<MC>カリスマアイドル・J④~闇~(完) (Pixiv Fanbox)
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静まり返ったホールで、
直之は、ライブやネットを中心で活動し、人気急上昇中の
アイドル・”J"を床に叩きつけていたー。
「-ーお、、女の子を殴るの!?…最低!」
”J"がうすら笑みを浮かべながら叫ぶー
「--ー俺は暴力は嫌いだー。
確かに、君みたいな女の子を殴るなんて最低かもしれないー
でもなー」
直之は、怒りの形相で叫んだー
「妹を、親友を、彼女を好き放題されて…
黙ってなんかいられるか!!!
大切な人たちを助けるためならー
最低なやつにだって、いくらでもなってやるよ!」
直之の言葉に”J"はクスクスと笑い始めるー
「わたしは、わたしは選ばれた人間なのよー!
誰からも相手にされず、クラスの端にいたわたしが
今では、アイドルなのよ!
ほら、あんたも、わたしのファンになりなさいよ!」
”J"が叫ぶー。
この後に及んで、”まだ”Jは笑っているー
何故だー?
直之は不気味に感じながらも、
洗脳されている彼女・真凛が、よよろよろと立ち上がるのを
横目で確認したー。
直之は、床に仰向けに倒れているJの服を乱暴につかむと叫んだー。
「--真凛を、妹の静江を、親友の健司をー
いや、それだけじゃない、みんなを元に戻せ!」
怒りの形相の直之ー。
「---…ふ、、ふふふふふふふ、あんたー
わたしに、こんなことして、ただで済むと思ってるの?」
”J"の言葉と同時にー
舞台の脇から、男が姿を現すー
Jのマネージャーを務めている男だー。
「--!」
その男が、カメラを手にしているー。
「--あっははははは!わたしへの暴力は
録画させてもらうから!
ふふふふ、可愛そうなわたし…!
殴られて、可愛そうなわたし…!
うふふふふふふふふっ」
だがーーー
直之は、そんなことに屈しなかったー
思いきり、Jの顔面を殴りつける直之ー
”女の子への暴力ー”
確かに最低かもしれないー
でもーー
大切な人を守るためならー
大切な人を奪おうとー
脅かそうとするのであればー
それを守るために、直之は”鬼”となるー
最低と言われようがー
鬼畜と言われようがー
戦うーー
「ーーーひっ…ぁ」
鼻血を流しながら”J”が
初めて怯えた表情を浮かべたー。
「---ひ、、あ、、あんた…
く、、狂ってる…!
わたしは、、わたしは可愛い可愛いアイドルなのよ!」
必死に叫ぶJー。
しかしー
直之は、この世の何よりも恐ろしいー
そんな表情で、Jを見つめたー
怒りー
恐怖ー
あらゆる負の感情を超越しー
言葉には表せないほどの冷徹な表情を浮かべている直之ー
「---人々を洗脳して、ファンにしてるーー
狂っているのは、お前だろうが!」
鬼のような形相ー
”J"は「ひっ…!?」と声を上げたー。
「--答えろ!廃墟の奥にあった”闇吉原”ってなんだ!?
お前に洗脳された俺の妹がそこに入って行って、
その中のメイドカフェで働かされているのを見た!
なんなんだあそこは!?
”会長”って呼ばれてた男と何の関係がある!?」
直之は、怒りのこもった声で、乱暴に”J"の服を掴んで、
拳を握りしめるー
Jは叫ぶー
「闇吉原なんて知らない!
なんのこと!?」
とー。
「-とぼけるな!」
直之はJの腕を思いっきり引っ張るー。
Jが苦しそうに声を上げるー。
”J"に洗脳された妹が闇吉原とかいう場所に
向かったのだー
”J"と無関係であることなど、絶対にありえないー。
追い詰められた”J"は、泣きながら助けを求めるー
「--相原(あいはら)!
け、、警察を呼んで!」
とー。
”相原”とは、マネージャーの男の名前だー。
「---」
相原が電話を手にするー
直之は”くそっ”と、思いながらもー
とにかく、警察が到着するまでに
Jをボコボコにしてでも、みんなを元通りにしてもらおうー、と、
そう考えていたー。
”闇吉原”とかいう場所のことは、そのあとだー。
「---ええ、、はい、わかりましたー」
しかしー
何だか様子がおかしいー
”J”のマネージャー・相原は、電話を掛けたのだが
どうも、口振りが警察と話しているような感じでは
なかったのだー。
「---相原!?!?早く!!!早く!」
Jが悲鳴を上げるー。
「---」
相原は、電話を終えると、ホール内のスクリーンに
何かを映し出したー
「---!!!」
直之が、スクリーンに映し出された男を見て
驚くー
ここに来る直前、妹の静江が向かった”闇吉原”なる場所にいた
白い縦縞模様のスーツを着た”会長”と呼ばれていた男ー
「--話は聞いたよ。大切な人を守るためにー
頑張っているそうじゃないか。」
”会長”が笑みを浮かべるー
「--ーーお前は、なんだ」
”J"が逃げられないようにしながら、”会長”に対して
言葉を投げかけるー。
こちらの言葉が向こうに届くかは分からないけれどー。
「---私は、そうだな。闇に生きるもの、とでも
名乗っておこうか。」
こちらの言葉は通じているー
そう判断した直之は”J"と洗脳されたままの真凛に警戒しながら
”会長”なる男と会話を続けるー
「--俺の妹が、あんたのいた闇吉原とかいうところの
メイドカフェに入っていくのを見た…!
俺の妹に何をしている!?
あんたとJの関係は!?」
直之が怒りの形相でさらに叫ぶと、
男は笑ったー
「君はこの世で、絶対に裏切らないものを知っているかね?」
男が笑みを浮かべるー
イヤらしくー
高圧的な笑みー。
「---」
直之は答えないー。
「---”金”だよ。
”金”は人を裏切らないー
”J"は金のなる木だー。
Jの歌声で人々を洗脳しー
洗脳した人々を使い、さらにJのファンを増やしー
男はJのファンとして金を落としー
女は、我が闇吉原で身体を使って金を稼ぐー
全ては、私の意のままにー」
男の言葉に、直之は
「じゃあ、お前が”J”の親玉なんだな!?」と
叫ぶー。
しかしー
横にいた”J"本人が叫ぶー
「-わたし、こんなやつ、知らないわ!」
とー。
「-!?」
直之が、表情を歪めるー
てっきり、”J"の後ろにいる人間…
つまり、Jに命令を下しているボスが
この男なのだと思ったー
だがー
”J"本人は、この男を知らないのだと言うー。
「--相原ー
その女の”洗脳”を解除してやれ」
”J"のマネージャー・相原に対して男が
スクリーン越しにそう告げると、相原は「はっ」と頭を下げたー
「--洗脳!?」
”J"が叫ぶー。
「--今までご苦労だったねー。
花崎 友美恵(はなざき ゆみえ)ちゃんー」
笑う”会長”
マネージャーの相原が、”J"に近づき、何かをするとー
”J"が途端に弱気な表情になるー
「-ーーわ、、わたし…え……うそ…?
え…わたし…」
目から涙をこぼして蹲る”J"-
「--お、、おい?」
直之が”J"に近づくとー
Jはその場で悲鳴を上げたー
「--”J"は誰でも良いのだー」
スクリーンに写っている”会長”が呟いたー
「なんだって?」
直之がスクリーンの方を見つめると、男は
不気味な笑みを浮かべながら、
”J"の方を見つめたー
「--その女は、いじめられてた”ごく普通の”
女子高生だー。
それを、我々が洗脳して、
高飛車な自信に満ち溢れるアイドルに変えてやったー
その女は、自分の意思でアイドルになっていると
思っていたようだが、
我々が洗脳して、いいように操っていただけだー
本当はー
自分に自身もなければ、何もないー
ただの気弱で哀れな、小娘だー」
男の言葉に、
直之は唖然とするー
「おい…大丈夫か?」
洗脳されて、アイドル”J"として振舞わされていた友美恵に近づくー。
友美恵は泣きながら
「いっぱい酷いことして、ごめんなさい…」と、
謝罪の言葉を繰り返し口にしているー。
「---洗脳したその小娘の、声帯をちょっとばかり
違法な手術で”改造”してなー
だから、その女の歌声で、人々を洗脳できるのだー」
男は、少女を洗脳、
Jというアイドルを作り出し、
さらに、少女に特殊な手術を行いー
”人を洗脳する歌声”を生み出したー。
男は、安全な場所で、闇吉原を経営しー
洗脳された人々を利用して、莫大なマネーを生み出していたー
「--いやああああああっ…いやああああああ…」
”J"にされていた少女・友美恵が泣きじゃくるー
「--小娘の声帯に行った手術には
激しい精神的副作用があってなー…
だからこそ、その女を洗脳して使っていたのだがーー
正気に戻った今、きっとその女は自分の罪に
耐え切れずー勝手に死ぬだろうよ」
男は笑みを浮かべるー
直之は負けずに叫んだー
「--お前が黒幕だって言うならーー
みんなを”解放”しろ!」
その言葉に、男は拍手を始めたー
そして、笑うー
「-ーははははははっ… いいだろう」
男は笑ったー
”あっさり”と、男が”みんなを開放する”ことを
受け入れたことに、直之は表情を歪めたー
洗脳されたままの真凛の方を見るー
泣きじゃくったままの”J"の方を見るー。
「--私は紳士だ。
君のような有望な若者を、
口封じのために始末したりはしない」
男が笑うー
そして、その直後、”J"のマネージャーだった相原が
直之の背後からー
直之に”何か注射”をしたー
「---!」
直之が表情を歪めるー
「--安心したまえ。
君を私の駒にするつもりはないー
ただー
我々のことをこれ以上、嗅ぎまわられても厄介だー
世の中には、知らないほうがいいことも、あるー」
男の言葉に、直之は反論しようとしたが、
すぐに視界がぼやけてー
そのまま直之は意識を失ってしまったー…
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー」
直之が目を覚ますと、
そこは、自分の部屋だったー
「--あれ…俺は…?」
直之は、頭を抱えながら
軽い頭痛を覚えて、時計を見るー
”あ、いけね!学校に行かないと!”
「ーー」
1階に駆け降りて、両親と言葉を交わす直之ー
直之は、ふと、自宅のテーブルの机が”4つ”で
あることに違和感を覚えたがー
”あ~、4つのやつ、買っちゃったんだったな”と、
そのまま家の外に出たー
学校に到着した直之は、友達と雑談を始めるー
友達の一人が
「今、話題の”J"ってすごいよなぁ~」と笑うー。
”カリスマアイドル”とまで称される”J"は
最近、ネットやライブを中心にその人気を
爆発的に急上昇させているー。
「---はは、確かにかわいいよな」
直之は、笑うー
”J"の写真を見つめる直之ー
”J"とされる少女をーー
どこかで見たことがある気がするー
「--あれ?お前なんで泣いてるの?」
笑う友達ー。
「--え??あれ???え…なんでだろ???」
直之は、”J"の写真を見つめながら
何故か自分で涙を流していることに気づき、そして、戸惑うー。
直之は、もう”思い出せない”
今、”J"として活動しているのは、
直之の彼女”真凛”であることをー。
眠りにつかされた直之は”洗脳”されて
彼女の真凛・妹の静江・親友の健司の記憶を消去されてしまったー。
さらに”闇吉原”を支配する謎の組織は
3人の関係者を次々と”特殊な方法”で洗脳し、
3人の記憶を消し去ってしまったー
「-----」
親友・健司がいたはずの机を見つめるー
「--あそこ、誰かいなかったっけ?」
直之が言うー
だが、友達は笑うー
「はは、お前、寝ぼけてんのか?
あそこ、前から空席だろ?」
とー。
「--そっか、、、そうだよな…」
直之はそう呟きながらー
少しだけ、微笑んだー
彼はもう、思い出せないー
親友・彼女・妹ー
その全てを奪われたことをー
・・・・・・・・・・・・・・・
直之の彼女・真凛は
アイドル”J"として、活動し、
歌声で人々を洗脳しているー
親友の健司は、闇吉原のスタッフとして働かされているー
妹の静江は、”会長”が気に入り、会長の女として
毎晩会長の相手をしているー
最初に”J"として、洗脳されていた友美恵は、正気を
取り戻して、激しく動揺した挙句、自殺してしまったー。
数か月後ー
洗脳されて、アイドル・”J"として、活動している真凛は、
ファンとの握手会に臨んでいたー
当然、ファンたちは真凛の歌声に洗脳された人々ー
真凛は”下僕”たちが、こんなに増えるなんて…
と、嬉しそうに笑みを浮かべるー
そこにーーー
直之がやってきたー
あの後、直之も、”J"となった真凛の歌声を聞き、
洗脳されて、ファンになってしまっていたー。
「---あ、、あの…ファンです!」
直之が嬉しそうに手を差し出す。
真凛が握手するー
直之と真凛ー
彼氏と彼女だった二人がー
互いに洗脳された状態で、握手を交わすー
その時ーーー
二人は、ハッとした様子で、顔を見合わせたー
そしてーーー
直之は、震えながら口を開いたー
「ま、、り…ん?」
とー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・
コメント
洗脳Xアイドルのお話でした~!
この後どうなるのかは…皆様のご想像次第デス!
お読み下さりありがとうございました~!
明日は”人形”が関係する憑依モノを書く予定ですので
お楽しみに~!