<入れ替わり>帰りの電車で身体を奪われた③~終点~(完) (Pixiv Fanbox)
Content
「----あ、、あっ…」
小太郎になった真美は、奇妙なうめき声をあげていたー。
周囲の乗客が、小太郎(真美)の方を見つめるー
「--あ…」
小太郎(真美)は、これまでに感じたことのない、
無気味な感覚を覚えていたー
”小太郎の身体”になった真美に
”小太郎の脳”に記憶されていた情報が
全て、一度に流れ込んだのだー。
入れ替わりの際に、起きる現象ー。
それは、入れ替わってからしばらくして
身体に馴染むと、
”その身体の記憶”が全て、流れ込んでくるー。
”記憶”は”脳”に保存されるー
だから、身体が入れ替われば、当然”脳”に保存された
記憶を、全て手に入れることになるー。
だがーーー
”入れ替わり”の場合、どういうわけか、”魂”も記憶を
持った状態で入れ替わるー。
本来、人の記憶は、脳に記憶されているはずなのだが、
実は”魂”にも、ある程度の記憶能力があるのだろうー。
しかしーー
小太郎(真美)は、茫然とした表情で、
イスに座るー。
「----……」
ぼーっと、窓の外を見つめるー
「--俺は…えーっと…」
そう呟く小太郎(真美)-
”精神”を強く持たないと、
”身体”から”記憶”が流れ込んでしまった際に
その記憶に飲み込まれてー
”中身の自我”を失ってしまうことがあるー。
そうなってしまえば、終わりだー。
小太郎になった真美は、
小太郎の記憶に飲み込まれて
中身ーー
真美としての自我を失いかけていたー。
「---俺は… ……え」
小太郎(真美)は、ギリギリのところで、
自我が飲み込まれることに、耐えたー
「-ち、、ちがっ!わ、、わたしは真美…!」
小太郎(真美)が立ち上がるー
慌てて、真美(小太郎)が向かった車両の方に向かうー。
「---」
真美(小太郎)が、小太郎(真美)が再び近づいてきたことに
笑みを浮かべるー
”ほぉ…身体の記憶に飲み込まれなかったのか”
真美(小太郎)は、にっこりとほほ笑んだー。
だがー
真美(小太郎)は、すぐに近づいてくる小太郎(真美)の様子が
おかしいことに気づいたー
さっきまでも、”焦り”が表情に出ていたがー、
今の小太郎(真美)には、さらに別の”焦り”が見えるー
「---どうしたんですか?」
ニコっと微笑む真美(小太郎)-
”小太郎になった真美は、小太郎の記憶に侵食されつつある”
そう、確信したのだー
小太郎(真美)は半泣き状態で、真美(小太郎)を掴んだー。
「--わたしの、、わたしの、、からだ、、返して!」
自分が、真美であったことを忘れてしまいそうな恐怖に
襲われた小太郎(真美)は半泣き状態で叫ぶー。
真美(小太郎)は笑うー
”入れ替わり直後”が、身体と魂の定着が不安定な状況ー
小太郎のように、強い精神力と冷静さを持っていれば
真美の記憶が流れ込んできても、小太郎としての自我も保てるー
しばらくすれば、身体と魂は定着し、自我を失う心配も無くなるー
だが、真美のように、入れ替えられたことによる動揺、怯え、恐怖ー
そういったものがある状態で、身体の記憶が流れ込んでくるとー
それに精神が飲み込まれてしまい、
最悪の場合は”自我”を失うー。
入れ替わってから1時間前後が
”身体”と”魂”の繋がりが不安定だと、言われているー。
その間は、”精神が不安定”にならないよう、注意する必要があるー。
”身体”から流れ込む記憶に飲み込まれて、
一度自我を失えば、もう、自分が自分であったことを、思い出せないからー。
「---おじさん、妄想はやめてくれます?」
真美(小太郎)が、わざと強い口調で言うー。
「--ち、、ちが、、わ、、わたしは…真美…!」
小太郎(真美)が叫ぶー
「ほんとうに、そうなんですかぁ?」
囁くようにして、挑発的な声を出す真美(小太郎)-
「--自分を女子高生だと思い込んで中年のおっさん…
見苦しいですよ?」
小声で囁く真美(小太郎)ー
”精神”を痛めつけるー。
そうすることで、真美としての自我が、小太郎(真美)から消えていくー
「お、、お、、俺は…俺は…おっさんじゃない!」
小太郎(真美)が叫ぶー
「--ふふ…
”俺” ね」
真美(小太郎)が笑いながら言うー。
すぐに小太郎(真美)がハッとした様子で叫ぶー
「--わたしは真美なの!!!!」
とー。
電車が駅に止まるー。
真美が降りる駅は、次の駅だー。
「--見てごらん」
真美(小太郎)が小声で呟いたー
周囲の乗客が、小太郎(真美)のことを冷たい目で
見つめているー。
「---ちがう!!俺が真美なんだ!」
小太郎(真美)が叫ぶー
「--俺…俺…ちがう、、、わたし」
小太郎(真美)が目に涙を浮かべながら
パニックに陥っていくー。
「---いい加減にしろよ、おっさん」
「あなたさっきから、何言ってるの?」
「その子がかわいそうだろ!」
「通報したほうがいいんじゃ?」
「-無様なおっさんだなぁ」
電車の乗客たちが呟くー
「--ちがっ…ちがっ…俺は、、俺はただ、女子高生になりたくて…」
小太郎(真美)が頭を抱えながらその場に膝をつくー。
「---…わたしに、近寄らないでください」
真美(小太郎)が嫌悪感を丸出しにして、小太郎(真美)から
離れていくー
”勝った”
真美になった小太郎は勝利を確信したー
小太郎になった真美は、小太郎の記憶に飲み込まれつつあるー
激しい動揺とパニックが、真美の精神を蝕んでいるー。
「--くくく」
真美(小太郎)は、真美の綺麗な手を見つめるー。
”俺は、自分の記憶を保ったまま、JKの身体をゲットだぜ”
ペロリと唇を舐める真美(小太郎)-
”入れ替わりを仕組んだ側”である小太郎には
動揺など全くないー
むしろ、女子高生の身体を手に入れることができて
超がつくほど”ハイテンション”だー。
もうじき、入れ替わって1時間を目安に
身体と魂が定着し、そこまで自我を保っていることが
できれば、基本的に自我を失う心配は、もうない。
真美(小太郎)は、”真美の家”の最寄り駅が
やってくるのを、心待ちにしていたー
帰宅したら、まずはボディチェックー
そしてー
”--へぇ 好きな男子がいるのか…
試しに誘惑してみるのも面白いかもな”
真美(小太郎)はそんなことを思いながら
ニヤッと笑みを浮かべたー
「----俺は…」
小太郎(真美)は座席に座るー。
「--俺は、女子高生になりたかったんだ…」
小太郎(真美)は、自分が真美であることを
完全に認識できなくなりつつあったー
”そうだー
今日は入れ替わるために、電車にー”
小太郎(真美)はそう思いつつも、
”--…入れ替わるなんて、できるわけないか”と
ネガティブな考えに支配され、
イスにただ、茫然と座り続けるー
”思えば、俺の人生は、無様な人生だった”
小太郎(真美)はそう思いながら
”小太郎の人生”を振り返るー。
このまま、会社内の窓際に追い詰められたまま
一生を過ごすのだろうー
生涯独身は確定しているし、エッチなこと以外に
特に趣味もないしー
「---ふぅ」
小太郎(真美)はため息をついたー
”あぁ…あのJK、かわいいなぁ”
真美(小太郎)のほうを見つめる小太郎(真美)-
「----」
真美(小太郎)を見ていた小太郎(真美)は、
完全に小太郎の記憶に飲み込まれるギリギリのところでー
再び思いとどまったー
”違う”
”違う!わたしはこんなおっさんじゃないー”
「--俺は、、わたしは、、おっさんじゃないい!!!!!」
小太郎(真美)が怒りの形相でイスから立ち上がったー
電車が真美の降りる駅に近づくー
真美(小太郎)は”なかなかしぶといな”と思いながら、叫んだー
「いい加減に、気持ち悪いのよ!おっさん!」
とー
真美(小太郎)の鋭い言葉に、
小太郎(真美)は強いショックを受けてーー
急速に、自分が真美だという”自我”がはじけ飛んでいくー
「俺は、、俺は…」
電車が駅に停車したー。
真美(小太郎)は、激しく動揺している小太郎(真美)を
見つめながら、憐みの表情で微笑んだー。
「--さようなら”哀れな中年のおっさん”」
挑発的な言葉を口走り、真美(小太郎)はにこっと笑うと、
そのまま電車から降りたー
しかしーー
「--うあああああああああああっ!!!!!
俺が真美だあああああああああああああああ!!!」
小太郎(真美)は、もう自分が真美なのか小太郎なのか
分からなくなっていたー
それでも、あまりの屈辱に叫びー
真美(小太郎)に襲い掛かったー
強い力で、真美(小太郎)を駅のホームに押し倒す小太郎(真美)-
「-俺は、俺は、、俺はああああああああああ!」
小太郎(真美)は、真美(小太郎)の胸倉を掴んで、
物凄い力で真美(小太郎)を揺さぶるー
「--ひっ!?」
真美(小太郎)は、急に駅のホームに押し倒されたことで驚くー
しかもー
”--えっ!?なんだこの力!?
ひっ!?”
女子高生の身体になった小太郎はー
小太郎になった真美の”力”に驚くー
真美(小太郎)は、真美の身体が想像以上に非力で、
元・自分の身体(小太郎の身体)が、想像以上に力持ちなことに驚くー
小太郎(真美)は、
拳を握りしめて、真美(小太郎)に向けるー
怒り狂っているー
「--ひっ、、や、、やめっ!」
元々臆病な小太郎はーー
真美(小太郎)は激しく動揺して、泣きそうになりながら
小太郎(真美)を見たー
「や、、や、、やめてえええええええ!」
真美(小太郎)が悲鳴を上げるー
だが、その直後ー
”駅のホームで中年のおっさんが女子高生を押し倒した”騒ぎを
聞きつけて駆け付けた駅員が、小太郎(真美)を取り押さえたー
「くそっ!俺は、、俺は、、おっさんじゃねぇえええええええ!」
小太郎(真美)は叫びながら連行されたー。
もう、小太郎になった真美は、自分が真美であることを
思い出せなかったー
「--ひ、、ひ、、、あ…ぅ」
身体を震わせながら、目から涙をこぼす真美(小太郎)-
急に襲われたことー
”この身体”が予想以上に非力で、
元自分の身体を振り払うこともできなかった恐怖ー
それがーー
真美になった小太郎を激しく”動揺”させたー。
そしてー
「---大丈夫ですか?」
駅員の言葉に、真美(小太郎)は「は、、はい…」と頷くー
「--あの男は、知り合いですか?」
駅員から聞かれた真美(小太郎)は-
「わ、、わかりません…急に…急にわたしを…」
と、泣き出してしまうー。
これはーー
”演技”ではなかったー
真美になった小太郎は、
小太郎(真美)に襲われたことで、
激しく動揺しーー
”自我”がはじけ飛んでしまったー
真美の身体の”真美の記憶”に飲み込まれてー
小太郎の自我は、身体に定着する一歩手前のタイミングで
はじけ飛んでしまったー
「こわい…こわい…」
真美(小太郎)が震えるー。
その姿は、もはやー
”女子高生の身体を奪った男”ではなくー
”男に襲われて怯える女子高生”そのものだったー
自分が小太郎であることを忘れてしまった真美(小太郎)は、
”小太郎(真美)に襲われた”ことで、強いショックを受けー
以降、しばらくの間、人間恐怖症に陥り、
部屋に引きこもるようになってしまったのだというー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ふたりとも自我を失って、
元々の自分のことを忘れてしまいました~!
真美になった小太郎は、余計な挑発をせずに
そのまま駅に降りれば…
小太郎としての自我を持ったまま、女子高生ライフを
送ることができたかもしれませんネ!
お読み下さりありがとうございました~☆!