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梓紗の実家ー。

その一角にある階段から

梓紗(史和)と史和(梓紗)は派手に転がり落ちたー


元に戻るためにー。


二人は大学でも有名な”嘘つき”カップルー。


梓紗も、史和も、とにかく、嘘をつくー。


梓紗は、父親が”すし職人”だと嘘をついていたしー

史和は、後輩の麗子と浮気をしていたー。


嘘で嘘を塗り固めていた二人ー。

入れ替わってからも、二人は嘘を重ねてー

結果、最悪の事態に陥ってしまったー。


史和の浮気は発覚しー

梓紗の父親が寿司職人などではなく、極道組織の組長であることも発覚

してしまったー


いや、もはやそれは今、問題ではないー。


梓紗を”お嬢”と呼び、慕っている若衆が、史和の浮気を知ってしまい、

怒り狂っているのだー。


しかも、梓紗(史和)が、若衆のひとり・シゲくんに問い詰められた際に

自分の身を守るために、咄嗟に”浮気相手は藤岡”と、無関係の親友の

名前を出してしまったことから、藤岡が”お嬢の浮気相手”と、

拉致されてしまったー。


それを助けようとした史和(梓紗)は、入れ替わっていることを

主張したものの、信じてもらうことが出来ずー


「--じゃあさ、階段から再び転がり落ちれば

 元に戻るってことかな?」


「---もしーーー

 もしも嘘だったらー

 お前をぶち殺す」


結果ー

シゲくんの目の前で、二人で階段から転がり落ちて

”入れ替わっていたことを証明”

することになってしまったのだったー


これでー

これで、もしも元に戻れなかったらー

史和になった梓紗が、シゲくんたちに殺されてしまう可能性があるー。


これまでのことを考えながらー

階段の下に叩きつけられた史和と梓紗はー

倒れたまま、自分の状況を確認したー


「----…」

梓紗が表情を歪めるー。


史和も、同じー。


”戻って、ないー”


最悪だったー。

史和は、梓紗の身体のままー

梓紗は、史和の身体のままー


このままでは、史和(梓紗)が

”お嬢のストーカー野郎”扱いされて、シゲくんらに命を奪われてしまう

可能性すらあるー。


史和の身体で”わたしは梓紗なの!”と、梓紗の個人情報や

シゲくんの個人情報をペラペラしゃべったことで、

シゲくんらは、すっかり”お嬢のストーカー”だと

史和(梓紗)のことを決めつけているー


「---お嬢!」

シゲくんが駆け寄って来るー。


梓紗(史和)はシゲくんが駆け寄って来るのを確認して、

史和(梓紗)に小声で話しかけたー


「--元に戻ったフリをしようー」

とー


「じゃないと、梓紗、俺の身体であいつに殺されちゃうかも」

梓紗(史和)がそう言うと、

史和(梓紗)は小声で「うん…」と頷いたー。


”元に戻った”、とりあえずそう叫んでー

梓紗(史和)が、シゲくんらに、”二人に手を出さないで”と

命令すれば、なんとかなるかもしれないー


史和(梓紗)は

”入れ替わりのこと、シゲくんらに打ち明けるから

 話がややこしくなったんでしょ…”と内心であきれ果てるー。


そもそも、梓紗の身体で助けに駆け付けた史和が、

最初から梓紗のフリをして「二人に手を出さないで」とシゲくんらに

強く言えば、済んだ話だー。

それを「入れ替わってるんです!」なんて言うから

ややこしくなったー


「--あ、、も、元に戻った!」

梓紗(史和)が、わざとらしく叫ぶー


「ほ、ほんとだ…!」

史和(梓紗)もそれに合わせるー。


「---」

史和の親友・藤岡が、戸惑った様子で二人を見ているー


「--し、、シゲくん、とにかく、、

 とにかく、その人と、あっちの藤岡…君は、

 無関係だから解放してあげて」


梓紗(史和)が震えながら言うー


「---……」

史和(梓紗)も、シゲくんの方を見つめるー。


シゲくんは穏やかな笑みを浮かべたー

「よかったー」

とー。


「---ほっ」

梓紗(史和)も、ほっと、一安心するー

これで、史和(梓紗)も、藤岡も助かるー。

元に戻る方法は分からないが、とにかく何とかして元に戻ればいいー


そのあとのことはーー

そのあと考えよう。

梓紗の実家のことも、浮気相手の麗子のこともー


シゲくんが、梓紗(史和)の方を見て呟くー


「--これで、安心ですー」

とー


「え?」

梓紗(史和)が首を傾げると、

シゲくんは続けたー


「お嬢があの男と、

 本当に入れ替わっていたのだとしたら

 今、転がり落ちて元に戻ったわけですし、

 元々入れ替わっていなかったのだとしたら、お嬢はお嬢なわけですからー

 これで、安心ですー」


そう呟くと、

突然、シゲくんが、史和(梓紗)を思いっきり殴りつけたー


「ひっ!?」

史和(梓紗)が悲鳴を上げるー


シゲくんが合図をすると、史和(梓紗)を男たちが取り囲むー。

そして、激しい暴行を加え始めたー


「し、、シゲくん!!!」

梓紗(史和)はたまらず叫んだー


シゲくんは真剣なまなざしで梓紗(史和)を見つめると

頭を下げたー


「あとは、俺たちにお任せ下さいー」


シゲくんは、最初から”史和”を処分するつもりだったー。

梓紗の個人情報を知りすぎている史和は

”お嬢のストーカー”のようにしか見えないし、

仮に本当に入れ替わっていたのだとすれば”お嬢の身体”を

勝手に使っていたわけだから万死に値するー。


だがー

”もしも”本当に入れ替わっていた場合ー

史和を始末すれば、中身が梓紗の史和を始末してしまうことになるー


それを避けるためー、二人に階段から転落してもらったー


そしてー、階段から転落した

二人が”元に戻れた!”と嘘をついたためにー

さらに状況が悪くなってしまったのだったー。


シゲくんが”お嬢”に処分の光景を見せないようにと

仲間に指示をして、梓紗(史和)を別の部屋に

移動させようとするー


苦しそうに史和(梓紗)が「た、、たすけて!」と、

梓紗(史和)の方に手を伸ばすー


だがーー


梓紗(史和)は震えながらー

”--俺は、死にたくないー”と、心の中で強く思ったー


「------わ、、わたし、何もしらない!」

梓紗(史和)はそう言い放ったー


もうこうなったら、史和になった梓紗を見捨ててー

生き延びるしかないー


”自分の身体”と”自分の彼女の中身”を見捨ててー

生き延びるしかないー


”自分が死にたくない”一心で

史和になった梓紗を見捨てたー


「やめっ…やめてええええ!わたしが、、わたしが梓紗だよ!ねぇってば!」

史和(梓紗)の悲鳴が聞こえるー


梓紗(史和)は、シゲくんの配慮で別室に移動させられてー

震えながら、史和(梓紗)の悲鳴を聞いたー


「嘘つき!!史和の嘘つき!!

 恨んでやる!!呪ってやる!!!!」


叫び声が聞こえるー


梓紗になった史和は、さらに嘘を重ねてー

梓紗として生きていく決意をするのだったー


”梓紗…お前だって嘘つきじゃないかー

 お前だって、悪いんだ”


梓紗(史和)は罪悪感から逃れようと、

自分に何度も何度もそう言い聞かせたー


やがてー

史和(梓紗)の声が聞こえなくなりー

シゲくんが戻って来たー


「--あいつは、責任を持って沈めますー。

 お嬢…乱暴なところお見せして、申し訳ありませんでしたー」


シゲくんが頭を下げるー。


「--あ、、う、、うん…」

梓紗(史和)は決意するー。


”梓紗”として生きて行こうー、と。

どんなに嘘を重ねてでも、生き延びてやろうー、とー。


「--あ、、あの、、藤岡は…?」

梓紗(史和)が聞くと、

シゲくんは「お嬢を裏切ったあの浮気野郎ですか?」

と、聞き返したー


「----」

梓紗(史和)は”藤岡は無関係だから助けてあげて”と

言おうとしたがー

もう、シゲくんたちが怖くて仕方がなかったー


自分を守るためにー

梓紗(史和)は、どんな嘘を重ねてでも生きていくと決めたー


「--うん。浮気相手の藤岡は、どうするのかなって」

梓紗(史和)はほほ笑んだー


藤岡は、史和のただの親友で、

梓紗の彼女ですらないし、浮気で梓紗を裏切ったのは

史和自身だー。

藤岡は、全く関係ないー。

史和の”嘘”の被害者だー。


だがー

梓紗(史和)は、その藤岡も切り捨てたー


”自己保身”のためー


「--ちゃんと、処分します」

シゲくんの言葉に、

梓紗(史和)はほほ笑んだー。


藤岡が連行されていくー。

悲鳴を上げる藤岡ー


「-テ、、、てめーーー!!!!」

事情もよく分かっていない藤岡が大声で

梓紗(史和)に向かって叫ぶー。


梓紗(史和)はシゲくんらに合図すると、

藤岡に近づき、こっそり耳打ちしたー


「--悪い、藤岡ー

 事情は分からないと思うけどー…

 俺、死にたくないんだー」


梓紗(史和)の言葉に、

藤岡は”俺”と言っている梓紗を見て

「もう意味がわかんないよ…」と泣きそうになりながら呟くー


「-俺のために、浮気野郎として死んでくれ」

梓紗(史和)はそう呟くと、悲鳴をあげる藤岡を背に立ち去って行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー


嘘つきの史和はー

嘘に嘘を重ね続けてー

梓紗として生きることになったー


入れ替わったあとに嘘で嘘を重ねた結果ー

史和になった梓紗と親友の藤岡を失ったー


でも、自分はこうして生きているー


「---梓紗の身体もゲットできたしー

 もしかして、俺、ラッキーだったかも!」


おしゃれの楽しさにも目覚め始めていた

梓紗(史和)ー


これでもう浮気がどうこう言われる心配はなくなったしー

実家は怖いけど、シゲくんらは、お嬢である自分には

絶対服従だから、なんとかなるー


「あはっ…あははははははははははっ!」

嬉しそうに笑う梓紗(史和)-


色々なコスプレとかもしてみたいー

梓紗の身体なら、かなりエロい姿を見ることがでk


「---?」

梓紗(史和)が何かがぶつかった気がして、

振り返ったー


そこにはーーー


「---え」

梓紗(史和)が目を見開くー。


史和の浮気相手で、後輩の麗子が、後ろに立っていたのだー

梓紗(史和)を睨みながらー。


「------え…?」

梓紗(史和)は自分の背中に痛みを感じて、背中に触れると、

そこには、真っ赤な血ー


「--ひっ…ひぃああああああああっ!?」

梓紗(史和)は悲鳴を上げて、尻餅をつくー


麗子が怒りの形相で叫ぶー。


「-ーーわたしを弄んでーー!!

 わたしは、本気で史和を愛してたのに!」


麗子の言葉に、

梓紗(史和)は叫ぶー


「ま、、待って!!!たすけて!!」


入れ替わったふたりにぞんざいに扱われてー

史和になった梓紗に怒鳴られた、史和の浮気相手・麗子は

逆上して、史和と梓紗、両方を強く恨んでいたー


そしてー

狂気に走ったー


ナイフを手に、梓紗(史和)に襲い掛かる麗子ー


「やめてくれ、、麗子!!

 梓紗はもう、俺の身体で死んだから、やめ、、やめて!

 これからは俺と麗子でいっしょにーー」


梓紗(史和)はパニックになりながら

支離滅裂な言葉を吐き出すー


しかしー

麗子はそもそも”入れ替わり”を信じていなかったー


「嘘つきカップルは、地獄におちろおおおおおおおおおお!!!!」

麗子が鬼のような形相で叫ぶー


その場で悲鳴をあげながらめった刺しにされてしまう梓紗(史和)-


やがてー

梓紗(史和)は目を見開いたままー

その場で動かなくなってしまったー


”嘘に嘘を重ね続けたふたり”は、

その嘘で、身を滅ぼすことになってしまったー


そしてー


現場から逃走した浮気相手の麗子は、

直後、”お嬢”の死をしったシゲくんらに拉致されー

そのまま沈められたー


本来、関係のないはずの藤岡や麗子も巻き込みー

”嘘つきカップル”のふたりは、その身を

自らの嘘で滅ぼしてしまったのだったー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


嘘をつき続けたことによって

全てが最悪の方向に進んでしまうお話でした~!


入れ替わってしまった時の立ち回りは慎重に…☆

お読み下さりありがとうございました!

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