<憑依>魔女に身体を貸すことになりました①~遭遇~ (Pixiv Fanbox)
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「-ーーうんうん、それでね~」
女子高生二人組が、楽しそうに談笑しながら下校していたー。
一人は、明るそうで可愛らしいタイプの少女ー。
もう一人は、メガネをかけた穏やかそうな少女ー。
「--え、そうなんだ…知らなかった!」
眼鏡をかけたほうの子ー、
清川 里菜(きよかわ さとな)が驚いた様子で言うー。
2人が話しているのは、他愛のない日常的な出来事の会話ー。
「--水島さんって、本当に何でも知ってるんだね…すごい!」
里菜が言うと、
明るい雰囲気の子、彩美(あやみ)が、
「そんなことないよ~!」と、少しだけ照れ臭そうに笑ったー
彩美は、困っている人を見かけると放っておけないタイプの子で、
里菜と親しくなったのも、里菜がとあることで困っていた際に
助けたことがきっかけだったー。
今日も、”いつも通り”楽しそうに談笑しながら、
”いつも分かれる場所”までやってくると、
「ばいばい」「また明日!」と、それぞれ言葉を交わして、
自分の家の方に向かって歩き出したー。
”ふ~ん…”
そんな、彩美と里菜を見つめる少女の姿があったー。
彩美・里菜の二人と同じぐらいの年齢に見えるー。
だがー
その”姿”は、他の誰にも見えていないー
そして、不思議なことに彼女は空中に浮いていたー。
長い黒髪をなびかせながらー
彼女は”あの子に決めた”と少しだけ笑みを浮かべると、
そのまま姿を消したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
帰宅した彩美は、母親と少し雑談をすると、
そのまま自分の部屋のある2階へと向かったー。
そして、いつものように部屋の扉を開くとー
「----」
見知らぬ同年代ぐらいの少女が部屋の中に立っていたー。
「---……え……」
彩美は驚いて瞬きを何度か繰り返すー。
自分の部屋に、知らない女の子がいたのだー。
「---……」
彩美は、放心状態でその少女を見つめるー。
”自分の部屋に知らない人がいるー…
これって…空き巣とか、そういうやつ!?”
そんな風に思いながら、
自分の部屋に勝手に入り込んでいた少女の
上から下までを、じーっと、凝視したー。
容姿から判断するにー
自分と同じぐらいの年代の子に見えるー。
とてもクールな雰囲気で綺麗な感じの子で、
深い蒼色のワンピース、黒のニーハイソックス、
ロリータ系のブーツに、綺麗な長い黒髪ー
という風貌ー。
”どう見ても、空き巣には見えないしー
変質者にも見えないけどー”
「--ふふふ…近くで見るともっと可愛い!」
勝手に部屋に忍び込んでいた謎の少女が、ようやく口を開いたー。
クールな見た目とは裏腹に、思ったよりも
明るい感じの声で、性格も明るそうな感じだー。
「か、、か、、か、かわいい!?」
人の部屋に勝手に忍び込んで、第1声が”かわいい”-。
とても、普通とは思えないー。
「え…?!え!?やっぱり、変質者!?」
彩美が驚いた様子で叫ぶと、
「違う違う!変な人じゃないから安心して!」と、
その子はすぐに否定したー。
「--じ、じゃあ、何なの!?
どうやってここに?」
彩美が言うと、勝手に部屋に忍び込んでいた少女は、
自己紹介を始めたー
「わたしは霧葉 早紀(きりは さき)-
決して怪しいものじゃないから、安心してね!」
クールな見た目なのに、明るい感じの口調と声ー。
「--…あ、、怪しいものじゃないって…
わたしの部屋に勝手に入ってきてる時点で
とっても怪しいんだけど…
…え~っと、高校生…?それとも、大学生?」
早紀の容姿から
”自分と同じ高校生”か、あるいは”大学生”だと判断した
彩美は、早紀に対して、そう質問したー。
「--ううん。わたし、学生じゃないの」
早紀が、にこっとしながら首を振るー。
「え…じゃあ…?」
もしかして、既に社会人?と思いながら
彩美が聞くと、早紀は悪戯っぽく笑いながら言い放ったー。
「--わたし、魔女なの!」
とー。
「--------」
ぽかんと口を開いている彩美ー。
そして、3秒後にようやくリアクションを起こしたー
「-魔女!?やっぱ変な人!?」
そんな彩美のリアクションに、早紀はクスッと笑うとー
突然、手を差し伸べて来たー。
戸惑う彩美ー。
早紀の手が彩美に触れるー。
だがー
次の瞬間、”信じられないこと”が起きたー。
早紀の手が、彩美に触れたはずなのに、何の感触もないー。
彩美の身体を、早紀の手は”すり抜けた”のだー。
「ふぇっ!?ゆ、幽霊!?」
彩美が叫ぶと、早紀は笑いながら、
「あなたの反応、いちいち面白くて癖になりそう!」と、
クールな雰囲気のまま嬉しそうに呟いたー。
「--わたしはね、魔女の世界からやってきたのー。
でもね、わたしたちの世界と、あなたたちの世界は
”異なる”世界ー。
だから、こっちの世界にこうして無理矢理やってきても、
この世界では”実体”を得ることができないー」
早紀の言葉に、
彩美は一瞬”何言ってるのこの人?”と、思ったー。
しかし、実際に、早紀の手がすり抜けたことから、
”この人の言っていることは、本当なのかもしれない”と
思い始めるー。
「---……早紀ちゃん…だったっけ?
じゃあ、あなたが本当に別の世界からやってきた魔女だったとして
何しにこの世界にやってきたの?」
彩美が言うと、早紀は「うん!いい質問!」と、ほほ笑んだー。
「--わたしたちにとって、”人間の世界”に直接干渉するのは
”禁忌”-、つまり、魔女の世界ではやっちゃいけないことなんだけどー、
少し前に、わたしたちの世界の魔女の一人が、それを破って、
人間界に入り込んだのー」
早紀が言うー。
「--…え!?じゃあ、早紀ちゃん以外にも魔女が
この世界にいるってこと?」
彩美が少し驚いた様子で言うと、早紀は「そう」と頷くー。
「-わたしは、”ルールを破った、悪い魔女”を
やっつけるために、この世界にやってきたー…
って言えば、分かりやすいかな?」
早紀が明るく言うと、
「--…早紀ちゃんは、悪い魔女を追いかけて
この世界に来た正義の魔女ってこと?」と、
彩美は戸惑いながら聞いたー。
「そ。正義の味方、ってやつね!」
早紀が長い黒髪を得意げに触りながらそう言うと、
彩美は「へぇ~~…そ、そうなんだ」と頷いたー。
早紀が言うには、
既に”悪い魔女”は、この世界のどこかに潜伏していて、
このまま放っておくと、人間にも危害が及ぶかもしれない、
とのことだったー。
だから、早く、その”悪い魔女”を倒さないといけないー。
「--ー……それでね…
彩美ちゃんの前に、姿を現した理由なんだけどー…」
早紀が困った様子で、彩美の方を見るー
「な、、なによ…?
も、もしかして、わたしがその悪い魔女だって
疑われている、とかじゃないよね?」
彩美が言うと、早紀は「あはは!違う違う!」と笑うー。
「-ーー”悪い魔女”をやっつけるために、力を貸してほしいのー。
ほら、わたしは、この世界だと実体がないから、何もできなくて!
だからー、人間の力を借りないと、あの子をやっつけることが
できないの!」
早紀の困り果てた表情を見て、彩美は戸惑いながらも、
”困っている人を放っておけない”という性格から、口を開いたー
「--いいけど…どうやって手伝えばー?」
彩美が言うと、早紀は、”お願いっ!”と言いながら
お願いポーズをして、
「あなたの身体を貸してほしいの!」と、叫んだー。
「-----はい?」
彩美が、表情を歪めるー。
早紀が何を言っているのか、彩美には理解できなかったー。
「--わたしが、彩美ちゃんに”憑依”して、
彩美ちゃんの身体を借りて、その悪い魔女をやっつけるの!」
早紀の言葉に、彩美は
「い、、いやいやいや、ちょっと待って!話についていけない!」と
思わず声をあげたー。
早紀は「お願い…!迷惑かけないようにするから…!」と言いながら、
彩美に事情を説明したー。
魔女が使う”憑依の魔法”で、彩美の身体に入り込んで、
早紀が、彩美の身体を使って、悪い魔女をやっつける、というのだー。
早紀が彩美の身体に入っている間も、彩美の意識はちゃんとあるし、
学校や家庭での生活の邪魔にならないように憑依する、ということー
そして、悪の魔女を倒す、と言っても
”魔法”で強制的に魔女の世界に送り返して、あとは魔女の世界のほうで
”罰”を与えるから、人殺しさせたりとか、そういうこともないから!と、
早紀は必死に説明したー。
彩美は、早紀の説明を聞きながら、
早紀が”本当に必死”で説明している姿ー
そして、その姿から”本当に困っている”ということも
しっかりと読み取っていたー。
「---…ふぅ…」
彩美はため息をつくー。
「---だめ?」
早紀が不安そうに彩美の方を見つめるー。
いきなり人の部屋に入ってきてー
いきなり魔女だとか言い始めてー
挙句の果てにいきなり”身体を貸してほしい”と来た。
正直、戸惑いしかないー。
「--早紀ちゃん、本当に困っているみたいだしー…
わかった!わたしで良ければ、力を貸すよ!」
それでもー
困っている人を放っておけない彩美は、そう言い放ったー。
「---本当に!?ホントに!?
ありがとう!!本当にありがとう!!」
早紀は彩美の返事を聞くと、心底嬉しそうに彩美の手を握ったー。
見た目はクールなオーラがすごいのに、
中身は何だかとっても明るくて、フレンドリーな感じー。
「--あ!!でもでも!わたしに…その憑依?する前に、
二つ聞かせて!」
彩美が言うと、早紀は「うん。いいよ」と答えるー。
「--あなたが追いかけている魔女って、どこにいるか分かるの?」
彩美の言葉に、早紀は
「わたしが彩美ちゃんに憑依していれば、必ずあっちから来るからー」
と、答えたー。
「---どうして?追われているのにあっちから来るの?」
彩美が純粋な疑問をぶつけると、”そりゃそうよ”と、早紀は答えるー。
「-だって”追手”に狙われてる状態なんて、落ち着かないじゃない?
あっちも追われてることが分かってるんだから、
必ずあっちから、わたしを始末しに来るー
わたしが”この世界”に入った時点で、向こうは
そのオーラを感じとっているだろうからね…」
早紀がそう言い終えると、彩美は「そっか…」と少し不安そうにするー。
”彩美の周囲の人間”に危害が及ぶのではないか、とそう思ったのだー。
「--大丈夫。彩美ちゃんの周りの人間には、絶対に
害が及ばないようにするから」
早紀の言葉に、彩美は早紀を信じて頷いたー。
そしてー
「--どうして、わたしの身体なの?
ほら、悪い魔女を捕まえるだけなら、もっと強そうな人…
たくさんいるでしょ?」
彩美が言うと、早紀は「確かに…」とほほ笑むー。
「--人間の男のほうが、目的を果たすためだけなら
簡単ねー。
でもー」
早紀はそう言うと、彩美の背後から、彩美に顔を近づけて
静かに囁いたー
「-わたし、女の子が好きなのー」
とー。
早紀の甘い声にドキッとしてしまう彩美ー
「ぶえっ!?き、急に何を言い出すの!?」
彩美が顔を赤くしながら言うと、
早紀はクスクスとほほ笑んだー。
「--わたしたち、魔女の世界には、ほとんど女しかいないからー
慣れてるってのもあるね」
早紀の言葉に、彩美は「なんだか変な魔女さんだなぁ…」と苦笑い
するとー
「じゃあ……」
と、自分の身体を差し出す準備をしたー。
「--ありがとう」
早紀はにっこりとほほ笑むと、
彩美に「これからキスするよ」と、笑ったー
「--えぇぇっ!?キスぅ!?」
彩美が驚くと、早紀が「それが憑依の方法なの」と、ほほ笑むー。
「-それにー、ほら、わたし、今、実体がないから、
唇は触れないし、あくまでキスのポーズだけ!
だから、大丈夫!」
と、黒髪を揺らしながら早紀は笑ったー
「そんなこと言っても、ドキドキーー」
そう言いかけた時点で、早紀が彩美にキスをしたー。
実際に唇の感触はなかったが、
代わりに、早紀が光のようになってー
そのまま彩美の身体に吸い込まれていくー
彩美は今まで感じたことのないような
”自分の中に別の意識が入り込んでくる感覚”を覚えたー。
言葉では具体的に言い表すのが難しいー
そんな、形容しがたい不思議な感覚ー
やがてーー
それが落ち着いていくとーー
”ーーふぅ~!憑依成功!”
と、頭の中から早紀の声が響いたー
「えぇっ!?もう終わり!?」
彩美が言うと、早紀は”そうだよ”と、ほほ笑むー。
そしてーー
”ちょ~っと、いったん身体を借りるね!”
と、いう言葉と
”身体の主導権”が早紀の方に渡り、彩美は自分の身体を
動かせなくなったー
”---!?!?”
「--ふふふ」
彩美が笑うー。
早紀が、彩美の身体を動かしているのだー
「--あ、びっくりしないでね?これが憑依だから!」
彩美の身体でそう言うと、
”わたしの身体が勝手に動いてるって、ちょっと変な気分…”と、
彩美本人の意識が呟いたー。
「---う~ん」
彩美を乗っ取った早紀が、鏡で彩美の姿を見つめると、
「そうだ!」と、突然手をポンと叩いてー
まるで魔法少女のような恥ずかしい仕草をしながら
「えいっ!」と叫んだー
”ちょ!?え!?なに!?”
彩美が戸惑っているとー
彩美の服装が一瞬にして変わりー
深い蒼色のワンピース、黒のニーハイソックス、ロリータ系のブーツ…
魔女・早紀と同じような服装に様変わりしたー
”ちょ、、ちょ、ちょ!?早紀ちゃんスタイルにしないで!?
っていうか、わたしの服はー!?”
戸惑う彩美の意識に対して、
彩美になった早紀は
「だって~、この服装の方が落ち着くんだもん!」と、
彩美の身体で微笑んだー
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
魔女が登場する憑依モノですネ~!
彩美と魔女・早紀は、無事に
悪の魔女を倒せるのでしょうか~?
次回もぜひ楽しんでくださいネ~!
今日もありがとうございました~!