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とある街の一角に、

”男性専用”の一風変わったバーが存在した。


そのバーにやってくる

短髪の中性的な男と、スーツ姿と男ー


バーの店員が「いらっしゃいませ」と落ち着いた様子で呟くと、

一人の男が、飲み物を2つ、注文した。


テーブル席の方に座る短髪の男ー。

スーツ姿の男が、短髪の男に対して、なにやら

ひそひそ声で呟くとー

彼らは笑みを浮かべたー


彼らはーーー

”男性”ではない。

男装したー”女性”だー。


彼らー

いや、彼女らは、

自分たちが男になりきって、

この”男性限定のバー”をパスすることができるかどうかを

楽しんでいるー


「へへへ、完璧な男じゃん」

中性的な男装の女のほうが笑みを浮かべると、

スーツ姿の男装をしている女が「だろ?」と

笑みを浮かべたー


彼女たちはーーー

”憑依”されているー。


彼女らに憑依しているのは、

正真正銘の男性ふたりー。


彼らはー

”女子に憑依して本気の男装をして、女だとバレずに

 男性専用のバーを利用できるかどうか”を

楽しんでいたー。


バーで飲み明かす二人ー


バーから出ると

「--ははは!今日はクリアだったな!」と、

短髪の男装女が笑うー。


「--だな!!この女たちは、もう男みたいなもんだぜぇ!」

と、スーツ姿の男装をした女が、酔っぱらった様子で叫んだー。


二人で、演歌のような歌を歌いながら、よろよろと

夜の街を歩くー。


その姿は、完全に男性二人が酔っ払ったかのようなー

そんな感じだったー


「-長~い黒髪をバッサリするのは最高だったな!」

短髪の男装女が言うー。


そう、彼女は今日の朝まで、黒髪の綺麗なロングヘアーだったー。


が、乗っ取られた彼女は

男装するために、その自慢の髪をバッサリと

切り落としてしまったのだったー


「--へへへ、だよな~!」

スーツ姿の男装女もそうー。


ポニーテールが印象的な女性だったが、

彼女もまた、乗っ取られたあとに男装するべく、

そのまま髪を切り落としたー


「--胸が一番きっついよなぁ~」

スーツ女が笑う。


「--あぁ、だな!」


女性に憑依して、”バレない男装”にチャレンジする遊びを

している二人にとって、

一番の難関は”胸”だー。


髪は、切り落とせばなんとかなるー

顔立ちは、ノーメイクで、なんとかごまかすことも出来るー


だがー

胸だけはどうにもならない。

髪のように、切り落とすことなどできないし、

ここが憑依男装を楽しむにあたって、

一番難易度の高い部分なのだー


「小さく見せるブラとか、服とかでカバーしてくこのゾクゾク」

短髪の男装女が胸のあたりを触りながら笑う。


よ~く見れば、確かに胸があるのだが、

遠目では見えないレベルになっているー。


スーツの女もそうだー。

かすかに膨らみが見える程度ー


「なぁなぁ、今度、胸の大きい女でやってみようぜ?」

スーツ女が笑うー。


「-は~?無理に決まってんだろ?さすがに膨らんでたらばれるし!」

”男性専用のバー”は、女性は入店拒否されるー。


過去に一度だけ、

”憑依男装”に失敗したことがあるー。


その際は、退店をお願いされてしまったー。


「---そこをどうにかするのが、憑依男装の醍醐味…だろ?」

スーツ女が笑うと、

「へへへ、まぁ、いかにも女!みたいなやつを

 完璧に男装させちまうのは、興奮するけどなぁ!」

と、短髪の女が、ぎゃはははは!と笑い出したー


翌朝ー

二人は近くのごみ置き場で、だらしない格好で

眠っていたところ、目を覚ましてー

悲鳴を上げたー


当然、二人には、髪を切った記憶も何もなく、

激しく戸惑うことになったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「---昨日は最高だったな」

サラリーマンの北村 泰(きたむら やすし)が言うと、

もう一人のサラリーマン・加納 淳之介(かのう じゅんのすけ)が

笑みを浮かべたー


この二人が、昨夜、女性たちに憑依して

男装をしていた人物たちだー。


彼らは20代後半のサラリーマンで、

様々な研究を行っている企業で働いていたー


その企業では、秘密裏に色々な薬品の開発を行っていて、

研究部門の同期から、極秘に開発中の”憑依薬”を分けてもらったことで、

それを使って”憑依男装”を楽しんでいたー。


最初は、意のままに女性を乗っ取って好き放題ーとも

考えていたのだが、泰のほうが、

”女性の男装”姿を見ると興奮するという性癖を持っていて

淳之介がそれに乗るかたちで、今の”憑依男装ごっこ”が

始まったのだった。


「--どうよ、今夜も女を変身させちまうか?」

泰が言うと、淳之介は「いいね」と笑みを浮かべるー。


「--ーへへへ…今夜はちょっと難易度をあげるか」

泰は「JKで男装とか、まだやったことなかったなぁ」と

ニヤリと笑みを浮かべるー。


とびきり可愛い、”いかにも女子してます”みたいな

女子高生を見つけてー

その子に憑依、その子を徹底的に”男”にするー。


「どうよ?」

泰の言葉に、淳之介は「へへ…年頃の子が男装か~」と

ニヤニヤしているー


「--じゃあ俺は、スタイルのいい女にでも憑依するかな」

と、淳之介は、呟きー


そして、二人は「21時、いつもの場所で」と

笑みを浮かべると、そのまま仕事に向かったー


夕方ー

仕事を終えた二人は、それぞれ別々の場所で、

”憑依して男装を楽しむ身体”を物色し始めるー。


「--また明日~!」

女子高生が手を振るー


「いたいたー…

 あの子がいいな」

泰は笑みを浮かべたー


”美少女”と表現するにふさわしい綺麗な黒髪の少女ー

とても真面目そうな風貌をしているー


あの子を乗っ取ってー

”極限まで男”にするー。


「---ククク…たまんねぇ」


泰は既に”幽体離脱”している。

帰宅後に憑依薬を飲み、自分の身体を安全な自宅に置いたまま

幽体として、ここに来ていたのだー


「---その身体、貰うぜ!」

泰はそう叫ぶと、その女子高生に”憑依”したー


「ーーんぁっ!?」

ビクンと震える女子高生ー

その直後、不気味な笑みが浮かぶー


「--へへっ… すっげぇかわいいじゃん」

鞄から手鏡を取り出して笑みを浮かべるー


きっとこの子は、クラスのアイドル的存在なのだろうー。

肌もとてもきれいでー

典型的な美少女だー。


「---さてさて…」

生徒手帳を鞄から探すー。


高校2年生のー

星村 紗季(ほしむら さき)-


「へへ、紗季ちゃんね」

紗季はそう呟くと、がに股でどかどかと歩き出してー

そして、そのまま近くの床屋に入っていくー


”1000円カット”と呼ばれるお店だー


「いらっしゃいませ」

店員が少し動揺した気がするー


紗季のようなかわいい女子高生が

まさかこんなお店に入って来るとは思わないのだろうー


紗季は笑みを浮かべながら

「ーー適当に短髪にしてください」と、店員に伝えるー


「---えっと…バッサリと、、ってことかな?」

店員が、首を傾げるー


「--はい、男子みたいにーバッサリとお願いします」

紗季はそう言いながら、笑みを浮かべるー


ゾクゾクするー

女の命でもある髪をこうしてバッサリとー


店員は、戸惑いながらも、これも仕事、と割り切り、

紗季の髪を容赦なく切っていくー


紗季は嬉しそうに笑みを浮かべるー


紗季の綺麗な髪が、床屋の床に落ちてー

紗季は短くなってきた自分の髪を見つめるー。


「--もっと、もっと短くていいっすよ」

紗季は、つい素を出してしまい、そう呟くとー

完全に”男”みたいな、そんな感じの髪型になったー


整えようとする床屋の店員ー


「あ、いいです」

紗季はそう言うと、髪をわざとボサボサにして、

笑みを浮かべるー


冴えない男ー

そんなスタイルにしたいー


「---ありがとうございました~」

髪が無くなり、紗季の首筋がスースーするのを感じながら

紗季は笑みを浮かべるー。


そして、鞄の中の財布を確認すると、

バイトをしてるっぽい紗季は、そこそこのお金を持っていたー


それを使いー

服屋に入るー


チェックのポロシャツを買いー

ごく普通の地味なズボンを買うー


「---へへへへ…冴えないオタク風な男装でもするか」

そう呟きながらニヤニヤとそれを購入するー。


眼鏡店に入り、

冴えない感じの眼鏡を買うー


デザイン性のないリュックを買って

アニメショップに入って、適当な萌えキャラっぽい

誰だか分からないキャラのグッズを買うー


購入したリュックに、それをつけるー


「--へへへへへ…」

紗季は必要なものをそろえると、

途中で、泰が事前に用意しておいた紙袋を

駅のコインロッカーから取り出し、

そのまま、紗季の家に帰宅したー


紗季の身体のまま、

泰自身の家に帰宅すれば

後々「問題」になる可能性が高いー


憑依されている間の記憶がない紗季が、

泰の家に入っていっていたー、

となれば、当然、何か疑われかねない。


だから、

こうして、乗っ取った本人の家で、

”変身”するのだー


紗季の家族にバレないように、

紗季の部屋らしき場所に飛び込むと、

紗季は、早速服を脱ぎ捨てる。


「はぁぁ…スタイルもいいなぁ」

そう呟くと、紗季は、そのまま、紙袋から、

”小さく見えるブラ”を取り出して、

胸を小さく見せようとそれを身に着けるー


「この子、そこそこでかいな…バレるか?」

笑みを浮かべながら、ボサボサ髪の紗季が、そう呟くー。


白いランニングシャツを着て、

チェック柄のシャツを着るー。


そして、パンツを脱ぎ捨てて、

男物のブリーフを履くー


「はははは!どんどん男になってくこの瞬間…たまんねぇな」

紗季は部屋を散らかしながら、ズボンを履くとー

そこには、メイクで整った顔立ち以外は、

冴えないオタク男子っぽい雰囲気の紗季が出来上がったー


その姿のままメイクを落とし、

わざと唇を乾燥させて、パサパサにするー


まるで別人のように変身した紗季を鏡で見つめて満足した泰はー

「-へへへ」とニヤニヤしながら、手をかきむしり始めるー


痒くもないのに、手をかきむしりー

紗季の綺麗な手が赤くなっていくー

やがて、掻き壊して血が出てきたのを確認するとー

「綺麗な手が汚れていく瞬間も…へへへへ」と笑みを浮かべたー


爪切りで爪をわざと汚らしく切りー、

購入したリュックに、アニメキャラのものっぽいバッジや

グッズを大量につけてー

冴えない眼鏡をかけてー


そしてー


オタク男っぽい紗季が完成したー


「へへへ、完全にモテない男だぜ!」

可愛い声でそう呟くと、

紗季は、何度か咳をしてからー


「ぼ、、僕は…僕は…でゅふふふふ」と

低い声で呟いたー


「よし、これで、これで、いけますぞぉ」

わざと変な口調で呟くと、紗季は嬉しそうに

冴えない男姿のまま、友人・淳之介との合流場所に向かったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「誰も、この子がかわいい可愛い女子高生だなんて思わないだろうな~」

そう思いながら、紗季は、夜の街を歩くー


当然、視線も全く感じないー


可愛い女子高生を短時間で

ここまで”男”に出来てしまうのだー


ぴちぴちのブリーフを履いて、ズボンを履いているのにー

アレがついていないー

そんなことにも、ドキドキしてしまうー


「げへへへへ…

 コーラでも飲みながら、歩くとさらに

 だらしなさが、強まるなぁ~」


コンビニに入ると紗季は、

コーラとガムなどを購入して、

ガムをくちゃくちゃしながら、

待ち合わせ場所に向かう。


店員もまさか、紗季が女子高生だとは思わなかっただろうー。


そして、待ち合わせ場所に到着した紗季は、

人の気配のないその場所で、コーラにメントスを入れながら

「ぎゃはははは!」と笑いつつー

友人・淳之介の到着を待ったー。



②へ続く


・・・・・・・・・・・


コメント


憑依して男装する…!

ちょっと変わった憑依モノですネ~!


このお話も、区切りよく今月中に完結する予定デス!


②で完結なので、次回もお楽しみに!!


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