<女体化>狂気の瞳②~不安~ (Pixiv Fanbox)
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大学生の麻帆は、
一人暮らしを始めて、なかなか新しい地に馴染めずにいたところ、
大学で声を掛けてくれた一人の女子と仲良くなったー。
その相手が、立花 千鶴だったー。
やがて、千鶴と同居を始めて、二人で共同生活をしながら、
大学生活を満喫していた麻帆ー。
見慣れぬ地で、一人暮らしを始めー
高校時代のバイト先の後輩からストーカーされた経験から、
大学でも、なかなか親しい友達が出来ずに
辛い思いをしていた麻帆が、
平穏な大学生活を今、送ることが出来ているのは、
千鶴の存在があったからこそ、だった。
しかしー。
「ーーすごいだろ?僕、女の子になったんだ…!
名前も変えて、今じゃ麻帆ちゃんの親友だー」
数日前ー
成人して初めての機会ー、ということで
お酒を飲んで酔いつぶれてしまった千鶴が言った言葉が
どうしても、麻帆の頭の中から離れなかったー。
「-ちづる?えへへへ…僕は鷹雄だよぉ♡」
下園鷹雄ー。
忘れもしない、高校時代のバイト先で
ストーカー化した後輩の男だー。
「-ねぇ、麻帆ちゃん、だいじょうぶ?」
顔を妙に近づけて来る千鶴ー。
千鶴は、距離感がやたらと近いー。
そのことを今までは何とも思わなかったのだがー、
”僕は鷹雄だよぉ”という言葉を聞いてから、
恐怖を感じるようになってしまったー。
「---あ、、、ううん、なんでもない…」
麻帆は、引きつった笑みを浮かべながら、そう返事をしたー。
「---も~~!麻帆ちゃんってば~!
ほら、笑って笑って!」
千鶴はそう言いながら、麻帆を突然くすぐり出すー。
こういうことも、よくある光景だー。
だが、千鶴と下園鷹雄の存在が、だぶって見えてしまうー。
「麻帆ちゃんは元気が一番だよ~!
ほら、元気出して元気だして!」
千鶴はそう言いながらふざけて麻帆の胸を揉み始めたー
これも、別に特別なことじゃないし、
麻帆も”今までは”何とも思わなかったー
「--やめて!」
麻帆は思わず、千鶴を振り払ったー。
下園鷹雄に胸を揉まれているような気がしてしまってー
身体が拒絶してしまったー
「--え…そ、そんな顔しないでよ」
千鶴が表情を歪めるー。
「-わたしは、、ほら、、麻帆ちゃんといられれば
幸せなんだから…♡」
千鶴が顔を赤らめながら呟いたー。
”今まで”は、
何とも思わなかったー
今まではーー。
千鶴のこの積極的な性格が、麻帆にとっては
何よりも支えだったし、
千鶴も居心地が良かったー
けどー
先日の酔った日の言葉ー
”僕は鷹雄”
”女の子になってよかった”
という言葉が本当なのだとすればー
目の前にいる”立花千鶴”という名の親友は
”下園鷹雄”が女体化した姿ということになるー
つまりは、姿は違っても、
立花千鶴=下園鷹雄ということになるのだー。
「---ご、、ごめん」
麻帆が目を逸らすー。
「---何か悩んでるなら、教えて。
わたし、麻帆ちゃんのためだったら、なんだってする」
千鶴が言うー。
千鶴は、”本当に酔っていた”
まだ成人したばかりで”初めてのお酒”だったために、
少量しか飲んでいないつもりだったが
自分の予想以上に酔ってしまい、
酔った自分がまさか、”自分が女体化した下園鷹雄”だと、
自ら自白してしまったなどと、夢にも思っていないー。
「---…いいの、ごめんね」
麻帆は、千鶴にそう言うと、ベッドの方に向かったー。
麻帆は、言い出せなかったー
千鶴には、”高校時代にストーカー被害に遭ったこと”も話してあるー
だから、その話を覚えていて、
酔った弾みで冗談を口にしただけの可能性は、
当然、十分にあるー
けれどー
もしもー
もしも、本当に千鶴が鷹雄なのだとしたらー。
この”幸せな生活が壊れてしまう”かもしれないことー
そしてー
”自分が何をされるか分からない恐怖”から、
麻帆は言い出せなかったのだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
麻帆が寝静まると、千鶴は麻帆の側にやってきて、
麻帆の寝顔をじーっと見つめたー
「ふふふふ…可愛い…」
千鶴がペロリと舌を舐めるー。
「----」
じーーっと、麻帆を凝視して、はぁはぁと息をする千鶴ー。
千鶴はスマホを手に、麻帆の寝顔を撮影し始めたー
”こんなに近くに、こんな風に一緒にいられるなんてー
僕、最高だよー”
治験に参加してよかったー。
まさか、こんな”副作用”が起きて、女になることが出来るなんてー
「--おかげで”僕”は、いつも麻帆ちゃんと一緒だー」
千鶴はそう呟くと、麻帆にキスをしようと、顔を近づけたがー
麻帆を起こしてしまうと考えて、
そのまま麻帆の側から離れたー。
千鶴が立ち去っていくと、麻帆は少しだけ身体を動かしたー
「------」
麻帆は、”寝たふり”をしていたー。
(今のは…)
麻帆は、今の千鶴の言葉に、改めて恐怖したー。
千鶴=鷹雄である可能性がさらに上がってしまったー。
麻帆はその日から
”女体化”
”性転換”
”男が女になる”
そのような現象をこっそりと調べ始めたー。
もしもー
”気にしすぎ”ならそれでいいー
あの時のストーカーが女になって、自分と同居を始める、なんて
現実的にはあり得ないー。
下園鷹雄が、立花千鶴であるはずなど、ないー。
千鶴のことは大好きだし、
これからも、千鶴と一緒にいたいー。
けれど、一方で、
もしも、「千鶴」=「鷹雄」なのであれば、
話は別だー。
千鶴が鷹雄なのであれば、
”今”は良くても、将来的に自分が酷い目に遭う可能性は
十分にあるー。
あの時のストーカーが女体化して”立花千鶴”を名乗っているのならー
今度、”何かのきっかけ”で千鶴が豹変する可能性も非常に高いー。
だからー
はっきりさせたかったー。
”本人には聞けない”
そう思いながら
”男が女になることなんてあるのかどうか”
という点を必死に調べていく麻帆ー。
「---はぁ…」
麻帆は、ため息をつくー。
今日も大学から早めに帰宅し、自宅のパソコンで、
”女体化”について調べるー。
千鶴は完全に”女子大生”だー。
下園鷹雄のような人間が、今の立花千鶴のような姿に
なることなど、あり得るのだろうかー。
”千鶴が、正真正銘、千鶴であるという確証が欲しかった”
”千鶴が、鷹雄ではないという確証が欲しかった”
「---…」
麻帆は疲れて、いったんトイレの方に向かうー。
トイレに入ってしばらくすると、
玄関の扉が開く音がしたー。
”あ、千鶴…帰って来たのかな”
そんな風に思いながら、トイレを済ませて、
部屋に戻った麻帆は、表情を歪めたー。
”女体化”について調べていたパソコンの画面を
うっかりそのままにしてしまっていたのだー
それを、千鶴が見つめているー。
「-----ち、千鶴…おかえりなさい」
麻帆が千鶴の様子を伺いながら、そう呟くと、
千鶴は「ただいま!麻帆ちゃん!」と、いつものような笑みを浮かべたー
そして、千鶴はパソコンの画面の方を見つめるー
「--”女体化”なんて調べて、どうしたの?急に」
微笑む千鶴ー。
その笑顔がー
なんだか、とっても怖く感じたー。
「---…え、、あ、、、ううん…
ちょっと大学の研究でー」
麻帆が言うと、千鶴は「嘘はよくないよ」と、微笑みながら言ったー
「--麻帆ちゃん、
わたしたち”親友”だよね?
隠さずに言ってごらん?
なんで、”女体化”なんて調べてたの?」
千鶴の言葉に、
麻帆は震えながら答えたー。
「----ち、、ち、、千鶴がー」
麻帆は、先日、大学の集まりで飲んだ際に、
想像以上に千鶴が酔ってしまいー
家まで運んで来た時に、千鶴が
”僕は鷹雄だ”と言っていたことー
”女の子になってよかった”と言っていたことを明かしたー
その上で、
「わたし、本当にあの時のことがトラウマなのー
だから、ただの寝言だと思っていても、
どうしても気になっちゃってー
それで、最近ずっと悩んでてー」と、
言葉を口にしたー。
「-------」
千鶴は、パソコンの画面の方をじーっと見つめているー
指でトントンと机を何度も何度も叩いて、
少しいら立っているように見えるー
だが、深呼吸をすると、千鶴は麻帆の方を見つめたー。
「--麻帆ちゃん、わたしはわたしだよー
酔ったときなんて、何を言うか分からないんだしー。
わたしが、その下園鷹雄って人なわけないでしょ?」
千鶴が笑いながら言うー。
「そ、そ、そ、そうだよね!うん、、うん!ごめんね」
麻帆は青ざめながらも、そう答えたー
「-そう!わたしは千鶴だよ!鷹雄って人じゃない!
たぶん、酔っぱらったわたしが悪ノリして
そう言っただけ!
本当に、、、本当にごめんね」
千鶴はそれだけ言うと、
無意識なのだろうかー。
髪を何度も何度もいじりはじめたー。
「---!」
麻帆は思うー
下園鷹雄の癖ー
忘れもしないー
下園鷹雄が、バイトで何かをミスしたときにー
よくやっていた癖ー。
「ーーあ、、ちょっと、、、、手を洗ってくる」
千鶴はそれだけ言うと、洗面台の方に足早に立ち去って行ったー。
「--ち、千鶴…」
麻帆は、震えていたー
千鶴本人から
”わたしは鷹雄じゃない”
”わたしは千鶴だよ”
と、言われたのにも関わらずー
余計に不安が増してしまったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー
”女体化”について調べているパソコンを
見られてから、千鶴の様子がおかしいー
麻帆にさらに接近してくるようになり、
麻帆を束縛するような発言も目立ち始めたー。
”わたしは千鶴だよ”と言いつつも、
行動が”おかしくなってきている”
麻帆は、そう感じざるを得なかったー
そしてーー
麻帆はついに、そのことを指摘したー
「最近の、千鶴、変だよ!」
とー。
千鶴に対する恐怖心に、耐えられなくなってしまったのだー。
「-----」
千鶴は、黙り込んでいるー。
「--千鶴、一回、別々に暮らそう?」
麻帆が言うと、
千鶴が表情を歪めたー
その顔を見て、麻帆は咄嗟に付け加えるー。
「---…ご、ごめんね…
べ、別に、千鶴のことが嫌いになったとかじゃなくて、
千鶴は、わたしの親友だけどー」
そこまで言ってから、深呼吸して、さらに付け加えたー。
「最近は、お互いになんだか、変になっちゃってるし、
千鶴のためにも、わたしのためにも、
一回別々に暮らして、頭を冷やしたほうがいいと思うのー。
親友だからー
親友だからこそ、お互い、気持ちよく過ごせることがだいーーー
「--どうしてだ?」
千鶴が呟いたー
「え…?」
麻帆は言葉を止めて、千鶴を見るー
「--どうして、麻帆ちゃんはーー
どうして、麻帆ちゃんは僕を拒むんだ!」
千鶴が大声で叫んだー
「え…ちづ、、、千鶴…?」
麻帆は青ざめるー。
それと同時に、過去のトラウマがよみがえるー
「--あぁ、そうだよ、僕は下園鷹雄だよー
この姿は、治験の副作用で女になった姿さー
いいじゃないか。
いいじゃないかよ。
今は、わたしたち女同士なんだからさー
何が不満なんだ?
毎日僕は、麻帆ちゃんのために尽くしたー
毎日毎日わたしたち、楽しかったじゃん!
僕の何が不満なんだよ!」
千鶴が、千鶴としての口調と、
鷹雄としての口調が入り乱れた口調で叫ぶー。
「--僕は花園から立ち上がった一輪の花だー。
僕は、鷹から鶴になって、麻帆ちゃんを迎えに来たんだー!」
千鶴が笑いながら叫ぶー。
下園鷹雄から、立花千鶴へー。
その名前にも、麻帆への愛を込めたのだと、千鶴は狂ったように叫ぶー
「--同棲解消なんて、わたし、絶対に許さないー」
千鶴は、麻帆を睨みつけたー
その瞳には、狂気が宿っている。
麻帆は、あまりの恐怖に震えながら、千鶴のことを見つめることしか
できなかったー。
③へ続く
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コメント
ついに本性を現した元ストーカー…!
続きはまた次回デス!
今日もお読み下さり、ありがとうございました!!