<入れ替わり>青春を奪うおじいさん④~急変~(完) (Pixiv Fanbox)
Content
女子高生・智花の身体を奪い、青春を堪能する清十郎ー。
余命あとわずかの身体を押し付けられて、絶望する智花ー。
清十郎(智花)は、同じ病院に入院している智花の祖父に
何とか入れ替わりを信じてもらおうとしていたが、
そうこうしているうちに、祖父が亡くなってしまうー。
絶望する智花(清十郎)に勝ち誇った表情で、
「死ね」と言い放つ清十郎(智花)-
しかし、祖父の死の際に智花(清十郎)の様子に違和感を抱いた
女性看護師が、智花(清十郎)を呼び出した…!
★前回はこちら↓★
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・・・・・・・・・・・・・・・・・
「-----…う…う…」
清十郎(智花)は、自分の手を見つめるー。
しわだらけの、手ー。
今にも動かなくなってしまいそうなほどに、弱弱しいー。
”大好きなおじいちゃん”が死んでしまったショックとー、
”元に戻る方法はもうないかもしれない”という絶望ー
智花の精神力は、燃え尽きようとしていたー。
生きる希望を無くしてしまったからだろうかー。
清十郎の身体は、急激に弱り始めていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--お話って何ですか?」
ショートパンツ姿の智花(清十郎)が、
”おじいちゃんのために”と、病院に定期的にお見舞いに来ていた
智花と親しかった女性看護師の方を見るー。
「----」
”その服装”からも違和感を覚えるー。
別に悪いことをしているわけではないし、
年頃の子だから、おかしいことじゃないけれど…、
と思いつつも、大胆に晒された生足を見て、
女性看護師は、強い違和感を覚えたー。
「--智花ちゃん、大丈夫ー?」
女性看護師が言うー。
一瞬、何のことを言われているか分からず、智花(清十郎)は
表情を歪めたー。
「--何のこと?」
声が、無意識のうちに低くなるー。
”入れ替わり”関連のことを指摘されたのではないかと
一瞬思ってしまったのだー。
智花(清十郎)の冷たい口調と表情に、女性看護師は
さらに違和感を感じながら、
「--え、あの…おじいちゃんのことで、無理してない?」と、
尋ねたー。
毎週必ず数回、祖父のお見舞いに来ては嬉しそうにしていた智花ー。
その智花の昨日の振る舞いが、どうしても気になってしまったー。
まるで”他人事”のように、冷たい…
そんな風に感じたー。
急変した祖父を前に、智花(清十郎)は、何も言葉をかけなかったのだー。
むしろー
”面倒臭そうに”しているようにすら、見えてしまったー。
言葉が出ないほどにショックを受けていたー
それだけなら、いいー。
同僚の看護師の言葉を思い出すー。
「まぁ…いざ、大切な人がいなくなっちゃうと、
なかなか現実を受け入れられないものなんじゃないかな」
”そう”ならいいー。
けれどー。
女性看護師は、智花(清十郎)を見つめるー。
どうしてもー
どうしても、”そう”じゃない気がしてしまうー。
毎週のように祖父のお見舞いに来ていた”智花”と、
”今の智花”が、まるで別人のような、そんな気がしてしまうー。
「無理? 無理なんてしてませんよ」
智花(清十郎)は、黒い髪を邪魔そうにどかしながら笑うー。
「--そ、そう…でも、智花ちゃん、
あんなにおじいさんのこと、好きだったからー
大丈夫かなって」
女性看護師が、不安そうに言うー。
「--…死ぬときは、死にますから」
智花(清十郎)はにっこりとそう微笑んだー。
「ーーわたしがいつまでも悲しんでたら
おじいちゃんも悲しむー。
そう思っただけです。
…他に何か?」
智花(清十郎)がそう言うと、
女性看護師は静かに頷いたー。
「-そうー」
とー。
”おじいちゃんの為に、前向きに生きるー”
確かに、それは大事なことかもしれないし、
おじいちゃんが死んでしまった現実と向き合う上で
大事な気の持ちようの一つかもしれないー。
「---…(この子…可愛いのお…ふひ…♡)」
智花(清十郎)はニヤニヤしながら、その看護師の”胸”を
見つめていたー。
清十郎は、若いころはかなりエッチで、
高齢になって、弱ってきてからは、そんな素振りは
見せなくなっていたが、
下心丸出しのタイプの男だったー。
「---」
女性看護師が、その視線に気づくー
智花(清十郎)がさっきから、胸ばかり見ていることにー。
「--…な、、何を見てるの?」
女性看護師が言うと、
智花(清十郎)は「--別に何も」と、ニヤニヤを
無理矢理消してほほ笑んだー。
「--……なんで嘘をつくの?」
女性看護師が表情を歪めたー
「-智花ちゃん、なんか…最近、変よー…
何かあったの?」
女性看護師の言葉に、
智花(清十郎)は表情を歪めるー
正直、”この女とこの看護師”が、どのぐらい親しかったのは
分からないー。
だが、自分が違和感を持たれていることは、智花(清十郎)にも分かったー。
「--ーーわたしの胸、見てたでしょ!」
女性看護師が少し怒りっぽく言うー。
「---…はぁ~~~~~」
智花(清十郎)はイライラした様子で髪の毛をかきむしると、
「--女同士なんだから、いいじゃないですか!」と、
声を荒げたー。
智花(清十郎)と直接話してみて、
”不安”が”確信”に変わったー。
そんなはずはないー
と、思いながらも、聞かずにはいられなかったー。
「--…あ、、あなた……本当に、智花ちゃん!?」
とー。
智花(清十郎)は、にやりと笑ったー。
「-わたしは蒼井 智花ー。
どこからどうみても、蒼井 智花ですよねー?」
両手を広げて、身体全体を見せびらかすような仕草をする
智花(清十郎)-
「------…そ、、そうなんだけど…でも」
女性看護師がそこまで言うと、
智花(清十郎)は、にっこりと笑って
「-わたし、もうこの病院に用はないので。
失礼します」と、頭を下げて、そのまま足早に立ち去って行ったー。
その時だったー
「--栗原さんが、急変したぞ!」
病院のスタッフが慌てて走っているー
智花(清十郎)はニヤッと笑ったー。
まるで”悪女”のような笑みー。
「-さよならじゃ…”わしの身体”」
悪魔のような言葉を、智花(清十郎)は静かに囁いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--栗原さん!大丈夫ですか?」
智花と親しかった女性看護師も駆けつけるー。
清十郎の担当ではなかったためー、
清十郎と智花が入れ替わってから、
この看護師が清十郎(智花)の前に姿を現すのは
初めてだったー。
「------ぁ……」
苦しそうに清十郎(智花)が、女性看護師の方を見つめるー。
「--?」
女性看護師の服を握りしめるようにして掴む清十郎(智花)-
口のまわりには吐血したと思われる血の跡があるー。
「--栗原さん~失礼しますね~」
病院のドクターも病室に駆け付けたー。
だがー
清十郎(智花)は、女性看護師の袖を掴んだまま、
話そうとしないー
小声で何かを必死に訴えようとする清十郎(智花)ー
「--オペ室に運ぶ準備を」
ドクターが他のスタッフに指示をし、さらには、清十郎(智花)を
運び出そうとするー。
しかしー
「-ちょっと待ってください!」
女性看護師が、清十郎(智花)が”何か言おうとしている”ことに
気付き、耳を清十郎(智花)の口元に近づけたー
「--浅川さん、、、たすけて………わたし、、、、ともか…」
そう聞こえたー。
「---え…?」
清十郎(智花)の言葉に、女性看護師は表情を歪めるー。
「--もう運ぶぞ。離れて!」
ドクターが、清十郎(智花)を運び出すー。
女性看護師は、え…今…?と、表情を歪めたー
そしてー
彼女が、他の看護師から”最近、栗原さん、自分が女子高生だって
言い張るのよ”と聞いたのは、その直後のことだったー
オペでなんとか一命をとりとめたが、
急激に弱っていく清十郎(智花)が死ぬのは時間の問題だったー。
女性看護師の浅川は、必死に”どういうことなのか”を調べたー
その結果ー
”入れ替わり”にたどり着いたー
「--まさか、栗原さんと智花ちゃんが入れ替わってー!?」
胸を凝視していた”様子のおかしな”智花を思い出すー。
たすけて…と苦しそうに呟いた清十郎を思い出すー。
「--…---!!!」
その3日後ー
清十郎(智花)は再び急変しー
この世を去ってしまったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数年後ー
智花(清十郎)は高校を卒業して、
大学に入学ー。
大学生になったのを機に、”一人暮らし”を始めて
両親からも解放されたー。
「--…ぁ~~~…♡ んん~~~~」
部屋の中で一人、胸を揉んだり、
足を触ったりを繰り返す智花(清十郎)-
あれから数年ー
智花の身体はすっかり、”清十郎好み”になっていたー
ポニーテールにしたり、ツインテールにしたり、
色々な髪型を存分に堪能し、
服装は、足を見せびらかすようなものが多いー。
清十郎になった智花に、智花(清十郎)が言い放ったように、
”足を見せなくちゃ勿体ない”と考えているからだー。
大学では”智花って時々おじさんみたいだよね~”などと
笑われながらも、その容姿や、元々の性格を武器に、
充実した大学生活を送っているー。
「----あぁぁぁ~~これ懐かしいなぁ~!」
昭和のヒット曲ランキングを見ながら、
せんべいを口にして、嬉しそうに叫ぶ智花(清十郎)-
「-あぁぁ~~これこれこれ!」
おじさんモード全開で、懐かしい歌を口ずさむ智花(清十郎)-
高校では色々やりにくいこともあったが
大学生になってからは、本当に日々が充実しているー。
高校生の頃はー
”両親の目”もあったし、”高校の同級生の目”もあったー
それ故に、
”わし色の智花”に100%してしまうことはできなかったー。
急に性格が100%変われば、さすがに怪しまれるし、心配されるー
だから、50%ー。
半分は智花、半分は清十郎の好きなようにー
と、いう感じで振舞っていたー。
だが、今は完全に、自由ー。
「--も~~~!智花ちゃんってば~!」
大学の親友が笑いながら叫ぶー
「-だって~~!蘭ちゃんの胸、揉んでると気持ちいいんだもん~!」
背後から、智花(清十郎)が、蘭という名前の親友の胸を
揉み続けているー
「--こら~!いい加減にしなさ~い!」
蘭はそう言いながらも笑っていて、
まさか”中身がおじいさん”とは夢にも思っていないー
「-お返し~!」
蘭が、智花(清十郎)の胸を揉み始めるー
「--あ~~やめてよ~~!」
智花(清十郎)は”女の子同士って最高じゃ…”と、涎を
垂らしながら、だらしない笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
大学の所属しているサークルのメンバーと共に
ファミレスにやってきていた智花(清十郎)-
「--智花ってそれ好きだよね~!」
メンバーの一人が言うー。
智花(清十郎)は「ん?枝豆?」と、
枝豆を口に運びながら言うー。
「そうそう!それ~!わたしはなんか苦手なんだけど」
友達の一人の言葉に、智花(清十郎)は、
「-枝豆とビールを口にしながら野球観戦とか、最高なのよ」と、
笑みを浮かべたー
「え~!?おじさんみたい~!」
友達の一人が言うー。
智花(清十郎)は「-ふっふ~!でも、わたしは女子大生だもんね~!」と
笑いながら言い放ったー。
「あ、トイレ」
智花(清十郎)が、ファミレスのトイレに向かうー。
すっかり”女”としてのトイレにもなれたー。
用を済ませて、鏡の前で手を洗っているとー
後からトイレにやってきた女に声をかけられたー。
「--やっと見つけたー」
その女が言うー。
「--え?」
智花(清十郎)が呟くと、その女は言い放ったー
「--わたしの身体を、返して下さいー」
とー。
「--!?」
智花(清十郎)は表情を歪めたー。
”智花”は、病院で、清十郎になって死んだはずー。
じゃあ、目の前にいるこの女はーーー
誰だー?
そんな風に思っていた智花(清十郎)は、ハッとしたー。
目の前にいる女は、
自分が入院していた病院の看護師だー。
”智花ちゃん、大丈夫?”と、
自分を疑ってきたあの看護師だー。
数年経過していることや、
あの時以外接点があまりなかったことー
ちょっと、雰囲気が違うことからー
すぐには気づけなかったー
「--わたしーーー」
女性看護師は寂しそうに言ったー
あの日ー
急変して、死の間際だった清十郎(智花)-
そこにー
女性看護師の浅川が駆けつけて来たー。
「--智花ちゃんー
何もしてあげられなくて…ごめんね…」
浅川は、入れ替わりに気づいて、
なんとか智花を救う方法を考えていたー。
そして、清十郎になってしまった智花が
再度急変するまでの間に、
”入れ替わり薬”がネットで売られていることに気づきー
それを手に入れていたー。
あとは、なんとか”智花になった清十郎”を病院に
連れてきて、再び二人を入れ替わらせればーー
そう、考えていたー。
だが、それはかなわず、
清十郎(智花)は再び急変ー
心肺停止の状態に陥ったのを見た彼女はー
咄嗟にある行動に出たー。
後先も考えずー
ただ、”智花ちゃんを助けたい”その一心でー
自分が入れ替わり薬を飲みー
心肺停止で今、まさに完全に死亡しようとしていた
清十郎(智花)にキスをしたのだー。
「---だから、今、わたしは浅川さんの身体で生きているんですー」
智花は、生きていたー
清十郎の身体で心肺停止になった直後、
女性看護師の浅川の身体と入れ替わってー
生きていたー
「--浅川さんは、わたしのために死にましたー
あなたのせいで、あなたの身体で、死にました」
女性看護師・浅川になった智花が叫ぶー。
「---そんな話、知らない」
智花(清十郎)は言うー。
そして、そのままトイレの外に出て行こうとするー
「-わたしの身体を返して!」
浅川(智花)の言葉に、智花(清十郎)は静かに囁いたー
「-わたしは智花 わたしは智花」
何度も呟き、
浅川(智花)に壁ドンをすると、もう一度呟いたー
「-わ・た・し・は・と・も・か」
強調した口調で言うと、智花(清十郎)はクスッと笑って
そのまま立ち去って行ったー。
「---」
残された浅川(智花)は呟くー
”絶対に、取り戻すからー”
とー。
身体が心肺停止の状態での入れ替わりだったからかー
浅川の身体になった智花は、数年間寝たきりだったー。
目を覚ましたのは、去年のことだー。
既に智花(清十郎)は大学生になり、一人暮らしを始めていたころー。
だから、見つけるのに時間がかかったー
でも、もうー
もう、逃がさないー
すぐには無理でもー
絶対にー。
トイレから出た浅川(智花)は、
店内で友達たちと談笑する智花(清十郎)の方を見つめながらー
”あなたから青春を取り戻すからー”
と、そう、呟くのだったー。
おわり
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コメント
青春を奪うおじいさんの最終回でした~!★
色々な未来が予想できそうなエンド…!
最初から、これで完結で考えていたお話ですが、
実際に書いてみると、書こうと思えば続編も
書けそうな気がしてきました…!
(※今のところは予定はないですが、何かきっかけがあれば
書くかも…デス!)
お読み下さりありがとうございました~!