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「---お前はさ、いつも優しすぎるよな」


大学時代ー

とある、後輩を助けようとして、トラブルに巻き込まれたことがあったー。


その時に、省吾は笑っていたー。


「--世の中、善人ばかりじゃないんだぜ?」

省吾の言葉に、

和哉は「そんなことは分かってるさー」と答えたー。


和哉は、可愛がっていた大学の後輩に”裏切り”を受けたー。

今はもう、思い出したくないほどの裏切りー


「---でもさ、俺はやっぱりー…

 信じたいからさ」


和哉は少しだけ悲しそうに呟いたー


亜優美のことはもちろんー

家族のこともー

大事な親友や友達のこともー

そして、後輩のこともー


”仲間”のことは、信じたいー。

人間は、裏切る生き物ー

そんなことは分かっている。


けれどー

それでも、信じたいー


「ははは!ま、それでこそお前らしいけどな」

省吾は笑ったー



あの時もー

”お前”は、俺に、亜優美に嫉妬していたのだろうかー。


そして、今ー

”アクア王国内に潜む裏切者”もー

何食わぬ顔で、俺の前に、顔を見せているのだろうかー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


★主要登場人物★


藤枝 和哉(ふじえだ かずや)/アリシア姫

異世界に転生後、女体化。行方不明のアリシア姫と間違えられてしまうことに…。


高梨 亜優美(たかなし あゆみ)/ヒルダ

和哉の恋人。異世界ではヒルダと名乗り、敵対している。


神埼 省吾(かんざき しょうご)/ダーク将軍

和哉・亜優美の共通の友人。歪んだ嫉妬心から、敵対する。


ユーリス/ジーク/フェルナンデス/ミリア

王宮騎士団長。それぞれが、それぞれの騎士団を率いている。


ラナ

アリシア姫の侍女。和哉に対しては辛辣な接し方をする。


グール伯爵

皇帝ゼロの腹心。闇の帝国の事実上の指揮者。ミリアの実の父。


皇帝ゼロ

闇の帝国の皇帝。強大なエナジーを持つ。エックスの兄。


ローディス

アクア王国宰相。反姫派の中心的人物で、全権掌握を目論む。


※登場人物詳細

(↓に、¥300と出ていますが、このお話を読めている皆様は、既に

 プランご加入(ありがとうございます★☆!)済みですので、

 お金がかかったりすることはありません!ご安心ください)

fanbox post: creator/29593080/post/1260447

・・・・・・・・・・・・・・


闇の帝国の本拠地ー

”ダーク・パレス”最深部ー。


闇の帝国内では

”大きな異変”が起きていたー


突如、ダーク将軍こと、和哉の親友・神崎省吾が

”アクア王国への総攻撃”を指示したのだったー。


「---どういうことだ?」

闇の帝国No2のグール伯爵が、表情を歪めているー


神崎省吾が、イスに座りー

省吾の脇には、ヒルダこと、亜優美が、

うっとりとした表情で、省吾を見つめているー


”あの女…雰囲気が変わった?”

グール伯爵は、亜優美の方を見るー。


皇帝・ゼロに洗脳された亜優美はー

誰にでも、心を開かないタイプの女だったー。


だがー

今はー


まるでー

あの神崎省吾という男の”女”のようだー。


「---聞こえなかったか?」

省吾が馬鹿にしたように笑うー。


「”アクア王国総攻撃”ー」

省吾が高らかに宣言するー。


「---素敵…」

亜優美が顔を赤らめながら省吾をほめたたえるー。


皇帝ゼロの洗脳を受けた亜優美に

もはや、和哉への愛情など、残されていないー。


「---ククク…貴様などにそんな権限があるとでも?」

グール伯爵が不気味な笑みを浮かべるー


”グールよ”


「-!」

省吾の背後にある闇の帝国のシンボルマークが光を発するー


”皇帝ゼロ”の声ー。


”今日より、ダーク将軍を我が帝国の大将軍に指名したー

 我が軍の全権を、その者に託すー”


「---な、、、何故急に?」

グール伯爵は戸惑うー。


「---クク」

省吾が、笑みを浮かべて

グール伯爵を指さすー。


「今日から俺が闇の帝国のNo2-

 グール、お前がNo3だー。」


「---貴様…」

グール伯爵が闇のオーラを漂わせるー


同時に、グール伯爵の背後に控えていた、

不気味な仮面をつけた騎士も、剣に手を掛けるー。


「---ほぅ?俺とやんのかよ?」

省吾が、笑みを浮かべてイスから立ち上がるー

亜優美も不敵な笑みを浮かべるー


省吾と亜優美ー

グール伯爵と仮面の騎士が、

向き合い、

互いに激しい殺気を放つー。


しかしー


”グールよ。

 その者に刃を向けるは、

 我に刃を向けると同じことー。”


皇帝ゼロの声が、グール伯爵の殺気を消したー。


「----…」

グール伯爵が、屈辱の表情を浮かべるー


だがー

皇帝ゼロに絶対の忠誠を誓うグール伯爵は

そのまま「ははっ」と唇を噛みしめながら頭を下げたー。


省吾がそれを見て笑みを浮かべるー


「--準備が整い次第、アクア王国総攻撃を開始するー」


高らかに宣言する省吾ー

亜優美が悪女の笑みを浮かべるー。


”和哉ー

 お前の”新しい居場所”も徹底的にぶち壊してやるぜー”


笑みを浮かべながら広間を後にする省吾ー


そんな省吾の後ろ姿を見つめながら

グール伯爵は、背後に控える仮面の騎士に静かに呟いたー。


「---”ヤツを見張れ”」

とー。


神崎省吾ー

皇帝ゼロ様が、別世界から転送してきた男ー。


だがー

奴は危険だー。

ゼロ様の洗脳も受け付けずー、

ダーク将軍として、野心を隠そうともしないー


「--ゼロ様の障害になることがあればーー

 私がこの命に代えても、排除するー」


グール伯爵はそう呟いてー

圧倒的な闇のエナジーを漂わせたー。


・・・・・・・・・・・・・・


同時刻ー


夜の闇に包まれる中、

和哉と、騎士団長・フェルナンデスは、

失脚した元宰相・ローディスの私邸に

足を踏み入れていたー


ローディスは闇の帝国と通じていた

”内通者”なのかー。

それを直接、ローディスから聞き出すためー。


「----姫様はここでお待ちを」

フェルナンデスはそう呟くと、警戒しながら、

ローディスの私邸の内部に入っていくー


ロウソクの火が不気味に揺れるー

ギシギシと床が音を鳴らすー。


フェルナンデスが慎重に、宰相ローディスの私邸を捜索するー


ローディスのエナジーによる能力は”糸”-

それによる拷問や、罠の設置を得意としているー。

元宰相であるローディスの狡猾な性格がよく現れた能力と言えるー。


「---!」

ゆらりと揺れるロウソクの炎ー


書斎にローディスのシルエットを見つけたフェルナンデスは

表情を引き締めて、その扉を開いたー



「----」

和哉が、ローディスの私邸の前で待機しているー。


「---(姫の服装って動きにくいよな…)」

そんな風に思いながら派手な服装を見つめる和哉ー。


その時だったー


「姫様」

フェルナンデスが、ローディスの私邸から出てきた。


そしてー

「----こちらへ」と、暗い表情で呟いたー


案内されたのは、元宰相・ローディスの書斎ー

そこにはーー

自らに刃を突き立て、既に息絶えている宰相・ローディスと、

遺言状と思われる手紙のようなものが残されていたー


「これは…!」

和哉が思わず声をあげるー。


「--私が到着した時には、既に…」

フェルナンデスは首を振ったー


元宰相ローディスが書き残した遺言状と思われるものにはー

”内通者としての罪、今、ここに償う”と、

殴り書きで書かれていたー


「---…」

和哉は沈黙するー


この遺言状を鵜呑みにするならば

元宰相のローディスが、闇の帝国との内通者でありー、

そして、その罪に押しつぶされて自害したことになる。


だがー


「----」

和哉は考えるー。


元の世界のドラマや映画などでよくみた展開だー

何者かによって自殺に見せかけられ始末された上にー

遺言状を偽装されるー


和哉は横に立っているフェルナンデスを横目で見るー。


「-----」

フェルナンデスは”先”にローディスの私邸に入ったー


「-----姫様」

フェルナンデスが、ローディスの遺体を見つめながら呟くー


「---私には、ローディス殿が誰かに消されたように思えてなりません」

とー。


「--!」

フェルナンデスもまた、和哉と同じ考えだったー。


「---ローディス殿は、野心家ではありましたが、

 闇の帝国と内通するような、自分が”駒”になるような行為は

 ローディス殿自身のプライドが許さないはずー。


 ローディス殿は、権力に溺れていたー。

 故に、闇の帝国側に密告するようなことは、

 しないーーー、と、私はそう思うのですー。


 ましてやーーー

 自ら命を捨てるなどー」


フェルナンデスは、ローディスの遺体を見つめながらー

「ローディス殿であれば、

 どんな状況になっても、姫様から蹴落とし、権力を奪おうと

 したはずですからな」

と、呟いたー。


「-----私も、そう、思いますー」

和哉は、アリシア姫としての口調で、そう呟いたー


・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日の王宮会議で、

元宰相ローディスの死が伝えられるー。


後任の宰相・ガディウスが笑みを浮かべるー


「それはそれは…ローディス殿が

 内通者であったことの、何よりの証…

 ということですな」


「--いや、そうではあるまい」

騎士団長のジークが、宰相ガディウスの考えを否定するー。


「--むしろ、これでローディス殿以外の人間が

 内通者である可能性が高まったと言えるだろう。


 ローディス殿は、あれしきのことで自ら命を絶つような

 男ではあるまい」


ジークも、また、和哉やフェルナンデスと同じく、

”ローディスは消された”という考えだったー


ユーリスも頷くー。

女性騎士団長のミリアも、同じ考えのようだー。


「---しかし、誰が何のためにー?」

宰相ガディウスが首を傾げるー


ローディスの件から、”野心家ではない”人間が

宰相に選ばれたー

だが、このガディウスという男の”政治能力”や”洞察力”は

ローディスのソレよりもはるかに劣ってしまうのも事実ー


宰相ローディスは、

危険な存在であると同時に、その能力は

アクア王国にとっては、”必要なモノ”であったのだー。


「---ローディス殿を内通者に仕立てて

 内通者の件を終わらせたかったのかー

 それとも、何か別の目的が?」

ユーリスが呟くー


和哉は王宮会議出席者を見回すー


騎士団長のユーリス、ジーク、フェルナンデス、ミリアー

後任の宰相のガディウスー

隠密部隊長カイルをはじめとする各部隊長、

そして、政治に携わる大臣たちー。


正直、和哉は、”アリシア姫”として振舞い始めてから

”接点のある人間”は限定的だ。


ユーリスとミリア、侍女のラナたちが”正体発覚のリスクを抑えるため”と

なるべく、大勢の人間と絡まないよう、うまく回しているー。


隠密部隊長カイルら、各部隊長のことはあまり知らないし、

政治を担当する大臣たちのことも、まだあまり知らないー

というのが実情だったー。


「---ローディス殿に内通者としての罪を着せる目的ー…

 というよりかは、単にローディス殿を始末したかったー…

 そんな風にも思えるな」

ジークが神経質そうな表情を歪めながら、そう呟いたー


・・・・・・・・・・・


部屋に戻り、和哉は部屋の豪華なソファーで

ぐったりとするー


「こら!」

侍女のラナがやってきて、和哉が広げた足を

べしっ!と叩くー。


「--姫様の姿でそんなだらしない格好は、許さないから!」

ラナの言葉に、和哉は「はは…ごめんごめん」と少しだけ笑みを浮かべるー。


ラナは、この世界に来てから、和哉の癒しー

ついつい、色々なことを話してしまうー。


「---ーーー」

和哉は、そんなラナを前にしても、考え込んでいたー。


「----…大丈夫?」

ラナが、心配そうに和哉の顔を覗き込むー。


「---”仲間を裏切る”ってーーー

 どんな気持ちなのかな?」

和哉は悲しそうにラナの方を見るー。


「--ーー」

ラナは答えないー。


「-----……俺さ…元の世界でも、言われたんだ

 ”お前はいつも優しすぎる”

 ”世の中善人ばかりじゃないんだぞ”ってー」


和哉は悲しそうな表情を浮かべたー。

女体化しているからだろうかー

目から涙が零れ落ちるー


洗脳された亜優美に裏切られてー

信じていた親友・神崎省吾に裏切られてー


この王国でも、裏切りが渦巻いているー。


もしかしたらー

信じている仲間たちの中にー

裏切者がいるかもしれないー。


「----俺…甘いのかな…?

 本物の、アリシア姫だったら…どうしたかな…?」

和哉が涙目で言うと、

「---ーーあんたは優しすぎるー」と、

ラナは呟いたー。


「----だよな」

和哉が自虐的に笑うー。


「--でも、それが、あんたのいいところー」

ラナが言うー。


「--え…」

和哉がラナの方を見るー


「--姫様もきっと、同じように、心を痛めたと思うー」

ラナがアリシア姫を懐かしむように言うー。


「----そっか」

和哉は少しだけ微笑んで、ラナに”ありがとう”と告げるー


少しだけー

少しだけ、気持ちが楽になった気がするー。


そうだー

甘いと言われたってかまわないー


信じて、信じて、信じてー

裏切られたとしてもー

それでも、また、信じてー


この世界で生きるにはー

愚かな考えかもしれないけれどー


「----本当に、ありがとう」

和哉は、ラナの方を見てそう呟くと、

「俺はいっつも、ラナに助けられてばかりだな」と、

苦笑いしたー


その言葉に、ラナは少しだけ顔を赤くして

「ふ、、ふふん!まったく世話の焼けるお姫様!!!」と、

照れ臭そうにつぶやいたー


・・・・・・・・・・・・・


ロウソクの炎が揺れるー


「--ジーク様」

背後から、隠密部隊長のカイルが現れるー


「--どうした?」

騎士団長のジークが振り返るー。


「--報告したきことがございます。」

カイルが呟くー。


「---聞こう」

ジークがイスに座りながら、カイルを見つめると、

カイルは口を開いたー


「---今、王宮にいるアリシア姫は

 ”偽物”にございます」


カイルが頭を下げながら言う。


「--なに?」

ジークが表情を歪めるー


「あの者はー

 ”ふじえだかずや”なる、別世界から召喚された男ー。

 アリシア姫より、力を授かり、

 その影響でアリシア姫そっくりの姿となりー、

 姫として振舞っておられます」


カイルが、淡々と告げるー。


「---…どういうことだ?何を言っている?」

ジークが声を荒げるー。


「---ユーリス殿、ミリア殿は既にそのことをご存じですー

 そして、フェルナンデス殿も既にお気づきのご様子ー」


カイルは、顔を上げてジークの方を見たー


「----そのことを知らぬのはー

 騎士団長では、ジーク様ー

 あなた、ただ一人ー」


カイルが口元を歪めるー。


「---バカな!?

 それにカイルよー、どこでそのような情報をーーー」


ジークが叫ぶー

だが、カイルはジークの言葉を遮ったー。


「--あなたは他の騎士団長から”除け者”にされてー

 本物の姫が”既に死んでいる”こともー

 ”今、王宮にいる姫が偽物”であることもー

 何も知らされていないー

 愚かな、反姫派の騎士団長ー」


カイルが挑発的に笑うー。


そして、続けたー。


「--偽物の姫にアクア王国の女王が務まりますか?

 仲間に、そのことを伝えようとしない他の騎士団長たちに、王国を守る

 役割が果たせますか?」


「--何がいいたい?」

ジークが、カイルの方を睨むー


カイルは、邪悪な笑みを浮かべたー


「アクア王国の玉座は、ジーク様ー

 あなたにこそ、ふさわしいー」


その言葉に、ジークは衝撃を受けたー


”アリシア姫が偽物だったー?”

”そのことを、他の騎士団長たちは既に知っていたー?”


ジークの中で、急速に

和哉や、ユーリスら他の騎士団長への不信感が増幅されていくー。


「---俺が…王に…」


「---あなたこそ、玉座にふさわしいかと」

カイルが頭を下げるー。


ジークは、放心状態でロウソクの炎を見つめたあとー

一人、笑い出したー


王国に、”破滅”の影が迫るー

動き出した運命は、もう止めることはできないー



”--ご命令通り、手筈は整えました”


水晶玉から、カイルの声が響き渡るー

水晶玉の周囲で、闇の帝国の幹部らが、邪悪な笑みを浮かべるー


”内通者”は、

隠密部隊長のカイルだったー。

姫の身辺を探り続けていたのは、ジークの指示ではなくー

闇の帝国側の指示によるものー。


「--近日中に、アクア王国で反乱が起きるー」

省吾が不気な笑みを浮かべるー


「---その混乱に乗じてー」

省吾が、凶悪な笑みを浮かべながら叫ぶー


「一気に和哉をー、アクア王国ごと葬り去ってくれるー」


省吾の言葉に、

皇帝ゼロに洗脳されている亜優美も、凶悪な笑みを浮かべたー


「---」

グール伯爵と、背後に控える仮面の騎士が不満そうに表情を歪めるー


「--グール…お前にも、総攻撃に参加してもらうぞ」

省吾が、見下すように呟くと、グール伯爵は、不快そうに笑みを浮かべたー。


「--ーーー」

立ち去っていく省吾と、そのあとをついていく亜優美ー


舌打ちするグール伯爵ー。


闇が、蠢くー

王国を、闇が飲み込むー。


陰謀渦巻く”破滅の瞬間”が、

すぐそこまで、迫りつつあったー。


「---和哉ー

 この世界もー

 亜優美もー

 闇の帝国もー


 全部、俺のモノだー」


省吾は、そう呟きながら、

横に控えていた、

亜優美を抱きしめてーキスをする。


「んっ…♡」

気持ちよさそうにしている亜優美を見つめながら、

省吾は満足そうに笑みを浮かべるとー


”全部、壊してやるぜー”と、

静かに呟いたー。


㉕へ続く


・・・・・・・・・・・・・


コメント


女体化X異世界転生の最新話でした~!


終盤戦に向けて、登場人物たちにも大きな動きが…?

今日もありがとうございました~!

(Fanbox)


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