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女子高生・智花の身体を奪い、青春を堪能する清十郎ー。

余命あとわずかの身体を押し付けられて、絶望する智花ー。


清十郎(智花)は、同じ病院に入院している智花の祖父に

何とか入れ替わりを信じてもらおうとしていたが、

そうこうしているうちに、祖父が亡くなってしまうー。


絶望する智花(清十郎)に勝ち誇った表情で、

「死ね」と言い放つ清十郎(智花)-


しかし、祖父の死の際に智花(清十郎)の様子に違和感を抱いた

女性看護師が、智花(清十郎)を呼び出した…!


★前回はこちら↓★

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・・・・・・・・・・・・・・・・・


「-----…う…う…」

清十郎(智花)は、自分の手を見つめるー。

しわだらけの、手ー。

今にも動かなくなってしまいそうなほどに、弱弱しいー。


”大好きなおじいちゃん”が死んでしまったショックとー、

”元に戻る方法はもうないかもしれない”という絶望ー


智花の精神力は、燃え尽きようとしていたー。


生きる希望を無くしてしまったからだろうかー。

清十郎の身体は、急激に弱り始めていたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「--お話って何ですか?」

ショートパンツ姿の智花(清十郎)が、

”おじいちゃんのために”と、病院に定期的にお見舞いに来ていた

智花と親しかった女性看護師の方を見るー。


「----」

”その服装”からも違和感を覚えるー。


別に悪いことをしているわけではないし、

年頃の子だから、おかしいことじゃないけれど…、

と思いつつも、大胆に晒された生足を見て、

女性看護師は、強い違和感を覚えたー。


「--智花ちゃん、大丈夫ー?」

女性看護師が言うー。


一瞬、何のことを言われているか分からず、智花(清十郎)は

表情を歪めたー。


「--何のこと?」

声が、無意識のうちに低くなるー。


”入れ替わり”関連のことを指摘されたのではないかと

一瞬思ってしまったのだー。


智花(清十郎)の冷たい口調と表情に、女性看護師は

さらに違和感を感じながら、

「--え、あの…おじいちゃんのことで、無理してない?」と、

尋ねたー。


毎週必ず数回、祖父のお見舞いに来ては嬉しそうにしていた智花ー。


その智花の昨日の振る舞いが、どうしても気になってしまったー。

まるで”他人事”のように、冷たい…

そんな風に感じたー。


急変した祖父を前に、智花(清十郎)は、何も言葉をかけなかったのだー。

むしろー

”面倒臭そうに”しているようにすら、見えてしまったー。


言葉が出ないほどにショックを受けていたー


それだけなら、いいー。


同僚の看護師の言葉を思い出すー。


「まぁ…いざ、大切な人がいなくなっちゃうと、

なかなか現実を受け入れられないものなんじゃないかな」


”そう”ならいいー。


けれどー。


女性看護師は、智花(清十郎)を見つめるー。


どうしてもー

どうしても、”そう”じゃない気がしてしまうー。


毎週のように祖父のお見舞いに来ていた”智花”と、

”今の智花”が、まるで別人のような、そんな気がしてしまうー。


「無理? 無理なんてしてませんよ」

智花(清十郎)は、黒い髪を邪魔そうにどかしながら笑うー。


「--そ、そう…でも、智花ちゃん、

 あんなにおじいさんのこと、好きだったからー

 大丈夫かなって」

女性看護師が、不安そうに言うー。


「--…死ぬときは、死にますから」

智花(清十郎)はにっこりとそう微笑んだー。


「ーーわたしがいつまでも悲しんでたら

 おじいちゃんも悲しむー。

 そう思っただけです。


 …他に何か?」


智花(清十郎)がそう言うと、

女性看護師は静かに頷いたー。


「-そうー」

とー。


”おじいちゃんの為に、前向きに生きるー”

確かに、それは大事なことかもしれないし、

おじいちゃんが死んでしまった現実と向き合う上で

大事な気の持ちようの一つかもしれないー。


「---…(この子…可愛いのお…ふひ…♡)」

智花(清十郎)はニヤニヤしながら、その看護師の”胸”を

見つめていたー。


清十郎は、若いころはかなりエッチで、

高齢になって、弱ってきてからは、そんな素振りは

見せなくなっていたが、

下心丸出しのタイプの男だったー。


「---」

女性看護師が、その視線に気づくー


智花(清十郎)がさっきから、胸ばかり見ていることにー。


「--…な、、何を見てるの?」

女性看護師が言うと、

智花(清十郎)は「--別に何も」と、ニヤニヤを

無理矢理消してほほ笑んだー。


「--……なんで嘘をつくの?」

女性看護師が表情を歪めたー


「-智花ちゃん、なんか…最近、変よー…

 何かあったの?」

女性看護師の言葉に、

智花(清十郎)は表情を歪めるー


正直、”この女とこの看護師”が、どのぐらい親しかったのは

分からないー。


だが、自分が違和感を持たれていることは、智花(清十郎)にも分かったー。


「--ーーわたしの胸、見てたでしょ!」

女性看護師が少し怒りっぽく言うー。


「---…はぁ~~~~~」

智花(清十郎)はイライラした様子で髪の毛をかきむしると、

「--女同士なんだから、いいじゃないですか!」と、

声を荒げたー。


智花(清十郎)と直接話してみて、

”不安”が”確信”に変わったー。


そんなはずはないー

と、思いながらも、聞かずにはいられなかったー。


「--…あ、、あなた……本当に、智花ちゃん!?」

とー。


智花(清十郎)は、にやりと笑ったー。


「-わたしは蒼井 智花ー。

 どこからどうみても、蒼井 智花ですよねー?」


両手を広げて、身体全体を見せびらかすような仕草をする

智花(清十郎)-


「------…そ、、そうなんだけど…でも」

女性看護師がそこまで言うと、

智花(清十郎)は、にっこりと笑って

「-わたし、もうこの病院に用はないので。

 失礼します」と、頭を下げて、そのまま足早に立ち去って行ったー。


その時だったー


「--栗原さんが、急変したぞ!」

病院のスタッフが慌てて走っているー


智花(清十郎)はニヤッと笑ったー。

まるで”悪女”のような笑みー。


「-さよならじゃ…”わしの身体”」


悪魔のような言葉を、智花(清十郎)は静かに囁いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「--栗原さん!大丈夫ですか?」

智花と親しかった女性看護師も駆けつけるー。


清十郎の担当ではなかったためー、

清十郎と智花が入れ替わってから、

この看護師が清十郎(智花)の前に姿を現すのは

初めてだったー。


「------ぁ……」

苦しそうに清十郎(智花)が、女性看護師の方を見つめるー。


「--?」

女性看護師の服を握りしめるようにして掴む清十郎(智花)-


口のまわりには吐血したと思われる血の跡があるー。


「--栗原さん~失礼しますね~」

病院のドクターも病室に駆け付けたー。


だがー

清十郎(智花)は、女性看護師の袖を掴んだまま、

話そうとしないー


小声で何かを必死に訴えようとする清十郎(智花)ー


「--オペ室に運ぶ準備を」

ドクターが他のスタッフに指示をし、さらには、清十郎(智花)を

運び出そうとするー。


しかしー


「-ちょっと待ってください!」

女性看護師が、清十郎(智花)が”何か言おうとしている”ことに

気付き、耳を清十郎(智花)の口元に近づけたー


「--浅川さん、、、たすけて………わたし、、、、ともか…」


そう聞こえたー。


「---え…?」

清十郎(智花)の言葉に、女性看護師は表情を歪めるー。


「--もう運ぶぞ。離れて!」

ドクターが、清十郎(智花)を運び出すー。


女性看護師は、え…今…?と、表情を歪めたー


そしてー

彼女が、他の看護師から”最近、栗原さん、自分が女子高生だって

言い張るのよ”と聞いたのは、その直後のことだったー


オペでなんとか一命をとりとめたが、

急激に弱っていく清十郎(智花)が死ぬのは時間の問題だったー。


女性看護師の浅川は、必死に”どういうことなのか”を調べたー


その結果ー

”入れ替わり”にたどり着いたー


「--まさか、栗原さんと智花ちゃんが入れ替わってー!?」


胸を凝視していた”様子のおかしな”智花を思い出すー。

たすけて…と苦しそうに呟いた清十郎を思い出すー。


「--…---!!!」


その3日後ー

清十郎(智花)は再び急変しー

この世を去ってしまったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数年後ー


智花(清十郎)は高校を卒業して、

大学に入学ー。


大学生になったのを機に、”一人暮らし”を始めて

両親からも解放されたー。


「--…ぁ~~~…♡ んん~~~~」

部屋の中で一人、胸を揉んだり、

足を触ったりを繰り返す智花(清十郎)-


あれから数年ー

智花の身体はすっかり、”清十郎好み”になっていたー


ポニーテールにしたり、ツインテールにしたり、

色々な髪型を存分に堪能し、

服装は、足を見せびらかすようなものが多いー。


清十郎になった智花に、智花(清十郎)が言い放ったように、

”足を見せなくちゃ勿体ない”と考えているからだー。


大学では”智花って時々おじさんみたいだよね~”などと

笑われながらも、その容姿や、元々の性格を武器に、

充実した大学生活を送っているー。


「----あぁぁぁ~~これ懐かしいなぁ~!」

昭和のヒット曲ランキングを見ながら、

せんべいを口にして、嬉しそうに叫ぶ智花(清十郎)-


「-あぁぁ~~これこれこれ!」

おじさんモード全開で、懐かしい歌を口ずさむ智花(清十郎)-


高校では色々やりにくいこともあったが

大学生になってからは、本当に日々が充実しているー。


高校生の頃はー

”両親の目”もあったし、”高校の同級生の目”もあったー

それ故に、

”わし色の智花”に100%してしまうことはできなかったー。

急に性格が100%変われば、さすがに怪しまれるし、心配されるー


だから、50%ー。

半分は智花、半分は清十郎の好きなようにー

と、いう感じで振舞っていたー。


だが、今は完全に、自由ー。


「--も~~~!智花ちゃんってば~!」

大学の親友が笑いながら叫ぶー


「-だって~~!蘭ちゃんの胸、揉んでると気持ちいいんだもん~!」

背後から、智花(清十郎)が、蘭という名前の親友の胸を

揉み続けているー


「--こら~!いい加減にしなさ~い!」

蘭はそう言いながらも笑っていて、

まさか”中身がおじいさん”とは夢にも思っていないー


「-お返し~!」

蘭が、智花(清十郎)の胸を揉み始めるー


「--あ~~やめてよ~~!」

智花(清十郎)は”女の子同士って最高じゃ…”と、涎を

垂らしながら、だらしない笑みを浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


大学の所属しているサークルのメンバーと共に

ファミレスにやってきていた智花(清十郎)-


「--智花ってそれ好きだよね~!」

メンバーの一人が言うー。


智花(清十郎)は「ん?枝豆?」と、

枝豆を口に運びながら言うー。


「そうそう!それ~!わたしはなんか苦手なんだけど」

友達の一人の言葉に、智花(清十郎)は、

「-枝豆とビールを口にしながら野球観戦とか、最高なのよ」と、

笑みを浮かべたー


「え~!?おじさんみたい~!」

友達の一人が言うー。

智花(清十郎)は「-ふっふ~!でも、わたしは女子大生だもんね~!」と

笑いながら言い放ったー。


「あ、トイレ」

智花(清十郎)が、ファミレスのトイレに向かうー。


すっかり”女”としてのトイレにもなれたー。

用を済ませて、鏡の前で手を洗っているとー


後からトイレにやってきた女に声をかけられたー。


「--やっと見つけたー」

その女が言うー。


「--え?」

智花(清十郎)が呟くと、その女は言い放ったー


「--わたしの身体を、返して下さいー」

とー。


「--!?」

智花(清十郎)は表情を歪めたー。


”智花”は、病院で、清十郎になって死んだはずー。

じゃあ、目の前にいるこの女はーーー

誰だー?


そんな風に思っていた智花(清十郎)は、ハッとしたー。


目の前にいる女は、

自分が入院していた病院の看護師だー。

”智花ちゃん、大丈夫?”と、

自分を疑ってきたあの看護師だー。


数年経過していることや、

あの時以外接点があまりなかったことー

ちょっと、雰囲気が違うことからー

すぐには気づけなかったー


「--わたしーーー」


女性看護師は寂しそうに言ったー


あの日ー

急変して、死の間際だった清十郎(智花)-


そこにー

女性看護師の浅川が駆けつけて来たー。


「--智花ちゃんー

 何もしてあげられなくて…ごめんね…」


浅川は、入れ替わりに気づいて、

なんとか智花を救う方法を考えていたー。

そして、清十郎になってしまった智花が

再度急変するまでの間に、

”入れ替わり薬”がネットで売られていることに気づきー

それを手に入れていたー。


あとは、なんとか”智花になった清十郎”を病院に

連れてきて、再び二人を入れ替わらせればーー


そう、考えていたー。


だが、それはかなわず、

清十郎(智花)は再び急変ー


心肺停止の状態に陥ったのを見た彼女はー

咄嗟にある行動に出たー。


後先も考えずー

ただ、”智花ちゃんを助けたい”その一心でー

自分が入れ替わり薬を飲みー

心肺停止で今、まさに完全に死亡しようとしていた

清十郎(智花)にキスをしたのだー。



「---だから、今、わたしは浅川さんの身体で生きているんですー」

智花は、生きていたー

清十郎の身体で心肺停止になった直後、

女性看護師の浅川の身体と入れ替わってー

生きていたー


「--浅川さんは、わたしのために死にましたー

 あなたのせいで、あなたの身体で、死にました」


女性看護師・浅川になった智花が叫ぶー。


「---そんな話、知らない」

智花(清十郎)は言うー。


そして、そのままトイレの外に出て行こうとするー


「-わたしの身体を返して!」

浅川(智花)の言葉に、智花(清十郎)は静かに囁いたー


「-わたしは智花 わたしは智花」

何度も呟き、

浅川(智花)に壁ドンをすると、もう一度呟いたー


「-わ・た・し・は・と・も・か」

強調した口調で言うと、智花(清十郎)はクスッと笑って

そのまま立ち去って行ったー。


「---」

残された浅川(智花)は呟くー


”絶対に、取り戻すからー”

とー。


身体が心肺停止の状態での入れ替わりだったからかー

浅川の身体になった智花は、数年間寝たきりだったー。

目を覚ましたのは、去年のことだー。


既に智花(清十郎)は大学生になり、一人暮らしを始めていたころー。


だから、見つけるのに時間がかかったー


でも、もうー

もう、逃がさないー


すぐには無理でもー

絶対にー。


トイレから出た浅川(智花)は、

店内で友達たちと談笑する智花(清十郎)の方を見つめながらー


”あなたから青春を取り戻すからー”


と、そう、呟くのだったー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


青春を奪うおじいさんの最終回でした~!★


色々な未来が予想できそうなエンド…!


最初から、これで完結で考えていたお話ですが、

実際に書いてみると、書こうと思えば続編も

書けそうな気がしてきました…!

(※今のところは予定はないですが、何かきっかけがあれば

  書くかも…デス!)


お読み下さりありがとうございました~!

(Fanbox)


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