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「---おじいちゃんが言ってたんだー

 辛いとき、寂しいときは、星空を眺めなさいってー」


「ーーー遠く離れていても、この星空の向こうには、

 みんながいるー」


この異世界の星空-

同じ、星空の下できみは今も、悪事を働いているのだろうー。


和哉は目を閉じるー。

星空を見て、微笑んでいた亜優美のことを思い出すー。


「----」

今ー

星空を見つめるー。


この異世界の星空は、和哉のいた世界とは違い、

とてもキラキラと輝いているー。

環境汚染などが進んでいないー、ということだろうかー。


こんな星空を、亜優美にーちゃんと見せてあげたいー。


「--もしも今後、仕事とかで離れることがあっても、

 その腕時計を通じて、和哉のこと、見てるからね♪」


亜優美からもらった腕時計ー

恥ずかしくて、一度も元の世界では身に着けなかった腕時計を今ー

女体化した和哉は身に着けているー。


「--洗脳でーー離れ離れでもーー

 俺のこと、見ててくれるよな…?」


和哉はそれだけ呟くと、

ユーリスたちの方を見つめて頷いたー。


最終決戦ー。


「ーー今、助けに行くからー」

和哉はそう呟くと、

闇の帝国の本拠地”ダークパレス”に向かうための道を

馬に乗って歩み始めたー。


・・・・・・・・・


★主要登場人物★


藤枝 和哉(ふじえだ かずや)/アリシア姫

異世界に転生後、女体化。アリシア姫の意思を受け継ぎ、戦う決意を固めた。


高梨 亜優美(たかなし あゆみ)/ヒルダ

和哉の恋人。異世界ではヒルダと名乗り、敵対している。


神埼 省吾(かんざき しょうご)/ダーク将軍

和哉・亜優美の共通の友人。歪んだ嫉妬心から、敵対する。


ユーリス/ジーク/フェルナンデス/ミリア

王宮騎士団長。それぞれが、それぞれの騎士団を率いている。


ラナ

アリシア姫の侍女。和哉に対しては辛辣な接し方をする。


グール伯爵

皇帝ゼロの腹心。闇の帝国の事実上の指揮者。ミリアの実の父。


皇帝ゼロ

闇の帝国の皇帝。強大なエナジーを持つ。エックスの兄。


カイル

アクア王国隠密部隊長。闇の帝国と内通している。


※登場人物詳細

(↓に、¥300と出ていますが、このお話を読めている皆様は、既に

 プランご加入(ありがとうございます★☆!)済みですので、

 お金がかかったりすることはありません!ご安心ください)

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・・・・・・・・・・・・・・


「----」

ダークパレスへの道を進むー。


黒雲が空を覆うー。


和哉・ユーリス・ミリア・ジーク・ラナー

そして、各騎士団の騎士たちが、それぞれ緊張した面持ちで、歩を進めているー。


「---」

亜優美と省吾の顔を思い出すー。

洗脳された彼女ー

闇落ちした親友ー

そして、この世界を守るためー。


負けるわけにはいかないー。


「---…アリシア…この王国、必ず守って見せる」

騎士団長・ユーリスは幼馴染でもあるアリシア姫に

誓いの言葉を口にするー。


「---…」

女性騎士団長・ミリアは、過去に闇の帝国に寝返った父・グール伯爵の

ことを思うー。


”-どうして、父は裏切ったのかー

 その答えを、直接聞かなくてはー”


「---…」

騎士団長・ジークは、そんな和哉たちを見つめながら笑みを浮かべたー


”貴公たちの顔を見るのも、これで最後だー”

とー。


ジークは、闇の帝国本拠地・ダークパレスに向かうまでの道ー

通称・死の境界線を突破するための秘策があると、和哉らに伝えているー。


だがー…

その方法はー


「----あんたのことは、わたしが守るから」

ラナが和哉の横で呟くー


「--はは、俺がラナを守るよ」

和哉が笑うと、ラナが「わたしが守るの!」と反論するー


「俺が!」

「わたしが!」

「俺が」

「わたしが」


言い合いをするうちに、二人はなんだかおかしくなって

笑い始めたー


「--ははは、必ず、生きて帰ろうな!」

和哉がラナの肩を叩くと、

ラナは「姫様の姿でそういうことされると、もう心臓破裂しそうになるから!」と

顔を真っ赤にしながら言ったー。


「ーーー報告!」

先に偵察に出ていた部隊が合流するー。


「---」

和哉たちが偵察部隊の方を見ると、

偵察部隊の長は、告げたー


偵察部隊は淡々と告げたー。


占領されたアクア王国の王宮に

闇の帝国のNo2、グール伯爵が先ほど入りー

グール伯爵が怪しげな儀式を開始、

邪悪なエネルギーを探知しているのだというー


「--グール伯爵が?」

ユーリスが表情を歪めるー。


これから向かう先は、闇の帝国の本拠地・ダークパレス。


だがー

グール伯爵はここから少し離れた場所の

先日陥落したアクア王国の王宮に入ったのだと言うー。


「---」

闇の帝国を一気に壊滅させるべく、本拠地を叩くつもりだったがー

No2とも言われるグール伯爵が別の場所に移動したとなると、

話が変わって来るー


「やつら、本拠地を王宮に移すつもりか?」

ジークが言うと、

偵察兵は続けたー


「それがー…

 グール伯爵には護衛がほぼおらずー

 ほぼ、一人状態です」


偵察兵の言葉に、

ユーリスは首を傾げたー


「--何かあったのか…?」


グール伯爵は皇帝ゼロの側にいることが多かったうえに

護衛を連れていることも多かったー


それなのに、”まるで誘うかのように”一人で、

先日陥落したアクア王国の王宮にー


「--私が行こう」

女性騎士団長のミリアが言葉を口にしたー


「--父の始末は、私がつけるー」

ミリアの強い決心ー。


”護衛もつけず、敵の本拠地から移動したグール伯爵”


その目的は分からないがー

ミリアには”父が自分を呼んでいる”ー

そんな気がしてならなかったー。


「----」

ユーリスは考え込むー。


ミリアが抜ければ、敵の本拠地へ突入する戦力が減るー。

かと言って、グール伯爵を放置しておくことも出来ないー。


「---行かせてあげよう」

和哉がユーリスの方を見て呟くー。


ユーリスは、少し考えた末に頷くと、

「死ぬなよ、ミリア」と、ミリアの方を見つめたー。


「--ー父の始末をつけたら、すぐに戻るー」

ミリアの言葉に、ユーリスは頷くー。


「----」

ジークがそんなミリアの方を神経質そうな表情で見つめているー。


「--お前も、死ぬなよ」

ミリアがジークに向かって言うと、

ジークはうすら笑みを浮かべながら答えるー


「--俺が死んでも、悲しむ人間などおらんさ」

とー。


「-どうだろうな」

ミリアはそれだけ言うと、

自分の部隊に指示を出して、

向かおうとしていた闇の帝国の本拠地・ダークパレスではなく、

グール伯爵の待つ、王宮へと向かい始めるー。


”父”との戦いに決着をつけるためにー。


馬に乗って走り去っていくミリアの部隊を見つめながら、

ユーリスは呟くー


「ーーー闇の帝国の本拠地に向かおう」

とー。


和哉、ジーク、ラナが頷くと、

そのまま一行は闇の帝国の本拠地を目指したー。


・・・・・・・・・・・・・・


「----来たか」

ダークパレスの最深部で待ち構えている

和哉の親友・神崎省吾が笑うー


「--俺はーーー

 いつもいつもお前には勝てなかったよなー」

省吾は、和哉の写真を見つめるー。


「--だが、この世界では違うー。」

省吾はそれだけ言うと、脇で控えていた

亜優美に近づいていき、亜優美にキスをするー


亜優美が嬉しそうに「んっ…♡」と声をあげるー


この世界では、ヒルダー、だったかー。


”決して手の届かない”

亜優美を手に入れたー。


”小さいころからの仲良し三人組”-


でもーー

亜優美は、和哉を選んだー。


いいさー

分かってるー


でもさー

やっぱ、悔しいんだよー

どこかでー。


もっと早くー

もっと早くー


”ブレーキ”を、お前が踏んでくれていたならー


未来は、違ったのかもしれないー


だがー


「----あっ…♡ んふふふ♡」

顔を赤らめた亜優美が微笑むー。


省吾は亜優美から離れるとー

笑みを浮かべたー。


だがー

もう、戻れないー


亜優美は、完全に洗脳されて

冷徹非道な女・ヒルダと化したー


この世界で省吾は、和哉と決別したー


もうー

戻れないー


「--俺は、この世界でお前を倒しー

 全てを奪ってやるー」

省吾はそう呟くと、和哉たちの接近を知り、笑みを浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・・


”死の境界線”


デッドラインと呼ばれるその場所の手前までやってきていた

和哉たちー。


風でなびく綺麗な髪を手で押さえながら、

和哉が、眼下に広がる、”死の境界線”を見つめるー


その先には黒雲に包まれた

闇の帝国の本拠地”ダークパレス”がかすかに見えるー。


「----恐ろしい光景だな」

ユーリスが呟くー。


ここまで抜けてきた山岳地帯ー。

この崖から降りれば、魔物だらけの地獄を抜けていくことになるー。


”魔物だらけ”

眼下に広がるその光景に

歴戦の騎士であるユーリスも表情を歪めるー。


ユーリスら騎士団長と、率いる騎士たちをもってしても、

突破することは難しいー


だからこそ、今までダークパレスに進むことはできなかったー


「--これだけの数の魔物…どうするんですか?」

ラナが戸惑いながら言葉を口にするー


ユーリスと和哉は、背後にいるジークの方を見つめたー。


”死の境界線を突破する策があるー”

ジークがそう言ったからこそ、ここに来たのだー。


ユーリスは当初、反対したー。

反姫派であり、王宮陥落の原因まで作ったジークを

信用はできないー、と。


だが、和哉がジークを信じる、と言ったために

今、一行は、闇の帝国への総攻撃を仕掛けに来ているー。


「----…案ずるな。突破する方法はある。

 だが、今日はもう遅いー

 夜明けを待とう」


ジークの言葉に、騎士たちも、ユーリスたちも

この付近で野営をすることにしたー。


性質上、夜のほうが、魔物の力が強化されることがあり、

ジークの進言は理に適ったものだったー。


しかしー


「-----」

寝静まった騎士やユーリス、ラナ、和哉たちを見つめながら

ジークは笑うー


”貴公たちの顔を見るのは、これで最後だー”


にやりと笑うと、ジークは一人、自分の馬に乗り、

”死の境界線”の方を見つめるー。


この崖を下りれば、

山のような魔物が徘徊する

”死の境界線”に突入するー。


「---ジーク!」


「--!」

ジークが振り返ると、

そこにはユーリスがいたー。


ジークのことを警戒したユーリスは

寝たふりをして、ジークの様子を見張っていたのだったー


「どこへ行く?」

ユーリスの言葉に、ジークは笑ったー。


「---」

そして、闇の帝国の本拠地・ダークパレスを指さすー。


「--まさか貴様…」

ユーリスが声をあげるー。


ジークが”謀反”を起こすつもりだと、

そう思ったからだー。


「---クク、貴公には嫌われたものだー」

ジークが笑うと、ユーリスの方を見つめたー


輝く月を背に、ジークが呟くー。


「---貴公の顔を見ることは、もうあるまいー。

 そしてーー

 貴公も俺の顔を見ることは、もう、ないー」


ジークの言葉に、

ユーリスは剣を構えるー。


「--これから起こることを、黙って見ていろ」

ジークはそれだけ言うとー

死の境界線に向かって、馬を走らせたー。


「--!」

ユーリスが剣から手を放し、

大量の魔物が徘徊する崖下へと馬ごと飛び込んだジークの方を見つめるー。


「--なにを…」

ユーリスが呟くー


魔物に囲まれたジークー。


一体ー

何を…?


「--ユーリス様!」

背後から兵士の声がしたー。


ユーリスが振り返ると、兵士は叫んだー


「ジーク様のテントの中に、こんなものが…!」

とー。


「---」

ユーリスが兵士から渡された紙を見て、

ユーリスは表情を歪めたー


・・・・・・・・・・・・


死の境界線ー


皇帝ゼロが召喚した魔物が、多数徘徊している危険区域。

その数は圧倒的で、王国の総力をもってしても、

突破は難しいー


「だがー」

ジークは笑みを浮かべるー


「--アクア王国騎士団長・”深淵の毒蜘蛛”ジークの

 深淵ー

 とくと見るがいいー」


ジークは笑みを浮かべるとー

自身のエナジーによる能力


”毒の霧”を発生させたー


周囲の魔物たちが苦しみだすー。


しかしー

”致死”には至らないー


ジークはニヤリと笑ったー


”貴公たちの顔を見ることは、もう、あるまいー”


何故ならー


ジークはいつも、毒の霧を放つ際には

自分のエナジーの力を”守り”にも分散させているー。

そうでないと、自分も毒の餌食になるからだー。

自分の周囲にバリアを発生させ、毒が自分に影響しないよう、

防いでいるー


しかしー


その”バリア”に使っている分のエネルギーを全て

”毒”に回せばー


ジークが、崖上の方を見つめるー。


そして、思うー。


”--俺が謀反など起こすわけあるまいー


 言ったはずだー

 俺は、手段を択ばず、アクア王国を守る、とー。


 そのためならー

 必要とあれば、姫様だって排除するー


 そしてーーー

 ”自分”さえもー”


ジークの身体から、強大な毒の霧が、

死の境界線中に放たれるー。


ジークのエナジーを全て”毒”の力に注ぎ込んだことによりー

”猛毒の霧”と化しー

魔物たちが、一瞬にして溶け、砕け散っていくー。


「---いざという時に、誰も悲しまずー

 迷わず自分のことを切り捨てられるようにー…

 …と、いうことか?」


女性騎士団長・ミリアの言葉を思い出すー


「----」

ジークは、フッと、笑みを浮かべるとー

自ら発した強大な毒の霧に飲み込まれるー


”ユーリス、ミリアー

 そしてー異世界からの旅人よー

 アクア王国を、頼んだぞ”


・・・・・・・・・・・・・・・・


「-----」

グール伯爵の待つ王宮に向かっていたミリアは

背後を振り返るー


闇の帝国本拠地の方向から、

紫色の蒸気のようなものが見えたー


ジークの毒の霧だー


「--俺が死んでも、悲しむ人間などおらんさ」


「-どうだろうな」


ジークと交わした最後の会話を思い出すー。


「----ーー」

ミリアは、背後を振り返るのをやめると、

少しだけ下を向いて呟いたー


「--いるさー ここに」

そう呟いたミリアの頬には、一筋の涙が流れていたー


・・・・・・・・・・・・


”わが命を懸けて、死の境界線を突破するー。

 事前に伝えれば、貴公らはきっと俺を止めただろうー。

 だから、このような方法を取らせてもらったー。


 アクア王国の未来、貴公らに託すー。”


「-----ジーク」

ユーリスが、ジークがテントに残していた手紙を読み上げると、

和哉は寂しそうにそう呟いたー。


「--見てください」

ラナが呟くー。


”死の境界線”の毒の霧がー

夜明けと共にー消えていくー。


「----魔物が…」

ユーリスが呟くー。


ジークの命を懸けた毒の霧によってー

死の境界線に集まっていた魔物はーー

一網打尽にされていたー。


「---…」

ユーリスは悔しそうに、死の境界線を見つめるー


(ジーク…お前は、あくまでも王国を守ろうとしていたんだなー…

 謀反など疑って、すまなかったー)


心の中でそう詫びると、ユーリスは、和哉とラナの方を見たー


「ジークの死を無駄にはできない…!

 行こう、やつらの本拠地へー」


死の境界線の魔物は消えたー。


あとはー

闇の帝国の本拠地・ダークパレスのみーーー。


「---ジーク…この王国のことー

 必ず守って見せるからー」


和哉はそう呟くとー


王国もー

亜優美もー

省吾もー


全てを救う覚悟で、闇の帝国の本拠地・ダークパレスに向かって

走り始めたー


㉞へ続く


・・・・・・・・・・・・


コメント


敵の本拠地に突入!

長かった異世界の戦いも、

いよいよ最終決戦デス!


今日もありがとうございました~!

(Fanbox)


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