Home Artists Posts Import Register

Content

「-ーーうんうん、それでね~」

女子高生二人組が、楽しそうに談笑しながら下校していたー。


一人は、明るそうで可愛らしいタイプの少女ー。

もう一人は、メガネをかけた穏やかそうな少女ー。


「--え、そうなんだ…知らなかった!」

眼鏡をかけたほうの子ー、

清川 里菜(きよかわ さとな)が驚いた様子で言うー。


2人が話しているのは、他愛のない日常的な出来事の会話ー。


「--水島さんって、本当に何でも知ってるんだね…すごい!」

里菜が言うと、

明るい雰囲気の子、彩美(あやみ)が、

「そんなことないよ~!」と、少しだけ照れ臭そうに笑ったー


彩美は、困っている人を見かけると放っておけないタイプの子で、

里菜と親しくなったのも、里菜がとあることで困っていた際に

助けたことがきっかけだったー。


今日も、”いつも通り”楽しそうに談笑しながら、

”いつも分かれる場所”までやってくると、

「ばいばい」「また明日!」と、それぞれ言葉を交わして、

自分の家の方に向かって歩き出したー。


”ふ~ん…”

そんな、彩美と里菜を見つめる少女の姿があったー。


彩美・里菜の二人と同じぐらいの年齢に見えるー。


だがー

その”姿”は、他の誰にも見えていないー

そして、不思議なことに彼女は空中に浮いていたー。


長い黒髪をなびかせながらー

彼女は”あの子に決めた”と少しだけ笑みを浮かべると、

そのまま姿を消したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


帰宅した彩美は、母親と少し雑談をすると、

そのまま自分の部屋のある2階へと向かったー。


そして、いつものように部屋の扉を開くとー


「----」

見知らぬ同年代ぐらいの少女が部屋の中に立っていたー。


「---……え……」

彩美は驚いて瞬きを何度か繰り返すー。


自分の部屋に、知らない女の子がいたのだー。


「---……」

彩美は、放心状態でその少女を見つめるー。


”自分の部屋に知らない人がいるー…

 これって…空き巣とか、そういうやつ!?”


そんな風に思いながら、

自分の部屋に勝手に入り込んでいた少女の

上から下までを、じーっと、凝視したー。


容姿から判断するにー

自分と同じぐらいの年代の子に見えるー。


とてもクールな雰囲気で綺麗な感じの子で、

深い蒼色のワンピース、黒のニーハイソックス、

ロリータ系のブーツに、綺麗な長い黒髪ー

という風貌ー。


”どう見ても、空き巣には見えないしー

 変質者にも見えないけどー”


「--ふふふ…近くで見るともっと可愛い!」

勝手に部屋に忍び込んでいた謎の少女が、ようやく口を開いたー。


クールな見た目とは裏腹に、思ったよりも

明るい感じの声で、性格も明るそうな感じだー。


「か、、か、、か、かわいい!?」

人の部屋に勝手に忍び込んで、第1声が”かわいい”-。


とても、普通とは思えないー。


「え…?!え!?やっぱり、変質者!?」

彩美が驚いた様子で叫ぶと、

「違う違う!変な人じゃないから安心して!」と、

その子はすぐに否定したー。


「--じ、じゃあ、何なの!?

 どうやってここに?」

彩美が言うと、勝手に部屋に忍び込んでいた少女は、

自己紹介を始めたー


「わたしは霧葉 早紀(きりは さき)-

 決して怪しいものじゃないから、安心してね!」

クールな見た目なのに、明るい感じの口調と声ー。


「--…あ、、怪しいものじゃないって…

 わたしの部屋に勝手に入ってきてる時点で

 とっても怪しいんだけど…

 

 …え~っと、高校生…?それとも、大学生?」


早紀の容姿から

”自分と同じ高校生”か、あるいは”大学生”だと判断した

彩美は、早紀に対して、そう質問したー。


「--ううん。わたし、学生じゃないの」

早紀が、にこっとしながら首を振るー。


「え…じゃあ…?」

もしかして、既に社会人?と思いながら

彩美が聞くと、早紀は悪戯っぽく笑いながら言い放ったー。


「--わたし、魔女なの!」

とー。


「--------」

ぽかんと口を開いている彩美ー。


そして、3秒後にようやくリアクションを起こしたー


「-魔女!?やっぱ変な人!?」


そんな彩美のリアクションに、早紀はクスッと笑うとー

突然、手を差し伸べて来たー。


戸惑う彩美ー。

早紀の手が彩美に触れるー。


だがー

次の瞬間、”信じられないこと”が起きたー。


早紀の手が、彩美に触れたはずなのに、何の感触もないー。


彩美の身体を、早紀の手は”すり抜けた”のだー。


「ふぇっ!?ゆ、幽霊!?」

彩美が叫ぶと、早紀は笑いながら、

「あなたの反応、いちいち面白くて癖になりそう!」と、

クールな雰囲気のまま嬉しそうに呟いたー。


「--わたしはね、魔女の世界からやってきたのー。

 でもね、わたしたちの世界と、あなたたちの世界は

 ”異なる”世界ー。

 だから、こっちの世界にこうして無理矢理やってきても、

 この世界では”実体”を得ることができないー」

早紀の言葉に、

彩美は一瞬”何言ってるのこの人?”と、思ったー。


しかし、実際に、早紀の手がすり抜けたことから、

”この人の言っていることは、本当なのかもしれない”と

思い始めるー。


「---……早紀ちゃん…だったっけ?

 じゃあ、あなたが本当に別の世界からやってきた魔女だったとして

 何しにこの世界にやってきたの?」

彩美が言うと、早紀は「うん!いい質問!」と、ほほ笑んだー。


「--わたしたちにとって、”人間の世界”に直接干渉するのは

 ”禁忌”-、つまり、魔女の世界ではやっちゃいけないことなんだけどー、

 少し前に、わたしたちの世界の魔女の一人が、それを破って、

 人間界に入り込んだのー」


早紀が言うー。


「--…え!?じゃあ、早紀ちゃん以外にも魔女が

 この世界にいるってこと?」

彩美が少し驚いた様子で言うと、早紀は「そう」と頷くー。


「-わたしは、”ルールを破った、悪い魔女”を

 やっつけるために、この世界にやってきたー…

 って言えば、分かりやすいかな?」


早紀が明るく言うと、

「--…早紀ちゃんは、悪い魔女を追いかけて

 この世界に来た正義の魔女ってこと?」と、

彩美は戸惑いながら聞いたー。


「そ。正義の味方、ってやつね!」

早紀が長い黒髪を得意げに触りながらそう言うと、

彩美は「へぇ~~…そ、そうなんだ」と頷いたー。


早紀が言うには、

既に”悪い魔女”は、この世界のどこかに潜伏していて、

このまま放っておくと、人間にも危害が及ぶかもしれない、

とのことだったー。


だから、早く、その”悪い魔女”を倒さないといけないー。


「--ー……それでね…

 彩美ちゃんの前に、姿を現した理由なんだけどー…」

早紀が困った様子で、彩美の方を見るー


「な、、なによ…?

 も、もしかして、わたしがその悪い魔女だって

 疑われている、とかじゃないよね?」

彩美が言うと、早紀は「あはは!違う違う!」と笑うー。


「-ーー”悪い魔女”をやっつけるために、力を貸してほしいのー。

 ほら、わたしは、この世界だと実体がないから、何もできなくて!

 だからー、人間の力を借りないと、あの子をやっつけることが

 できないの!」


早紀の困り果てた表情を見て、彩美は戸惑いながらも、

”困っている人を放っておけない”という性格から、口を開いたー


「--いいけど…どうやって手伝えばー?」

彩美が言うと、早紀は、”お願いっ!”と言いながら

お願いポーズをして、

「あなたの身体を貸してほしいの!」と、叫んだー。


「-----はい?」

彩美が、表情を歪めるー。

早紀が何を言っているのか、彩美には理解できなかったー。


「--わたしが、彩美ちゃんに”憑依”して、

 彩美ちゃんの身体を借りて、その悪い魔女をやっつけるの!」

早紀の言葉に、彩美は

「い、、いやいやいや、ちょっと待って!話についていけない!」と

思わず声をあげたー。


早紀は「お願い…!迷惑かけないようにするから…!」と言いながら、

彩美に事情を説明したー。


魔女が使う”憑依の魔法”で、彩美の身体に入り込んで、

早紀が、彩美の身体を使って、悪い魔女をやっつける、というのだー。

早紀が彩美の身体に入っている間も、彩美の意識はちゃんとあるし、

学校や家庭での生活の邪魔にならないように憑依する、ということー

そして、悪の魔女を倒す、と言っても

”魔法”で強制的に魔女の世界に送り返して、あとは魔女の世界のほうで

”罰”を与えるから、人殺しさせたりとか、そういうこともないから!と、

早紀は必死に説明したー。


彩美は、早紀の説明を聞きながら、

早紀が”本当に必死”で説明している姿ー

そして、その姿から”本当に困っている”ということも

しっかりと読み取っていたー。


「---…ふぅ…」

彩美はため息をつくー。


「---だめ?」

早紀が不安そうに彩美の方を見つめるー。


いきなり人の部屋に入ってきてー

いきなり魔女だとか言い始めてー

挙句の果てにいきなり”身体を貸してほしい”と来た。


正直、戸惑いしかないー。


「--早紀ちゃん、本当に困っているみたいだしー…

 わかった!わたしで良ければ、力を貸すよ!」


それでもー

困っている人を放っておけない彩美は、そう言い放ったー。


「---本当に!?ホントに!?

 ありがとう!!本当にありがとう!!」

早紀は彩美の返事を聞くと、心底嬉しそうに彩美の手を握ったー。


見た目はクールなオーラがすごいのに、

中身は何だかとっても明るくて、フレンドリーな感じー。


「--あ!!でもでも!わたしに…その憑依?する前に、

 二つ聞かせて!」


彩美が言うと、早紀は「うん。いいよ」と答えるー。


「--あなたが追いかけている魔女って、どこにいるか分かるの?」

彩美の言葉に、早紀は

「わたしが彩美ちゃんに憑依していれば、必ずあっちから来るからー」

と、答えたー。


「---どうして?追われているのにあっちから来るの?」

彩美が純粋な疑問をぶつけると、”そりゃそうよ”と、早紀は答えるー。


「-だって”追手”に狙われてる状態なんて、落ち着かないじゃない?

 あっちも追われてることが分かってるんだから、

 必ずあっちから、わたしを始末しに来るー


 わたしが”この世界”に入った時点で、向こうは

 そのオーラを感じとっているだろうからね…」


早紀がそう言い終えると、彩美は「そっか…」と少し不安そうにするー。


”彩美の周囲の人間”に危害が及ぶのではないか、とそう思ったのだー。


「--大丈夫。彩美ちゃんの周りの人間には、絶対に

 害が及ばないようにするから」

早紀の言葉に、彩美は早紀を信じて頷いたー。


そしてー


「--どうして、わたしの身体なの?

 ほら、悪い魔女を捕まえるだけなら、もっと強そうな人…

 たくさんいるでしょ?」

彩美が言うと、早紀は「確かに…」とほほ笑むー。


「--人間の男のほうが、目的を果たすためだけなら

 簡単ねー。


 でもー」


早紀はそう言うと、彩美の背後から、彩美に顔を近づけて

静かに囁いたー


「-わたし、女の子が好きなのー」

とー。


早紀の甘い声にドキッとしてしまう彩美ー


「ぶえっ!?き、急に何を言い出すの!?」

彩美が顔を赤くしながら言うと、

早紀はクスクスとほほ笑んだー。


「--わたしたち、魔女の世界には、ほとんど女しかいないからー

 慣れてるってのもあるね」

早紀の言葉に、彩美は「なんだか変な魔女さんだなぁ…」と苦笑い

するとー


「じゃあ……」

と、自分の身体を差し出す準備をしたー。


「--ありがとう」

早紀はにっこりとほほ笑むと、

彩美に「これからキスするよ」と、笑ったー


「--えぇぇっ!?キスぅ!?」

彩美が驚くと、早紀が「それが憑依の方法なの」と、ほほ笑むー。


「-それにー、ほら、わたし、今、実体がないから、

 唇は触れないし、あくまでキスのポーズだけ!

 だから、大丈夫!」


と、黒髪を揺らしながら早紀は笑ったー


「そんなこと言っても、ドキドキーー」


そう言いかけた時点で、早紀が彩美にキスをしたー。

実際に唇の感触はなかったが、

代わりに、早紀が光のようになってー

そのまま彩美の身体に吸い込まれていくー


彩美は今まで感じたことのないような

”自分の中に別の意識が入り込んでくる感覚”を覚えたー。


言葉では具体的に言い表すのが難しいー


そんな、形容しがたい不思議な感覚ー


やがてーー

それが落ち着いていくとーー


”ーーふぅ~!憑依成功!”

と、頭の中から早紀の声が響いたー


「えぇっ!?もう終わり!?」

彩美が言うと、早紀は”そうだよ”と、ほほ笑むー。


そしてーー


”ちょ~っと、いったん身体を借りるね!”

と、いう言葉と

”身体の主導権”が早紀の方に渡り、彩美は自分の身体を

動かせなくなったー


”---!?!?”


「--ふふふ」

彩美が笑うー。

早紀が、彩美の身体を動かしているのだー


「--あ、びっくりしないでね?これが憑依だから!」

彩美の身体でそう言うと、

”わたしの身体が勝手に動いてるって、ちょっと変な気分…”と、

彩美本人の意識が呟いたー。


「---う~ん」

彩美を乗っ取った早紀が、鏡で彩美の姿を見つめると、


「そうだ!」と、突然手をポンと叩いてー

まるで魔法少女のような恥ずかしい仕草をしながら

「えいっ!」と叫んだー


”ちょ!?え!?なに!?”

彩美が戸惑っているとー


彩美の服装が一瞬にして変わりー

深い蒼色のワンピース、黒のニーハイソックス、ロリータ系のブーツ…


魔女・早紀と同じような服装に様変わりしたー


”ちょ、、ちょ、ちょ!?早紀ちゃんスタイルにしないで!?

 っていうか、わたしの服はー!?”


戸惑う彩美の意識に対して、

彩美になった早紀は

「だって~、この服装の方が落ち着くんだもん!」と、

彩美の身体で微笑んだー



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


魔女が登場する憑依モノですネ~!


彩美と魔女・早紀は、無事に

悪の魔女を倒せるのでしょうか~?


次回もぜひ楽しんでくださいネ~!


今日もありがとうございました~!

Files

Comments

No comments found for this post.