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紗耶香は、ぼーっと、自分の部屋で、

虚ろな目のまま座り込んでいたー


家族も、友達もー

”ナナちゃん”は、

紗耶香に近しい人を次々と

無残な姿へと変えていったー。


たった、”数日”の出来事ー。


「--紗耶香ちゃん~!ご飯だよ~♡

 わたし、頑張って作ったの!」

お姫様のような恰好をしたツインテールの愛海が微笑むー。


愛海は、完全に”ナナちゃん”に乗っ取られたままー。

まるで別人のように成り果ててしまっているー


ご飯を食べながらー

紗耶香は目から涙をこぼすー。


「--わたしのごはんで涙まで流してくれるなんて、

 ナナ、うれしい~~♡」

嬉しそうにもじもじする愛海ー。


”愛海…ごめんね…”

紗耶香は、涙を流しながら

”愛海がこんな風に支配されてしまったのは自分のせい”と、

自分で自分を責め続けるー。


大学に行くことも許されずー

スマホも、没収されたー。


スマホを踏みつぶしながら、愛海は笑っていたー。


「-紗耶香ちゃんには、わたしがいるから、

 他には、何もいらないよね♡」


そう、言っていたー


紗耶香は、愛海の言葉を黙って受け入れてー

スマホが壊される際にも、何の抵抗もしなかったー


部屋の隅っこで座り込んで、

ぽかんと口を開けている紗耶香ー


友達もー

家族もー

人生もー

何もかもが、奪われてしまったー


もう、何も考えられないー

ナナちゃんに逆らえばー

もっとー

もっと、多くの人が犠牲になるかもしれないー。


「--うふふ♡ わたし、買い物に行ってくるね」

愛海が笑いながら、

ロリ系の服装で、外に向かうー。


ナナちゃんが買い物に出かけているー

この間に逃げ出せばー

逃げることはできるかもしれないー。


でも、どこにー?

どうやってー?


もう、紗耶香には、誰もいないのだー

親しい友人もー

家族もー

みんな”ナナちゃん”の餌食になってしまったー。


「---」

紗耶香は、部屋の棚の上に置かれた

”ナナちゃん”の人形を見つめるー。


「---…」

ナナちゃんの人形はー

今は”抜け殻”だー。


中に宿っていた意識ー

”ナナちゃん”の意識は今、

紗耶香の親友である愛海を

乗っ取っているのだからー。


ガチャー


「--ーー」

紗耶香は、玄関の扉が開いたことにも気づかないぐらい、

精神的に崩壊していたー。


だがーー

紗耶香は、入って来た人間を見て、

目の輝きを少しだけ取り戻したー


「--紗耶香ーー」

部屋に入って来たのはー

彼氏の孝義ー。


「--た、、たか…くん…?」

紗耶香が涙を流しながら言うー。


そうだー

今日は土曜日ー

一人暮らしを始めた紗耶香の手伝いに

孝義が来てくれる日だったー。


「--大丈夫か?紗耶香」

孝義が周囲を見回しながら言うー。


部屋の、異様な雰囲気ー。


「---……なんで…どうして…?」

紗耶香が目から涙をこぼしながら言うとー

孝義は

「お前が心配だから来たんだよ。

 大学にも来なくなっちゃうし、連絡も取れなくなっちゃうし」

と、説明しながら、

「何があったんだ?話してみろ」と、

紗耶香の方を見つめたー。


紗耶香の友人数名の変死ー

孝義は、そのことも気にしていたー


紗耶香は、隠さず、泣きながら”ナナちゃん”のことを

全て打ち明けたー。


孝義は驚いていたものの、紗耶香の言葉を信じて

「今、そのナナちゃんはどこに?」と

不安そうに呟くー。


「買い物に行ってるから…

 で、、でも、じきに帰って来るかも」

その言葉に、孝義は紗耶香の手を掴んだー


「今すぐここから逃げよう」

とー。


「--で、でも…」

紗耶香が半分虚ろな目のまま答えるー


「いいから!逃げるんだ!紗耶香!」

孝義は、紗耶香の手を引っ張ったー


ここにいたらー

”ナナちゃん”に、紗耶香は壊されてしまうー


とにかく今はー

逃がすしかないー。


紗耶香の手を引っ張りながら、

アパートの階段を駆け下りる孝義ー。


孝義が「とりあえず俺の家に行こう!」と

紗耶香の手を引くー。


紗耶香は、”何で孝義は殺されなかったんだろう…?”と

疑問を抱くー。


「---」

孝義が、横断歩道の信号が赤になったことを確認すると

「--あっちから行こう!」と紗耶香の手を引くー


ナナちゃんに乗っ取られたままの愛海のことは心配だー

けれど-

ずっとあそこにいるわけにはいかないー


紗耶香も、孝義のおかげで”希望”を取り戻すー。


ナナちゃんに見つかることなく、

孝義のアパートにやってきた紗耶香ー。


孝義は鍵を開けると、

「-さ、中に入ってて」と、周囲を警戒する様子を見せたー


万が一、”ナナちゃん”に尾行でもされていたら

大変なことになるー


「---」

紗耶香は、孝義の家の中に入ると、

一息ついたー。


”どうして、孝義がナナちゃんに殺されなかったんだろうー”

その疑問を考えていた紗耶香は

ハッとしたー


”愛海と孝義はほぼ面識がないー”


紗耶香は、孝義との交際を、あまり周囲に伝えていなかったー。

愛海は、彼氏を欲しがっていたし、

”自慢してるの?”と思われるといやだ、という理由で、

愛海に孝義を紹介していなかったのだー。


愛海の身体を乗っ取った”ナナちゃん”は

愛海の記憶を元に、紗耶香の身近な人間を抹殺したー


愛海の中に”彼氏の孝義”は認識されていなかったー


そのためー

孝義は、”ナナちゃん”の魔の手を逃れたのだったー。


”たかくんの家なら…大丈夫かも…”

紗耶香は、少しだけ心が落ち着くような気分になったー


付き合い始めて2カ月ー

孝義の家に来るのもこれが初めてー。


こんな形で孝義の家に来ることになるなんt


「--!?!?」

思考が、途中で止まったー


あまりの恐怖心に、

孝義の部屋の光景に気づかなかったがーーー


「--なにこれ…」


孝義の部屋にはー

紗耶香の写真が大量に貼りつけられていたー


「---愛だよ」

孝義は笑みを浮かべたー


「俺の、紗耶香に対する愛だ」

孝義の表情が歪むー。


「--ずっとずっと、紗耶香をここに連れ込むことが

 できないか、チャンスを伺ってたんだよぉ…」

孝義が欲望に満ちた笑みを浮かべるー


「え…た、、たかくん…?」

震える紗耶香ー


孝義は笑うー。


「--人形がどうこうなんて妄想は

 どうでもいいんだよ…

 俺は、、紗耶香をこうして家に連れ込めればーー」


孝義が紗耶香に無理やりキスをしようとするー


孝義は”穏やかな好青年”を装った”変態”だったー。

高校時代も同級生に手を出して、停学処分を受けているー。

紗耶香は、その本性を知らなかったー


「--触らせろよ」

胸を触りまくる孝義ー

悲鳴を上げながら抵抗する紗耶香ー


「--うるせぇ!声を出すな!隣の部屋に聞こえるだろ!」

孝義が紗耶香の頬をビンタするー


紗耶香は泣き出すー


”ナナちゃん”から逃れたと思ったら

今度は孝義ー。


孝義の容赦ない暴力が続きー

紗耶香は悲鳴を上げるー


無理矢理紗耶香の服を脱がせようとする孝義ー


「俺はずっと、紗耶香のことが、好きだったんだ!

 大学初日に一目ぼれしてから!ずぅっと、ずぅっとぉ!」


狂った笑い声をあげながら孝義は、

「紗耶香のアパート、解約して、今日から一緒に暮らそう!」

と、笑みを浮かべるー。


「-いや…やめて!やめて!」

紗耶香が孝義を突き飛ばすとー

孝義は机に激突して、うめき声をあげたー


「--この…クソ女ぁ!」

孝義が鬼のような形相で、紗耶香に迫って来るー


「-いいからヤラせろよ!?なぁ!?おい!」

孝義の言葉に悲鳴を上げる紗耶香ー


その時だったー


「---紗耶香ちゃ~~~ん… なんで…?」


別の声が聞こえたー


「ひっ---」

玄関の方向を向いていた紗耶香は、悲鳴を上げるー


「あ?」

孝義が振り返るとー

そこにはお姫様のような姿をした愛海がいたー


目は赤く光りー

髪は逆立っているー


「--まだいたんだ…」

愛海が言うー


「--わたしから…紗耶香ちゃんを盗むやつ…!」

愛海の怒りの形相ー

怨念のようなオーラが溢れ出すー。


「--なんだぁ?お前…」

孝義は不愉快そうに愛海を見つめて、

少しして笑うー


「あぁ、いつも紗耶香にちょろちょろくっついてた女かー」


孝義の言葉に、紗耶香は「だめ!愛海は今、さっきお話したナナちゃんにー!」

と、声を上げたー


だがーー

孝義は、愛海に首を掴まれて、

そのまま持ちあげられー

壁に叩きつけられていたー


「--な、、、な!?」

孝義が何が起きたのか分からず悲鳴を上げるー


愛海の目が真っ赤に光っているー


「紗耶香ちゃんは、ナナちゃんのものだもん!」

愛海の言葉に、

孝義は悲鳴を上げながら、足をばたばたとさせるー。


しかしー


紗耶香は思わず目を逸らしたー


愛海が、孝義を”バラバラ”にしたー。

バラバラになった孝義を見つめて

愛海が真っ赤に目を光らせると、

孝義はそのまま消滅するー。


「-----どうして、わたしから逃げるの?」

愛海が目を赤く光らせたまま近づいてくるー。


「--ーーーひ、、あ、、…あ」

紗耶香が泣きながら愛海の方を見るー


愛海はにっこりとほほ笑むー


「-わたし、紗耶香ちゃんとずーっとずっと

 一緒にいる方法、思いついたの!」

愛海の言葉に、紗耶香は震えながら

「え…」と呟くー


「-だって、わたしと紗耶香ちゃんは

 ずーっと、友達だって約束したんだもん!」

愛海の無邪気な笑顔に震える紗耶香ー


「-紗耶香ちゃんは、誰にも渡さないし、

 ずぅ~~っと、ずっと、いっしょだよ♡」

愛海の髪は、まるで別人のように逆立ちー

目は真っ赤に光ったままー


紗耶香に近づいてくる愛海ー


紗耶香はー

自分も”孝義のようにバラバラにされる”と思い

泣きながら悲鳴を上げたー


・・・・・・・・・・・・・・・


「---大丈夫ですか!?」

アパートの隣人が、開いたままの部屋の入口から、

孝義の部屋に入って来るー


一人暮らしのOLだー。


部屋の中にはーー

倒れているお姫様のような格好のツインテールの女とー

立ったまま鏡を見つめている女がいたー


「---え…」

隣人のOLが表情を歪めるー


立っていた女ー

紗耶香が振り返ると、

紗耶香はにっこりとほほ笑んだー


「--わたしが紗耶香ちゃんになっちゃえばー

 ずぅっと、ずっと、いっしょにいられる うふっ♡」

紗耶香が目を赤く光らせて笑うー


倒れたままの愛海を睨むとー

目を真っ赤に光らせてー

愛海の身体が蒸発するようにして”消されて”しまったー。


「--ひっ!?」

隣人のOLが悲鳴を上げるー。


紗耶香はにっこりとほほ笑むと、

「わたしと、紗耶香ちゃんの邪魔をしちゃだ~め♡」と、

隣人のOLに向かって、目を赤く光らせー

OLは悲鳴を上げながらこの世から消滅したー


・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー


紗耶香はお姫様のような格好をして、

髪型をツインテールに変えてー

自分の部屋で、”ナナちゃん”の人形を愛でていたー


「-ふふふふ…

 わたしと、紗耶香ちゃんは

 ずーっと、一心同体、だよ♡」


紗耶香は嬉しそうに、そう囁いて、

穏やかな笑みを浮かべたー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


人形に乗っ取られてしまうエンドでした~!


ナナちゃんの件がなかったとしても、

彼氏の孝義くんにいずれ…と、思うと、

救いがないですネ~…!


お読み下さりありがとうございました~!

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