Home Artists Posts Import Register

Content

電車に揺られながら、”今日も疲れたなぁ…”などと、

眠そうにスマホを見つめている女子高生・森野 真美(もりの まみ)-。


朝の満員電車とは違い、帰りの電車はある程度帰宅時間が

分散しているためか、イスに座ることが出来るー


1日の学校生活の疲れからか、電車に揺られていると

自然と睡魔との戦いが始まるー。

うっかりスマホを落としてしまう前にと、スマホを鞄にしまった真美は、

うとうとしながら、自分の降りる駅が近づいてくるのを待ったー。


真美は、少し遠めの高校に通っていて、毎日電車で通学しているー。


まだ、自分の降りる駅まではある程度の時間があるー

そんな風に思いながら、うとうとしているとー

男が近くにやってきたー


冴えないおっさん、という感じの男が、

薄くなった髪をボリボリとかきながら、

電車内を見渡しているー


まるで、”誰か”を探すかのようにー。


男の名は、小林 小太郎(こばやし こたろう)-

中年の男で、会社内で出世することもなく

窓際に追いやられているような男だったー。


その小太郎がーー

真美の方を見つめるや否や、少しだけ笑みを浮かべてから、

真美の隣に座ったー。


うとうとしていたこともあり、真美は、小太郎が隣に座って来るまで

その存在に気付かなかったー。


「-!」

うとうとしていた真美が、隣に男が座って来たことで、

少し警戒したものの、

小太郎も、同じように、うとうとしている感じだったため、

それ以上は特に警戒しなかったー


”わざわざ隣に来なくてもいいのに”と思いながら

再びうとうとする真美ー


しかしー

それは小太郎の狙いー

だったー。


彼は”入れ替わり薬”と呼ばれる薬を事前に服用していたー


理由は簡単ー。

”かわいい子の身体を奪うため”

単純明快、とてもシンプルな理由だったー。


「---」

小太郎は”うとうとしたフリ”をしていたー

入れ替わり薬を服用してー

”相手の手を握る”

それが、入れ替わりの条件ー


小太郎は、静かに笑みを浮かべると、

ウトウトしている真美の手を握ったー


・・・・・・・・・・・・・・


「----!!!」

真美が、手を握られたことに気づいて

ハッとするー。


隣にいた知らないおじさんに手を握られたのかと思い、

ぎょっとしたのだー。


しかしー

右隣に座っていたはずのおじさんは既におらずー、

握られているのは、左手だったー。


「---あ」

真美はすぐに平静を取り戻すー

隣には、自分によく似た女子高生がいて、

その子が自分の手を握っていたのだったー


”あれ”

真美は、”よく見たら同じ高校の制服”ーと、

思いつつ、左隣にいる子の顔を確認するー


”それにしても、わたしによく似てるなぁ”

そんな風に思っているとー

その子が、真美の方を見たー


「え…」

真美が驚くー


左隣に座っていて自分の手を握って来たのはー

”自分”だったのだー


「--え!?!?」

真美は驚くと同時に、更なる衝撃に襲われたー


”え!?!?”という声ー。

その声は、自分の声ではなく、男の声になっていたのだー


「--……あの、急に手を握らないでください」

真美の姿をした何かが、そう呟くと、そのまま足早に立ち去っていくー。


”へへへ…入れ替わり大成功ぅ”


真美と、小太郎が入れ替わったー。

真美になった小太郎は、笑みを浮かべながら

小太郎になった真美の座っている場所から、離れて、

ひとつ後ろの車両に移動するー。


「--え…???え???」

小太郎になった真美は、突然のことで、意味が理解できなかったー。


”今の子…わたしそっくり…?”


一瞬にして右隣に座って来た男・小太郎と身体を

入れ替えられてしまった真美は、状況を全く理解できていなかったー。


無理もない。

本当に一瞬のうちに入れ替わってしまったのだからー。


困惑する真美ー。

自分の身体に異変が起きていることに、ようやく気付くー


着ている服が違うー

自分の手が、まるでおじさんのような手にー


そういえば、さっき、自分の口から男の声がー。


そう思って慌てて、窓の方を向くとー

そこに写ったのはー

中年のおじさんー、小林 小太郎の姿だったー


「-えっ…!?な、、なにこれ!」

小太郎になった真美ー、

小太郎(真美)は思わず叫んでしまうー


周囲の乗客は

”突然叫び出したヤバいおっさん”を見る目で

小太郎(真美)を見つめるー。


”ど、どういうこと…え?”

真美は、必死に自分の記憶を探るー。


そうだー

この人、さっき、わたしの右隣に座って、

ウトウトしてたおじさんー


そう思ったところでハッとするー。


そういえばー

自分の座っていた位置が少しずれていた気がするー


そしてー

「--え…じゃ、さっきの子ってわたし!?」

小太郎(真美)は

「--……あの、急に手を握らないでください」

と、言ってきた女子高生が

”わたしそっくり”ではなく、”わたし自身”であることに気づいたー


真美からしてみれば、名前も分からない男の身体になっている

この状況ー。


「--え……え????」

小太郎(真美)は、信じられないという表情で

パニックになりながらも

「--ちょ、、ちょっと!」と、

自分の身体が歩いて行ったほうの車両に向かって走り出したー。


怪しいおっさんを見る目で他の乗客が

小太郎(真美)のことを見つめるー。


電車が走る中、

後部車両に移動した真美(小太郎)は、

他の乗客から見えないように胸を触って

笑みを浮かべていたー


「うへ…♡ へへへへへ…♡ やったぜ…

 女子高生だ…♡

 うへへへへ」


涎を垂らしそうになりながら、真美(小太郎)は

笑みを浮かべるー


周囲に見られないように、

壁際にいるフリをして、胸を壁に押し付ける真美(小太郎)


「んっふ~~~♡

 家に帰ったら、たっぷり可愛がってやるからなぁ…

 俺の新しい身体♡」


真美(小太郎)が、イヤらしい笑みを浮かべていると、

前の車両から、男が歩いてきたー


”元自分”

小太郎になった真美だー。


”えへへ まぁ、当然来るよな”

真美(小太郎)はニヤリと笑うー。


”入れ替わり”である以上、

当然、”入れ替わった相手”が存在することになる。


入れ替わりの魅力でもあり、

入れ替わりの弱点でもあるー。


相手の身体と人生を純粋に奪いたいのであれば、

憑依のほうが、一瞬で済む話だし、

元々の意識を抑え込むことができれば、

適任であると言えるー。


しかし、入れ替わりの場合は、

”相手”も、行動できる状態にあるー


そのため-

”入れ替わりで相手の人生”を奪うのは、

ある程度のリスクが生じるー。


だがーー

小太郎は、それをちゃんと考えた上で

入れ替わる場所を”電車”にしたのだー。


「--ふひっ…香水と1日頑張ったことによるほのかな汗の香りー

 ふへへ…たまんねぇ」

真美(小太郎)がニヤニヤしていると、

小太郎(真美)が近づいてきたー


「あ、、あの…!」

小太郎(真美)は、まだ状況を100%把握できていなかった。


当たり前だー。

電車内で突然身体を入れ替えられる、なんて

誰も、夢にも思っていないことだろうからー。


「----はい?」

真美(小太郎)が、”普通の女子高生”を装いながら、

返事をするー


既にー

周囲の乗客は

”女子高生に声をかけた怪しいおっさん”を見る目で

小太郎になった真美を見つめているー


これがー

小太郎の狙い、だー。


「--あ、、あの…その…」

小太郎(真美)はどういっていいか、困惑しながらも、

ようやく言葉を絞り出したー


「--その、、その身体…わ、、わたしの…

 その…」


小太郎(真美)は困惑しているー


真美からすれば、

”自分の身体の中にこのおじさんがいるのか”

”自分は自分のままなのか”

分からないからだー。


真美と小太郎の身体が入れ替わってしまったー

それが真相であるものの、

被害者である真美からすればー


真美⇔小太郎 になっているのか、

真美は真美のままで、自分が何らかの理由で小太郎になっているのか、

これが、分からないー。


それが、小太郎(真美)を余計に困惑させていたー。


「---はい????」

真美(小太郎)がわざとらしく声を大きくするー。


「---え、、えっとーーー」

小太郎(真美)は、真美(小太郎)を見て、

目の前にいる”わたしそっくりな子”は

間違いなく”わたしの身体”であると確信したー。


自分で自分を見間違えるわけがないー。

これは、わたしの身体である、とー。


「---あ、、あなたは…誰ですか?」

小太郎(真美)が、そう尋ねるー。


「--ふふ」

真美(小太郎)は笑みを浮かべるとー


「--急に、女子高生に名前を聞くとか、怖いんですけど」

とー、答えたー。


周囲の乗客が、小太郎(真美)を変な目で見るー


小太郎(真美)もその視線に気づくー


”クククー”

真美(小太郎)は内心で笑ったー


”俺が電車内を入れ替わり場所に選んだ理由はーーー

 電車内こそが”最適な環境”だからだぜ”


そう、思いながらー


電車が駅に停車するー。

真美(小太郎)がチラッと駅の方を見るー。


”真美の家の最寄駅はまだ先”だ。

それは、真美になった小太郎も理解していたー


何故ならー

小太郎は、真美の記憶を引き出せるようになっていたからー。


ニヤッ


真美(小太郎)が不気味な笑みを浮かべるー。

電車から降りようとする真美(小太郎)-


「待って!」

小太郎(真美)が咄嗟に真美(小太郎)の手を掴んだー


真美になった小太郎は”この駅”で降りるつもりはなかったー。

だが、あえてー

”降りる仕草”をしてみたー


「きゃっ!ちょっと!触らないで!」

真美(小太郎)がわざとらしく叫ぶー。


「--えっ」

小太郎(真美)が戸惑っているー。


真美(小太郎)が「--さっきから、何なんですか!

失礼します」と、わざと大きな声で言いながら、

前の方の車両に移動を始めるー


「ちょ!ちょっと待って!」

小太郎(真美)がそれを追いかけようとするがーー


「--おい、おっさん、いい加減にしておけよ」

チャラそうな若い男が、小太郎(真美)を止めるー。


「---え、、ちがっ!あ、、、あの、わたしが、、 

 わたしが真美でー」

小太郎(真美)は、何とか状況を説明しようとするが

説明できずに戸惑うー。


電車が再び走り出すー。


周囲から白い目で見られてしまっている

小太郎(真美)-


自分の身体を問い詰めることもできず、

小太郎(真美)は、恐怖を覚えたー


”何なの…?いったい、どうなってるの…?”


周囲から見れば

”おっさんが女子高生に絡んでいる”

と、しか見えない光景ー。


小太郎になってしまった真美は、

絶体絶命のピンチを迎えていたー


・・・・・・・・・・・・・


前の車両に移動した真美(小太郎)は

後部車両の方を振り返りながら微笑んだー


「--ありがと、知らないおにーさん」

とー。


”可愛い女子高生のの身体”

これだけで、自分は大きな

アドバンテージを得たー。


入れ替わりで身体を奪うにはー

”相手”が邪魔だー。


真美になった小太郎は、

真美の最寄駅に到着するまでにー

小太郎になった真美を”再起不能”の状況に

するつもりだったー


「---はぁぁぁぁぁぁぁ♡」

真美(小太郎)が顔を赤らめながら微笑むー


真美が生きて来た17年間の記憶が、

全て、一瞬にして流れ込んでくるー。

まるで、走馬灯のようにー


プライベートも、

知られたくない秘密も、

何もかも、小太郎に流れ込んでくるー


「--へへへへ たまんねぇ…なんだこの感覚♡」


”一瞬にして他人の17年分の人生を知る”

言葉には言い表せないぐらいの感動を噛みしめながら

真美(小太郎)は、微笑んだー


「---さて…どうする、おっさん?」

真美(小太郎)が笑うー。


小太郎になった真美が、次にどんなリアクションを取るのだろうかー。

そう思いながら、

真美(小太郎)は、後部車両に繋がる扉の方を見つめて

クスッと笑ったー。



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


電車内を舞台とした入れ替わりデス~!

真美ちゃんの最寄に駅に到着するまでの

ドキドキなバトル(?)をお楽しみくださいネ~


今日もありがとうございました!

Files

Comments

No comments found for this post.