<皮>モルティング~人を着る凶悪犯~⑯”亜香里” (Pixiv Fanbox)
Content
「---モルティングの追跡は、順調です」
目黒警視正が、姿勢を正した状態で、
イスに座り、背を向けている男に声を掛けるー。
背を向けている男は、何も答えないー。
その服装からは、その男が目黒警視正よりもはるかに上の
階級に位置する男であることが分かるー。
「---”奴”はどうかね?」
イスに座ったままの男は、窓の外に広がる夜景を見つめながら、
目黒警視正にそう、問いかけたー。
その言葉に、目黒警視正は動じる様子を見せることなく、
淡々と答えたー
「えぇ、そちらに関しても、順調ですー」
とー。
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登場人物
長瀬 治夫(ながせ はるお)
若き警察官。”皮”にまつわる事件に巻き込まれていく
松永 亜香里(まつなが あかり)
治夫の彼女。現在同居中。
長瀬 聡美(ながせ さとみ)
治夫の妹。亜香里に激しいライバル心を燃やしている。
目黒 圭吾(めぐろ けいご)
警視正。計算高い性格の持ち主で、出世欲も強い。
矢神 明信 / 堂林 幸成 / 三枝 真綾 / 剛
目黒警視正率いる「モルティング対策班」のメンバー。
黒崎 陣矢(くろさき じんや)
指名手配中の凶悪犯罪者。”モルティング”のひとり。
臼井 隼人/中曽根 佳純/春山 正義
”人を皮にする凶悪犯”通称・モルティングたち。
泉谷 聖一(いずみや せいいち)
治夫の中学時代の恩師。モルティングたちに”皮にする力”を与えた黒幕。
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★あらすじ★
人を皮にする凶悪犯”モルティング”たちの背後に潜んでいたのは
若き警察官・長瀬治夫の中学時代の恩師でもある男・
泉谷聖一だったー。
聖一から、警察内部の”闇”について聞かされ、協力を求められたものの、
治夫はこれを拒否、恩師である泉谷、そしてモルティングたちとの
戦いを決意する。
一方で、警察内部に闇があるならば、それも見過ごせない、と
目黒警視正に話を聞こうとするも意味深な対応をされ、
はぐらかされてしまう。
そんな中、”モルティング”たちは、死んだ班目順太郎の”補充”として
また新たな犯罪者を仲間に引き入れていた…
↓前回はこちら↓
fanbox post: creator/29593080/post/2393243
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「---春山 正義(はるやま まさよし)-」
モルティング対策本部ー
目黒警視正がホワイトボードに写真を貼り出し、
”新たなモルティング”が増えたことを告げたー。
”モルティングは、いくらでも補充されるー”
かつて目黒警視正がそう言っていた通り、
モルティングは、補充されたのだー。
「俺が射殺した、班目の後釜ってことですか」
アウトロー風の刑事・明信がボサボサの髪を掻きながら言うと、
目黒警視正は「そのようです」と答えたー。
治夫が対策班に加わる前にも、
”人を皮にする犯罪者”を何名か始末しておりー、
その都度”補充”されていると聞いたー。
”根本”を潰さなければ、モルティングはいくらでも補充されるー。
それはつまり、恩師ある”泉谷”を逮捕するか、
あるいはーー
「--険しい表情をして、どうかしましたか?」
目黒警視正が微笑むー。
治夫が”あ、いえ…”と、咄嗟に返事をしようとすると、
隣にいた好青年風の堂林幸成が「いえ…別に何も」と、答えたー。
目黒警視正は、治夫に声を掛けたわけではなく、
隣にいた幸成に声を掛けたのだー
「--彼女が、気になりますか?」
微笑む目黒警視正ー。
”人を皮にする凶悪犯”のひとりー、
未だに治夫が遭遇したことのない”中曽根 香澄”を
見つめながら、そう呟く目黒警視正に対し、
幸成は「ーー別に何もー。ただ、足取りが不明なことが
気になるだけです」と、答えたー。
”黒崎 陣矢”
”臼井 隼人”
その二人は、既に治夫も実際に対面しているー。
だが、新たに増えた”春山 正義”はともかく、
この”中曽根 香澄”という細い目をした女狐のような女には
まだ一度も遭遇しておらず、
目黒警視正も足取りを追うことができない様子だったー。
泉谷に”もう既に会っている”いうようなことを言われたのも
治夫はとても気になっていたー。
それにー
幸成は、前にも”中曽根佳純”の写真を凝視していたことがあるー
「--まぁまぁ、ユッキーも明るくいこ!明るく!」
ギャル風の真綾が幸成の方を叩きながらそう呟くー。
治夫は、そんな対策班メンバーの様子を見つめながらもー
不敵な笑みを浮かべる目黒警視正の方を見つめたー。
”人を皮にする力を作ったのは、警察ー”
”警察庁長官・西園寺による息子の不祥事の隠蔽”
”目黒警視正が、上と繋がり、暗躍しているー”
”いまだに姿を現さない”剛”-
恩師・泉谷から聞いた言葉はー
治夫の、目黒警視正ー
いや、警察に対する不信感を増長させていたー。
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「-------」
対策班での仕事を終えて帰宅する治夫ー。
「----!」
治夫は、夜道を振り返ったー
背後に気配を感じたからだー。
しばらく周囲の様子を見つめる治夫ー。
だが、そこには誰の姿もなかったー。
「---(気のせいか)」
治夫はそう思いながら、再び歩き出すー。
治夫が歩き出すと、物影から女が姿を現したー。
「クククククー」
メガネをかけたOLが眼鏡をいじりながら
唇をペロリと舐めるー。
ペロッと綺麗な手を舐める女ー。
”人を皮にする”力を新たに得た
ストーカー・痴漢の常習犯、春山正義は
皮にした女の身体で、治夫を尾行していたー。
治夫が帰宅したのを見届ける女ー。
”長瀬治夫の住所を確認ー
現在、恋人と妹が同居している模様”
OLの身体で、臼井隼人にメッセージを送信すると、
春山正義は、OLの綺麗な顔を歪めて邪悪な笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・
”長瀬治夫の住所を確認ー
現在、恋人と妹が同居している模様”
臼井隼人が、春山正義からのメッセージを確認すると、
近くにいた泉谷の方に歩み寄るー。
「-泉谷さんー
長瀬治夫の住所と、同居人を確認した」
笑みを浮かべる臼井隼人ー
泉谷は「そうか」と答えるー。
「--どうして、長瀬治夫を始末しなかった?」
隼人は、表情を歪めながら泉谷に問いかけるー。
先日ー
泉谷と治夫が対峙した際に、
泉谷がその気になれば、黒崎陣矢と臼井隼人がその場にいた以上、
治夫を始末することもできたはずだー。
だが、あの時、泉谷は治夫を始末することに消極的に見えたー。
黒崎に始末は命じていたが、結果的に治夫は生き延びているー。
「--この前の話で、長瀬は少なからず警察に疑念を抱いたー
あえて泳がせることで、”剛”や、警察の闇をあぶりだせるー、
そう、思っただけだ」
泉谷の言葉に、臼井隼人は「なるほど」と答えながらも、
泉谷の方を見つめたー。
「-泉谷さんの考えも分かるー。
だが、長瀬治夫ー、
ああいう若い正義気取りのやつは、危険だー。
泳がせておけば、必ずいずれ私の、いいやー
泉谷さんにとっても脅威となるー。
その前に、確実に潰しておくに限るー。」
隼人の言葉に、泉谷は考え込むー
その様子を見て、隼人は続けたー
「-私なら”確実に”長瀬治夫を始末できるー。」
とー
泉谷と隼人が互いに視線を合わせるー。
「------…」
隼人の言うことも分かるー。
治夫のような若さと正義感を併せ持つ男はー
愚かでもあり、時に強くもあるー
治夫の存在ひとつで、全てが打ち砕かれる可能性もあるー。
だがー迷いを抱いた治夫をあえて泳がせることでー
目黒警視正や、その裏に潜む男をあぶりだしー
泉谷の目的である”警察の闇を叩き潰す”というゴールに
近づける可能性も高いー。
「----」
”両方”を天秤にかけて考え込む泉谷ー
「--わかった」
やがて、泉谷は静かに口を開いたー
「--好きにしろー」
とー。
その返事を聞いて、臼井隼人は笑みを浮かべたー。
「--どうも」
隼人は、泉谷に背を向けるー。
既に、新しく仲間になった、春山正義を使って
治夫を監視させているー
”長瀬治夫”を確実に葬るためにー
天才詐欺師・臼井隼人は
計画を緻密に組み立てー
相手の弱みを”確実”に狙い、獲物は決して逃がさないー。
「---クク」
春山正義から送られてきた写真を見つめて、笑みを浮かべる臼井隼人ー
「-妹の長瀬聡美ー
同居している彼女の松永亜香里ー」
”弱点”
それを見つけて臼井隼人は凶悪な笑みを浮かべたー。
”人は弱みを握れば”
簡単にーーー
「---長瀬 聡美ー…
君に、”服”になってもらうとしようかー」
ーーー潰れるー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
同時刻ー
別の場所では、黒崎陣矢に皮にされた女子大生・鈴が
誰かを呼び出していたー。
”着替え”のためにー。
鈴の身体は、片目を失ったし、ボロボロだー。
”古着”は捨てるに限るー。
鈴のスマホをいじりー
笑みを浮かべるボロボロな鈴ー。
鈴のスマホの中身を確認しー
”次の服”を見定めた黒崎陣矢は、同じ大学に通う女子大生を
呼び出したのだー。
「---クククク」
物影から、”友達”がやってきたのを見つめる鈴ー。
「--そろそろ”お着替え”の時間なんでなー」
鈴が物影から姿を現すー。
「--あ、鈴…!」
鈴に呼び出された友達の女子大生・萌恵(もえ)が、
鈴の姿を見て表情を歪めたー。
「--ふふふ…萌恵~
来てくれて嬉しいな♡」
鈴は、片目を失った状態で、ボサボサ頭のまま、
萌恵の前に姿を現したー。
萌恵は、唖然としているー
「す、、鈴…?
最近、大学にも来ないし…ど、どうしちゃったの?」
萌恵は、不安そうに呟くー。
大学で、鈴の親友である萌恵は、鈴が大学に来なくなり、
連絡も取れなくなったことを、とても心配していたー
だからこそ、今日ー
鈴から”会って話がしたい”と言われた萌恵は、
まさか”友達の鈴が凶悪犯に着られている”などと夢にも思わず、
やってきてしまったのだー。
「---どうしちゃったって~?
わたしね~~、男の人にお洋服にされちゃったの!
目も1個潰れちゃった~♡」
クスクスと笑う鈴ー
萌恵は「な、、なに、、いってるの?」と震えながら
鈴の方を見つめるー。
「---ふふふ すぐにわかるよ。
次は、お前を着るんだから」
鈴が低い声で呟くとー
突然、萌恵の方に歩いてきて、萌恵に襲い掛かったー。
萌恵がわけの分からないまま悲鳴をあげるーー
「す、、鈴…!?な、、何があったの!?どうしちゃったの!?」
叫ぶ萌恵ー
「--今から教えてあげるから、黙ってろよ へへ」
鈴はイヤらしい笑みを浮かべるとー
ぱっくりと後頭部から、亀裂が入るようにしてー
あっという間に”脱皮”するかのように脱がれてー
中から出て来た黒崎陣矢は、笑いながら悲鳴を上げる萌恵に
注射器を打ち込みー”皮”にしたー。
鈴の皮から、萌恵の皮にー。
「---お着替え完了 うふっ♡」
黒崎陣矢に着られた萌恵は嬉しそうにピースをすると、
脱ぎ捨てた鈴の皮をそのまま放置して、笑いながら立ち去って行くー
”やっぱこの力は最高だぜー。
俺は、俺の好きなように暴れてー
好きなように女どもを着させてもらうぜー”
心の中でそう呟くと、萌恵は、そのまま夜の闇に姿を消したー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
帰宅した治夫は、彼女の亜香里、妹の聡美と共に
晩御飯を済ませていたー。
「--もう明後日かぁ~」
残念そうに呟く聡美ー
「--ははは、しょうがないだろ?
ずっとここにいるわけにもいかないんだし」
治夫が笑いながら言うー。
治夫の家に遊びに来ていた聡美ー。
しかし、聡美は実家暮らしで、大学も実家の近くのため、
そろそろ実家に帰らなくてはいけないー。
”お兄ちゃん大好き”な、聡美は帰る日が近づくにつれて、
げっそりとし始めていたー。
「-ー聡美ちゃんってば、本当に治夫のことが大好きなんだね~」
彼女の亜香里が笑いながら言うと、
聡美は「そうだよ!亜香里さんより大好きだもん!」と、頬を
膨らませながら言うー。
「-も~~~!ずるいずるいずるい!亜香里さんばっかり!
亜香里さんと入れ替わりたいぐらい!」
聡美が、亜香里をポコポコと叩きながら言うと、
亜香里は微笑みながら「入れ替わったら、わたしが
治夫に”おにいちゃん~”って抱き着いちゃうよ~?」と
冗談を口にするー
「--むむっ…それもだめ~~~!!!!」
聡美は子供のようにぷんすかと怒って見せるー。
治夫は「ははは…」と微笑ましく二人を見つめながらも
”モルティング”たちから二人を守らないとー、と
心の中で考えるー。
聡美に関しては明後日地元に帰るがー、
地元に帰っても狙われる可能性は、0ではないー。
それに、亜香里だってそうだー。
出来れば、どこかホテルにでも一時的に避難させておいた
方が良いのかもしれないー
だが、亜香里は”危険でも、治夫の側にいる”と
前に言ってくれていたー。
その想いをー
無駄にするわけにはーー
色々考えているうちに、晩御飯の時間は終わり、
妹の聡美はお風呂に向かうー。
「-ーーそれにしても、亜香里って本当に変わったよな~」
治夫が、後片付けを一緒にしながら呟くと、
亜香里は笑いながら「治夫、わたしに気づかなかったもんね」と笑うー。
「--いやいや、あんなの普通気づかないだろ!?」
治夫が笑いながら言い返すと、亜香里は
「-わたしはすぐに分かったケドなぁ~」と、お皿を片付けながら微笑むー
「-亜香里が変わり過ぎなんだよ!」
「--治夫が変わらな過ぎ!」
治夫と亜香里が出会ったのは、小学生の頃ー。
当時、治夫が放課後に良く遊んでいた近所の公園で、
ふたりは出会ったー
「-お~い!そこの君~!」
短髪の少年に声を掛けられた治夫は、
飛んできたサッカーボールを見つめながら
すぐに”これを蹴り返してほしい”のだと理解して、
それを蹴り返したー
当時、治夫も友達数名と、公園でサッカーをしていたー。
一人でサッカーの練習をしていたその少年は、
近くの別の学校に通う少年でー、
お互い、いつも同じような時間に、その公園で遊んでいたことから、
その日をきっかけに、治夫たちと一緒にサッカーを
するようになったー。
「--僕のかち~!」
その少年は、とても強くてー、
治夫や、治夫の友達では、まるで叶わなかったー。
そんなある日ー。
公園にやってくると、その少年は、女子に囲まれていたー。
「---あれ?その子たちは?」
治夫が言うと、
その少年は答えたー
「え?僕の友達だけど?」
少年の答えに、治夫は、揶揄うような笑みを浮かべてー
「女子ばっかじゃん~~!」
と、笑いながら指を差すー
ちょうど”女子と一緒にいる男子を揶揄う年頃”だったからだー。
だがー
相手の少年は不思議そうな顔をしたー
「--あのさ…
僕…男じゃなくて、女なんだけど…?」
とー。
「--は?」
治夫は、唖然としたー
公園で出会った少年ー
サッカーをきっかけに知り合い、公園で一緒に遊ぶようになった
別の学校に通うその少年はー
少年ではなく、少女だったのだー。
「--ええええええええええ!?」
”いつも公園にいる子”-
それだけだったから、名前なんて聞かずに一緒に遊んでいたー
驚く治夫ー
だが、それから少しして、その少女は、引っ越したためー
以降、会うことはなかったー。
それから時は流れー
高校に入学した治夫は、そんなことも遠い昔の記憶になりー
ごく普通の学校生活を送っていたー。
その時に、亜香里と出会ったー。
亜香里は、治夫に対して妙に親しく話しかけてきてー
治夫は”随分積極的な子だな”と、思いつつも
悪い気はしなかったし、亜香里と次第に仲良くなっていったー。
亜香里は、何事にも一生懸命で、
とても可愛らしいだけではなく、
性格も良く、部活に、勉強に、人間関係に、
何もおいても”光”みたいな存在だったー。
治夫も、そんな亜香里から刺激を受けて、
頑張ろう、と思えたー。
そんなある日ー
亜香里と一緒に昼休みを過ごしていると、
亜香里がふと、グラウンドの方の、サッカーをしてる生徒たちを
見てほほ笑んだー
「--昔を思い出すね~」
と、笑う亜香里ー。
治夫は「え?亜香里、サッカーやってたの?」と、苦笑いしながら言うー
”美少女”という感じの亜香里がサッカーをやってたなんて
全然イメージが湧かないー
そんな風に思っていると、
亜香里は、きょとんとした顔で、呟いたー
「---え…」
「--え?」
治夫も首を傾げるー
「---え…一緒にやってたじゃん…小学生のころ…」
亜香里の言葉に、
治夫は「え…???」と、首を傾げるー
「--ほら…公園で…
治夫、わたしのこと、男の子だと思ってたでしょ?」
亜香里の言葉にーー
治夫は思わず「えええええええええええええ!?!?!?」
と、叫んだー
少年にしか見えなかったあの子がー
こんなかわいい女の子にー!?
そう思った瞬間、驚きのあまり叫んでしまったー
「--ちょ!?!?気づいてなかったの!?
お父さんの都合で、またこっちに戻って来ることになったから
こっちの高校に戻ってきて、
そしたら偶然長瀬くんがいたからー
…って、じゃあ、わたし、長瀬くんに何て思われてたの!?」
亜香里が言うと、
治夫は「--え…な、、な~んか、随分俺になれなれしい子だな…って」
と、苦笑いしたー。
亜香里はそんな治夫に対して顔を赤らめて、
「--わ、、わたし、肉食女子だと思われてたの!?」と、
声をあげたー
それからー
更に親しくなってー
警察を目指す治夫を応援してくれる亜香里とは
切っても切れない関係になったー
そんな、昔の話をしながら、治夫は、笑うー
「いや、ホント気づかないよアレ…
俺じゃなくても」
治夫が言うと、亜香里は
「-お兄ちゃんが二人の家庭だったから、
わたしもなんか男の子っぽく育ってたんだよね」
と、笑ったー。
「--そっか~…まぁ、そうなるのかもなぁ~」
治夫は、そう言いながら、微笑む亜香里の方を見つめるー。
「-ーでも、男っぽい亜香里もまた見てみたいような気がするなぁ」
治夫が冗談を口にすると、
「-もう、わたしが男みたいに振舞うことはないと思うよ~」と、
亜香里は笑いながら答えたー。
「--はは、そうだよなぁ~」
治夫はそう言いながら、お風呂から出て来た聡美に
話しかけられて笑う亜香里の方を見つめるー
「-----」
”お前の彼女は、俺のものだー”
ふとー
”皮”にされて、乗っ取られた亜香里が
”男言葉”を口にするイメージが浮かんでしまうー。
「----!」
首を振る治夫ー
”そうならないように、俺が亜香里を守るんだー”
大切な亜香里を絶対に守るー
治夫は、改めてそう決意してー
楽しそうに談笑する亜香里と妹・聡美の方を見つめたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして
妹の聡美が帰る日がやってきたーーー
「--じゃあ、また」
「うんー」
妹の聡美を帰りの電車まで送り届けた治夫ー。
聡美は「お兄ちゃん!亜香里さんと仲良くね!」と
微笑みながら手を振るー
「あぁ」
治夫も、聡美に対して手を振るー。
電車が、出発の時間を迎えるー
治夫は聡美に手を振り-
少し安堵した様子でため息をつくー。
スマホを確認する治夫ー
”-例の女子大生が見つかったー”
同じ対策班のメンバー・堂林幸成からの連絡ー。
”黒崎陣矢に皮にされていた女子大生・鈴”の皮が
見つかったー、そういう連絡だったー
治夫はすぐにその場所へと向かうー
・・・・・・・・・・・・
「---お兄ちゃん、ホント、亜香里さん好きだなぁ~
妬けちゃうなぁ」
そんな風に呟きながら、電車の窓から、外の景色を見つめている聡美ー
だがーー
聡美の少し離れた場所から
スーツ姿の男が、聡美の方を見つめていたー
”君に恨みはないがー”
人を皮にする凶悪犯のひとりー
天才詐欺師の臼井隼人は無気味な笑みを浮かべたー
”大好きなお兄ちゃんを始末するためにー
力をー
いいや、その身体を貸してもらうよー”
⑰へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
第16話でした~!★
かなり不穏な雰囲気が漂っていますが、果たして…!?
これからも、色々な部分が動いていくので、
ぜひ楽しんでくださいネ~!
今日もありがとうございました~!