＜女体化＞異世界の星空㉞～届かぬ想い～ (Pixiv Fanbox)

”生まれながらにして、立場が違うー”

そんなこと、まだ知らなかった子供の頃ー、

”夢”を抱いたー

いつしか、

アリシアと結婚して、アリシアを一番側で支える、と…。

けれどー。

そんなことはできないと知ったー。

生まれながらにして”姫”であるアリシアとー

生まれながらにして”騎士の息子”であった自分ー

どんなに、どんなに願っても

結ばれることはないー

その現実を知ったー

だからこそー

せめて、

騎士としてー

例え、一番側にいることが出来なくてもー

大切なモノを支えたいー。

それなのにー

俺は守ることが出来なかったー。

大切な”ヒト”をー。

・・・・・・・・・

★主要登場人物★

藤枝　和哉（ふじえだ　かずや）/アリシア姫

異世界に転生後、女体化。アリシア姫の意思を受け継ぎ、戦う決意を固めた。

高梨　亜優美（たかなし　あゆみ）/ヒルダ

和哉の恋人。異世界ではヒルダと名乗り、敵対している。

神埼　省吾（かんざき　しょうご）/ダーク将軍

和哉・亜優美の共通の友人。歪んだ嫉妬心から、敵対する。

ユーリス/ジーク/フェルナンデス/ミリア

王宮騎士団長。それぞれが、それぞれの騎士団を率いている。

ラナ

アリシア姫の侍女。和哉に対しては辛辣な接し方をする。

グール伯爵

皇帝ゼロの腹心。闇の帝国の事実上の指揮者。ミリアの実の父。

皇帝ゼロ

闇の帝国の皇帝。強大なエナジーを持つ。エックスの兄。

カイル

アクア王国隠密部隊長。闇の帝国と内通している。

※登場人物詳細

（↓に、￥300と出ていますが、このお話を読めている皆様は、既に

　プランご加入（ありがとうございます★☆！）済みですので、

　お金がかかったりすることはありません！ご安心ください）

fanbox post: creator/29593080/post/1260447

・・・・・・・・・・・・・・

「－－－ーー中には、ほとんど誰もいません」

”ダークパレス”の入口付近までやってきたラナが、蛇を手に

這わせながら呟くー。

ラナの”エナジー”により生み出された蛇を利用した

”偵察”能力ー。

「－－そうか」

騎士団長・ユーリスが呟くー

見立て通り、ダークパレスには

ほとんど”生体反応”が存在しないのだと言うー。

ラナの蛇を使った”偵察”では、

本当に数名程度ー

恐らくは皇帝ゼロに、神崎省吾、高梨亜優美ー、

裏切者のカイルー

いたとしても、残りあと数名なのだろうー。

グール伯爵は、既にダークパレスを出て、

アクア王国の王宮に入っているー。

そちらには、女性騎士団長のミリアが向かったー。

「－－－聞いてくれ！」

ユーリスが、自分の部隊の兵士たちに向かって叫ぶと、

兵士たちに指示を出していくー。

ダークパレスに繋がる道”死の境界線（デッドライン）”の

魔物は、ジークの命を散らした最後の攻撃により、

ほぼ壊滅したー。

しかし、まだわずかに残っているー。

ユーリスは兵士たちに残存の魔物たちの駆逐を指示し、

一部の兵士には、ダークパレスの入り口付近の陣地確保などを指示していくー。

「－－ところで、ラナさ」

和哉が、そんなユーリスの様子を見つめながら

隣に立っていたラナに向かって言うー。

「－－ラナのエナジーの能力が蛇なのってさ、

　昔、蛇にびびったからって言ってたよな？」

和哉が笑いながら言うと、

ラナは顔を赤らめながら、

「ーーーう、、うるさいわね！」と顔を背けるー。

「－－いや、今はそんな腕に巻きつけられるぐらい克服したんだなって」

和哉がニヤニヤしながら言うと、

ラナは「ーー噛みつくわよ！」と、言いながら威嚇するポーズを取ったー。

緊張のほぐすための会話をしているうちにー

ユーリスが戻って来るー。

当初の予定では、ダークパレスに存在する東西の入口のうち、

東からユーリス、西からミリアが突入する予定だったが、

ミリアはグール伯爵を倒すため、王宮の方に向かったー

だからーーー

「－－俺が西から…」

和哉が言うと、ユーリスは「－－－大丈夫か？」と呟くー。

「－－－俺だってーー

　大切なモノを守るためーー

　それに、この王国を守るためー

　逃げてばかりいられない！」

和哉が決意の眼差しで言うー。

長い髪をなびかせながらーー

和哉は、ユーリスの目をまっすぐ見つめたー。

「－－－そのために、毎日王宮で修行もしてきたんだ」

和哉の言葉に、

ユーリスは「わかった」と頷くー。

ラナが「わたしもこの人についていきますので」と、

ユーリスに向かって言うと

「あぁ、頼む」と、ユーリスは力強く返事をしたー。

和哉とユーリスが向き合って、拳を交わすー。

「－－死ぬなよ。

　お前には、大事な人も、

　帰るべき世界もあるんだ」

ユーリスの言葉に、

和哉も

「ユーリスこそ、死ぬなよ」

と、言葉を返したー

「－－頂上で会おう！」

ダークパレスの頂上を見つめながら走り出すユーリス。

和哉とラナは、ダークパレスの西側から

内部に突入したー。

重苦しい空気の漂う内部ー。

「ーーー」

和哉は入口の方を振り返るー

もしー

生きて帰ることができなければー

これで”空”を見るのは最後かもしれないー

などと、どうしても考えてしまうー

首を振る和哉ー

”生きて帰るんだ。必ずー”

そう言い聞かせて、ラナの方を見て頷くと、

和哉とラナは、不気味な悪の居城のような雰囲気の

内部を進んでいくー。

螺旋階段を上るー。

この先にはー

省吾や、亜優美が待ち構えているー

そしてー

皇帝・ゼロもー。

螺旋階段を登りきるとー

そこにはーーー

彼女が、いたー。

大切な、彼女がー。

悪女のような衣装に身を包み、

悪い笑みを浮かべるー

最愛の彼女、亜優美がー。

「－－－あら？お姫様…

　ふふふ、よく来たわね」

”ヒルダ”を名乗る亜優美が、和哉の方を見るー。

「－－あんた！いい加減目を覚ましなさいよ！

　自分の大事な人が、こんなに苦しんでるのに！」

ラナが和哉の方を指さしながら叫ぶー。

「－－大事な人？あんたが？？？

　ふふふ、笑わせないで！」

亜優美が、敵意をむき出しにするー。

「－－ーいつまで皇帝に操られて意のままにされてるの！？

　恥ずかしいと思いなさいよ！」

ラナが感情的になって叫ぶー。

「－－！」

和哉がラナに向かって、手で”いいんだ”と、合図をしたー。

「－－ーー亜優美…」

和哉がラナの前に出て、亜優美の方を見るー。

「－－－亜優美じゃないって言ってるでしょ？

　わたしは皇帝にお仕えする女ー…。

　わたしはヒルダ！亜優美なんかじゃない！」

亜優美が殺気を放つー。

「－－違う。君は亜優美だー。」

和哉が剣を構えるー。

戦うことでしか、亜優美の心を取り戻すことができないのならー

もう、逃げないー

和哉は、亜優美と同じく洗脳されていた少女・ソフィアのことを

思い出すー

彼女を救うことはできなかったが、

”一瞬”、ソフィアの目には迷いが浮かんでいたー

それを見て確信したー。

例え洗脳されていてもー

完全に元の人格が消えてしまったわけではないー、と。

「－－俺は必ず、亜優美を助け出してみせる！」

和哉が亜優美の方を見つめながら、そう決意を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「－－－」

女性騎士団長・ミリアは、

父親でもある闇の帝国のNo2・グール伯爵が、

先日闇の帝国に占領された、アクア王国の王宮に

入ったという話を聞き、

アクア王国王宮にやってきていたー。

周囲には少数の魔物ー。

ミリアの騎士団に所属する兵士たちが、魔物を蹴散らしていくー。

まるでー

”誘う”かのように、王宮の扉は開いていて、

警備はがら空きだったー。

偵察兵の言う通りー

グール伯爵のほかには、ほとんどの戦力がここには来ていないようだー。

王宮の中を歩んでいくミリア。

1歩、また1歩ー

”はははは、ミリア、こっちだ”

父・グールの優しい笑顔を思い出すー

小さいころー

父であるグールは、確かに、優しい父親だったー。

その父が、どうして”闇の帝国”側に寝返ったのだろうー？

どうして、平和を乱すようなことをするのだろうー？

”みんなが笑って暮らせる世の中をつくるのが、私の仕事だ”

父・グールは、小さいころ、ミリアによくそう言っていたー。

「－－－これがー

　父上の望みなのですか…」

ミリアは悲しそうに呟くー。

そしてー

たどり着いた先ではー

アリシア姫が座っていた玉座に、

グール伯爵が、深々と腰を掛けていたー

「－－よく来たな。我が娘よ」

グール伯爵は、不気味な笑みを浮かべながら

ミリアを出迎えたー

・・・・・・・・・・・・・・・

「－－－－」

東側からダークパレスに突入したユーリスの前には、

禍々しいオーラを放つ、人型の魔物が立っていたー。

「－－－我が”しもべ”たちが世話になったようだな」

威圧感のある声で呟く魔物ー

「－－－しもべ？」

騎士団長・ユーリスがそう呟き、

すぐに言葉を続けたー

「なるほど。皇帝ゼロによって召喚された魔物たちの

　親玉か」

ユーリスの言葉に、魔物は笑みを浮かべたー。

「左様。我が名は、魔界将アデンー」

アデンを名乗る魔物が、笑みを浮かべるー。

皇帝ゼロは、”異世界”に干渉する能力で、

闇の帝国の戦力を集めていたー

和哉たちの世界から、亜優美や、ソフィアを名乗らされていた少女が

召喚され、洗脳されたのも、そうー。

そして、魔物たちは”魔界”から皇帝ゼロが召喚し、

洗脳、利用していたー。

魔界将アデンは、その魔界から召喚された魔物たちの親玉だー。

「－－魔界、とやらのトップが、皇帝ゼロに洗脳されて

　利用されているとはな」

ユーリスが剣を構えながら魔界将アデンを見つめるー。

「ーーークク…勘違いするな。

　魔界には我よりもさらに強大な魔物が大勢いるー。

　それにー

　我は洗脳されていない。

　皇帝ゼロによってこの世界に召喚され、

　魔物たちの統率を任されたーー

　自らの意思でこの世界で、闇の帝国に力を貸しているのだ」

魔界将アデンはそこまで言うと、

戦闘態勢に入るー

「－－貴様を殺し、

　”闇の皇帝”が作り上げる新世界で、

　我々魔物の地位を確かなものにするー」

魔界将アデンが武器を構えるー

と、同時にユーリスも武器を構えたー。

”死の境界線”の魔物はほぼ全滅したがー

まだ各地に魔物は散らばっているー

親玉をここで倒さねばならないー

「行くぞ！魔界将アデン！」

ユーリスが、剣に炎を纏わせて魔界将アデンに向かうー。

「－－－－」

魔界将アデンは動かないー

「－－アクア王国　４騎士団長のひとり、ユーリス。

　噂通り見事な炎だー

　だがー」

魔界将アデンが笑みを浮かべるー

”－－お前の心の闇を見せてみろー”

「－－－！？！？！？！？」

ユーリスが表情を歪めるー。

「－－－ここは！？」

ユーリスの周囲の景色が変わるー。

「－－－ユーリス…！」

背後から声が聞こえて振り返るユーリス。

そこには、アリシア姫がいたー。

「－－ひ、、姫様…？」

ユーリスは、自分の声が、小さい頃の声に

なっていることに気づくー。

「－－－姫様？ふふ、アリシアでいいってば～！」

笑うアリシアー

幼いころの、まだ”幼馴染”として

立場の違いなど、何も知らなかったときのアリシアー。

「－－将来、わたし、ユーリスのお嫁さんになる！」

アリシアが笑いながらユーリスに抱き着くー。

「－－ひ、姫様！？」

「だからアリシアだってば～！」

「－－！？！？（俺はー！？）」

ユーリスが周囲を見回すー

闇の帝国の本拠地・ダークパレスに突入したはずー。

それが、何故ー？

「ーー大きくなったら、ユーリスがわたしを守ってくれるんだよね？」

笑うアリシアー

「－－あ、、あぁ…もちろん」

ユーリスは戸惑いながら答えるー。

そうー

小さいころは、アリシアと、何の距離感も感じることなく

こうしてよく、一緒に過ごしたー。

だがー

大きくなっていくにつれて”現実”に気づかされたー。

アリシアは、”姫”として、”一介の騎士の息子”である

ユーリスとは次第に距離が生まれていくー。

「ユーリス、我々は騎士だ。

　姫様にあまり近づきすぎるんじゃない」

ユーリスの父は、次第にユーリスのそう言うようになったー。

”姫様と騎士では立場が違うのだー”

とー。

やがて、宰相のローディスや、他の大臣たちに

囲まれ、アリシア姫と会うことのできる時間は

成長と共に、少なくなっていったー。

「－－－僕は、姫様と結婚するんだ！」

小さいころ、ユーリスはよくそう口にしていたー

けれどー

それは適わぬ夢だと知ったー

「－－騎士の分際で、姫様と？笑わせるなー」

大臣たちは、そう言い放ったー

”姫”

”騎士の息子”

生まれながらにしてーー

住む世界が違ったのだー

やがて、青年になり、正式に騎士となったユーリスの元に、

アリシアが訪れたー

この数年は、アリシアと直接会うこともなくなっていたー。

会ってもー

遠目からアリシアを見つめるだけー。

「－－－姫様」

成長して”現実”を知ったユーリスは臣下として頭を下げるー

「－－－もう…昔のように、アリシアとは呼んでくれないのですね」

アリシア姫が呟くー

「－－－俺は…騎士だからー」

ユーリスが悲しそうに呟くー。

「－だからー

　一番側にはいられないけどー

　俺は、、俺は騎士として、－－－

　アリシアを守るからー」

ユーリスは、アリシアの方を見て、

そう呟いたー

宰相ローディスがやって来るー。

「－－－－姫様、おひとりで外出など、危険ですぞ？」

宰相ローディスの言葉に、アリシア姫は「今、戻ります」と

ローディスの方を呟くー。

「－－－－－」

アリシアの寂しそうな目ー

やがてー

ユーリスは騎士団長に出世ー

けれども、公の場では、２度と昔のような

口を利くことはなかったー

二人きりの時だけー

昔のように話すー

けれどもー

それだけー。

自分のこの手は”姫”であるアリシアには

届かなかったからー

過去の映像を見せられるユーリスー。

気づくと、ユーリスは、王宮にいたー。

「－－ユーリス…わたしと、結婚しましょう？」

アリシア姫が近づいてくるー

「姫様…？」

ユーリスはこの”幻”に次第に惑わされていくー

”本当はーー

　一番側にいたかったのだろう？

　見える

　見えるぞー

　騎士団長ユーリス…

　お前の心の闇がー”

「－－－－－」

魔界将アデンー

エナジーによる能力

”闇の記憶（ダーク・メモリーズ）”

相手に過去の心の傷を見せつけー

”精神世界に幽閉する”力ー

目の前にいるユーリスが虚ろな目で膝をついているー

「－－ククク…さぁ…

　自分の理想とする”世界”に飲み込まれるが良いー」

魔界将アデンは、ユーリスを見つめながら、

静かに笑みを浮かべたー

㉟へ続く

・・・・・・・・・・・・・・

コメント

⑩前後で、騎士団長個別エピソードをやりましたが、

ユーリスの分だけなかったのは、後半で書くためでした～！

今日もありがとうございました！！