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いつかまたー

亜優美と手を取り合える日が来ると信じているからー


いつかまたー

省吾と、「こんなこともあったな」と笑い合える日が来ると信じているからー


いつかまたー

元の世界に戻って、”あの世界の出来事は夢みたいだね”と

思い出話にすることができると信じているからー


そしてー

この異世界の平和を取り戻したいからー


だからー

止まらない。

絶対にー


だからー

どんなに辛くてもー

諦めないー


この異世界を救ってー

元の世界に戻って見せるー

亜優美や、省吾と一緒にー


”まるで、ラノベみたいじゃないか”


心の中で、そんな冗談を呟くと、

和哉は決意を胸に、闇の帝国の軍勢を見つめたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


★主要登場人物★


藤枝 和哉(ふじえだ かずや)/アリシア姫

異世界に転生後、女体化。行方不明のアリシア姫と間違えられてしまうことに…。


高梨 亜優美(たかなし あゆみ)/ヒルダ

和哉の恋人。異世界ではヒルダと名乗り、敵対している。


神埼 省吾(かんざき しょうご)/ダーク将軍

和哉・亜優美の共通の友人。歪んだ嫉妬心から、敵対する。


ユーリス/ジーク/フェルナンデス/ミリア

王宮騎士団長。それぞれが、それぞれの騎士団を率いている。


ラナ

アリシア姫の侍女。和哉に対しては辛辣な接し方をする。


グール伯爵

皇帝ゼロの腹心。闇の帝国の事実上の指揮者。ミリアの実の父。


皇帝ゼロ

闇の帝国の皇帝。強大なエナジーを持つ。エックスの兄。


ローディス

アクア王国宰相。反姫派の中心的人物で、全権掌握を目論む。


※登場人物詳細

(↓に、¥300と出ていますが、このお話を読めている皆様は、既に

 プランご加入(ありがとうございます★☆!)済みですので、

 お金がかかったりすることはありません!ご安心ください)

fanbox post: creator/29593080/post/1260447

・・・・・・・・・・・・・・


テンペスト高原で激しい激闘が繰り広げられるー


(最初はなんだこいつは!って思ったけどー)

和哉は、剣を振るいながら、死んだエックスのことを思い出すー


(--色々大変だったんだよな)

死の間際に、自分を守ってくれたエックスを思い出しながら

上空の渦を見上げる和哉ー。


皇帝ゼロの声が響いてくる渦ー。


(お前の兄貴ーー、必ず止めてやるから、見ててくれよ)

和哉は、そう呟きながら、

亜優美との戦いを続けているー。


「--亜優美ーー

 俺、絶対に、亜優美と省吾と3人で、

 元の世界に戻って見せるからー」


亜優美の剣をはじきながら、

和哉が言うー


和哉のー

女体化した和哉の髪がふわりとなびくー。


「---元の世界?

 わたしは生まれた時から

 皇帝ゼロ様の忠実なしもべよ!」


ヒルダを名乗る亜優美が叫ぶー


「違うー」

和哉は断言するように否定するー


亜優美が剣を、和哉に向けて振るうー

和哉が、ふわりと髪を揺らしながらそれを回避するー。


和哉は、亜優美に決定打となる攻撃を与えようとはしないー

あくまでも”説得”のスタイルー。


「--君は高梨 亜優美ー

 俺は知ってるー

 君は、誰よりも優しいしー

 誰よりもー素敵なー


 俺の大好きな彼女だ!」


和哉がそう叫ぶと、

亜優美は表情を歪めるー


「亜優美じゃないって言ってるでしょ!

 わたしはヒルーーーー」


「---!」


和哉は、見逃さなかったー

亜優美が一瞬、手を震わせて、

初めて”動揺”を見せたことをー。


”亜優美の心は、死んでいないー”


「--亜優美!俺はきみをー!

 絶対に、助け出すー」


和哉はそう叫びながら、

亜優美に向かっていくー



「--へへ」

省吾がその光景を見ながら笑みを浮かべるー」

省吾と対峙しているユーリスは、

フェルナンデスやジークらが戦っている方向を見つめながら考えるー


”こいつは、アリシアの姿をした和哉が和哉だと知っている”


グール伯爵や、亜優美とかいう女は、ともかく、

こいつはまずいー


アリシアの姿をした和哉を平気で「和哉!」と呼ぶー。


だからー

アリシア姫=女体化した和哉であると知らない

ジークやフェルナンデスたちの近くで、こいつがベラベラ

喋り出すのはまずいー。


そう考えたユーリスは、

剣の先から、炎の弾のようなものを出しー

それを放つー


「--へへっ!ファイアーボールってか!?」

省吾がそれをはじくと、

距離を取りながら、炎の弾を放つユーリスの方に馬を走らせるー


ユーリスは、それを確認すると笑みを浮かべて、

省吾をおびき寄せるー。


アリシア姫は偽物ー

そうだと知らないジーク、フェルナンデスの二人から

省吾を引き離すと、

ユーリスは「ここなら、存分に戦えるな」と、

剣に炎を纏わせて、省吾のほうを見つめたー


テンペスト高原で激しい戦闘が続くー


「---ククク…芸術的よな」

闇の帝国No2のグール伯爵が、

騎士団長・フェルナンデスのエナジーによる能力・

薔薇(ローズ)を見て、笑みを浮かべるー


「我が薔薇が貴様を引き裂くー」

フェルナンデスが、手を天にかざすー。


「薔薇の雨(ローズ・シャワー)」

鋭利な薔薇の花びらが、上空から出現し、大量に

グール伯爵に降り注ぐー


「ぐおおおおおおっ!」

グール伯爵が、薔薇の襲撃に、身体を守る姿勢を取りながら叫ぶー。


「幻影使い・グール!いかに”幻影”で人を惑わそうともー

 我が薔薇を避けることはできまい」

フェルナンデスが薔薇を手にしながら叫ぶー。


グール伯爵のエナジーによる力”幻影”はー、

自分の分身を発生させる能力ー

とは言え、”本体が消える”わけではないー

必ず、本体が、そこには”ある”のだー。


グール伯爵が笑みを浮かべながら”ワープ”するー。

フェルナンデスの背後に回り込むグール伯爵ー。


「-させるか!」

騎士団長のミリアが、氷を飛ばし、

グール伯爵を攻撃するー


「-!」

グール伯爵が、さらに瞬間移動して、

フェルナンデスとミリアから少し離れた場所に現れるー。


「--ミリア殿!」

フェルナンデスが合図をすると、ミリアは「分かっている!」と叫ぶー。


フェルナンデスとミリアが同時に、エナジーを開放しー

氷と薔薇が融合ー

氷の薔薇が、グール伯爵めがけて一斉に放たれたー


「--氷の薔薇(フローズン・アイス)-」

フェルナンデスとミリアの連携に、グール伯爵が身構えー

それが、直撃したー。



「---ククク、ここは戦場だー

 お嬢ちゃんのいる場所じゃないぞ?」

騎士団長のジークは、

”ソフィア”と呼ばれる”少女暗殺者”と対決していたー


ソフィアは、和哉と同じ世界から、

皇帝ゼロによって連れてこられて、洗脳された小さな少女ー

完全にゼロに操られていて、

亜優美同様、ゼロのために戦っているー。


水晶玉から、呪いのエナジーを放つソフィアー。

ジークがそれを回避するー。


”深淵の毒蜘蛛”の異名を持つジークが、

ソフィアのほうを見つめるー。


そして、笑みを浮かべるー


”麻痺の効果を持つ神経毒をこのあたりに充満させているー

 あの子娘が動けなくなるのは、時間の問題”


ジークは、さらに邪悪な笑みを浮かべたー


”近づいてくれば、我が暗記”蜘蛛の屍”で

 串刺しにしてくれようぞ”


テンペスト高原の激闘は続くー

騎士団と魔物が激しい攻防を繰り広げー


和哉は亜優美とー

ユーリスは省吾とー

フェルナンデスとミリアがグール伯爵とー

そして、ジークがソフィアと対決しているー。


皇帝ゼロは、上空の渦からー

離れた場所から”エナジー”による力で

その光景を見つめていたー


だがー

”大戦乱”は終わりを告げたー


「---!」

和哉が振り返るー

亜優美も、また、ある方向を振り返ったー


「---夜明け」

省吾が呟く。

ユーリスも、テンペスト高原の地平線を見つめるー。


「--…遊び過ぎたか」

フェルナンデスたちの連携攻撃をなんとか回避した

グール伯爵が笑うー。


魔物たちが苦しみだすー。


「--下級の魔物どもは、耐えられぬ…か」

グール伯爵はそう呟くと、

上空の渦を見つめるー


”やむを得まいー”

皇帝ゼロは、そう呟いたー


魔物たちがあっという間に騎士団によって掃討されていきー

人数的に不利と察した

グール伯爵、亜優美、省吾、ソフィアは、

テンペスト高原の朝日を背に、

和哉たちのほうを見たー。


「---ここを貴様たちの墓場にするつもりだったが、

 命拾いしたな」

グール伯爵が笑うー。


そして、何かを唱えると、

”闇の渦”のようなものが背後に出現したー。


「---待て!」

騎士団長のユーリスら4人が、グール伯爵らのほうを見つめるー


「---ふふふふ、悪運の強いこと」

亜優美が、妖艶な笑みを浮かべて、和哉たちに背を向けると

そのままグール伯爵が出現させた闇の渦の方に歩いていくー


「----」

和哉のほうを振り返る亜優美ー


だが、亜優美は、笑みを浮かべることもなく、

そのまま闇の渦の中に消えていったー。


「-------」

省吾は、上空の渦を見つめているー


「---”皇帝ゼロー”」

省吾は、静かにそう呟くと、不気味な笑みを浮かべー

和哉のほうを見るー


「--次がーお前の最後だー」


亜優美の後を追うようにして、

省吾も闇の渦に消えるー


暗殺者の少女・ソフィアも闇の渦に入っていくと

最後にグール伯爵が呟くー


「滅びの日は近いー」

とー。


そして、グール伯爵も消えーーー

テンペスト高原に、平穏が取り戻されたー。


太陽が昇るー。


騎士団長4人が、アリシア姫の姿に女体化した和哉の傍によってくるー。


今、目の前にいるアリシア姫が”本物ではない”と

知っているのは、

ユーリスとミリアの二人ー。

フェルナンデスとジークは、まだ、知らないー。


「ご無事ですか?姫様」

フェルナンデスが言うと、

和哉は頷くー。


ユーリスが「どうしてここに?」と、二人に聞くー。


自分たちは、王宮会議での承認も得ずに

独断で和哉…アリシア姫を連れ出してここまでやってきた。

騎士団長の位を返上する覚悟で、だー。


どうして、フェルナンデスがー

それに、”反姫派”であるジークまでもが、ここにー


「---我々の仕事は、姫様をお守りすること…。

 そうだろう?ユーリス殿」

フェルナンデスの言葉に、ユーリスは

「だが、宰相殿は反対したのでは?」と、呟くー。


宰相ローディスが、テンペスト高原への出撃を許可するはずがないー。

”反姫派”の中心人物でもあるローディスからすれば、

アリシア姫の姿をした和哉が、勝手にここで死ねば

むしろ、好都合かもしれないからだー。


「---あぁ、反対されたさ」

フェルナンデスが言うー。


その言葉に、ユーリスとミリアは、

フェルナンデスとジークも騎士団長の証である紋章を

つけていないことに気づくー。


「--お前たち…」

ユーリスは、この二人も”騎士団長の位を返上する覚悟”で

ここまで来たのだと悟るー。


「--どうして、お前まで」

女性騎士団長のミリアが言うー。


神経質そうな表情を歪めて、ジークが答えるー。


「--俺は”王国を守りたい”だけだー。

 ローディス殿に仕えているわけではない」


とー。


ジークは、宰相ローディスの政治手腕を買い、

優しさゆえに甘いやり方の目立つアリシア姫よりも

ローディスがアクア王国を導くべきだと考え、

反姫派、と呼ばれる姿勢を貫いていたー。


アリシア姫に私怨はないし、

アリシア姫の命を狙っているわけでもないー


だがー

最近の宰相ローディスは、私利私欲に溺れているー。

”自分が権力を手にしたい”

その態度が強くにじみ出ており、”王国”のためではなく

”自分”のためー

そんな、色が、強く出ていたー


ジークは、そんな宰相ローディスに見切りをつけたのだったー。


「--今、アリシア姫を失えば、

 アクア王国の民は、絶望し、ひどく動揺するだろうー。

 それは避けねばならん、

 そう思っただけだ」


ジークはそれだけ言うと、

和哉とユーリス、ミリアのほうを見てー


「それにしてもー

 このような場所に、何の目的で?」

と、首を傾げたー。


和哉とユーリスが目を見合わせるー。


”本物のアリシア姫に会いに来たー”とは、言えないー。


だがー

もう隠し通すのは限界かもしれないー


「----」


ミルト族の生き残り、エックスに導かれて

本物のアリシア姫に会いに来たー。


そんなことを言えば、

当然、今ここにいる和哉ー

アリシア姫の姿をした和哉は”偽物”だと、発覚してしまうー。


フェルナンデスはともかく、

ジークがそれを受け入れるかどうかー。


ジークは”王国のため”と判断すれば

敵にも味方にもなるー。


「---(下手をすれば、宰相ローディスとの結託を強める結果にも

 なりかねない)」

ユーリスはそう判断して、

「それはーーー」と、口を開いたー。


「--まぁ、良いではないか。

 まずは王宮へと戻ろう」

騎士団長のフェルナンデスが助け船を出すかのように、

そう口にしたー


ジークは少し不満そうな表情を浮かべたが、

和哉のほうを見て、口を開いたー


「--ここに来たのはー”王国のため”

 そう、考えてよいのですかな?」

とー。


和哉は

「----ええ」と、

力強く頷いたー


和哉の目をしばらく見つめるジーク。


ジークは

「----姫を、信じましょう」と、呟くと、

騎士団に対して

「-ーこれより、王宮に帰還する!」と指示を出し、

進軍し始めたー。


和哉はユーリスのほうを見て頷くー


”いつまでも隠しておくことはできないーーー

 いずれーーーー”


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


それから半日以上かけてー

アクア王国の城下町に帰還した

和哉と王宮騎士団たちー。


”-ーーラナにも小言を言われそうだな”

侍女のラナのことを思い出しながら、

苦笑いする和哉ー。


フェルナンデスが口を開くー。

「--しかし、宰相殿が何て言うか…」

とー。


ユーリスの表情も重々しいー


女性騎士団長のミリアが口を開くー


「騎士団長の位を返上する覚悟を持って、こうしたんだー

 私は、覚悟はできているー」


とー。


そんな三人の騎士団長を見て、

ジークは少しだけ笑みを浮かべたー


王宮に帰還するー。

帰還すると、大広間に通された騎士団長たちと和哉ー


大広間では、アクア王国の大臣たちとー

宰相ローディスが待ち構えていたー。


宰相ローディスは、アリシア姫の座る玉座に座っているー。


「---これはこれはー

 ご無事で何よりです」

宰相ローディスが和哉のほうを見て笑うー。


「--宰相殿…どうしてそこに?」

騎士団長のユーリスは不快そうに尋ねるー。


宰相ローディスが、アリシア姫の玉座に座っているのだー


広々とした王宮にローディスの乾いた笑い声が響き渡るー


「---姫様は、王国を導く器にあらずー。

 自分の”王女”という立場を忘れー

 一人、危険な場所へと赴きー

 王国を混乱に陥れたー。


 とんだ、お転婆娘だー。


 姫様には、離宮にてご謹慎頂き、

 本日より、このローディスが、

 アクア王国を導くー


 そういうことだ」


ローディスがニヤリと笑うー。


「--宰相殿!無礼な…!」

騎士団長のフェルナンデスが声を荒げるー


「---無礼者!!!!!!!!!!!!」

宰相ローディスが、大声で叫んだ。


フェルナンデスが、「!?」と表情を歪めるー。


「---私はー、いいや、朕はこれより

 アクア王国の国王ローディスぞ?

 口を慎め」


宰相ローディスが本性を現したー

ローディスは、アリシアの父である先王の代から

ずっとーーー

狙っていたのだー


玉座をー。


「---それにしても、

 あろうことか、姫様の身勝手な行動を

 静止することもせずー

 それを手伝うような行為をするとはー


 騎士団長としてあるまじき行為ー。」


宰相ーー

国王を名乗るローディスは笑うー


「ーー朕の名の元に命ずー

 騎士団長4名ー

 ユーリス、フェルナンデス、ジーク、ミリアは解任ー

 反逆者として謹慎処分ー


 新たに騎士団長4名を

 朕が選出すーーーー」


「くく…」


ーー!?


国王ローディスが表情を歪めるー


「くはははははははははは!

 ははははははははは!」


騎士団長のジークが大声で笑いだすー。


ユーリスら他の騎士団長3人が、ジークを見るー


和哉も、ジークのほうを不思議そうに見つめるー。


「----何が朕だー。

 失笑せざるを得ませんな、ローディス殿」


ジークの言葉に、

ローディスが声を荒げるー。


「--ジーク!この反逆者め!

 朕の右腕だと思っていたのに!」


とー。


ジークは鼻でローディスを笑うと、

「--私はあなたの政治手腕を買い、

 あなたこそ王国を率いるべきだと、思っておりましたがー

 とんだ、勘違いでしたな」

と、呟きー

不気味な笑みを浮かべたー


「--反逆者はどちらかー」

ジークの言葉に、ローディスが表情を歪めるー


そして、ジークは、周囲にいる大臣や、騎士たちを見まわすと、

ローディスを見つめながら、叫んだー


「ーーー我々は反逆者にあらずー。


 反逆者はー

 宰相ローディス、あなただー」


とー。



㉓へ続く


・・・・・・・・・・


コメント


宰相ローディスの野心…!

続きはまた今度デス~!


今日は朝から腕と肩が痛いので、

執筆にいつもより苦戦しちゃいました…!(笑)


皆様も体調には気を付けてくださいネ~!

(Fanbox)


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