<皮>脱げない皮①~呪縛~ (Pixiv Fanbox)
Content
「え…なんで…!?!?」
可愛らしい女が、戸惑っているー。
まるで”自分の皮”剥ぐかのようにー
頬を引っ張ったりー
後頭部のあたりを掴んで、
まるで”着ぐるみを脱ぐかのような”仕草を見せているー。
しかしー
彼女は人間だー
”普通”であれば
自分の頬を引っ張っても痛いだけだし、
後頭部のあたりを掴んでも、
何も、起きるはずなどない。
「はぁ…はぁ…なんで…」
彼女は呟くー
部屋には、色々なモノが散乱していてー
彼女のモノと思われる下着も、そこら中に散らばっていたー
自分で引き出しから下着を出して荒らしたような、
そんな光景ー。
「--なんで…?」
彼女は再び呟くー。
”信じられない”という様子で。
部屋には、彼女の笑顔の写真が載っている
”学生証”も転がっていた。
学生証には”桑井 杏菜(くわい あんな)と書かれているー。
正真正銘、彼女の学生証だー。
だがーーー
「--く、、、な、、なんで、、、なんで、、、
なんで”脱げない”んだ?」
杏菜の様子がおかしいー
髪をぐしゃぐしゃと掻きむしり、
後頭部のあたりを何度も何度も、繰り返し気にしている。
明らかにおかしな行動ー
まるでー
”自分の頭を剥ごうとしているかの”ようなー
そんな光景ー
「くそっ……こ、こんなはずじゃ…!?!?」
杏菜は頭を抱えたー
そしてーーー
呟いたーーーーー
”俺、、、ど、どうなっちまうんだ?”
とー。
・・・・・・・・・・・・・・・
杏菜はーー
”支配”されていたー
同じ大学に通う男子大学生・
藤本 亮平(ふじもと りょうへい)にー。
亮平は、”イケメン”と呼ばれる男子で、
性格も良く、人当たりも良かったー
だがーー
”裏の顔”もあったー。
それが”女好き”であることだー。
同じ大学に通う彼女のほかに、
バイト先にひとり、
遠距離で地元の幼馴染がひとりー
合計”3人の彼女”がいるーー
彼は甘いイケメンマスクと、
口のうまさ、そして”表面上のやさしさ”で
女たちを手なずけていたー。
しかし、そんな亮平でも”落とせない”女がいたー。
それが、大学のミスコン候補にも上がったことのある女ー
桑井 杏菜だったー。
杏菜は容姿端麗で、なんでも出来て、それでいて、優しく
友達も非常に多いー
そんな杏菜を、ある日、亮平は口説いて見せたー。
だがー
杏菜は、亮平の誘いに乗らなかったー。
「ごめんなさいー。」
とー。
杏菜には”彼氏”はいないー。
そのことは調べがついていたー
だからこそ
”俺が声をかけてやったのに”
と、亮平が憤慨したー。
”初めて振られた”という現実が、
イケメンであり、甘いマスクを使いこなす亮平には
信じられなかったー
それから、亮平は杏菜を一方的にライバル視したー
けれどー
杏菜は、”学力”も”人間性”も、亮平のそれを、全て上回っていたー
プライドの高い亮平も、杏菜に”負けている”という事実を
受け入れざるを得なかったのだー
だがー
しかしー
今、亮平はこうして、杏菜を”皮”にして
乗っ取っているー。
あの、杏菜が、亮平に完全に屈服して
亮平の意のままに操っているー
亮平が、杏菜を支配しているー
「--わたしぃ~亮平くんのものですぅぅ~」
鏡の前で杏菜にそう呟かせてみるー
杏菜の全てを支配し、
勝った気持ちになってー
杏菜を皮にして乗っ取った亮平は
己の”支配欲”を満たした。
だがーー
満足して”皮にした杏菜”を脱ごうとしたその時、異変に気付いたのだー。
”杏菜の皮を脱ぐことができない”
ことにー
「くそっ…くそっ…くそっ!」
杏菜が自分の顔を両手でこするー
「くそっ!!脱げろ…!くそっ!この女…!」
杏菜が怒りの形相で叫ぶー。
亮平は、杏菜になどなるつもりはないー
こうして、杏菜を乗っ取り、屈服させたかっただけだー。
杏菜の恥ずかしい写真を撮影して、それを握り、
杏菜の弱みを握った状態を謳歌したかっただけだー。
「くそっ…この女ぁあああああああああああああ!」
杏菜が怒りの形相で、頭を壁に叩きつけるー。
だが、それでも、杏菜の皮は脱げなかったー。
杏菜が床にうずくまるー。
「くそっ…くそっ!!!くそぉぉぉぉぉぉ!」
どうしてこうなった?
杏菜の皮を着こんでいる亮平は、頭をフル回転させる。
どうしてー?
どうして…?
・・・・・・・・・・・・・・・・
ことの発端は1週間前だったー。
”闇の商人”と名乗る人物から、突然
”お前に力をやろう”と、メッセージが送られてきたのだ。
スマホを見つめながら、亮平は呆れたような笑みを浮かべた。
”力?”
くだらないー
こんな詐欺に騙されるやつがどこにいるのか?
とー。
だがー
そのメッセージが届いた直後ー
インターホンが鳴るー
”お届けもの”が届いたのだー
身に覚えのないお届けモノの差出人は「闇の商人」だったー。
”新手の送り付け商法か”
亮平はそう思いながら、荷物を開封もせず、
そのまま放置していたー。
だがー
再び”闇の商人”から連絡が入ったー。
”同じ大学の桑井 杏菜を
屈服させてみたくはないか?”
とー。
「---」
亮平は、杏菜に対して一方的にライバル心を抱いていた。
杏菜を知れば知るほど、杏菜に勝てないー
どんな女でも落とせると思っていたのにー
杏菜は、亮平の誘いを断ったー
屈辱だったー
「--話だけは、聞こう」
亮平は、”闇の商人”にそう連絡を送ったー
亮平は法律を熟知しているー
独学で学んだからだー。
いざとなれば、この”闇の商人”を叩き潰すことも
十分に可能だー。
少し、話を聞くぐらいなら、問題はないー。
亮平が連絡を送ると、”闇の商人”を名乗る人物から
返事が来たー。
”力は既にお前の元に”
とー。
闇の商人から送られてきたのは
”他人を皮にする”謎の力を秘めた、小さな針だったー。
これを相手に刺すことで、相手を皮にすることができ、
その皮を着ることで、その相手自身に
なることができるー、
のだと言う。
亮平は当然疑った。
だが、闇の商人と話をするうちにー
亮平は”本物”であると確信したー。
そしてーーー
今日”計画”を実行に移したのだー
杏菜を呼び出た亮平は、
杏菜に言い放ったー
「-ーーどうか君と、食事をしたい」
とー。
今一度杏菜を口説く亮平。
だが、杏菜は亮平を鼻で笑ったー
「--わたし、あなたみたいな人、嫌いー」
とー。
「顔は良くても、表面上の人当たりは良くてもー
あなたのような人、わたしは好きになれない」
杏菜はそれだけ言い放つと、
立ち去ろうとするー
気づいたときには、亮平の身体は動いていたー
杏菜の首筋に針を刺しー
「--!?!?」
咄嗟に振り返ろうとした杏菜はー
既に時遅くー
”皮”になってしまったー
「--へへへ…
生意気な女だぜ」
亮平はそう呟くと、皮になった杏菜を鞄に無理やり押し込んでー
そしてそのまま大学から立ち去ったー
”皮は脱ぐことができる”
”皮にされている間の記憶は残らない”
そのことを”闇の商人”に確認した上で、
亮平は杏菜の皮を身に着けた。
「---ふふふ、わたし…今日は亮平くんの…
いいえ、ご主人様のために、なんでもしちゃう…うふっ♡」
杏菜にそう言わせて
支配欲を満たした亮平は、
杏菜の身体で好き放題するのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・
そして今ー
亮平は、天国から地獄に突き落とされた気分だったー
杏菜の皮を脱ぐことができないー
亮平は女好きだが、女になりたいという願望はなかったー
あくまでも女を落としてその快感に酔いしれているだけー
だから、杏菜を完全に乗っ取って、
杏菜として生きるつもりなんて、毛頭なかったー
「くそっ!」
杏菜はイラついた様子で”闇の商人”に連絡を入れるー。
”---”
だが、闇の商人から返事はなかった。
「くそっ!」
杏菜のスマホを放り投げる杏菜ー。
そして、イライラしながら亮平自身のスマホを手にするー
今日はこのあと、大学に通う同級生の彼女と
一緒にデートする予定があったー
だがー
”今日はごめん”
亮平は、そうLINEを送ると、
同じ大学に通う彼女の佐川 柚子音(さがわ ゆずね)は
”そっか”と残念そうに返事を返してきたー
「くそっ……」
このままじゃ、明日も無理そうだー
休日の明日、デートする予定だった、
バイト先の彼女・本村 花林(もとむら かりん)にも
デートのキャンセルの連絡を入れるー。
遠距離の、幼馴染で第3の彼女にも、
通話の予定をキャンセルする連絡を入れた。
”ゆーちゃん”
スマホに着信が入るー。
ゆーちゃんとは、第3の彼女の呼び名だー。
だが、電話に出ることもできないー
今、自分は、杏菜の姿・声だからだ。
「--くそっ!脱げろよ!くそっ!くそっ!」
杏菜が狂ったように自分の顔を力強く引っ張るー
「くそっ!!!クソ女!俺の邪魔ばっかしやがって!!!
クソ女!」
杏菜の声で、自分のことをクソ女と罵るー
だが、ついに、皮は脱げなかったー
部屋に仰向けに寝転び、
両手で顔を隠して絶望する杏菜ー
「くそっ……どうすりゃいいんだよ」
杏菜になってしまった亮平は、
”皮が脱げず”さらには”闇の商人と連絡つかず”の
状況に激しく動揺していたー
自分が騙されるわけがないー
そんな風に思っていた彼は、まんまと”騙されて”しまったのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
ちょうど大学は休みだー
杏菜になってしまった亮平は
皮を脱ごうと必死に行動を繰り返し、
闇の商人への連絡も何度も試みたー
だが、連絡はつかないー
夕方になっても元に戻ることはできずー
自暴自棄になって、
杏菜の身体で滅茶苦茶にエッチをしたー
繰り返し、何度も何度もイキー、
杏菜が、はぁはぁと荒い息を苦しそうに出しているのも無視して
激しく身体を刺激し続けたー
最後には、意識まで吹っ飛びー
だらしない格好で、ピクピクと杏菜は震えたー。
・・・・・・・・・・・
翌朝ー
「----」
暗い表情で起き上がる杏菜ー
ぼーっと…
カレンダーのほうを見つめる。
カレンダーを見た杏菜は
”明日からまた大学かぁ”と思いながら
少しぼーっとする。
そしてー
ふと我に返る。
「いけねぇいけねぇ、早くこいつの皮を脱がないと!」
とー。
スマホを確認するー
相変わらず”闇の商人”からの連絡はないー。
何故だー?
何が目的だったんだー?
杏菜を乗っ取らせて、何がしたいんだ?
亮平は、ひたすらに困惑したー
だが、同時に、亮平は急激に冷静さを取り戻したー。
金目的ではないー
金を闇の商人に渡していないからだー。
と、なれば闇の商品とやらの目的は
”杏菜を葬ること”
”皮にする力のテスト”
あるいはー
「俺に対する恨み…か」
杏菜は腕を組みながら考えたー
だが、いずれにせよー
どの理由だったとしても
”闇の商人”は”確認”しにやってくるー
”俺がどうなったか”
”杏菜がどうなったか”
それを、確認しに来るはずだー
「--いいぜいいぜ、俺をこんな目に遭わせたこと、後悔させてやる」
杏菜の皮を脱げずに着込んだままの亮平は
そう呟くと、静かに笑みを浮かべたー
②へ続く
・・・・・・・・・・・
コメント
今月最初の皮モノデス~!
今回はいつもと違って「脱げない」をテーマにしてみました!
続きはまた後日!
今日もありがとうございました~!