<入れ替わり>わたしは、わたしに殴られた②~逆転~ (Pixiv Fanbox)
Content
結婚してからー
変わってしまった夫の哲司ー。
そんな夫に寄り添おうと必死になって頑張って来たものの、
度重なる暴力と暴言ー
過酷な”DV”に、妻の美空はついに限界を迎えていたー。
そんな中、美空が出会ったのが”入れ替わり薬”-
それを使いー、
美空は、夫の哲司と身体を入れ替えたー。
「--これで分かった!?
これが、わたしが受け続けて来た、暴力の痛みよ!」
哲司になった美空は、
美空になった哲司を思いきり、殴りつけたー。
吹き飛ばされる美空(哲司)-
離婚を突き付ける前の”復讐”-
そしてー
哲司に”目を覚ましてほしい”と、いう想いもあったー。
わずかな希望ー
けれどー
もしも、”暴力を受ける側”になって、
哲司が目を覚ましてくれればー
もう一度ー
「--調子に乗るんじゃねぇぇ!!!!」
美空(哲司)が立ち上がって鬼のような形相で襲い掛かってくるー。
美空とは思えないような鬼の形相ー
美空とは思えないような怒鳴り声ー。
それを見た時、哲司になった美空は悟ったー
夫の哲司はー
もう、”あの優しかった頃には、戻らない”
とー。
美空の身体になってもー
こんな鬼のような形相をする夫・哲司とは、もう歩めないー
とー。
「---調子に乗ってるのは…!」
哲司(美空)は、美空(哲司)の腕を掴むー。
美空(哲司)が、必死に反撃しようとするもー
”運動神経の悪い”美空の身体と
”スポーツ万能”な哲司の身体では
”覆ることのない決定的”な差があったー
「--ぐぐぐぐぐぐぐぐ」
腕を掴まれた美空(哲司)が怒りの形相を浮かべるー
「-俺は、、俺は、毎日毎日、遅くまで働いて、苦労してるんだぞ!
それなのに、それなのにお前は…!」
美空の顔と声で、そう叫ぶ哲司ー。
悔しそうな顔の”自分”を見て、
哲司(美空)は目に涙を浮かべながら叫んだー
「--そういう悔しそうな顔をしたいのは…
わたしのほうよ!」
その叫び声に、
「--このニート女が!自分だけ子供と楽しく過ごしやがって!」
と、美空(哲司)が、怒りの形相で叫んだー
「ニート???」
哲司(美空)が反論するー。
自分が仕事を辞めたのは、哲司と相談した上でのことで、
哲司も承諾していたー。
哲司がブラックな部署での勤務となってからは
家事も育児も、ほぼ一人で全部こなして
決して哲司に対して手伝ってほしいとも言わなかったし、
不満も口にはしなかったー。
哲司の仕事が本当に大変なことはよく理解していたからだー。
勿論、家事も育児も手を抜いてなどいないー。
その上で、最初は哲司が大変なことにも理解を示し、
暴力にも、暴言にも耐えて来たのにー
それなのにー
その哲司から出て来た言葉が”ニート”
「--馬鹿にすんのも、いい加減にして!」
哲司(美空)が、美空(哲司)を思いっきりビンタしたー。
美空(哲司)が驚きの表情を浮かべるー。
「--お前は…!お前は…!」
なおも悔しそうな表情の美空(哲司)ー
既に”話し合い”で解決することは、出来ない状況ー
哲司が元々本質的にはこういう人間だったのかー
それとも、過酷な仕事が哲司を変えてしまったのかー
それは、哲司(美空)には分からないー。
でもー
もうー
”前のようには戻れない”
それだけは、ハッキリわかったー。
「--お前の取り柄なんて…
このエロイ身体だけだろうが!」
美空(哲司)が胸を揉み始めるー
怒り狂った表情で、胸を揉み始めるー
「--この能無し女!裏切者!!
身体しか取り柄のない、クズのくせに!!!」
美空(哲司)は叫んだー。
哲司(美空)は、ぷつん、と何かが自分の中で
切れたのを感じたー。
散々、我慢してきたー
もう、いいよねー。
とー。
自分の身体を殴れば、元に戻ったとき、
自分が痛い思いをすることになるー。
でもー
それでもーー
哲司(美空)は美空(哲司)に怒りをぶつけずにはいられなかったー
我慢の限界ー
ここ数年、耐えに耐えに耐えに耐えて来たもの全てが、爆発したー
「--うあああああああああああっ!!!!!」
哲司(美空)が怒りの形相で、美空(哲司)を殴りつけるー
何度も、何度も、何度もー。
”元に戻れば痛いのはわたしー”
”でも、今、この時点では、わたしの身体になってる哲司が痛いはずー”
”これが、暴力”
”これが、あなたがこの数年間、わたしにしてきたことー”
どうか、
どうかー
その痛みを分かってほしいー。
わたしのことは、もう、何とでも言ってくれて構わないからー
だからー
どうかー
分かってほしいー
2歳の娘・愛の泣き声が響き渡る中ー
哲司(美空)は、美空(哲司)を、散々痛めつけるとー
美空(哲司)から離れたー
「--はぁ…はぁ…はぁ」
哲司(美空)は、荒い息をしながら、机の上に置いてある
入れ替わり薬の方を見つめるー。
そろそろ、元に戻ろうー
そして、離婚届を叩きつけようー。
もう、哲司とは終わりー。
もしかしたら改心してくれるかもしれないー
なんて、甘い考えだったー。
「---くっ…く…くぅぅぅぅ」
美空(哲司)が悔しそうな表情を浮かべるー
身体能力の差がありすぎるー。
この身体では、哲司(美空)をいつものような力で
押さえつけることが出来ないー。
「--怖いでしょ?悔しいでしょ?痛いでしょ?」
入れ替わり薬を手にしながら、哲司(美空)が叫ぶー。
「--自分より力の強い人から殴られて、暴言を吐かれてー
立ち向かおうとしても、立ち向かう力もない。
本当に怖いし、悔しいし、痛いし、悲しいの!」
哲司(美空)が叫ぶー。
美空(哲司)は、首を振るー。
確かにー
この身体では、哲司の身体から暴力を振るわれたらー
一方的に”やられる”ことしかできないー。
力の差がありすぎるのは、事実だー。
どうすることも出来ないー
「--」
離婚届を机の上に叩きつける哲司(美空)
「--愛はわたしが育てるから!
もう、あなたとは一緒にいられない!」
その言葉にーー
美空(哲司)は表情を歪めるー。
「-お前はっ…!お前は!!
散々俺を働かせて、娘を俺から遠ざけてー
その上で娘を俺から奪うのか!」
美空(哲司)が怒りの形相で叫ぶー。
「--仕事のことは本当に大変だと思う…!
でも、愛を遠ざけたりなんてしていないし、
愛を奪おうとなんてしてない!
哲司が、、哲司がそんな風にわたしをーー」
「--ふざけるな!!ふざけるな!!」
美空(哲司)は叫んだー。
そしてー
哲司(美空)に突進してきたー。
「--俺から全てを奪おうとして…!
ふざけるなああああああああああ!」
美空の喉がはち切れそうなぐらいに
大声で怒鳴る美空(哲司)-
その表情は、怒り狂った”鬼”のようだったー。
哲司の身体でもー
美空の身体でもー
哲司が中身になると”鬼”のようになってしまうー。
過酷な労働環境が人間を変えるー
歪めるー。
”哲司”は、もう、戻ることのできないところまで
歪み切ってしまっているのだー。
「----いい加減に…して!」
美空の身体では、
哲司の身体には敵わないー。
哲司(美空)は、美空(哲司)を振り払うと、
泣きじゃくる愛の方を見ながら、
「ほら!愛だって、いっつもいっつも泣いてる!
これ以上、娘をー怖がらせないd
---!?」
哲司(美空)は、言葉を止めて表情を歪めたー。
美空(哲司)の手にー
”入れ替わり薬”が握られていたからだー。
今ー美空(哲司)が突進してきたのは、
哲司(美空)を襲うのが目的ではなかったー。
”机の上に置かれていた入れ替わり薬”が狙いだったのだー。
「---ちょ、、」
哲司(美空)が驚くー。
入れ替わり薬を奪われたー。
けれどー
すぐに哲司(美空)は冷静になるー。
元の身体に戻れば、また暴力と暴言に支配されるー。
でも、どのみち元の身体に戻るつもりだったし、
すぐに離婚して、家を出ていくつもりだからー
もうー
「--!????????????」
哲司(美空)は目を疑ったー
美空(哲司)は入れ替わり薬を飲むのではなくー
容器を床に叩きつけてー割ったー。
「--え」
哲司(美空)が唖然としていると、
美空(哲司)が笑ったー
「--お前さぁ、馬鹿だよ。
この身体の”使い方”教えてやろうか?
俺の身体を使って、いい気になってるんじゃねぇぞ」
美空(哲司)は、唖然とする哲司(美空)を見ながら
玄関の方に向かって行くー
「な、、なにを…?」
哲司(美空)が言うと、
美空(哲司)が、先ほど殴られた顔を触りながら
ほほ笑んだー
「--きゃあああああああああああ!!!!」
わざと大きな声を出す美空(哲司)-
「--って、玄関の扉を開けながら
俺が叫んだら、どうなる?」
美空(哲司)が邪悪な笑みを浮かべるー。
「---ど、、どうって…?」
哲司(美空)はまだ状況を理解できていないー。
「--ほんと、馬鹿だなお前はー。
顔を殴られた女が玄関から飛び出して悲鳴を上げたらー
どうなるかって言ってんだよ」
美空(哲司)が低い声で脅すように言うー。
「--え……」
哲司(美空)は、その意味することを理解したー
「--”入れ替わってる”なんて誰も信じちゃくれないー
俺は、”夫に殴られたかわいそうな妻”になるんだよ…!
へへへへへ」
美空(哲司)が顔を触りながら言うー
「--ちょ…!そ、、そんな…今まで散々…あなたが!」
哲司(美空)が叫ぶとー
「今は俺、いいや わ・た・しが美空」
と、挑発的に美空(哲司)が呟いたー。
「---…そ、、そんな…」
哲司(美空)は、先ほど叩きつけられて床に飛散してしまった
入れ替わり薬を見つめるー
もう、入れ替わりは使えないー。
「--女には、女の武器があるんだもんなぁ…?」
美空(哲司)が笑いながら近づいてくるー。
「---…」
哲司(美空)が美空(哲司)を睨むー。
「--ごめんなさいは?」
美空(哲司)が冷たい声で言うー
”わたしに見下されているわたし”
そんな状況になってしまうー
「-ご・め・ん・な・さ・い・は???????」
美空(哲司)が言うと、哲司(美空)は震えたー
「-よく考えろ
俺がその気になりゃ、お前をDV夫に仕立てて、
娘の親権も”母親”としてお前から奪うことも出来るんだぜ?なぁ?」
美空(哲司)が言うー。
「---そ、、そ、、そんな…」
入れ替わったままの今の状態ー
哲司(美空)は、暴力を振るったDV夫扱いされてー
愛の親権も、奪われてしまうことは、間違いないー。
「ーーーご、、ご、、、ご……」
哲司(美空)が悔しそうに美空(哲司)を見つめるー
美空(哲司)は、ニヤリと笑うとー
美空の身体で、元自分の身体を殴りつけたー
「調子に乗りやがって!このクソ女が!」
美空(哲司)が叫ぶー。
誰も人を殴ったことのない美空の綺麗な手を使ってー
哲司が、哲司になった美空を殴りつけていくー
激しい暴行が加えられるー。
哲司(美空)は泣きながら、ただひたすら、耐えたー
哲司の身体であれば、美空の身体相手に反撃するのは容易ー
けれどーー
それが、できなかったー
「--離婚なんかさせやしねぇ。
二度と離婚なんて口にすんな」
美空(哲司)はそう言うと、美空の身体で酒を飲み始めるー。
「--離婚なんて次、言ったら
この身体でDV被害を訴えてお前を犯罪者にしてやる!
この身体で親権を奪って、お前から愛を取り上げてやる!
わかったな!?」
美空(哲司)が鬼のような形相でそう叫びながら
酒を飲むー
「-明日からお前が俺の身体で会社に行くんだ!
くくく…はははははははは!」
美空(哲司)は狂ったように笑うと、
酒を美味しそうに口に運んだー。
娘の愛の泣き声だけが、部屋に響き渡るー。
哲司(美空)は泣きながらー
どうすることもできない自分を、呪ったー。
”わたしは、わたしに殴られたー”
この日が、更なる悪夢の始まりだったー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
立場逆転!と思いきや、
さらに立場を逆転されてしまいました…!
続きはまた次回デス~!