<入れ替わり>嘘つき男と嘘つき女④~最悪の状況~ (Pixiv Fanbox)
Content
梓紗(史和)は冷や汗をかきながら、
大学に戻って来たー。
昼休みー
梓紗を慕う男・シゲくんに
”梓紗の彼氏が浮気していること”がバレてしまったー
梓紗の彼氏、とは史和のことだー。
梓紗になった史和は、シゲくんの怒りの形相を目の当たりにして、
恐れをなして、
咄嗟に嘘をついてしまったー。
史和の浮気相手である麗子から、
史和になった梓紗は、”自分が史和に浮気されていたこと”を知ったー
そして、怒りのあまり、シゲくんにそのことを相談したのだー。
だが、その相談のLINE内で”史和”の名前を出さなかったため、
シゲくんは、梓紗(史和)に、
”こいつ誰っすか?許せねぇ…お嬢を泣かせるなんて!”と
怒りの形相で聞いたー
そして、梓紗(史和)は嘘をついたー。
史和の友人である”藤岡”の名前をシゲくんに伝えてしまったー。
”お嬢の浮気相手は”藤岡”という男子大学生”、と
勘違いしてしまったシゲくんは、怒りの形相で大学に向かっていったー
「は~~~…は~~~」
冷や汗を流す梓紗(史和)-
我を忘れて大学に戻って来た梓紗(史和)は自分が
女子の身体であることも忘れて、男子トイレに駆け込んで
荒い息を吐き続けていたー。
「--は~~~…は~~~~~~…はぁっ…はぁっ」
男子トイレの鏡の前で、過呼吸を起こしそうなレベルで
荒い息をしている梓紗(史和)-
後から入って来た男子が、女子である梓紗が
男子トイレにいることに「えっ!?えっ!?」となっているー
それにも気づかない梓紗(史和)-
”くそっ……”
梓紗(史和)は考えるー
シゲくんに”浮気”のことが伝わったということは、おそらく、
史和の身体で行動している梓紗が
”史和の浮気を知った”のだろうー。
そして、史和(梓紗)がシゲくんにメールかLINEか何かで
連絡を入れたー。
梓紗の実家は、絶対に寿司屋じゃないー
極道的な、あれだー。
梓紗(史和)は自分が殺されるかもしれないという恐怖ー
そして、彼女である梓紗に浮気がばれたかもしれないという恐怖ー
さらにはー、シゲくんに咄嗟に嘘をついて友人の”藤岡”の名前を出してしまった
ことへの焦りを感じていたー
「--あ、、、あの…ここ男子トイレ…」
後からトイレに入って来た男子が、梓紗(史和)に話しかけるー
「うるさい!俺は男だ!」
梓紗(史和)が、我を忘れて大声で叫ぶー
どう見ても女子なのにそう叫ぶ梓紗(史和)に、
周囲は戸惑うことしかできなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
史和(梓紗)は、怒りの形相で、廊下を歩いていたー。
「史和が浮気してたなんて、許せない…!」
史和(梓紗)は、悔しそうにそう呟くー
思えば”嘘つきカップル”なんて言われてしまうほどの二人ー。
嘘つきの史和が、彼女である梓紗に対しても”嘘”をつくのは
ある意味必然と言えたー。
「----」
怒りの形相で廊下を歩いていた史和(梓紗)は、ふと我に返るー。
「---でも…」
史和(梓紗)は”わたしも、お父さんのこと、すし職人って嘘をついてるね…”
と、少しだけ冷静になるー。
授業を受けてー、
やっと冷静になった史和(梓紗)は、スマホで梓紗(史和)に
連絡を入れるー。
”話したいことがあるの”
とー。
梓紗は、自分の嘘を全て打ち明ける決意をしたー。
その上で、史和の嘘ー”浮気”について、全て聞き出そうとしていたー。
後輩の女子・麗子と浮気していたことを、洗いざらい、
全部話してもらうー。
その、つもりでー。
「---!」
史和(梓紗)が、ふと、大学の正門前を見るとー
「何するんだ!」と叫んでいる、史和の友人・藤岡の姿があったー。
梓紗の父親の舎弟であるシゲくんが、藤岡を連れ去ろうとしているー。
梓紗になった史和がビビッて、”浮気相手は藤岡”と
言ってしまったことで、ブチギレしたシゲくんが、
藤岡を拉致しようとしているー
「--え…」
史和(梓紗)が唖然としていると、
梓紗(史和)が背後から、ヌッ、と現れたー
真っ青な顔をして呟く梓紗(史和)-
「--お、、俺…俺…浮気相手の名前を藤岡って…
あの、、シゲくんに嘘を…」
梓紗(史和)の言葉に、
史和(梓紗)は「え…それ、やばいよ!バカじゃないの!」と叫ぶと、
そのままシゲくんの前に姿を現して、叫んだー。
「--シゲくん!その人、、藤岡くんは、わたしの彼氏じゃないの!」
史和の身体のまま、そう叫ぶ史和(梓紗)-
「--はぁ?」
シゲくんが表情を歪めるー
藤岡は「たすけてくれ!」と叫んでいるー。
「--え、、えっと、、わ、、わ、、わたし、、
この人と、身体が入れ替わってて…ほら、、これ、、わたしのスマホ!
それに、わたしのーー」
史和(梓紗)が
無関係の藤岡を救うため、”入れ替わった”ことをシゲくんに伝えるー。
その様子を離れた場所から、ビビりながら見つめている梓紗(史和)-。
「---……テメェ、なんでお嬢のスマホを持ってやがるんだ!!」
シゲくんが叫んだー
”入れ替わり”を信じてもらえなかったー。
逆上したシゲくんは
「テメェもお嬢の浮気相手の仲間か!」と叫ぶと、
一人で、藤岡と史和(梓紗)を車の中に放り込んで、
そのまま走り去ってしまったー
「あ、、あ、、あ、、あわわわわわわ!?」
梓紗(史和)は、あまりの恐怖に失禁しそうになりながらも
「や、、やべぇ!」と叫んで、
梓紗の実家に向かって走り出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--お嬢を泣かせるなんて、許せねぇ!」
シゲくんと、その仲間たちが、梓紗の実家の
広々とした庭で、縛り付けた藤岡を殴りつけているー
藤岡は悲鳴をあげながら「俺は何もしらねぇ~~~!」と叫ぶー。
「--し、、シゲくん!」
史和(梓紗)が叫ぶー。
入れ替わりのことを信じてもらおうと、
梓紗自身の個人情報から、
シゲくんの個人情報、
シゲくんの思い出まで、全部口にしたー。
藤岡に聞かれるのは正直、あまりよくなかったが、
今は緊急事態ー。
そんなことを言っている場合じゃない。
このままでは、無関係の藤岡が殺されかねないー。
梓紗の実家の”組”は、人を傷つけるようなことは
基本的にしない方針なのだが、
娘である梓紗のこととなると、梓紗を溺愛している父も
梓紗を”お嬢”と慕う構成員たちも暴走してしまうー。
「-------」
シゲくんも、周囲の人間も唖然としているー。
史和(梓紗)が、梓紗の個人情報や
シゲくんの個人情報ー、その他もろもろを全て口にしたからだー。
口をぽかんと開けたままのシゲくんー。
「--ね、、シゲくん?だから、その人を離して」
史和(梓紗)がそう言うと、
シゲくんは「、、お前!お嬢のストーカーだな!?」
と叫んだー
史和(梓紗)は目をぱちぱちさせるー。
シゲくんの反応が予想外だったからだー。
「--いやいやいや、え!?どうしてそうなるの!?」
史和(梓紗)が叫ぶと、シゲくんは叫んだー
「-いや、違うかーー
俺とお嬢のストーカーだな!?」
シゲくんの反応に、史和(梓紗)は「ちがーう!わたし!入れ替わってるの!」と
必死に叫ぶー。
シゲくんが、藤岡の方を見るー
「おい!こいつの言ってることは本当か!」
とー。
ボロボロな藤岡は、史和(梓紗)の方をチラッと見ると
ヘラヘラ笑いながら答えるー
「ふ、、史和はいつも嘘ついてばっかりだから!」
とー。
「--馬鹿ーーーーー!!!!!」
史和(梓紗)は思わず叫んだー。
藤岡は空気を読めないー
ここは、史和が嘘つきだと思っても
”入れ替わってる”って話を合わせてくれれば、自分だって
助かる可能性が高くなるのにー
「--へへ 決まりだ。 この嘘つき野郎と浮気野郎ー
テメェら、許さねぇからな」
シゲくんが、鉄パイプを手にして笑うー。
「--だめ!!シゲくん!人殺しはダメ!」
史和(梓紗)が叫ぶー。
父親は現在不在のようでその姿は見えないー
若い衆たちは血の気が荒いー。
”お嬢の浮気相手”と”それを庇おうとした男”となれば
殺す可能性もあるー。
早く、なんとかしないとー
史和(梓紗)は仕方がなく
「ろ、、六歳のとき、わたし、図書館でお漏らししちゃって
シゲくんに運んでもらったとき!」
と、叫んだー。
恥ずかしい思い出を口にすればー
絶対に入れ替わっていることを証明できるー。
しかしー
「--テメェ!6歳から俺とお嬢のストーカーをしてやがったのか!」と
シゲくんは叫んだー
「ばかーーーー!!!」
史和(梓紗)は絶望の表情で叫んだー
”んなわけないでしょ!入れ替わってるの!”と、叫ぶ史和(梓紗)-
その時だったー
「---やめろーーーーーーーーーーー!!!」
梓紗(史和)が、梓紗の実家に乗り込んで来たー
「お、、お嬢!」
シゲくんたち、若衆が、梓紗(史和)の姿を見て、
途端に頭を下げるー。
「--ほっ…」
史和(梓紗)は、ほっと、ため息をつくー。
これで、とりあえず、梓紗の身体になっている史和が
梓紗のフリをして、シゲくんたちをなだめれば、
この場は収まるー。
梓紗の言葉には、シゲくんたちは絶対服従だからだー。
「---実は、実は、俺、入れ替わってるんです!梓紗とー」
梓紗(史和)は、そう叫びながら、全てを自白したー
自分が浮気相手の史和であることー
階段から転落して入れ替わっちゃったことー
その、全てをー。
「--え…言うんだ~……」
史和(梓紗)は、梓紗(史和)が期待外れの行動をしたことに
絶望しながらも、
シゲ君の反応を待ったー
入れ替わり当事者である梓紗と史和がお互いに
”入れ替わった”と言っているのだからー
さすがにシゲくんも信じてくれるかもしれないー。
「---あ!!気を付けてください!」
突然、縛られている藤岡が叫んだー
「その二人、嘘つきっすから!」
とー。
どこまでも空気の読めない藤岡ー
梓紗(史和)も史和(梓紗)も
”黙ってろ!”と言わんばかりの視線を送るー
「テメェ!お嬢も嘘つきだってのか!?」
シゲくんが、藤岡をグーで殴りつけるー
「ぐはっ!」
悲鳴を上げる藤岡ー。
シゲくんは、藤岡を殴り終えると、
梓紗(史和)と史和(梓紗)を見比べてー
そして、微笑んだー。
「--じゃあさ、階段から再び転がり落ちれば
元に戻るってことかな?」
とー。
「---もしーーー
もしも嘘だったらー
お前をぶち殺す」
シゲくんは、史和(梓紗)を睨みながら呟くー
「--ひぇっ…だ、、だから、、わたしが、、梓紗なんだってば」
史和(梓紗)はそう呟くー。
シゲくんが、他の構成員に指示をして、
史和(梓紗)の拘束を解くと、
「お嬢、こちらへ」と、近くの階段の方に梓紗(史和)を案内したー
階段の前に立つふたりー
梓紗(史和)と史和(梓紗)が気まずい雰囲気で
お互いを見つめ合うー。
「どうしよう…」
二人の嘘と嘘が作り出した最悪の状況ー
これでもし、元に戻ることができなければー
梓紗は、史和の身体のまま、シゲくんに殺されかねないー
「--とにかく、やるしかないー
これで、元に戻れればいいんだ」
梓紗(史和)が言うー。
この場で、二人が階段から転落して
シゲくんの目の前で、元に戻れば問題ないー。
そもそも、シゲくんがどうやって、二人が元に戻ったのか
確認するのか、という疑問もあったけれど
シゲくんは単細胞だから、そこまで考えていないのだろうー、と
史和(梓紗)は思うー。
元に戻ったあともー
藤岡に、梓紗の実家のことがバレてしまったことや、
史和の浮気の件などなど、色々問題はあるけれどー
まずは、元に戻ることが先決だー。
「いこうー」
「--うん」
二人はそう呟くと、梓紗の実家の階段からーー
転がり落ちたーーー
元に戻るためにーー
⑤へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
嘘つきと嘘つきが作り出してしまった最悪な状況…
二人は無事に元に戻れるのでしょうか~?
続きはまた次回デス!