<皮>モルティング~人を着る凶悪犯~⑮”道” (Pixiv Fanbox)
Content
薄暗い廊下を一人歩く目黒警視正ー。
モルティング対策班の本部として借りている建物の
一室に入ると、目黒警視正は、
パソコンを起動したー。
そこにはー
”剛”についての機密情報ー
そして、
”皮”についての機密情報が表示されていたー。
「------」
目黒警視正は、一人、少しだけ微笑むー。
彼は”秩序”を守るためなら、手段を択ばないー
これまでも、そして、これからも、
それは変わらないー。
「---」
部屋の入口の方に目をやると、目黒警視正は心の中で
少しだけ微笑んだー。
”私を”監視”しているつもりのようですがー
私は、”あなた”の動きも、ちゃんと把握していますよー。
目黒警視正は、心の中で、そう呟くと、
静かにキーボードで何かを入力し始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・
登場人物
長瀬 治夫(ながせ はるお)
若き警察官。”皮”にまつわる事件に巻き込まれていく
松永 亜香里(まつなが あかり)
治夫の彼女。現在同居中。
長瀬 聡美(ながせ さとみ)
治夫の妹。亜香里に激しいライバル心を燃やしている。
目黒 圭吾(めぐろ けいご)
警視正。計算高い性格の持ち主で、出世欲も強い。
矢神 明信 / 堂林 幸成 / 三枝 真綾 / 剛
目黒警視正率いる「モルティング対策班」のメンバー。
黒崎 陣矢(くろさき じんや)
指名手配中の凶悪犯罪者。”モルティング”のひとり。
臼井 隼人/中曽根 佳純
”人を皮にする凶悪犯”通称・モルティングたち。
泉谷 聖一(いずみや せいいち)
治夫の中学時代の恩師。モルティングたちに”皮にする力”を与えた黒幕。
・・・・・・・・・・・・・・
同時刻ー
モルティングたちが根城としている
廃工場ではー、
先程まで黒崎陣矢に乗っ取られていた
女子大生・鈴が、目から血を流したまま、苦しそうにしているー。
「たすけて…たすけて…」
”皮”にされて乗っ取られている間の記憶がない鈴からしてみれば、
”訳の分からない状況”でしかないー。
治夫は、恩師であり、モルティングたちの黒幕でもあった
泉谷を人質に取りながらも、鈴の方を見つめて、表情を歪めるー。
「---長瀬。お前の信じる道はー
”罪もない女子大生を見殺し”にして、俺たちを捕まえることか?」
人質にされている泉谷が呟くー。
黒崎陣矢も、臼井隼人も、泉谷もー
この鈴という女子大生を助けるつもりは、全くないー
この場にいる人間で、鈴を助けるため、
助けを呼べるのは、治夫のみー。
治夫は、悔しそうな表情を浮かべるとー
泉谷に向けていた銃を、黒崎陣矢や臼井隼人、泉谷に順番に向けながら
鈴の方に向かって行くー。
”助けを呼ぶだけ”なら、
片手で銃を泉谷に突き付けたまま、スマホで助けを呼ぶこともできるー。
だが、それをすれば、無防備な鈴が
黒崎か臼井に撃たれる可能性もあり、
鈴の命を第1に考えるなら、治夫が取るべき行動はこれしかなかったー。
「--おやおや、せっかくのチャンスを自ら捨てるとはー。」
天才詐欺師・臼井隼人が笑みを浮かべながら呟くと、
治夫は臼井の方に銃を向けて、
「俺は警察官だー。苦しんでいる人々を助けるのが、俺の仕事だ」
と、臼井を睨みつけたー。
「---大丈夫か?」
治夫が言うと、鈴は泣きながら「ここ、、どこ…わたしは…?」と、
苦しみながら呟くー
”着られていた鈴”の不安は計り知れないー。
いきなり記憶が飛んでー
いきなり知らない場所でー
しかも、黒崎陣矢に乗っ取られている状態で、片目に重傷を負っているー
治夫は「もう大丈夫だからな」と優しく何度も何度も声を掛けるー。
鈴は泣きながら頷くー
鈴に声を掛けながらも、治夫は、泉谷・臼井・黒崎の三人を警戒するー。
臼井と黒崎が泉谷の元に歩んでいき、
三人は、廃工場の出口の方で、治夫の方を見つめているー
黒崎と臼井は、治夫に殺意を向けていたがー
泉谷は、手で二人を制すると、「好きなようにさせてやれ」と呟くー。
その意図を測りかねながらも、
すぐさま、スマホで助けを呼ぶ治夫ー。
泣きじゃくる鈴に言葉を掛けながら、救急車を呼び終えると、
治夫は、泉谷の方を見て叫んだー
「--先生は、間違ってるー
たとえ、”人を皮にする力”を作ったのが警察でもー
先生の教え子の命を奪った事故の犯人が、西園寺警察庁長官の息子で、
警察がそれを隠蔽するために、”剛”を使ったのだとしてもーー
犯罪者と組んで、何の関係もない人を巻き込むようなやり方は
絶対に間違ってる!!!」
治夫が、泣き叫ぶようにして、泉谷の方を見つめたー。
ずっと、ずっと、慕ってきた恩師ー。
中学時代、身を挺してまで、治夫のことを助けてくれた恩師ー。
真摯に生徒に向き合う、泉谷聖一という教師に、治夫は
中学生ながら、当時、大きな感銘を受けたー。
”自分の信じた道を進め
信じた道を進めなくなった時、未来への扉は閉ざされる”
泉谷先生のその教えは、今に至るまで、
治夫の心の支えでもあり、原動力にもなっていたー
それなのにー
「--犠牲を払おうとも、警察の闇を暴くー
それが、俺の信じた道だー」
そのためなら”犯罪者”と組むことだって、するー。
黒崎や臼井のような犯罪者で無ければ
”躊躇なく人を皮にして、利用する”なんてことはできないー。
それにー
”利害関係の一致”は、時に強い結束力を生むー。
泉谷・黒崎・臼井・中曽根ー
”皮の力を提供する”泉谷と、
”モルティング”たちは互いに互いを利用し合っているからこそー、
下手に絆を作るよりも、互いに、利用しやすいー。
「ーー俺の仕事は、犯罪者を捕まえることですー。
それがたとえ、先生であっても」
治夫は、強い眼差しで泉谷を見つめ返したー。
「ーーそして、先生の言う話が本当ならー…
目黒警視正たちが何かを企んでいるならー
それも、止めますー。
俺の仕事は、犯罪者を捕まえることですからー」
”若いな”
人は、そんなに強くないー
理想論を口にするのは、簡単でもー
”平和的な方法”で闇を暴くことができるほど、この世は甘くないー
泉谷はそう思いながらも、
治夫の眼差しには一点の迷いもないことを悟り、呟いたー。
「--それが、お前の信じた道か?」
「---はいー。
これが、俺の信じる道です」
治夫の強い決意に、泉谷は少しだけ表情を緩めてー
「お前らしいなー、長瀬」と、呟くー。
いつの間にか外に出て行っていた臼井隼人が
車を入口につけると、泉谷はその車の方に向かったー。
「---長瀬ー。
俺の信じる道を阻もうとするのならー
俺も、容赦はしないー」
泉谷はそれだけ言うと、車に乗り込み、
「--黒崎」と、呟くと、黒崎陣矢は笑みを浮かべて頷いたー。
臼井隼人が車のハンドルを握りー
泉谷と臼井は走り去っていくー。
「---…痛い…いたい…いたい…」
女子大生の鈴が目を抑えながら泣いているー
治夫は、「大丈夫…もうすぐ、もうすぐだからな」と、
救急車の到着を待つー
「--ククク…いいねぇ、やはりお前は、最高だよ」
残っていた黒崎陣矢が笑いながら治夫の方を見つめるー
治夫は、鈴をかばうようにしながら、黒崎陣矢に銃を向けるー。
”皮”を身に着けていない状態の黒崎陣矢ー。
今、ここで撃てば、黒崎陣矢を捕まえることができるー。
「-お前を八つ裂きにしたら、本当に気持ちいいだろうなぁ…」
黒崎陣矢は、そこまで言うと、
突然、隠し持っていたナイフを治夫に向かって投げたー
治夫がそれを避けて、銃を放つー。
「--ロクに銃も撃ったことねぇんだろ?無理すんなよ!」
陣矢が、もう1本のナイフを手に、治夫に襲い掛かって来るー。
治夫の持っていた銃が蹴り飛ばされて、床に音を立てて転がるー。
「--黒崎陣矢ーーー!」
治夫が陣矢を睨みつけるー。
陣矢は笑みを浮かべながら治夫を馬鹿にしたように見つめるー。
「-ーお前の尊敬する先生から誘われて、俺は
皮にする力を手に入れたんだぜ!」
殴る・蹴るの戦いを繰り広げながら、陣矢が笑うー。
「--俺が泉谷に協力する代わりに、
俺はこの最高の力を手に入れるー
お互いにWinWinってやつだー。」
陣矢の言葉に「これ以上お前の好きにはさせない!」と
治夫が、黒崎陣矢の腕を掴み、力強く投げ飛ばすー
投げ飛ばされた陣矢はー
信じられない行動に出たー。
蹲っているままの鈴に近づきー
鈴に再び、”人を皮にする注射器”を打ち込んだのだー
「--!おい!やめろ!」
治夫が大声で叫ぶー
だがー
陣矢はすぐに鈴の皮を身に着けるとー
鈴は目から血を流したまま、笑ったー
髪はボサボサでー
目から血を流しー
綺麗な足は、汚れているー。
鈴の生足が治夫に襲い掛かるー
「--くっくくく 可愛い女子大生に蹴られたいだろ?」
鈴がニヤニヤしながら笑うー
「--貴様…!またその子を…!
その子を、、その子を解放しろ!!」
治夫が大声で叫ぶー
「--解放?へへへ 俺は”自分の服”を着てるだけだぜ?」
鈴が挑発的に笑いながら胸を揉むー。
ボロボロの容姿で笑っている鈴はー
何とも言えない無気味さを放っていたー。
「--美人が、どんどんぶっ壊れていくー
桜が散る瞬間と似てるよな…!
ゾクゾクするぜ! しゃああああああ!」
舌をペロペロさせながら、ナイフで襲い掛かって来る鈴ー。
治夫は、ナイフを蹴り飛ばすと、
そのまま鈴の腕を掴むー
「--その子を、解放しろー」
怒りの形相で陣矢を睨む治夫ー。
「--着れなくなるまで、服を着るー。
俺は、地球環境にも優しい男なんだよ」
鈴が挑発的に笑うと、
突然、バク転しながら、治夫を蹴り飛ばすー。
鈴の身体から、血がぽたぽたと零れ落ちるー。
「---!」
救急車のサイレンが聞こえて来たー。
治夫と鈴を乗っ取った陣矢がその音に気付くと、鈴は笑ったー。
程なくして、救急車が駆けつけて来るー。
救急車から降りて来た救急隊員たちー。
だが、鈴は目から血を流したまま、困惑する救急隊員の前を
堂々と歩くと、
「-救急車は、必要ありませ~ん♡」と言いながら、
そのまま近くに止めてあったバイクに跨ったー
「--黒崎ーーーーーーー!!!」
治夫がバイクにしがみついて、黒崎陣矢に乗っ取られた鈴を止めようとするー。
走り出したバイクに引きずられてー
地面に転がる治夫ー。
「--また遊んでやるぜ!あばよ!」
鈴は、笑いながら手をあげると、
そのまま夜の廃工場に笑い声を響かせながら、走り去っていったー。
「--くそっ…!くそっ!」
治夫は、悔しそうに地面を叩くと、困惑している救急隊員たちに、
”皮”のことは告げず、警察手帳を見せながらうまく話を合わせたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「----…」
怪我をした状態で帰宅した治夫ー。
既に夜遅くー
彼女の亜香里が心配そうに治夫に声を掛けるー。
「何があったの?大丈夫!?」
亜香里の言葉に、治夫は、寂しそうな顔で、亜香里を見つめたー。
「--久しぶりに、先生と会ったよー」
治夫の言葉とー
その悲しそうな瞳にー
亜香里は、何も聞かずとも
”尊敬していた恩師との再会”が、良い再会でないことを悟ったー。
「---治夫…」
亜香里は、それ以上何も言わずに、治夫の頭を優しく撫でると、
そのまま優しく治夫を抱きしめたー。
「--お兄ちゃん、帰って来たの~~?」
トイレから出て来た妹の聡美が、部屋の方に戻ってくるとー
ちょうど、亜香里が治夫を抱きしめている光景が
広がっていたー
「-------」
聡美は顔を真っ赤にしながら、
「-ー……え、、、え~っと、…あ!そだ!トイレ!」と、
今出て来たばかりのトイレに再び戻って行ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「--目黒警視正、お話がありますー」
モルティング対策班の本部にやってきた治夫は、
目黒警視正の机の前に行くと、目黒警視正に声を掛けたー。
アウトロー風の明信、好青年風の幸成、ギャル風の真綾が
それぞれ、そんな治夫の方を見つめるー。
「-ーーー」
目黒警視正は、治夫の険しい表情を見て、
少しだけ笑ったー
いつものように、一見すると穏やかだが、
鋭い眼光を治夫の方に向けるー。
「--いいでしょう。
私もちょうど、あなたとお話したいと思っていたところでした」
目黒警視正はそれだけ言うと、時計を見つめてから
「申し訳ありませんが、このあとは、打ち合わせがありますので、
今日の夜、改めてお話を聞くかたちで、よろしいですか?」と、
治夫の方を見て呟いたー。
”誰にでも敬語”
自分より、遥か下の立場であるはずの、治夫に対してもー。
そんな、目黒警視正を少し無気味に思いながらも、治夫は
「えぇ、構いませんー」と、呟いたー。
目黒警視正が「では、失礼します」と、退出すると、
治夫は自分の机の元に向かうー。
「--大丈夫か?」
好青年風の幸成が治夫に声を掛けるー
「--堂林さんー…はい、大丈夫です。
ちょっと警視正に聞きたいことがあって」
治夫がそう言うと、
「聞きたいこと?」と、アウトロー風の明信が、ガムを噛みながら
治夫の方を見つめたー
「--どうしても気になることがあってー」
治夫の言葉に、明信は「また面倒なことに首を突っ込もうと
してるんじゃないだろうな?」と、少し呆れ顔で
ボサボサの髪をかきむしりながら言うー。
治夫がそれに反応していると、
背後から、ギャル風の真綾が、治夫の肩に手を置いたー
ビクッと、しながら振り返ると、
すぐ側に真綾の顔ー
(距離ちかっ…)と、思いながら
治夫が少し引き気味に「な、なんですか…?」と呟くと、
真綾は笑ったー
「--メグちゃんに、”話があります”って言った時の
ハルくんの顔、かっこよかったよ!」
とー。
「--マジでキュンとしちゃった♡」
真綾はそれだけ言うと、笑いながら、部屋の外に出て行くー」
「--ははは…三枝さんは見境ないなぁ」
好青年風の幸成が、苦笑いしながら言うと、
隣にいた明信はガムを噛みながら
「ー滅茶苦茶、男遊びしてそうな感じだよな」と、冗談を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
対策班での仕事を終えると、治夫は、目黒警視正の部屋に向かったー。
目黒警視正は、ブラインドから差し込む夜の街の光を見つめると、
「-お待ちしていました。」と、治夫の方を見て、微笑んだー。
「--それで、聞きたいこととは?」
目黒警視正が微笑むー。
治夫は、少しためらってから口を開いたー。
「--”剛”とは、何者なんですか?」
とー。
泉谷は”剛”に殺されかけたと言っていたー。
対策班に所属する”剛”とは、治夫をはじめ、
未だに誰も会うことが出来ていないー。
「--お答えできません。
”剛”は私としか会いません」
目黒警視正は淡々と返事をしたー。
薄暗い部屋で、治夫は緊張で喉がカラカラになるのを感じながらー
次の質問をぶつけるー。
「--目黒警視正はーー
警察庁長官の指示で動いているー
そうお聞きしましたー。
本当ですか?」
治夫が言うー。
泉谷の話が本当なら、
目黒警視正は、息子の罪をもみ消した警察庁長官・西園寺の指示で
動いている可能性が高いー。
「ーーお答えできません」
目黒警視正はほほ笑むー。
「---…」
治夫は、首を振りながら、乾く口を必死に動かしてー
”最後の質問”をぶつけたー。
「---…”人を皮にする力”は、警察が生み出したというのはーーー
本当ですか?」
とー。
「---」
「-----」
「--…」
しばらくの沈黙ー
ブラインドから差し込む夜の街の光を見つめながらー
治夫は目黒警視正をしっかりと見つめるー。
「---時が来れば、お話しましょうー」
それだけ言うと、目黒警視正は、治夫を見つめたー。
「--誰からそんな話を聞いたんです?
黒崎陣矢?臼井隼人?それとも、中曽根佳純?」
目黒警視正の言葉に、治夫は口を閉ざすー。
「-治夫くんー
あなたは昨日、”黒幕”と会ったー。
違いますか?」
目黒警視正は、やはり何でもお見通しだー。
治夫はそう思ったー
だがー
治夫は答えなかったー。
恩師である泉谷を庇うためー?
いいやー
違うー
目黒警視正に、伝えてはならないー
なんとなく、そう思ったのだー。
「--黒幕は、誰ですか?」
目黒警視正が微笑みながら尋ねるー。
「---時が来れば、お話しますー」
治夫は、先ほどの目黒警視正の言葉を返したー。
目黒警視正は満面の笑みで「なるほど」と、頷いたー。
「-----」
目黒警視正は少し間を置いてから、口を開くー。
「お話は以上ですー。
治夫くん、君には期待していますよ」
治夫は、まだ何かを聞こうとしたが、
目黒警視正は、これ以上、何も答えるつもりはなさそうだったー。
治夫は悔しそうにしながら頭を下げると、
そのまま警視正の部屋から出て行くー。
「-----」
一人残された目黒警視正は少しだけ微笑むー
”治夫くんー、
あなたには期待していますよー
心からー”
とー。
そしてー
”私が、ボロを出すとでもー?”
目黒警視正は、心の中でそう呟いたー。
立ち去った治夫ではなくーーー
”目黒警視正を監視する目”に対してー。
「-----」
目黒警視正を、密かに”監視”していた人物は、
そのまま闇の中に姿を消したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜道ー
「お疲れ様でした~」
メガネをかけたOLが、同僚と別れて家の方角に向かって歩き出すー。
「ーーーーーー」
背後から、気配を感じて、OLが振り返ったと同時にー
OLは、ブスッ、と注射器を打ち込まれて皮になったー。
男は、OLの皮を着て、何事もなかったかのように、
笑みを浮かべると、そのまま歩き出すー。
”モルティングは、補充される”
かつて、目黒警視正が、治夫に説明した通りー。
モルティング対策班に班目順太郎を射殺された
泉谷たちは、代わりに”治夫”を仲間に引き入れようとしたー。
だが、治夫が泉谷への協力を拒んだことでー
泉谷らは、また”別の候補”に人を皮にする力を与えたー
モルティングは補充されるー。
いくらでもー。
臼井隼人を倒してもー
黒崎陣矢を倒してもー
中曽根佳純を倒してもー
根本を絶たねば、いくらでもー
ストーカー及び痴漢を繰り返している常習犯、
春山 正義(はるやま まさよし)は、
乗っ取ったOLの身体を堪能するため、
そのまま夜の公園のトイレに入って行ったー。
⑯へ続くー
・・・・・・・・・・・・・・
コメント
気付けばもう第15話…!
連載を始めてから3ヵ月が経過しましたネ~…!
ついこの間まで前の長編(女体化X異世界転生)を書いていた気がするので、
時の流れの速さを感じちゃいます…!笑
今日もお読み下さりありがとうございました~!