言いかけるとー

「お前は、実家を出て、一人暮らしを始めて、大学生になったタイミングでー

 ”まるで別人のように豹変”したー。

 何故だー?」

と、源五郎は鋭い目つきで紗枝を睨んだー


「ーーな、なんなんだよ!何が言いたいんだよ!」

紗枝が怒りの形相で再び机を叩くとー

源五郎は半笑いを浮かべながらー

紗枝を睨みつけたー


「ーーー”本物”をどこに”遺棄”した?」

源五郎の言葉に、

紗枝は表情を歪めるー。


「ーーー…!?」

紗枝は、困惑したー。


「ーー数か月前ー

 とある闇組織を検挙してなー。

 ヤバい道具を色々と横流ししていた組織だー。

 

 その時に、他人に変身する力を持つナイフを

 そいつらが”2本”だけ流通させた、って情報を掴んで

 俺はずっとそれを追ってたんだー。


 1本は、一昨日捕まえた”偽物の紗枝”が持ってたー


 そして、もう1本はー

 ”お前だー”」


源五郎が、紗枝を指さすー。


「ーーあ、、、、あ????」

紗枝は戸惑うー。

まるで意味が分からない、という表情だったー。


「ーーーなるほどな」

源五郎はその様子を見て頷くー。


「ー大方、お前は、高校を卒業して、

 一人暮らしを始めたばかりの川園紗枝を殺して、

 そして、自分が例のナイフの力で川園紗枝に変身したー。


 そのあと、何らかの方法で、紗枝になる前の自分の

 記憶を消してー

 今は自分が紗枝だと思い込んでるってわけだなー」


源五郎の言葉に、

紗枝は机を叩いたー


「ーわたしは紗枝だ!ふざけんな!」

とー。


「ーーその振る舞いー


 お前が”男”だったころの性格がー

 無意識のうちに表に出てるってわけだー。


 高校時代までは、そんな性格じゃなかったってのは、

 もう確認が取れてるー。

 観念しろー


 お前も、先日捕まえた”偽物”もー

 ”両方”偽物だー」


源五郎の言葉に、

紗枝は怒り狂った様子で「ふざけんじゃねぇぇ!」と叫んで、

源五郎に殴りかかったー


源五郎は「なら、試してみるか?」と呟くー。


そしてー、

例のナイフを部下に持ってこさせるとー

”これをもう一度舐めると、元の姿に戻る”と聞いたー、と

源五郎は呟くー。


「ーお前が本物の「川園 紗枝」だってんなら、

 舐めても平気なはずだよな?」


源五郎の言葉に、

紗枝は「あぁ、舐めてやるよ!舐めてやるから!」と

怒り狂った表情で叫んだー。


ナイフを舐める紗枝ー


するとー

みるみるうちに姿が変わりー

目つきの鋭い金髪の男の姿にー

”戻ったー”


金髪の男は、すべてを思い出すー


この男は、1年ほど前ー

大学に通い始める直前の”川園 紗枝”に目をつけてー

裏社会で手に入れた特殊なナイフで紗枝を襲撃したー


「やめて!!やめてー!」

悲鳴を上げる紗枝ー。


「ーーへへへへ…可愛いじゃん…!

 俺がお前になって、代わりに女子大生ライフを満喫してやるぜ!」

笑いながら男は、紗枝の命を奪いー、

そのまま紗枝に変身ー


その後、裏社会の催眠術師と接触し、

”自分が川園紗枝”だと思い込むように暗示をかけてもらいー

紗枝として、大学に通っていたー


だがー

元々の性格が表に出てしまっていてー

”男のような乱暴でがさつな紗枝”になってしまったー。


本物の紗枝は、とうの昔に死んでいたー。

先日、紗枝を襲って、紗枝に変身した犯人はー

まさか、ターゲットの女子大生が、本物ではないと知らずに

襲っていたー。


「ーーーー記憶も戻っただろ?本物の川園紗枝は、どこにいるー?」

源五郎の言葉に、

紗枝になりきっていた金髪の男は、観念して、

”本物”を遺棄した場所を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーー」

金髪の男が言った場所から、既に腐敗した紗枝の遺体が見つかったー。


「ーーーー」

源五郎は険しい表情を浮かべると、

死してなお、”二人の偽物”に姿を利用されていた紗枝に同情したー。


「ーーひでぇことするやつも、いるもんだなー」

運ばれていく紗枝の遺体を見つめながら

ため息をつくと、

源五郎は紗枝が遺棄されていた場所を見つめるとー


”もう、お前の偽物はいないー。

 安心しなー”


と、だけ呟いて、その場を後にしたー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


本物は既にこの世にいないタイプの

他者変身モノでした~!


お読みくださりありがとうございました!!

(Fanbox)


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