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OLの美姫は、

隣人・佐々木家の家からの脱出に成功してー

隣町に移動していたー。


隣町に住んでいる高校時代からの友人・日花里(ひかり)に、

助けを求めて、しばらく匿ってもらうことにしたのだー。


佐々木家の最近の異変はー

父・大輔を除く3人ー、

母・静江、長男・誠司、長女・麻奈ー

その3人が、不良三人組に憑依されてしまったことによるものだったー。


つまり、三人は身体を乗っ取られて好き勝手

操られている、ということになるー。


「--頼む。これでー

 これで、誰かに助けを求めてくれー


 さっき、君が見た映像が、そこには保存されてるー

 どうか…

 どうかーー」


佐々木家の父・大輔の言葉を思い出す美姫ー。


そのUSBメモリは、美姫の手に握られているー。

日花里の家にやってきて、ようやく一息ついた美姫は、

そのUSBメモリのデータを確認したー。


「ーーでもさぁ、その憑依ってマジなの?」

美姫を迎え入れてくれた親友・日花里が

美姫の方を見ながら言うー。


「--うん…わたしも信じられないんだけど…

 隣の家の、佐々木さんが、身体を乗っ取られてるの」

美姫の言葉に、日花里は苦笑しながら

「--美姫以外からそんな言葉聞いてたら

 わたし、100%信じないよ?」と、呟いたー


美姫は「ーーそうだよね」と呟きながら、

日花里に貸してもらったノートパソコンで、

佐々木家を脱出する直前に大輔から預かったUSBメモリの

内容を確認しようとしたー。


乗っ取られた麻奈たちが

”自分たちが乗っ取られる映像”を、美姫に見せつけるときに

使っていたUSBメモリだ。


この中には、麻奈たちが乗っ取られる映像が

”記録”されているー。

これを使って佐々木家を助け出すー。


あの場所に引っ越してから、新生活に不安な美姫を

色々気遣ってくれた佐々木家ー。

何としても、助けてあげたいー。


「--そのUSBに、証拠が入ってるの?」

日花里が言うと、美姫は「うん。見て」と、

USBを読み込んでいる最中の画面を指さしたー。


「---……!」

美姫は、パソコンに表示された画面を見て、

表情を歪めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「--テメー、ふざけた真似しやがって」

長女・麻奈が、容赦なく父親の大輔を蹴り飛ばすー


大輔が、捕えていた美姫をひそかに逃がし、

しかも、USBメモリを美姫に託したことを知った

麻奈・静江・誠司の3人は、佐々木家で唯一正気の大輔に

徹底的な暴行を加えていたー。


暴言を吐く娘ー

暴力を振るう娘ー


”乗っ取られているだけだ”

と、理解はしつつも、

娘のそんな姿は、見たくなかったー。


女子高生にはとても合わない妖艶な服装で、

麻奈が近づいてくると、麻奈は笑ったー


「-おっさんさぁ、勃ってんじゃん」

指を差す麻奈ー。


「--え?マジで~!?やばっ!」

全裸の妻・静江も笑うー。


「--ちがうっ…これは、、これは…!」

大輔が悔しそうに叫ぶー


”豹変した娘”

”裸の妻”

それを見て、どうしても大輔はドキドキしてしまうー

そんな気はなくてー

怒りで心はいっぱいなのにー。


「--娘に興奮してるとか、やばくない?」

麻奈はニヤニヤしながら、

「お父さんのこれ、わたしの口で咥えてあげよっか♡」

と、微笑むー。


「--ひゅ~!いいぞ~!麻奈!やれやれ!」

女装した長男・誠司が笑うー。


「--ふ、、ふざけるな…!

 娘を、、娘をこれ以上、汚すな!」

怒りの形相で、大輔が乗っ取られた麻奈を見つめるー。


しかし、麻奈は、なおも”意地悪”を続けるー


父である大輔の手を取って、自分の胸を触らせる麻奈ー


「なっ…」

思わず顔を赤らめてしまう大輔ー。


「---ふふふっ わたしのおっぱい、気持ちいいでしょ?」

麻奈が挑発的に笑うー


大輔は怒りの形相で麻奈を睨むー。


もしもー

麻奈から男を引きずりだす力が、大輔にあったのであれば、

大輔は恐らく、この場で、麻奈に憑依している不良を

八つ裂きにしているだろうー。


だが、そんなことは出来ないー

麻奈を傷つければ、麻奈に憑依している男ではなく

麻奈が傷つくー。


「--娘で興奮してるなんて、キモイおとうさん♡」

麻奈はそう言うと、大輔を見下すようにして、見つめてから、

急に真顔に戻って大輔の顔面を蹴りつけたー。


「--俺たちに逆らうんじゃねーよ!

 娘と妻と息子がどうなってもいいのか??

 あ~~~~~~~~???」


麻奈が、麻奈とは思えないような大声を出して

大輔を睨みつけるー。


妻の静江が「何なら、わたし、裸のまま街中を走ってもいいのよ?」と

挑発的に微笑むー


「やめろ!やめろ!やめてくれ!

 そんなことしたら、静江は…!」


裸で街中を歩かれでもしたら、静江の人生は完全に壊れてしまうー。

それだけは、阻止しなくてはいけないー。


「--ふふふ 大事な妻が痴女になっちゃうかどうかは、

 お前の行動次第なんだよ」


静江はそう言うと、近くのイスに座って、大輔を見つめたー


女装した誠司が口を開くー


「-でも、あの隣人の女、どうするよ?

 俺、身体欲しかったんだけどなぁ~

 やっぱ、女装じゃ満足できねぇ」

誠司が笑いながら言うと、

麻奈が笑ったー。


「-大丈夫さ。あのUSBのデータは消しておいたから、さー

 それに、あの女は絶対に戻って来るー。

 わたしを助けるため、に、ね…♡

 くくくくくく」


麻奈の言葉に、大輔は表情を曇らせながらー

逃がした美姫が、どうにかしてくれることを

祈ることしかできなかったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


USBメモリには、何のデータも含まれていなかったー


「---え」

美姫が表情を歪めるー。


大輔が、憑依された麻奈たちから盗み出して、

美姫に渡した時には、

既にデータが消去されていたのだー。


大輔はそれを知らず、美姫にUSBを渡し、

美姫もそれを知らずに、たった今、そのUSBを

再生しようとしてしまったー


「--何も、入ってないじゃん」

親友の日花里が言うと、美姫は「…うん」と

表情を曇らせたー。


「----まぁ、わたしは信じるけど、

 それじゃ、他の人には、信じてもらえないと思うなー。


 ”お隣さんが憑依された”なんて、

 ふつう、信じないでしょ?」


日花里の言葉に、

美姫は「た、確かにそうだけど…本当に佐々木さんは憑依されてるの」と

困り果てた表情で言い返したー。


日花里は、そんな美姫を見て、少しだけ微笑むー。


「--わたしは、美姫を信じるー。


 でもーーー

 まずは、現実を見なくちゃね?」


笑う日花里ー


日花里は、高校時代から、本当に頼りになるー

友達思いで、頭もいいし、何より優しいー

それでいて「理想と現実の区別」がしっかりつく

現実主義なタイプで、

冷たい現実からも、目を逸らさず、

その上で「どうにかできないかどうか」を

考えることが出来る子だー


今も、そうー。

美姫は、そのまま警察に駆け込んで

佐々木家を助けてもらおうとしていたー。


けれど、日花里の言う通り、”憑依”なんて

絶対に信じてもらえないー


だから、日花里は”対策”を考えようと言ってくれているのだー。


「--うん。そうだね。うん…まずはわたしが落ち着かないと、だね」

美姫が言うと、日花里は「そうそう」と、微笑んだー。


「ーーでもごめんね。忙しい時期にー」

美姫の言葉に、日花里は「大丈夫大丈夫」と笑うー。


日花里は、高校時代から付き合っている彼氏と

3か月後に結婚する予定がありー、

その彼氏と再来月ぐらいから同居する予定だと、以前話していたー。


「--亮平(りょうへい)と結婚しても、

 美姫がわたしの親友であることには、変わりないんだから」


その言葉に、美姫は嬉しそうに頷いたー。


「--とにかく、しばらくは気にせずに、ここにいていいからね!

 お隣さんがそんな状況じゃ、美姫の身だって

 危ないだろうし!」

日花里はそう言いながら、台所の方に向かって行くー。


「--うん。本当にありがとうー、日花里」

美姫はそう微笑みながらー

”佐々木さんをどうやって助ければいいんだろう…”と、

頭をフル回転させながら考え込んだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー

OLである美姫は、日花里の家から出社しー

普通に仕事を終えるー


そしてーー

自分の家の周辺に足を運んだー。


佐々木家に突入するわけでもなければー

自分の家に帰宅するわけでもないー


”少しでもー”

佐々木家を救うためにー


「-----」

美姫は、佐々木家の周囲にやって来ると、

家の中から声が聞こえないからどうか、耳を澄ませたー。


美姫の手にはボイスレコーダー。

なんとか、憑依されている麻奈・誠司・静江の誰かが

”憑依してやったんだぜ~”のような発言をしている

音声を拾うことが出来ればー、

佐々木家に憑依しているやつらを追い詰めることが出来るかもしれないー


まずは、”警察”に相手にしてもらえるような

”証拠”を集めないといけないー。


”わたしの隣人が憑依されてしまったんです”では、

警察は恐らく動かないー。

呆れ顔で失笑されるだけなのは、目に見えているー。


美姫は、家の中から聞こえて来た

かすかな会話をボイス子レーダーに録音したがー

話の内容が不明瞭で、これでは証拠にならないー。


「---」

続けて美姫は、”佐々木家以外の近所の住人”何人かと

話をして回ったー


”佐々木家の異変について”ー

やはり周囲も”佐々木さんが最近おかしい”とは気づいていたー。


近隣住人が、協力して警察に相談すれば、なんとかなるかもしれないー


「あ、美姫ちゃん!昨日、ずっと留守だったみたいだけど

 もしかして彼氏とかできたの?」

近所のおばさんに声を掛けられる美姫ー


「あ、いえ、ちょっと、友達の家に泊っててー。」

美姫がそう言うと、「あ、そうなの~」と、そのおばさんが微笑むー


美姫は、そのおばさんとも「佐々木家」について会話をしてー

そして、その場から立ち去ったー


”ごめんねー

 麻奈ちゃんー、誠司くんー”


早く、佐々木家を助け出さないとー

そんな風に思いながらー

美姫は、自分の家の周辺から離れて、

自分を泊めてくれている親友、日花里の家へと向かったー。


・・・・・・・・・・・・・・・


美姫が立ち去ったあとー。


憑依されている麻奈が、近所の住人たちと話をしていたー。


「--美姫さんに相談があるんですけど、

 美姫さん、昨日の夜から、家にいなくてー」

麻奈が、”麻奈のふり”をしながら、普段通りの口調で話すー。


近所の住人は、OLの美姫と、佐々木家の長女・麻奈が

仲良しだったのは知っているー。


そしてー

先程美姫と話をしていた近所のおばさんが、うっかりと

口を滑らせてしまったー


「--美姫ちゃんは、隣町の友達の家に泊っているって

 言ってたわよ~」


とー。


「--ふ~~~ん」


美姫が逃げた先を知った

麻奈は笑みを浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「--日花里は、今日はお休み?」

美姫の言葉に、日花里は「うん!休みだよ~!」と笑うー。


「-ーーそっか!じゃあ、行ってきます~」


「いってらっちゃい~!がんばって!」


美姫が、日花里の家から職場に向かうー。

美姫が立ち去っていくと、彼氏からのLINEを確認する日花里ー


その時だったー


突然ー

”日花里にとっては知らない人”が家に入って来たー


「え、、ど、どちらさま…?」

日花里が困惑した様子で言うと、

美姫が匿われている家を突き止めた

佐々木家の長女・麻奈と長男・誠司が笑みを浮かべたー


「---”佐々木”ですー

 あのOLから聞いてるんでしょ?」

麻奈が笑うー


「--!」

日花里は表情を歪めたー


麻奈の横にいる誠司が、突然倒れると、

誠司から、茶髪の男が飛び出してー

実体化したー


「ひっ!?」

驚く日花里ー


「--結婚予定の彼氏がいる女の身体とか、

 マジで興奮するぜ」

誠司に憑依していた茶髪の男は、そう呟くと、

怯える日花里に向かってー


「婚約者のいる女の身体、げーっと」

と、呟いて、そのまま日花里にキスをしたー


もがく日花里の中に、茶髪の男が吸い込まれてー

目から涙を溢れさせていた日花里がー

無気味な笑みを浮かべたー。



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


隣人からは逃れられない…?

次回もぜひお楽しみくださいネ~!


今日もありがとうございました~!

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