<入れ替わり>わたしの身体でそんなに謝らないで①~異性耐性0~ (Pixiv Fanbox)
Content
男子大学生の安藤 誠太郎(あんどう せいたろう)は、
”超”がつくほどの、草食系男子だったー。
恋愛経験は0、姉も妹もいないため、異性に対する耐性も0の男子だー。
性格的には心優しいものの、大人しく、奥手であるため、
自分から女子に話しかけることは一切せず、
話しかけられても、女子に慣れていないから挙動不審になってしまうー。
そんな、有様だったー。
大学でも、少数の”気の合う男子”と仲良くしているぐらいで、
相変わらず、彼女はできないままー。
自分から話しかけず、話しかけられても逃げ出してしまうような感じではー
どんなに優しくても、彼女なんて、なかなか出来るはずもないー。
だがー
そんなある日ー
彼に、信じられない出来事が起きたー。
「--やばっ!」
誠太郎は、声をスマホを見つめながら声を上げたー。
友達との”昼食を一緒に食べる”約束をすっかり忘れていて、
その友達・恭司(きょうじ)から”まだなのか~?”と連絡が来たのを見て、
慌てて走り出す誠太郎ー。
「--あぁ~~…僕ってば、やっぱどこか抜けてる…!」
そんな風に思いながら、慌てて大学を走っているとー
「----!」
「----!!」
ちょうど廊下の影から、友達と一緒に歩いている女子が出てきてーー
盛大に、その女子と正面衝突してしまったー。
誠太郎は、そのままバランスを崩してその場に転倒ー
衝突された女子は吹き飛ばされて、壁に叩きつけられ、
うめき声を上げて倒れ込んだー。
「--ちょ!?涼香(りょうか)!?」
誠太郎に正面衝突された女子と一緒に歩いていた友達が叫ぶー。
「--りょ、涼香!?だいじょうぶ?ねぇ?」
友達は、吹き飛ばされて倒れ込んだ涼香に駆け寄ると、
心配そうに涼香の身体を揺さぶったー。
ざわめく周囲ー。
ぶつかって涼香を吹き飛ばしたあとに、バランスを崩して転倒した
誠太郎も倒れたままー。
「-----う…」
友達が必死に呼びかけていると、涼香が、声を出したー。
意識を取り戻したのだー。
「ーーーあ…あれ…」
涼香が、寝起きかのように目をこすりながら、周囲を見つめるー。
「よかった…!涼香!けがはない?」
涼香の友達は、心配そうに、涼香の手や頬のあたりに手を振れるー。
涼香はドキッ!としたのか、顔を真っ赤にしながら
その友達を見つめるー。
「---ん……」
背後で倒れていた誠太郎もうめき声をあげたー。
誠太郎が意識を取り戻したことに気づいた涼香の友人は
振り返ると、怒りの形相で、誠太郎の方に向かって
歩いて行ったー。
「--ちょっとあんた!危ないじゃないの!」
怒りの形相で叫ぶ涼香の友人ー。
意識を取り戻したばかりの涼香は、背後で茫然としているー。
「---え」
同じく、意識を取り戻したばかりの誠太郎が、
涼香の友人の方を見るとー
「-ー由紀子(ゆきこ)-?」
と、不思議そうに呟いたー
「--はぁ~~~~~~~~~~~?」
涼香の友人・由紀子は、不快感を隠そうともせずに声を上げたー
いきなり大学の構内を猛ダッシュしてきて
一緒に歩いていた親友の涼香に正面衝突したかと思えば、
意識を取り戻して、いきなり「由紀子」と下の名前で呼んできたー。
誠太郎と由紀子は、大学で”顔を見たことはある程度”でしかなく、
まともに話したことすらないような間柄ー
そんな誠太郎にいきなり「由紀子」などと下の名前で
呼ばれたために、不快感をあらわにしたのだー。
「----あんたなんかに名前呼びされる筋合いはないんですけどぉ~~?
ってかさ、わたしの涼香にぶつかっておいて、
その態度は何なの?」
由紀子の怒りの口調と表情に
誠太郎は戸惑いの表情を浮かべるー。
「--ゆ、、由紀子…なにを…」
そこまで言って誠太郎は”何か”に気付いたのか、
急に自分の手を見つめたり、咳き込んで声を調節するような素振りをみせたりー
”おかしな様子”を見せ始めたー。
「-う、、うあああああああああああっ…!」
誠太郎の反対側では、涼香も、状況を理解したのか、
悲鳴を上げたー。
「--うっ、、あ、、あっ…えっ…えっ!?」
涼香が、パニックになった様子で自分の身体を見つめるー。
周囲の混乱がさらに深まるー。
涼香の親友である由紀子も、表情を歪めて、心配そうに
悲鳴を上げた涼香の方を見つめながら
「り、、涼香…大丈夫?」と、心配の言葉を口にするー。
「-----…!」
誠太郎は、そんな周囲の様子を見つめながらー
困惑した様子で、立ち上がると、突然涼香の手を引っ張りだし、
「え…?!ちょ、、な、、なに、、なにこれ!?」と
叫ぶ涼香を無視して、そのまま涼香を人がほとんどいない
大学構内の別の場所へと移動させたー。
「--はぁ…はぁ…」
移動した先で、涼香が荒い息を上げているー。
誠太郎も疲れた表情を浮かべながらー
口を開いたー
「---……えっと、、確か…」
すぐ横の廊下に備え付けられている鏡を見つめながら
誠太郎は口を開いたー。
「--安藤くん、だったよね?」
誠太郎が、自分の名前を涼香に向かって口にしたー。
”安藤誠太郎”が、「安藤くんだったよね?」という
言葉を発するのはおかしいー。
目の前にいる相手も”安藤”なら話は別だがー
目の前にいるのは、藤崎 涼香という”安藤”とは
何も関係のない女子大生だー。
なのに、その子のことを”安藤”と呼ぶ誠太郎ー。
涼香は、目を必死に瞑りながら
「ごめんなさい…ごめんなさい…!ごめんなさい…
ぼ、、ぼ、、ぼ、、ぼく、何も、、何もしないから…!」と
顔を真っ赤にしながら叫んだー。
「--ちょ、ちょっと、、落ち着いて!」
誠太郎が、涼香を落ち着かせようと、必死に声を掛けるー。
涼香は、そーっと目を開くと、自分の胸のあたりを見つめて
真っ赤になって「ごめんなさい!ごめんなさい!」と再び
顔を手で隠すー。
「---あ、安藤くん!?大丈夫だから、落ち着いて!?」
誠太郎が再び、自分の名前を呼ぶー。
周囲から見れば、とても奇妙な発言ー。
まるで、普段の二人とは”真逆”のようにー
そうー
2人は、ぶつかった時に、身体が入れ替わってしまっていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・
なんとか、涼香になった誠太郎を落ち着かせる
誠太郎になってしまった涼香ー。
誠太郎(涼香)は戸惑いながら、涼香(誠太郎)の方を見つめているー。
涼香(誠太郎)はずっと目を瞑ったままで、
両手を上にあげているー。
涼香は、
明るく、気配りも出来る優しい性格で、
男女問わず慕われているような女子大生だー。
容姿にも恵まれていて、内外共に、”綺麗”な子だー。
そんな涼香は、誠太郎からすれば、雲の上の存在だー。
涼香が月だとするならば、誠太郎は間違いなく、自信をもって
宣言できる。
「僕はゴミだ」と。
そんな、キラキラまぶしすぎる涼香の身体に自分が
なってしまったことで、もはや自分の身体を
直視できず、目を閉じたままの涼香(誠太郎)-
誠太郎とは、あまり接点がなくー。
存在は知っていたけれど、誠太郎が”異性がニガテ”
だということは知らない誠太郎(涼香)は
涼香(誠太郎)の”奇行”に困惑していたー。
「---あの…ど、どうして目を閉じてるの?」
誠太郎(涼香)が申し訳なさそうに言うとー
「-ご、、ご、ごめんなさい!
ぼ、、僕のせいで、、身体が…こんな…」
と、涼香(誠太郎)が目を閉じたまま叫ぶー。
「--僕が、藤崎さんの身体を…こんな…
ご、、ごめんなさい」
涼香(誠太郎)が必死に謝り続けるのを見て、
誠太郎(涼香)は「いいよ、わたしだって安藤くんの身体を
使ってる状態なわけだし、お互い様でしょ?」と、微笑むー。
涼香(誠太郎)は、
”どうせ僕のこと、キモいと思ってるんだ…”などと思いながらも、
そのやさしさに、ほんの少しだけ警戒心を解くー。
「-お、、怒ってないの…?」
涼香(誠太郎)が言うと、
誠太郎(涼香)は、
「入れ替わっちゃったのは、仕方ないし…わたしだって
安藤くんの身体使ってるんだから、別に怒ってないよ」と、
優しく呟いたー。
けれど、その直後ー
誠太郎(涼香)は「でもーーー」と、続けたー。
そして、涼香(誠太郎)に顔を近づけると、
「目を開いてこっちを見て!」と、少し強めの口調で言い放ったー
「--は、、はひっ!?」
涼香(誠太郎)が目を開くと、
”自分の顔”が目の前にあったー。
自分の顔を見ながら、困惑する涼香(誠太郎)-
「-廊下を走っちゃダメでしょ!」
誠太郎(涼香)が、まるでお姉さんか先生かのように言うー。
「-入れ替わっちゃったからじゃなくて、
普通に危ないでしょ!?
怪我したらどうするの?
ぶつかられたわたしもそうだけど、
安藤くんだって怪我する可能性があるんだよ?」
その言葉に、
涼香(誠太郎)はしゅんとして「ごめんなさい…」と呟いたー。
落ち着かない様子で手を動かした涼香(誠太郎)-
その手がー
むにゅっー
と、涼香の胸にあたったー
「う、、わ、、ちがっ、、わっ、ごめん!
触ろうとしたんじゃなくて、手を動かしたら…!」
涼香の胸を触ってしまった涼香(誠太郎)は
顔を真っ赤にして、涼香の身体で突然土下座を始めるー。
「ごめん!ぼ、、僕、ホント、、エッチなこと
しようとか、その、してないし!
今のはたまたま!
ごめんなさい!ごめんなさい!」
胸に手を振れただけで、ここまで謝る男子を初めて見たー。
誠太郎(涼香)はそう思いながら
「--ま、、まぁ、自分の胸に触れちゃうことなんて
よくあることだから気にしないでー」
と、苦笑いしたー。
「--で、、でも…」
そう言いながら涼香(誠太郎)は、
自分の身体を見ないように上を向きながら
「-僕なんかが、藤崎さんの身体に触れちゃうなんて、絶対だめだ」
と、再び万歳のポーズを取り始めたー。
「--あ、、、あのさ…
そ、そういうポーズしてる方が、
周囲から変な子に思われちゃって…わたし、困るかな~?」
誠太郎(涼香)が、困惑しながらそう言うと、誠太郎(涼香)は
「ご、ごめんなさい!」と、万歳していた手を下ろして、
落ち着かない様子で、誠太郎(涼香)を見つめたー。
「--とりあえず…わたしたち、入れ替わっちゃったみたいなんだけど…
どうやったら元に戻れるか、色々考えてみよっか」
誠太郎(涼香)の言葉に、涼香(誠太郎)は頷いたー。
次々と色々なことを提案する誠太郎(涼香)-
握手して入れ替わりを念じるー
もう一度ぶつかってみるー
お互いの頭をぶつけてみるー
思いつくままに、色々試してみたー
涼香になった誠太郎はその都度「ごめんなさい!」と叫んでいたー。
「----……だめみたい」
誠太郎(涼香)は、困惑しながらそう呟くー
入れ替わった状態からはー
そう簡単には元に戻れないようだー
「ごめんなさい…僕の身体じゃ…藤崎さんが腐っちゃう」
涼香(誠太郎)の言葉に、
誠太郎(涼香)は「腐るとかあるわけないでしょ」と、
少しムッとした様子で言い放ったー。
「--安藤くんの身体に入っていたって
わたしは腐ったりしないから、そういうこと言わないの。ね?」
誠太郎(涼香)の言葉に、
涼香(誠太郎)は困惑しながら頷いたー。
そしてー
誠太郎(涼香)は言ったー。
”入れ替わりました”なんて、信じてもらえないと思うから
元に戻れるまで、このままお互いとして生活するしかないー
とー。
「--え、、えっ…えっ…えっ…」
涼香(誠太郎)は心臓発作を起こしそうなぐらい
ドキドキしながら誠太郎(涼香)を見つめるー。
誠太郎と涼香はー
元に戻れるまで、お互いの姿で生活することになってしまったー。
だがー
涼香はまだ知らなかったー。
誠太郎の女性苦手属性は想像以上であることをー。
涼香の身体では、お風呂はおろか、トイレも着替えもできないぐらいにー
女性に強い苦手意識を持っていることをー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
異性に対する耐性0の男子との入れ替わり…!
2人とも、悪い子じゃなさそうですが、
入れ替わり生活をするには大変そうな組み合わせですネ~!…
入れ替わり生活のドタバタは②で★!
お読み下さりありがとうございました!!