<憑依>俺の彼女を見せてやる②~反応~ (Pixiv Fanbox)
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カフェの一角で、
正也の親友である勝彦は、緊張の表情を浮かべていたー。
正也に”彼女がいない”ことを揶揄っていた勝彦は、
正也の彼女を名乗る京香が姿を現したことで、
戸惑っていたー。
”この子……俺と正也のやり取り知ってるんだろうなぁ…”
気まずくなって、炭酸飲料を小刻みに何度も何度も口に運ぶ勝彦ー。
「--お~~お~~お~~!なら見せてくれよ!
頭の中の妄想の彼女じゃないなら、見せてくれよ!」
「ああ、、あぁ、!見せてやるよ!」
--俺に本当に彼女がいたら、お前、俺の言うこと、なんでも聞けよ!?」
「-お前の話が嘘だったら、お前が俺の言うことを聞くんだぞ!」
正也とのやり取りを思い出すー。
顔を赤くしながら勝彦が、京香の方をチラチラと見つめるー
まさか、正也に彼女が本当にいるなどとは思ってもいなかったー。
目が合うたびに、京香がにこっと微笑むので、
勝彦はさらに緊張してしまったー。
「----」
京香は、勝彦がやたらと自分の方を見ていることに
”別の意味”でドキドキしていたー
”さっきから、なんで、勝彦は俺のことをチラチラ見ながら無言なんだ?”
京香はーー
正也の彼女などではないー
”彼女いるし!”と、見栄を張ってしまった正也が、
見ず知らずの女子大生である京香に憑依しているだけだー。
今の京香は、京香であって、京香ではないー
身体は京香だが、
正也が憑依していて、
京香の身も心も支配している状態だー。
勝彦が挙動不審にこちらをチラチラ見ているので、
京香に憑依している正也は
”もしかして、バレてる?”と不安に思い始めるー。
「---あの」
ようやく、勝彦が口を開いたー
「は、、はい…」
京香は”ばれていたらどうしよう…”と思いつつ、
勝彦の言葉を待ったー
勝彦は”正也の奴…なんで来ないんだよ…気まずいじゃねぇか…”と
困惑の表情を浮かべながらも、
ようやく言葉を絞り出した。
「あ…あの…ま、、正也は…?」
勝彦の言葉に、
京香は、表情を一瞬歪めたー
思わず、笑いそうになってしまったー
”あの…正也は?”
今、勝彦は確かにそう言ったー
京香のことを正也だと疑っていれば、
そんな言葉は絶対に口から出ないー
”ははは…この子が、俺だって気づいてない!”
京香に憑依している正也は
内心でガッツポーズした。
「--え、、あ、、正也くんは、
その…今日は急用で来れなくなったので、
わたしが、一人で」
女の子らしく、言葉を選びながらそう呟くと、
勝彦が顔を真っ赤にしたー。
”う、、嘘だろ…!?俺を彼女と1:1にするのか…!?”
勝彦はドキドキが止まらない状況のまま、
既に中身のないグラスに刺さったストローを何度も何度も口に運ぶー。
「--彼女なんているわけない…
正也くんがそう言われたって、言ってました」
京香が笑いながら言うー。
京香に憑依している正也は、いじわるな気持ちになりながら
勝彦の方を見つめるー
「--え、、あ、、、ぁああ、あ、いやいやいやいや
そ、それはほんの冗談で!」
勝彦が戸惑いながらそう叫ぶと、
「いっやぁぁ~~~か、、かわいいなぁ本当に…
き、京香ちゃんだっけ?
そ、、その、、はい、か、、かわいい うん」
と、顔を真っ赤にしながら呟いたー。
”ははは、正也のやつ、慌ててるし!”
そんな風に思いながら、京香はさらに”仕返し”を続けたー
「--わたし、ちゃんといるんですけど!」
わざと頬を膨らませて”怒ってます”アピールをする京香ー。
この子が、普段どんな子なのかは知らないが、
とにかく、今は身体を使わせてもらうー。
「---あ、、あひっ…」
勝彦がおろおろした様子で周囲を見渡すー。
「---ご、、ごめんなさい。許してください」
勝彦が、京香に向かって頭を下げるー。
京香は勝ち誇った笑みを浮かべるー。
「ま、、、まぁ、勝彦がそう言うなら、
許してやってもいいけど」
京香が腕を組みながらそう呟くとー
勝彦が「え?」と言いながら顔を上げたー
「--え」
勝ち誇った笑みを浮かべていた京香がハッとするー
”し、、しまったああああああああああ”
勝彦をギャフンと言わせたー
浮かれていた京香は、ついつい
”いつもの正也の口調”で喋ってしまったー
「-----ってーーー
正也くんなら言うかなぁって!」
咄嗟にごまかす京香ー
「あ、、、あぁぁ、、なんだ、、そ、そう、、だな、確かに」
勝彦が戸惑いながら笑いだすー
「あは、あはははは」
京香は、ごまかしながら「ちょっとお手洗いに」と、
トイレのために席から立ち上がったー。
「あ、、は、、はい ごゆっくり」
勝彦は戸惑いながらそう返事をしたー。
トイレに駆け込んだ京香は「ふ~~~」と深呼吸をするー。
間違えて男子トイレに駆け込みそうになったが、
髪が首筋に当たったことで、
”あ、この身体女じゃん!”と思い出して
そのまま女子トイレに駆け込んだー。
「-ーー落ち着け 俺」
胸に手を当てると、京香の胸が手に触れて
ドキッとしてしまうー。
「--ちょ、、落ち着け、落ち着けって!」
京香は一人でブツブツ呟きながら再び深呼吸をしーー
ようやく気持ちを落ち着けるー
だがー
今度は、鏡に映る京香の姿が見えてしまい、ドキッとするー。
この、松永京香という子は、かなり可愛いー
「--あ~~~こんな子が本当に彼女だったらなぁ~~…」
京香の声で、そう呟くと、
鏡に映る自分の姿に見とれたー。
「--……」
エッチなことが、つい頭をよぎってしまうー。
過去のトラウマから、女性に対しては苦手意識があったものの
こうして、自分自身が女性そのものになっているとなれば、
話は別だったー。
しかしー
胸を揉もうとしたところで「って、俺、こんなことしてる場合じゃねぇ!」と
可愛い声で叫ぶー。
この身体に憑依した目的は、そもそもエッチをすることじゃない。
勝彦に”俺の彼女を見せてやる”と、つい宣言してしまった穴埋めだー。
この乗っ取った身体で”彼女のフリ”をして、
勝彦を「あっ」と驚かせるー。
それが、目的だー。
「--そうだ。落ち着け、俺」
危うく、乗っ取った身体でエッチをし始めるところだったが、
トイレに駆け込んだ本来の目的を思い出し、
何度も、何度も深呼吸して、ようやく心を落ち着かせたー
勝彦の前でボロを出さないように、冷静にー。
そう、自分に言い聞かせると、京香は「よし!」と呟いてから
そのままトイレから出て、勝彦の待つ座席に座ったー。
「----」
座席に戻ると、勝彦が神妙な面持ちで京香の方を見ていたー
「--あのさ…」
勝彦の言葉に、京香は、”スカート落ち着かないなぁ…”と
思いながら「はい?」と返事をするー。
勝彦は少しだけ考えてから続けたー。
「--あの…変なこと、言っていいかな?」
勝彦の言葉に、
「えっ?」と裏返った声を出してしまう京香ー
”まさか勝彦、お前ー
この子に手を出すつもりじゃないだろうな!?”
京香に憑依している正也は、
そんな風に思いながら勝彦の言葉を待つー
だがー
勝彦から出た言葉は、全く予想しないものだったー。
「--どうかーー」
勝彦が、机に頭を下げるー。
「どうか、正也のこと、よろしくお願いしますー」
とー。
「---は?」
京香は思わず変な声を出してしまうー。
「--正也のやつ、本当にいいやつなんだ。
一緒にいて楽しいしさ、俺なんかより全然気配りも出来るー
でもさ、あいつ、なんか、こうー
顔は悪くないんだけど、でも、モテないんだ…
それにあいつ、前に電車で、痴漢の冤罪を掛けられそうに
なったことがあって、
それから、女性恐怖症みたいになっちゃってさ…
ずっとずっと、彼女なんて出来ないって思ってたー。
でも、こうして今…こんなきれいな子が目の前にいるー。
あいつ、本当にいいやつなんです!
だから、だから、
どうか、あいつを、よろしくお願いしますー」
勝彦はそれだけ言うと、今一度頭を深々と下げたー
「----」
京香は、勝彦を見つめながら、
思わず正也として声を上げそうになったが、
それをグッと堪えたー。
「---わ、…わた…わたしは…」
京香に憑依している正也は困惑するー。
「---ーーー」
自分は、この子と付き合ってなどいないー
それどころか、勝彦をあっと驚かせるために、
見ず知らずの女子大生の身体を乗っ取って
今日、ここにきているー。
「--ありがとう…本当に、ありがとう」
勝彦は、まるで自分のことのように
正也の彼女を名乗る京香に対して
何度も何度もお礼の言葉を口にするー。
「そ、そうだ、今度さ、俺と同じで正也のこと
心配している友達もいるから、良ければ
会ってやってくれないかな?
もちろん、正也も一緒に!」
勝彦が言うと、京香は「あ、、、え、、、えっと…」と、
”憑依”のことを何とか誤魔化して
”ドッキリだった”と言おうとも思ったがー
勝彦があまりにも真剣に喜んでいたためー
言えなくなってしまったー
「---…あ、、はい…機会があれば」
京香はそう返事をしてしまうー。
勝彦が、自分のことをそんなに心配してくれていてー
自分に彼女が出来たことを、こんなに本気で喜んでくれるなんてー、
と、京香に憑依している正也は、驚かずには
いられなかったー。
いつも、憎まれ口をたたき合うようんなことも多い親友がー
こんなに自分のことを思ってくれていたなんてー。
「---ははは」
勝彦が突然苦笑いしたー。
「--今日、どうせ、正也のやつ、彼女なんて連れてこないだろう、って
思ってたから、慰めるつもりで、全部奢ってやろうって
思ってたのに…
なんだか、びっくりだな…」
勝彦は、そう言いながらも
”親友の正也に彼女が出来た”ことを心の底から喜んでいる表情だったー
その後はー京香に憑依している正也は、
嬉しく思いながらも、別の意味で生きた心地がしなかったー。
勝彦と別れ、京香は街を歩くー
”おいおい…どうするんだ 俺…”
京香は表情を歪めるー。
憑依薬は既に4回使ってしまっていて
あと1回分しかないー
京香を彼女として使うには限界があるー
いつかは、打ち明けないといけないー
「-くそっ!」
京香の身体で京香の家に戻ると、
京香は戸惑いの表情で壁を叩いたー
「---あんなに、喜ばれちゃ…」
京香は部屋の中で膝を折るー。
「--”嘘だった”なんて、言えないじゃないか…」
京香はそう呟くと、
頭をフル回転させながらー
なんとかー
”自分”も、”勝彦”も傷つけないように、と
色々な秘策を考えたー。
どうするー…
どうするーー?
そしてーー
「ーーそうだ!」
京香は、ポンと手を叩いたー。
なんとかなるー。
あと1回分、憑依薬があれば、なんとかなるー。
京香に憑依している正也は、そう考えると
”今日はもう遅いからな”とそのまま京香の身体から抜け出したー
・・・・・・・・・・・・・
”どうだった?俺の京香は?”
見栄を張って、自分の身体に戻った正也は
勝彦にそうLINEを送ったー
勝彦からの返事は
”いやぁ、びっくりしたよ!おめでとな!仲良くしろよ!”
だったー。
普段、彼女がいないことを揶揄ってきていた勝彦は、
本気で正也を祝福している様子だったー
こんな親友を騙しているのかー。
と、自分で罪悪感を感じながらも、正也は
”へへ、だろ?約束通り、言うこと聞いてもらうからな~!”と、
返事を送ったー
そしてーーー
”なんとか丸く収めるための方法”を、頭の中で練り始めるのだったー
③へ続く
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コメント
憑依で、彼女を捏造した彼の運命は…!?
次回が最終回の予定デス~!
今日もありがとうございました!!