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階段から”2度目の転落”をしてしまった二人は、幸い、大した怪我ではなく

そのうちに、病院から帰宅したー


「二人に大きな怪我はなくてよかったんだがー

 血液中に”普通じゃありえない成分”が

 ほんの少し混ざっていたんだー。


 人間が生成できる成分じゃないー

 ”外部”からー

 注射されたような、そんな、感じだー」


純也は、自宅の部屋で、医師の言葉を思い出すー。


「--外部から…」

純也は頭を抱えるー。


穂乃香(英司)もー、

自宅で、医師の言葉を思い出していたー。


「くそっ!なんだってんだよ!」

穂乃香(英司)は、壁に拳を叩きつけるー。

英司の手よりも小さな穂乃香の手で壁を殴りつけた穂乃香(英司)ー。


「---だ、、大丈夫…?」


「ーー!」

穂乃香(英司)が、振り返ると、

偶然、穂乃香の部屋にやってきていた穂乃香の母親が

驚いていたー。


”温厚な穂乃香が、壁を殴りつけて鬼のような形相をしていた”からだー


「あ、、いや、、はは、うん、大丈夫だいじょうぶ!

 ちょっと、ほら、虫がいて! ははっ!」

穂乃香(英司)はそれだけ言うと、

母親から目を逸らして、机に座って勉強しているふりを始めるー。


「-----…穂乃香、最近、何か悩んでない?」

穂乃香の母親が心配そうに言う。


部屋にやってきたのは

”最近、穂乃香の様子がおかしい”と感じているからー。


入れ替わったことを知らない両親は、穂乃香の変化に困惑していたー。


「----だいじょうぶだいじょうぶ」

穂乃香(英司)はノートに意味のない文字を書きながら

母親が立ち去るのを待つー。


「---本当に?何か学校であったんじゃないn


「--大丈夫だから!」

穂乃香(英司)はペンを叩きつけるにして机に置いたー


穂乃香の母親が、ビクッとした表情で、穂乃香(英司)を見つめるー


「---ーーごめんなさい…とにかく、大丈夫だから」

穂乃香(英司)がそう言うと、母親は悲しそうに

「--わたしたちは、穂乃香の味方だからね…」と

呟いて扉を閉めたー。


「-----」

ふぅ、とため息をつく穂乃香(英司)--


「--…俺…穂乃香じゃないんだよ…」

穂乃香(英司)は悲しそうに、そう呟いたー



「----」

英司(穂乃香)も自分の部屋で頭を抱えているー


「---」


「---ーーーごめん…

 辛いよな…


 でも、、、周囲はさ、、英司と俺が抱き合ってたりすればー

 色々あるんだ…


 だからーーー

 もう少しだけ…

 本当に、ごめんな」


純也の言葉を思い出す英司(穂乃香)-


「---」

”元に戻れないんじゃないか”という恐怖ー

”穂乃香になった英司に、純也が取られちゃう”という恐怖ー

”純也との関係が思うようにいかない苛立ち”


「もおおおおお!!!」

英司(穂乃香)は、本を部屋の隅に投げつけるー。


「--なんで…!なんで、、なんで!」

鏡を見つめる英司(穂乃香)-


「なんでわたしがこの顔なの!なんで!?」

英司(穂乃香)は、英司の顔をつねくるようにして

どこにぶつけていいか分からない不安と怒りを

英司の顔にぶつけるー


「わたしの顔じゃない…!わたしの声じゃない…!

 もう…いや…」


英司(穂乃香)はそのまま机に伏して

泣き始めてしまったー


・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「---最近さ、純也と英司のやつ、なんか妙にイチャイチャしてるよな~?」

「二人とも、出来ちゃってたりしてな、はは!」

「---穂乃香ちゃんがかわいそうだよなぁ~」


「----」

英司(穂乃香)はクラスメイト達の言葉を聞きながら

ため息をつくー。


純也も困惑の表情ー


「---ーー」

純也と話したくても、話せない苛立ちー。


穂乃香(英司)が、そんな雰囲気を壊そうと、

「じ、純也~♪」と明るく振る舞いながら声をかけるー。


純也の暗い表情を見て、元気づけようと思ったー。

そして、クラスメイトたちの”変な噂”を少しでも払拭しようと思ったー


「--ん~?穂乃香?どうした~?」

純也もぎこちなく穂乃香(英司)に応じるー。


「--わたしたち、仲良しだよねっ!」

穂乃香(英司)が言う。


「--え?あぁ、うん!もちろんもちろん!」


「---最近さ、純也と英司のやつ、なんか妙にイチャイチャしてるよな~?」

「二人とも、出来ちゃってたりしてな、はは!」

「---穂乃香ちゃんがかわいそうだよなぁ~」


クラスメイト達が、そう噂していたのを聞いて

穂乃香になっている英司が、わざとらしくクラスメイトに

見せつけるように、純也とイチャイチャしながら話すー。

純也も、穂乃香(英司)とわざとらしくイチャイチャしながら話すー。


「----」

ギリッ…

英司(穂乃香)が唇を噛みしめて、

拳を机の下で震わせるー


英司(穂乃香)にも分かっているー。

二人が、”純也・穂乃香・英司…三人とも変に思われないように”

と思っての行動だとー。


でもー

”自分の身体”と”自分の彼氏”がイチャイチャしているのを

”他人の身体になっている自分”が見せつけられるー。


分かっていても、

激しい嫉妬が湧き上がってしまうー


お腹が空いているのに、目の前に置かれているケーキを、

他の2人が食べつくしているようなー

そんな”地獄”-


「---…(元に戻れば…元に戻れば、大丈夫だから)」

英司(穂乃香)は拳を机の下で握りしめながらー

自分を必死に、抑えたー。


・・・・・・・・・・・・


昼休みー


生徒会室の前を通りがかると、

後輩で、生徒会書記の雫が声を掛けてきたー


「せ~んぱい!」


「--あ、神谷さん」

純也が振り返ると、雫が微笑んだー。


「先輩ってば、最近、世界が終わる1時間前!!みたいな顔

 ばっかりしてますケド、何かあったんですか~?」

雫の言葉に、純也は「いや、別に…ちょっとさ」と、目を逸らしながら答えるー


「---そういえばーーー

 先輩の彼女さんって、”まるで男みたい”ですよね」


笑う雫ー


「----え」

純也は、戸惑いながら雫を見るー。


入れ替わりのことは誰にも言っていないー。

信じて、サポートしてくれる人は当然いるとは思う。

けれど逆に、揶揄ったり、芝居だと笑ったり、そういうやつも必ず出て来るー。

そして、それは穂乃香と英司の二人に、きっと

さらに負担をかけることになってしまうー


だから、黙っているー。


「----どうしたんですか~?そんな怖い顔して…!

 この前、先輩と彼女さんが喋ってるの、見かけちゃったんですけど、

 その時、彼女さん、まるで男子みたいだったので、

 なんかすごいなぁ~って」


微笑む雫ー


雫を見つめる純也ー。


雫の笑みからはー

何も、読み取れないー

真面目でいい子ー、

だけど、いつも”本心から喋っていない”

そんな印象も、受ける子ー。


「----ふふ、世界は1時間後には終わりませんから、

 元気出してくださいね!

 怖い顔ばっかりしていると、せっかくのイケメンが

 台無しですよぉ~

 それじゃ!」


雫が、謎の敬礼ポーズみたいなポーズをとって

そのまま立ち去っていくー


”勘が鋭い”のか、

”天然”なのか、読み取れず、純也は困惑するー


「---ってか…

 イケメンとか言われたの、初めてだけど…」

純也は、立ち去っていく雫の後ろ姿を見つめながら、そう呟いたー


・・・・・・・・・・・・・・・


「--ねぇねぇ、明日、一緒に洋服買いに行こうよ~!」

穂乃香の友達が

穂乃香(英司)に話しかけるー


「え…!?」

穂乃香(英司)は女子に腕を掴まれたことに顔を

赤らめながら、戸惑うー。


「--もっともっと可愛くなって

 森本くんをメロメロにしてあげなきゃ!」

友達が笑うー。


「--え、、、あ、、え、、うん…」

穂乃香(英司)は戸惑いながらも、

”純也をメロメロに”と言われて、

なんとなくドキッとしてしまうー


”おい、俺、しっかりしろ!純也は親友だぞ!

 何、女として好きになりそうになってるんだ!”

英司は心の中で叫ぶー


だがー

自分がどんどん女に染まっている気がしてならないー


「---わ、、わかった…見に行くだけなら…」

穂乃香(英司)はそう呟くと、友達はにこっと笑ったー


”穂乃香の友達”に笑いかけられると

ドキッとしてしまうー。


自分がまだ”男”としての心を失っていない証拠ー。


”変に意識するなー俺”

英司は内心でそう呟くー。


そうだー

変に意識しちゃだめだー。

純也のこともー。


この前は”あまり関わらないでくれ”なんて言ってしまったけれどー

とにかくー


「---」

教室に戻って来た純也と目が合う穂乃香(英司)-


「--あぅ、、、じ、純也」

恥ずかしそうに穂乃香(英司)は

目を逸らすー


「--やばい、もうだめだ…親友を、親友の彼女の身体で好きになるとか…

 ダメだダメだダメだ」

穂乃香(英司)は自分の座席で頭を抱えたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


”元に戻る方法が分からない”


穂乃香(英司)も必死にネットで調べたりー

色々試してみるー


でもー

何も、変わらないー


時間だけが過ぎていくー


友達と買い物に行ったときにはー

”おしゃれ”の楽しさにも目覚めてしまったー


”可愛くなりたい”

そんな願望まで芽生えてきてしまうー。


頭がおかしくなるー。


でもー

可愛い組み合わせを見つけた時に

なんとも言えない達成感のようなものを覚えてしまうー。

純也の顔を思い浮かべてドキドキしてしまうー


「---穂乃香は、わたしの自慢の妹ー」

姉の千里ー

現在大学生の千里に、穂乃香(英司)は毎日のように

可愛がられているー。


”過保護すぎる”とも思ったが、

穂乃香本人に聞いたところ「お姉ちゃんは前からずっとそうで、

わたしもちょっとうんざり」と言っていたー


けれどー


「---お姉ちゃん…」

穂乃香になった英司にとっては新鮮だったー


お姉ちゃんに”可愛がられる時間”が心地よくてー

最近では楽しみになってしまっているー


「-穂乃香が素直になってくれて嬉しいー」

姉・千里が微笑むー。


「---!」

ギクッとする穂乃香(英司)-


やっぱり、このお姉さんにも

”妹の様子が変わった”ということがバレているー


”考えてみりゃ当たり前かー

 妹の振る舞いが変われば…変わった、とは気づくよな”


穂乃香(英司)は戸惑いながら、姉の千里に身を任せたー。


・・・・・・・・・・・・・


”純也が取られちゃう”


英司(穂乃香)は必死だったー


嫉妬ー

焦りー


あらゆる感情に飲み込まれそうになるー


時間だけが経過していくー


「純也!今は誰も見てないから、手つなご!」

英司(穂乃香)は、誰も見ていない場所で積極的に

純也に迫ったー。


純也の言い分も理解はできるー。

”クラスメイトたちから変な噂をされてしまう”

それは、確かに、そうー。

純也と英司が、べたべたくっついていれば

そういう噂も立つのが現実だろうし、実際に少し噂になっているー


だから、こうして誰も見ていない場所で純也に迫るー


純也はいつも、少し困ったような顔をしているー

それが、英司(穂乃香)には分かってしまうー。


「--ねぇ…やっぱり…”身体目当て”なの?」

英司(穂乃香)が不安になって尋ねるー。


「--………」

純也は答えないー


身体目当てではないー。

でも、そう言えばー

今、英司の身体になっている穂乃香と手をつないでいる状況に

違和感を感じているのは何故だー?


と、純也は自分で自分に違和感を抱いてしまうー


身体目当てじゃないのであれば、

中身は穂乃香だと分かっているのだからー

キスだって、できるはずだー。


でもー


「---……俺はー」

純也が戸惑いながら顔をあげると、英司(穂乃香)は、

「はいはい俺は英司ですよーだ!」と、不貞腐れて

頬を膨らませたー。


「---、、、」

純也は暗い表情を浮かべたあとに

”俺が暗くなっちゃだめだ”と、英司(穂乃香)を見つめて、

にやっと笑ったー


「--頬を膨らませても、可愛くないなぁ~ 英司の身体だと」

とにかく明るく振舞おうー。


そう思いながら純也は、そう冗談を口にしたー。


・・・・・・・・・・・・・


入れ替わりから、もうすぐ、1か月ー。


穂乃香(英司)は、怯えた様子で廊下を歩いていたー。


放課後ー。


生徒会長の久保田 洋平が、再び穂乃香(英司)に声を

掛けてきたのだー


”この前はごめんね

 でも、 僕の愛は本物だ

 あれからもずっと、僕は白崎さんで抜いていたよ


 君はどうだい?

 君は僕で抜いてくれているのかい?”


常軌を逸した言葉に、

穂乃香(英司)は、洋平を突き飛ばして足早に下校しようとしていたー


「--待ってよ!白崎さん!

 僕は反省したんだ!

 この前は、乱暴だった謝るよ!


 でも、僕は白崎さんのことが本当に大好きなんだ!


 ほら、三国志でもあるだろう?

 劉備という武将が天才軍師の諸葛孔明の元を

 3回訪れて、仲間に引き入れたって話が。


 なんて言ったかな?三顧の礼だったかな?


 僕も、諦めないよー

 僕は、白崎さんを手に入れるためなら

 三顧の礼、いや

 三百顧の礼だってやってみせるよ」


洋平が、背後でベラベラ喋っているー

穂乃香(英司)は、相手にしないように、

早歩きで、洋平から逃げようとするー


「--こわい…こわい…」

穂乃香の身体じゃー

あいつには勝てないー


慌てる穂乃香(英司)-

やがて、早足ではなく、

完全に走り出していたー。


「待ってよ!白崎さーーー


!?


穂乃香(英司)を追う洋平の腕を誰かが掴んだー


「--え」

洋平が驚くー


洋平の腕を掴んだのは、

英司(穂乃香)-


「---白崎さん白崎さん白崎さん?????」


入れ替わりから1か月ー

入れ替わりの苛立ちが頂点に達していた英司(穂乃香)-


自分が穂乃香なのにー

誰にも分かってもらえない苦しみー


「--どうせ俺は英司だよ!!!!!!!」

英司(穂乃香)は怒りの形相で、

八つ当たりの如く、洋平にビンタをしたー


「ぐはっ!」

洋平が悲鳴をあげながら

英司(穂乃香)のほうを見るー


「-な、な、な、なんだ、、なんだお前っ…!」

洋平が叫ぶー


英司(穂乃香)は軽くビンタしたつもりだったが

英司の身体の力は強くー

穂乃香の想像以上に、洋平にダメージを与えていたー


「--なんだおまえ!?????

 みんなして…!!

 わたしが、、わたしが穂乃香なのにっ!」


怒りの形相で、洋平を何度も何度も殴りつける

英司(穂乃香)ー


怒りに我を忘れて怒り狂った状態ー


「--みんなしてっ!みんなしてっ!!!!

 どうせ俺は、、どうせ俺は英司なんだ!!!

 どうせ!!!!!!!」


泣き叫びながら英司(穂乃香)が洋平を殴りつけるー


「おいっ!」

穂乃香(英司)がそれに気づいて駆けつけてー

英司(穂乃香)を止めたー


「---離せ!!!

 どうせお前が穂乃香で俺が英司なんだ!!!!」

英司になった穂乃香は怒り狂った形相で、そう叫んだー


・・・・・・・・・・・・・


「--え」

先に下校していた純也が、

生徒会長の久保田に、穂乃香(英司)が

追い回されて、その最中に、英司(穂乃香)が乱入ー

洋平に怪我を負わせて、

洋平は保健室に、英司(穂乃香)が生徒指導室に

連れて行かれたことを聞きー


慌てて学校に舞い戻ったー。


まず1階の保健室に駆け込む純也ー


”元ギャル”の噂のある保健室の先生・由美が

「あら」と、純也に気づくー。


「------君の親友は、つまりそんなやつなんだな」

不貞腐れた様子で呟く洋平の顔はボロボロだー。


「---」

純也は無視して、保健室の先生・由美に

「何があったんですか?」と聞くー。


由美が知っていることを純也に伝えるー。


純也は戸惑うー


”このままじゃ、本当にみんな滅茶苦茶になってしまうー

 俺も、英司も、穂乃香もー”


「---いてぇぇよぉぉぉぉ」

騒ぐ洋平ー


洋平の元に、由美先生が近づいていき、

消毒か何かをしているー


「-----」

純也が茫然と、ふと、保健室の机の下に隠されるようにして

置かれているものに視線を移したー。


「-------」

黒い袋ー。


そこに貼られていたメモ書きの文字が、ふと目に入ったー


”白崎 風間”


「----!?!?!?!?!?」

純也は、ハッとして、

生徒会長の洋平の顔に絆創膏を貼り付けている

由美先生の後ろ姿を見つめたー。



⑥へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


入れ替わりの真相と、三人の未来は…?


主人公が最後に選ぶのは

親友か、彼女か、

そもそもみんな元に戻れるのか、

色々な部分に注目してみてくださいネ~!


今日もありがとうございました!

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Comments

飛龍

生徒会長は自業自得だけどwもう限界なとこまで来てますねぇ…… 果たして2人は元に戻れるのか……ラストが楽しみです~!

無名

コメントありがとうございます~!★ラストもぜひ楽しみにしていてくださいネ~☆ 生徒会長は…自業自得デス~☆!!