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薄暗い廊下を一人歩く目黒警視正ー。


モルティング対策班の本部として借りている建物の

一室に入ると、目黒警視正は、

パソコンを起動したー。


そこにはー


”剛”についての機密情報ー


そして、

”皮”についての機密情報が表示されていたー。


「------」

目黒警視正は、一人、少しだけ微笑むー。


彼は”秩序”を守るためなら、手段を択ばないー

これまでも、そして、これからも、

それは変わらないー。


「---」

部屋の入口の方に目をやると、目黒警視正は心の中で

少しだけ微笑んだー。


”私を”監視”しているつもりのようですがー

私は、”あなた”の動きも、ちゃんと把握していますよー。


目黒警視正は、心の中で、そう呟くと、

静かにキーボードで何かを入力し始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・


登場人物


長瀬 治夫(ながせ はるお)

若き警察官。”皮”にまつわる事件に巻き込まれていく


松永 亜香里(まつなが あかり)

治夫の彼女。現在同居中。


長瀬 聡美(ながせ さとみ)

治夫の妹。亜香里に激しいライバル心を燃やしている。


目黒 圭吾(めぐろ けいご)

警視正。計算高い性格の持ち主で、出世欲も強い。


矢神 明信 / 堂林 幸成 / 三枝 真綾 / 剛

目黒警視正率いる「モルティング対策班」のメンバー。


黒崎 陣矢(くろさき じんや)

指名手配中の凶悪犯罪者。”モルティング”のひとり。


臼井 隼人/中曽根 佳純

”人を皮にする凶悪犯”通称・モルティングたち。


泉谷 聖一(いずみや せいいち)

治夫の中学時代の恩師。モルティングたちに”皮にする力”を与えた黒幕。


・・・・・・・・・・・・・・


同時刻ー


モルティングたちが根城としている

廃工場ではー、

先程まで黒崎陣矢に乗っ取られていた

女子大生・鈴が、目から血を流したまま、苦しそうにしているー。


「たすけて…たすけて…」

”皮”にされて乗っ取られている間の記憶がない鈴からしてみれば、

”訳の分からない状況”でしかないー。


治夫は、恩師であり、モルティングたちの黒幕でもあった

泉谷を人質に取りながらも、鈴の方を見つめて、表情を歪めるー。


「---長瀬。お前の信じる道はー

 ”罪もない女子大生を見殺し”にして、俺たちを捕まえることか?」

人質にされている泉谷が呟くー。


黒崎陣矢も、臼井隼人も、泉谷もー

この鈴という女子大生を助けるつもりは、全くないー


この場にいる人間で、鈴を助けるため、

助けを呼べるのは、治夫のみー。


治夫は、悔しそうな表情を浮かべるとー

泉谷に向けていた銃を、黒崎陣矢や臼井隼人、泉谷に順番に向けながら

鈴の方に向かって行くー。


”助けを呼ぶだけ”なら、

片手で銃を泉谷に突き付けたまま、スマホで助けを呼ぶこともできるー。


だが、それをすれば、無防備な鈴が

黒崎か臼井に撃たれる可能性もあり、

鈴の命を第1に考えるなら、治夫が取るべき行動はこれしかなかったー。


「--おやおや、せっかくのチャンスを自ら捨てるとはー。」

天才詐欺師・臼井隼人が笑みを浮かべながら呟くと、

治夫は臼井の方に銃を向けて、

「俺は警察官だー。苦しんでいる人々を助けるのが、俺の仕事だ」

と、臼井を睨みつけたー。


「---大丈夫か?」

治夫が言うと、鈴は泣きながら「ここ、、どこ…わたしは…?」と、

苦しみながら呟くー


”着られていた鈴”の不安は計り知れないー。

いきなり記憶が飛んでー

いきなり知らない場所でー

しかも、黒崎陣矢に乗っ取られている状態で、片目に重傷を負っているー


治夫は「もう大丈夫だからな」と優しく何度も何度も声を掛けるー。

鈴は泣きながら頷くー


鈴に声を掛けながらも、治夫は、泉谷・臼井・黒崎の三人を警戒するー。

臼井と黒崎が泉谷の元に歩んでいき、

三人は、廃工場の出口の方で、治夫の方を見つめているー


黒崎と臼井は、治夫に殺意を向けていたがー

泉谷は、手で二人を制すると、「好きなようにさせてやれ」と呟くー。


その意図を測りかねながらも、

すぐさま、スマホで助けを呼ぶ治夫ー。


泣きじゃくる鈴に言葉を掛けながら、救急車を呼び終えると、

治夫は、泉谷の方を見て叫んだー


「--先生は、間違ってるー


 たとえ、”人を皮にする力”を作ったのが警察でもー

 先生の教え子の命を奪った事故の犯人が、西園寺警察庁長官の息子で、

 警察がそれを隠蔽するために、”剛”を使ったのだとしてもーー

 

 犯罪者と組んで、何の関係もない人を巻き込むようなやり方は

 絶対に間違ってる!!!」


治夫が、泣き叫ぶようにして、泉谷の方を見つめたー。


ずっと、ずっと、慕ってきた恩師ー。

中学時代、身を挺してまで、治夫のことを助けてくれた恩師ー。

真摯に生徒に向き合う、泉谷聖一という教師に、治夫は

中学生ながら、当時、大きな感銘を受けたー。


 ”自分の信じた道を進め

 信じた道を進めなくなった時、未来への扉は閉ざされる”


泉谷先生のその教えは、今に至るまで、

治夫の心の支えでもあり、原動力にもなっていたー


それなのにー


「--犠牲を払おうとも、警察の闇を暴くー

 それが、俺の信じた道だー」


そのためなら”犯罪者”と組むことだって、するー。

黒崎や臼井のような犯罪者で無ければ

”躊躇なく人を皮にして、利用する”なんてことはできないー。


それにー

”利害関係の一致”は、時に強い結束力を生むー。


泉谷・黒崎・臼井・中曽根ー

”皮の力を提供する”泉谷と、

”モルティング”たちは互いに互いを利用し合っているからこそー、

下手に絆を作るよりも、互いに、利用しやすいー。


「ーー俺の仕事は、犯罪者を捕まえることですー。

 それがたとえ、先生であっても」

治夫は、強い眼差しで泉谷を見つめ返したー。


「ーーそして、先生の言う話が本当ならー…

 目黒警視正たちが何かを企んでいるならー

 それも、止めますー。

 

 俺の仕事は、犯罪者を捕まえることですからー」


”若いな”

人は、そんなに強くないー

理想論を口にするのは、簡単でもー

”平和的な方法”で闇を暴くことができるほど、この世は甘くないー


泉谷はそう思いながらも、

治夫の眼差しには一点の迷いもないことを悟り、呟いたー。


「--それが、お前の信じた道か?」


「---はいー。

 これが、俺の信じる道です」


治夫の強い決意に、泉谷は少しだけ表情を緩めてー

「お前らしいなー、長瀬」と、呟くー。


いつの間にか外に出て行っていた臼井隼人が

車を入口につけると、泉谷はその車の方に向かったー。


「---長瀬ー。

 俺の信じる道を阻もうとするのならー

 俺も、容赦はしないー」


泉谷はそれだけ言うと、車に乗り込み、

「--黒崎」と、呟くと、黒崎陣矢は笑みを浮かべて頷いたー。


臼井隼人が車のハンドルを握りー

泉谷と臼井は走り去っていくー。


「---…痛い…いたい…いたい…」

女子大生の鈴が目を抑えながら泣いているー

治夫は、「大丈夫…もうすぐ、もうすぐだからな」と、

救急車の到着を待つー


「--ククク…いいねぇ、やはりお前は、最高だよ」

残っていた黒崎陣矢が笑いながら治夫の方を見つめるー


治夫は、鈴をかばうようにしながら、黒崎陣矢に銃を向けるー。


”皮”を身に着けていない状態の黒崎陣矢ー。

今、ここで撃てば、黒崎陣矢を捕まえることができるー。


「-お前を八つ裂きにしたら、本当に気持ちいいだろうなぁ…」


黒崎陣矢は、そこまで言うと、

突然、隠し持っていたナイフを治夫に向かって投げたー


治夫がそれを避けて、銃を放つー。


「--ロクに銃も撃ったことねぇんだろ?無理すんなよ!」

陣矢が、もう1本のナイフを手に、治夫に襲い掛かって来るー。


治夫の持っていた銃が蹴り飛ばされて、床に音を立てて転がるー。


「--黒崎陣矢ーーー!」

治夫が陣矢を睨みつけるー。

陣矢は笑みを浮かべながら治夫を馬鹿にしたように見つめるー。


「-ーお前の尊敬する先生から誘われて、俺は

 皮にする力を手に入れたんだぜ!」


殴る・蹴るの戦いを繰り広げながら、陣矢が笑うー。


「--俺が泉谷に協力する代わりに、

 俺はこの最高の力を手に入れるー

 お互いにWinWinってやつだー。」


陣矢の言葉に「これ以上お前の好きにはさせない!」と

治夫が、黒崎陣矢の腕を掴み、力強く投げ飛ばすー


投げ飛ばされた陣矢はー

信じられない行動に出たー。


蹲っているままの鈴に近づきー

鈴に再び、”人を皮にする注射器”を打ち込んだのだー


「--!おい!やめろ!」

治夫が大声で叫ぶー


だがー

陣矢はすぐに鈴の皮を身に着けるとー

鈴は目から血を流したまま、笑ったー


髪はボサボサでー

目から血を流しー

綺麗な足は、汚れているー。


鈴の生足が治夫に襲い掛かるー


「--くっくくく 可愛い女子大生に蹴られたいだろ?」

鈴がニヤニヤしながら笑うー


「--貴様…!またその子を…!

 その子を、、その子を解放しろ!!」

治夫が大声で叫ぶー


「--解放?へへへ 俺は”自分の服”を着てるだけだぜ?」

鈴が挑発的に笑いながら胸を揉むー。


ボロボロの容姿で笑っている鈴はー

何とも言えない無気味さを放っていたー。


「--美人が、どんどんぶっ壊れていくー

 桜が散る瞬間と似てるよな…!

 ゾクゾクするぜ! しゃああああああ!」


舌をペロペロさせながら、ナイフで襲い掛かって来る鈴ー。


治夫は、ナイフを蹴り飛ばすと、

そのまま鈴の腕を掴むー


「--その子を、解放しろー」

怒りの形相で陣矢を睨む治夫ー。


「--着れなくなるまで、服を着るー。

 俺は、地球環境にも優しい男なんだよ」

鈴が挑発的に笑うと、

突然、バク転しながら、治夫を蹴り飛ばすー。


鈴の身体から、血がぽたぽたと零れ落ちるー。


「---!」


救急車のサイレンが聞こえて来たー。


治夫と鈴を乗っ取った陣矢がその音に気付くと、鈴は笑ったー。


程なくして、救急車が駆けつけて来るー。

救急車から降りて来た救急隊員たちー。


だが、鈴は目から血を流したまま、困惑する救急隊員の前を

堂々と歩くと、


「-救急車は、必要ありませ~ん♡」と言いながら、

そのまま近くに止めてあったバイクに跨ったー


「--黒崎ーーーーーーー!!!」

治夫がバイクにしがみついて、黒崎陣矢に乗っ取られた鈴を止めようとするー。


走り出したバイクに引きずられてー

地面に転がる治夫ー。


「--また遊んでやるぜ!あばよ!」

鈴は、笑いながら手をあげると、

そのまま夜の廃工場に笑い声を響かせながら、走り去っていったー。


「--くそっ…!くそっ!」

治夫は、悔しそうに地面を叩くと、困惑している救急隊員たちに、

”皮”のことは告げず、警察手帳を見せながらうまく話を合わせたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「----…」

怪我をした状態で帰宅した治夫ー。


既に夜遅くー

彼女の亜香里が心配そうに治夫に声を掛けるー。


「何があったの?大丈夫!?」

亜香里の言葉に、治夫は、寂しそうな顔で、亜香里を見つめたー。


「--久しぶりに、先生と会ったよー」

治夫の言葉とー

その悲しそうな瞳にー

亜香里は、何も聞かずとも

”尊敬していた恩師との再会”が、良い再会でないことを悟ったー。


「---治夫…」

亜香里は、それ以上何も言わずに、治夫の頭を優しく撫でると、

そのまま優しく治夫を抱きしめたー。


「--お兄ちゃん、帰って来たの~~?」

トイレから出て来た妹の聡美が、部屋の方に戻ってくるとー


ちょうど、亜香里が治夫を抱きしめている光景が

広がっていたー


「-------」

聡美は顔を真っ赤にしながら、

「-ー……え、、、え~っと、…あ!そだ!トイレ!」と、

今出て来たばかりのトイレに再び戻って行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「--目黒警視正、お話がありますー」

モルティング対策班の本部にやってきた治夫は、

目黒警視正の机の前に行くと、目黒警視正に声を掛けたー。


アウトロー風の明信、好青年風の幸成、ギャル風の真綾が

それぞれ、そんな治夫の方を見つめるー。


「-ーーー」

目黒警視正は、治夫の険しい表情を見て、

少しだけ笑ったー


いつものように、一見すると穏やかだが、

鋭い眼光を治夫の方に向けるー。


「--いいでしょう。

 私もちょうど、あなたとお話したいと思っていたところでした」


目黒警視正はそれだけ言うと、時計を見つめてから

「申し訳ありませんが、このあとは、打ち合わせがありますので、

 今日の夜、改めてお話を聞くかたちで、よろしいですか?」と、

治夫の方を見て呟いたー。


”誰にでも敬語”

自分より、遥か下の立場であるはずの、治夫に対してもー。


そんな、目黒警視正を少し無気味に思いながらも、治夫は

「えぇ、構いませんー」と、呟いたー。


目黒警視正が「では、失礼します」と、退出すると、

治夫は自分の机の元に向かうー。


「--大丈夫か?」

好青年風の幸成が治夫に声を掛けるー


「--堂林さんー…はい、大丈夫です。

 ちょっと警視正に聞きたいことがあって」

治夫がそう言うと、

「聞きたいこと?」と、アウトロー風の明信が、ガムを噛みながら

治夫の方を見つめたー


「--どうしても気になることがあってー」

治夫の言葉に、明信は「また面倒なことに首を突っ込もうと

してるんじゃないだろうな?」と、少し呆れ顔で

ボサボサの髪をかきむしりながら言うー。


治夫がそれに反応していると、

背後から、ギャル風の真綾が、治夫の肩に手を置いたー


ビクッと、しながら振り返ると、

すぐ側に真綾の顔ー


(距離ちかっ…)と、思いながら

治夫が少し引き気味に「な、なんですか…?」と呟くと、

真綾は笑ったー


「--メグちゃんに、”話があります”って言った時の

 ハルくんの顔、かっこよかったよ!」


とー。


「--マジでキュンとしちゃった♡」

真綾はそれだけ言うと、笑いながら、部屋の外に出て行くー」


「--ははは…三枝さんは見境ないなぁ」

好青年風の幸成が、苦笑いしながら言うと、

隣にいた明信はガムを噛みながら

「ー滅茶苦茶、男遊びしてそうな感じだよな」と、冗談を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


夜ー

対策班での仕事を終えると、治夫は、目黒警視正の部屋に向かったー。


目黒警視正は、ブラインドから差し込む夜の街の光を見つめると、

「-お待ちしていました。」と、治夫の方を見て、微笑んだー。


「--それで、聞きたいこととは?」

目黒警視正が微笑むー。


治夫は、少しためらってから口を開いたー。


「--”剛”とは、何者なんですか?」

とー。


泉谷は”剛”に殺されかけたと言っていたー。

対策班に所属する”剛”とは、治夫をはじめ、

未だに誰も会うことが出来ていないー。


「--お答えできません。

 ”剛”は私としか会いません」


目黒警視正は淡々と返事をしたー。


薄暗い部屋で、治夫は緊張で喉がカラカラになるのを感じながらー

次の質問をぶつけるー。


「--目黒警視正はーー

 警察庁長官の指示で動いているー

 そうお聞きしましたー。

 本当ですか?」


治夫が言うー。


泉谷の話が本当なら、

目黒警視正は、息子の罪をもみ消した警察庁長官・西園寺の指示で

動いている可能性が高いー。


「ーーお答えできません」

目黒警視正はほほ笑むー。


「---…」

治夫は、首を振りながら、乾く口を必死に動かしてー

”最後の質問”をぶつけたー。


「---…”人を皮にする力”は、警察が生み出したというのはーーー

 本当ですか?」


とー。


「---」

「-----」


「--…」


しばらくの沈黙ー

ブラインドから差し込む夜の街の光を見つめながらー

治夫は目黒警視正をしっかりと見つめるー。


「---時が来れば、お話しましょうー」


それだけ言うと、目黒警視正は、治夫を見つめたー。


「--誰からそんな話を聞いたんです?

 黒崎陣矢?臼井隼人?それとも、中曽根佳純?」


目黒警視正の言葉に、治夫は口を閉ざすー。


「-治夫くんー

 あなたは昨日、”黒幕”と会ったー。

 違いますか?」


目黒警視正は、やはり何でもお見通しだー。

治夫はそう思ったー


だがー

治夫は答えなかったー。


恩師である泉谷を庇うためー?


いいやー

違うー


目黒警視正に、伝えてはならないー

なんとなく、そう思ったのだー。


「--黒幕は、誰ですか?」

目黒警視正が微笑みながら尋ねるー。


「---時が来れば、お話しますー」

治夫は、先ほどの目黒警視正の言葉を返したー。


目黒警視正は満面の笑みで「なるほど」と、頷いたー。


「-----」

目黒警視正は少し間を置いてから、口を開くー。


「お話は以上ですー。

 治夫くん、君には期待していますよ」


治夫は、まだ何かを聞こうとしたが、

目黒警視正は、これ以上、何も答えるつもりはなさそうだったー。


治夫は悔しそうにしながら頭を下げると、

そのまま警視正の部屋から出て行くー。


「-----」

一人残された目黒警視正は少しだけ微笑むー


”治夫くんー、

 あなたには期待していますよー

 心からー”


とー。


そしてー


”私が、ボロを出すとでもー?”

目黒警視正は、心の中でそう呟いたー。


立ち去った治夫ではなくーーー


”目黒警視正を監視する目”に対してー。


「-----」

目黒警視正を、密かに”監視”していた人物は、

そのまま闇の中に姿を消したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


夜道ー


「お疲れ様でした~」

メガネをかけたOLが、同僚と別れて家の方角に向かって歩き出すー。


「ーーーーーー」

背後から、気配を感じて、OLが振り返ったと同時にー

OLは、ブスッ、と注射器を打ち込まれて皮になったー。


男は、OLの皮を着て、何事もなかったかのように、

笑みを浮かべると、そのまま歩き出すー。


”モルティングは、補充される”

かつて、目黒警視正が、治夫に説明した通りー。


モルティング対策班に班目順太郎を射殺された

泉谷たちは、代わりに”治夫”を仲間に引き入れようとしたー。


だが、治夫が泉谷への協力を拒んだことでー

泉谷らは、また”別の候補”に人を皮にする力を与えたー


モルティングは補充されるー。

いくらでもー。


臼井隼人を倒してもー

黒崎陣矢を倒してもー

中曽根佳純を倒してもー


根本を絶たねば、いくらでもー


ストーカー及び痴漢を繰り返している常習犯、

春山 正義(はるやま まさよし)は、

乗っ取ったOLの身体を堪能するため、

そのまま夜の公園のトイレに入って行ったー。



⑯へ続くー


・・・・・・・・・・・・・・


コメント


気付けばもう第15話…!

連載を始めてから3ヵ月が経過しましたネ~…!


ついこの間まで前の長編(女体化X異世界転生)を書いていた気がするので、

時の流れの速さを感じちゃいます…!笑


今日もお読み下さりありがとうございました~!

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