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闇の帝国の本拠地

”ダーク・パレス”ではー

神崎省吾と高梨亜優美、

そしてグール伯爵と側近である仮面の騎士・サイラスが

睨み合っていたー。


「ーー皇帝ゼロの勅命だ。

 お前は先日陥落させたアクア王国王宮の守りにつけ」

省吾が玉座に座りながら笑うー。


「--勅命?では皇帝陛下に直接お聞きしたい」

グール伯爵が省吾を睨みつけるー。


ここのところ、皇帝ゼロは神崎省吾ばかりを重用しているー。

闇の帝国のNo2であり、事実上の指導者であった

グール伯爵は、立場を奪われつつあったー


”異世界からやってきた新参者如きが…”

グール伯爵は省吾と亜優美を睨みつけるー。


「---俺は闇の帝国の大将軍だー

 今やこの帝国のNo2-。

 そして俺は、皇帝ゼロから直接、言葉を聞いているー。


 その俺が言ってるんだ。

 それともグール、お前は皇帝ゼロに逆らうのか?」


省吾の笑みー。


だが、グール伯爵も笑みを浮かべるー


「ゼロ様に逆らう?とんでもないー。

 だがー

 貴様の命など聞けぬー。」


グール伯爵はそれだけ言うと、省吾に背を向けるー。


省吾はグール伯爵のほうを睨みつけたがーー

すぐに省吾の殺気に気づき、

グールの側近である、仮面の騎士・サイラスが剣に手を掛けるー。


”チッ”

省吾は、武器の斧を掴んでいた手を離したー。


グール伯爵の側近・サイラスー。

省吾はまだ、あの仮面の騎士の戦いぶりを見たことはなかったがー

相当な手練れであることは間違いない。


グール伯爵自身もそうだが、

さすが闇の帝国No2を誇っていただけのことはあるー。

うかつには、手出しはできないー。


「--どうするの?」

ヒルダを名乗る、洗脳されてしまった亜優美が

省吾の腕をつかみながら微笑むー。


そんな亜優美のほうを見つけて

省吾は邪悪な笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・


★主要登場人物★


藤枝 和哉(ふじえだ かずや)/アリシア姫

異世界に転生後、女体化。アリシア姫の意思を受け継ぎ、戦う決意を固めた。


高梨 亜優美(たかなし あゆみ)/ヒルダ

和哉の恋人。異世界ではヒルダと名乗り、敵対している。


神埼 省吾(かんざき しょうご)/ダーク将軍

和哉・亜優美の共通の友人。歪んだ嫉妬心から、敵対する。


ユーリス/ジーク/フェルナンデス/ミリア

王宮騎士団長。それぞれが、それぞれの騎士団を率いている。


ラナ

アリシア姫の侍女。和哉に対しては辛辣な接し方をする。


グール伯爵

皇帝ゼロの腹心。闇の帝国の事実上の指揮者。ミリアの実の父。


皇帝ゼロ

闇の帝国の皇帝。強大なエナジーを持つ。エックスの兄。


カイル

アクア王国隠密部隊長。闇の帝国と内通している。


※登場人物詳細

(↓に、¥300と出ていますが、このお話を読めている皆様は、既に

 プランご加入(ありがとうございます★☆!)済みですので、

 お金がかかったりすることはありません!ご安心ください)

fanbox post: creator/29593080/post/1260447

・・・・・・・・・・・・・・


「---なんで、殺したんだ」


アクア商会本部ー。

和哉と、騎士団長のユーリス、ミリア、ジークの3人、

そしてアクア商会会長のアリスが集まっていたー。


裏切者のカイルを取り逃がしてしまったものの、

闇の帝国の少女・ソフィアを、駆け付けたジークが倒したー。


だがー

ソフィアは、

和哉と同じ世界から、皇帝ゼロの能力により

この世界に召喚され、洗脳されてしまった哀れな少女ー。

両親から虐待を受けた末に、心を閉ざしてしまっていた少女ー。

和哉は、ソフィアと名乗っていた少女と面識は、元の世界では

なかったものの、それでも、命を奪いたくはなかったー。


「---何故?殺さなければ、我々がやられていた」

神経質そうな表情を歪めてジークが言うー。


ジークは、アリシア姫が偽物…

”女体化した和哉”であると知り、内乱を起こしたー。

その結果、アクア王国の王宮は闇の帝国に襲撃され、陥落ー。

ジークも消息不明になっていたものの、

こうして駆け付け、ソフィアを倒したのだったー。


「----」

和哉がジークを睨むー。

ジークも和哉を睨み返すー。


”ジークも正しい”

それは分かっているー


あの子ー

ソフィアは”呪いのエナジー”で

アクア商会の会長・アリスを殺そうとしていた。


和哉の叫びが、あの子に届いた可能性は低かっただろう。

ヒルダを名乗り、敵対している恋人・亜優美にどんなに呼びかけても

亜優美は正気を取り戻さないー。

ソフィアを名乗る、あの少女に、わずかに言葉が届いていた気もするが、

それでも、彼女が正気を取り戻した可能性は低く、

駆け付けたジークがソフィアを倒さなければ、今頃、アリスはーー


このアクア商会の本部を守っているアリスが死ねば、

魔物からここを守っている結界も消えてー

魔物の大軍勢により、アクア商会ごと、

アクア王国の生き残りは、命を奪われてしまうー。


だからー

ジークがソフィアを始末したのは、正しいー


でもー

和哉は歯を食いしばって呟くー


「---助かったよ…ありがとう」

とー。


ジークは「ふん」と、和哉から目を背けるー。


「---……」

ユーリスがジークのほうを見つめているー。


ジークは、内乱を起こしたー。

アクア王国陥落のきっかけを作ってしまったのはジーク自身だ。


”今更、どのツラを下げてここにやってきた?”と

言いたくなる気持ちがあるのも事実だったー。


「---……」

そんなユーリスの視線に気づいたジークは、

ユーリスとミリアを見つめながら呟くー


「貴公らの顔ー

 俺を許せない、という顔だな?」

ジークの言葉に、ミリアは「当たり前だ!」と声を荒げるー。


「--ふん」

ジークはそう呟くと、

ほんの少しだけーーー

悲しそうな表情を浮かべてから呟くー。


「--今更許しを請うつもりはない。

 憎むなら、憎めばいい。

 だが、俺が恥を忍びー、

 こうしてここにいるのは、アクア王国を守りたいーー

 その一心だけだ…


 憎まれようと、蔑まれようと、俺の心は、変わらないー。」


ジークは、炎に包まれた城下町で、

ユーリスを先に行かせ、グール伯爵らと対峙したものの、

ジークの毒の霧や、王国の炎にまかれるうちに、

グール伯爵らの姿も見えなくなりー、

やがて、残った部下たちを引き連れて、城下町を脱出、

態勢を整えた上で、ここアクア商会本部に駆け付けたのだと説明したー。


「---憎みたければ憎めばいいー。

 王宮陥落の原因を作ってしまったのも俺だー。

 

 …戦いが終わったら処分でも何でも受け入れるつもりだ。

 たとえ、死罪であったとしても」


ジークは、ユーリスらに対して開き直った態度で言うー。


「---…」

和哉がそんなジークのほうを見つめていると、

ジークが和哉のほうを見つめたー。


「--貴公は、異世界から来た男だと聞いたー」

ジークが和哉の方に近づいてくるー。


和哉は警戒心をあらわにしながら、ジークを見る。


ゾワッという感覚を覚える和哉ー。

ジークに対して嫌悪感を抱いているのかー。

それとも、アリシア姫の姿に女体化したこの身体が

ジークを警戒しているのかー

それとも、女性としての本能だろうかー。


「--貴公にとって、アクア王国は他人事のはずだ」

ジークは和哉を疑いの目で見つめながら呟くー。


「--ーーーー」

和哉はジークのほうをじっと見つめたあとに口を開くー


「ーーー確かに俺は異世界から来た部外者だー…

 でも…」


和哉はジークのほうをまっすぐ見つめるー


「姫に、ユーリス、ミリア、フェルナンデス、

 それに、ラナや王国の臣下のみんなや、民…

 色々な人と関わって、この世界で暮らしてみて、

 今は、本気でこの世界を守りたいんだ!


 もちろん、元の世界に帰るって目的も忘れてないし、

 闇の帝国に洗脳された亜優美も助けたい…!


 でも、いっしょにいる時間は短くても、

 俺は、ここにいる大切なみんなや、大切な居場所を守りたいんだ!」


和哉の言葉に、

ジークは「--異世界の者たちのために、そこまでする、と?」

と、表情を歪めるー。


「--そうだよ!悪いかよ!」

和哉がまっすぐジークを見つめるー。


「---------」

ジークはそんな和哉の目を見つめてー

”異世界から来たこの男”が、アクア王国のことを本気で

想っていることを悟るー。


「---……」

ジークは、少しだけ笑うと、

和哉から視線を逸らして、ユーリス、ミリア、アリスのほうを見たー。


「--このまま守りに入っていても、またいつ襲撃を受けるか分からないー

 …闇の帝国は、王宮を陥落させたことで、浮かれているー。


 潰すなら、今だ」


ジークの言葉に、

ユーリスが「何を言っている?」と首を傾げるー。


「--闇の帝国の本拠地・ダークパレスに奇襲攻撃を仕掛け、

 皇帝・ゼロを討ち滅ぼすのは、今しかあるまい」


ジークの言葉に、ミリアが反論するー。


「バカな!ダークパレスに向かうためには、

 死の境界線(デッド・ライン)を突破する必要があるー。

 あそこには、大量の魔物が配置されていて、

 突破など、できない!」


闇の帝国の本拠地「ダーク・パレス」に向かうためには

アクア王国が”危険区域”として指定している

通称”死の境界線”を突破する必要があるー。


そこには、皇帝ゼロが召喚した魔物がおぞましい数、徘徊しており、

アクア王国の全戦力を持ってしても、突破は難しいー。


「---貴公の言う通りだ」

ジークがうなずく。


ミリアが「何が言いたい?」と首を傾げるー。


「--奴らも、まさか我々が”死の境界線”を突破するなどとは

 思っていまいー。

 奴らの本拠地”ダーク・パレス”はそれ故、脆くー

 そこを突きー、皇帝ゼロを討つのだ。


 ゼロさえ討てば、魔物は召喚できずー

 魔物たちに対するゼロの洗脳も解け、

 闇の帝国は瓦解する」


ジークの言葉に、アクア商会会長のアリスが口を挟むー。


「しかし、ジーク…

 その”死の境界線”を突破する方法…

 それが無ければ、無駄に命を落とすだけですよ?」


諭すように言うアリスー。


「ええ、その通りです」

ジークは、それだけ言うと、

笑みを浮かべたー


「-ーーだが、それを突破できるとしたら?」


ジークの不気味な笑みに、

和哉は困惑の表情を浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・


「---……!」


闇の帝国本拠地・ダークパレス。

禍々しい城の広間を一人、歩いていた仮面の騎士・サイラスは

足を止めたー。


「---……私に何の用かな?」

サイラスが、感情を感じさせない声で、呟くー


「---ふふふ…」

コツ、コツと音を立てながら、和哉の恋人・亜優美ー…

皇帝ゼロに洗脳されて、ヒルダを名乗る亜優美が姿を現すー。


「---……」

仮面の騎士・サイラスが亜優美を見つめるー。


「---グール伯爵とあなたが分かれて行動するのを待ってたの」

亜優美が笑みを浮かべるー

和哉の恋人としての面影はそこにはなく、

血に飢えた悪女の笑みを浮かべるー


「----…ほう?」

グール伯爵の側近・仮面の騎士サイラスは動揺することなく、

そう答えたー。


「--闇の帝国の支配者が誰かー

 あの伯爵に分からせるためにー

 あんたには消えてもらうわ」

ヒルダ=亜優美が凶悪な笑みを浮かべながら剣を抜くー。


「-------」

仮面の騎士サイラスは、しばらく亜優美のほうを見つめていたが

やがてため息をついたー。


「--小娘が…いい気になるなよ」

仮面が不気味に発光するー


「貴様など、皇帝ゼロ様に洗脳されたただの小娘にすぎんー。」


「--洗脳?なんのことかしら?

 わたしは生まれた時から、闇のしもべよ!」

ヒルダ=亜優美が、笑いながら叫ぶー


「----あんたは黙って、死になさい!」

亜優美が、剣に雷を纏わせると、そのままサイラスの方に向かって

走っていくー


「---仮面の眼ー(マスクド・アイー)」

サイラスの仮面が不気味に光るー。


仮面騎士サイラスのエナジーによる”能力”-


仮面に封じ込めた強大なエナジーにより、

見つめた相手の動きを事前に予測しー


「---!?」


回避するー


亜優美の攻撃を避けた仮面騎士サイラスが、

4つの剣を空中に浮かせたー。


これも、サイラスの能力ー。


「--グール様に逆らうとはー。

 お前にも、神崎省吾にも、”厳罰”が必要だなー」


サイラスはそう呟くと、4つの剣を、亜優美に向けて飛ばすー。


「-ソードオブ・フォーメーション…貴様のような小娘には突破できまい」


剣が、遠隔操作で、サイラスの意思に従って

亜優美を襲うー


「ふふふふふ…興奮しちゃう!」

亜優美がペロリと舌を舐めるー。


今の亜優美は、完全な殺人狂ー

この異世界に来るまでは、ごく普通の女性であったことが

嘘のようにー


亜優美が、軽い身のこなしで、

4つの剣を避けていくー。


「ほうー」

サイラスは、それでも動じなかったー。


「--(仮面の眼により、、貴様の動きなど、予測できるのだよ)」

サイラスは、そう呟くと、

亜優美の動きを先読みしてーーー


「--!!」

攻撃を回避したと思っていた亜優美に、

剣の一つが襲い掛かるー。


「--あぁっ!?」

亜優美が悲鳴を上げて、

なんとか剣を回避したもののー

その身体からは少し血が流れていたー


「---…愚かな…」

仮面騎士サイラスが、しゃがみ込んだ亜優美に近づくー


どんなに好戦的に”洗脳”されていようとー

エナジーによる力を習得しようとー

ごく普通の女だった、亜優美に、そこまで高い戦闘能力があるはずもないー。


「--ーーー命だけは助けてやる」

仮面騎士サイラスはそれだけ呟くと、

”興味が失せた”と言わんばかりに、亜優美から目を逸らして、

立ち去ろうとするー。


しかしー


「くくく…ふふふふ、、、わたしの血…ふふふふ…

 ふふ、あははははははははははっ」


狂った女の声が背後で響き渡るー。


「--!?」


亜優美が殺人鬼の笑みを浮かべて、

剣を手に、サイラスに迫るー。


「--!!」


”まだ動けるとは”、

そんな風に思いながら仮面騎士サイラスは、亜優美を迎え撃つ準備をするー


亜優美のエナジーによるもう一つの力ー

それは”血”によって、驚異的な力を発揮する能力ー

自分の血や誰かの血を見ることで、

亜優美は興奮し、そして、潜在的戦闘能力を極限まで発揮するー


”皇帝ゼロ”と”省吾”が、和哉を極限まで追いつめるために

亜優美に無理やり習得させた能力ー


「---甘い!」

仮面騎士サイラスが亜優美を弾き飛ばすー。


不意打ちだったが、

そんな攻撃を食らうほど、サイラスはーー


「--!?」


パカッ、と音が響き渡るー。


「---ふふふふふ…甘いのはあんたよ!」

亜優美がサイラスの方に向かって走って来るー。


「--”この女、今の攻撃は、私ではなく、仮面をー!”」


仮面を斬られたー

亜優美の動きを予測できなくなったサイラスが

咄嗟に、空中に浮かんでいる4本の剣を亜優美に向かって飛ばーーー


「---あはははははははははははっ!」


ーー間に合わないー!


亜優美の剣が、サイラスを切り裂いたー。

その場に倒れ込むサイラスー


「あはっ!血…血…血…♡

 あはっ…ひははははははははははっ♡♡」


亜優美が、サイラスを何度も何度も刺しながら

血まみれになって笑うー


サイラスの血を、綺麗な自分の顔に塗り付けて

その場で一人興奮する亜優美ー。


和哉の知る亜優美の顔など、

もう、どこにもそこには存在していなかったー


・・・・・・・・・・・・・


闇は深まるー。


そして、決戦の時は、刻一刻と近づいていたー


元の世界に戻るためー

亜優美を取り戻すためー

王国を守るためー



㉜へ続く


・・・・・・・・・・・・・・


コメント


最終決戦への突入デス!

彼女を救い出して、元の世界に帰ることはできるのでしょうか~?


続きはまた来週を予定しています~!


(明日は入れ替わりモノ「揺れるトライアングル⑤」の予定デス!)

(Fanbox)


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